はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

次の一手 問11 答えあわせ(ロングver.)

2014年04月10日 | 次の一手
                        次の一手 問11 出題図



正解図


 『次の一手 問11 答えあわせ(ロングver.)』は、前回の『答えあわせ(シンプルver.)』の補足・詳細版です。大筋は前回に書いた通りで解答としてはそれで十分と思いますが、そこに書かなかった紛れや変化、おもしろい筋についてメモ代わりにここにまとめておきます。

 この「次の一手 問11」の答えは上の正解図の通り「 ▲4三角 ]ですが、それを相手せず、後手が“詰めろ”を掛けてくると、後手玉は詰んでしまいます。そう、「4三角は詰めろ」だったのです。
 その詰め手順をまず確認しておきましょう。


【4三角は詰めろ】

 4三角、7六歩(詰めろ)、2一飛成、同玉、4一飛

図1
 4一飛とここから飛車を打ちます。対して3一に合駒は、何を合駒しても、3二角成から詰みます。3一桂合なら、3二角成、同玉、4二金で、他の合駒なら、3二角成、同玉、4三金、2二玉、3一飛成以下。

 したがって、4一飛に、1二玉と逃げますが、そこで2四桂
 2四同歩に、2三金

図2
 2四桂~2三金、ここがこの「詰将棋」の肝の部分。これがあるから、先の「4三角」が“詰めろ”になるわけです。
 図以下、2三同玉、2一飛成、2二金、3二角成までの詰み


詰将棋 塚田正夫作 9手詰め
 この塚田正夫の9手詰めから、この「次の一手」問題を発想しました。
 塚田さんのこの詰将棋では4三の駒は「馬」ですが、これは生の「角」でも成立しています。



【4三角、8八歩成、同玉、7六桂、同歩、4三金の変化】

 さて、もう一度「正解図」(4三角まで)に戻って、そこで後手4三同金では、3二飛から、わりとあっさり「先手勝ち」となります。(7八金と銀を取った手が後手の玉への“詰めろ”になっているから。これは『シンプルver.』ですでに説明しています。)

 そこで後手は4三の角を取る前に、「8八歩成、同玉」を入れて、それから「4三金」とする。あるいは、さらに「7六桂、同歩」も入れて、それから「4三金」という指し方をすると、先手も簡単ではない。
 それもやはり『シンプルver.』で一部述べていますが、そこでまだ示していないパターンをこれからやっておきます。(すでに説明したことと重複する内容も含まれていますが、微妙に細部が異なっています。)

図3
 この「図3」は、「正解図」(4三角まで)から、8八歩成、同玉、7六桂、同歩、4三金の場面。
 これもやはり、3二飛で、先手が勝ちになります。以下はその確認ですが、先手勝てるが、でも甘く見ると逆転負けにされてしまう。

 3二飛には、(1)2二桂と、(2)2二角の2択です。
 まず(1)2二桂から。

変化図A1
 上の図から、3二飛、2二桂、7八金とすすめた図。
 これで先手が勝っている。後手玉は、2一飛成、同玉、3一金、1二玉、2一銀までの詰み。

 気をつけなければいけないのは、7八金のかわりに、3一飛行成でも後手玉は受けなしの“詰めろ”になるが、これだと先手負けてしまう、ということ。
変化図A2
 後手はここで「角角」を持っているので、7九角以下、先手玉が詰んでしまう。7九角に、9八玉なら、8七角で。7九同金なら、同銀不成、8七玉、7六銀成、7八玉、6八金まで。

 そういうわけで、先手が勝つにはこの場合は「7八金」(変化図A1)しかないのですが、後手はこれを同銀成とするでしょう。以下、同玉、6七角、8八玉、8七歩、同玉、7六角成…

変化図A3
 あらら、これは詰んでしまって、先手負け。
 なにがいけなかったか?
 
変化図A4
 7八同銀成を、同玉と取ったのが間違いでした。取ってはいけないのです。
 この図のように、8七玉なら、詰みはなく、先手勝ち。 後手玉の受けも効きません。
 (以下、4二角、3一銀、3三角打、4一飛成で受けがない。)

 このように、図3から、「3二飛、2二桂」には、「7八金」で先手勝てる。 “3一飛行成”は先手負け


変化図B1
 次は(2)2二角の場合。 今度は後手の持駒は「角桂」なので、先手玉にここでは詰みはありません。
 ということで、ここでは先手は(ア)3一飛寄成でも勝てます。以下、3三角打の受けには、2二飛成、同角、2四桂、同歩、2三金、同玉、3二角以下、詰んでいます。

 それ以外に、ここで考えられる先手の勝ち方としては、(イ)7八金(ウ)2四桂が考えられます。それを以下に見ていきます。(先手にはこのようにここで有力に思える手が3つあるために、かえって間違えやすい場面なのです。)

 (イ)7八金とすると――

変化図B2
 7八同銀成に、やはり8七玉と逃げて「先手勝ち」。 これが正解。
 (後手玉は2二飛成、同玉、3三角以下の詰みが生じている。)

 ここも7八同玉と取ってはいけない。もし取ると
 7八同玉、6七角、8八玉、8七歩、同玉、7六角成、8八玉、8七歩、7九金、8八金、6九玉、5七桂となって――
 
変化図B3
 詰み。先手、負けました。
 このように、「7六桂、同歩」を入れてある場合は、6七角~7六角成の筋があるので、その筋からの詰みにに気をつける必要があります。

 それで「8七玉」(変化図B2)ですが、そこから後手が受けて頑張ろうとするなら3三角打が考えられますが――
変化図B4
 先手は3一銀と迫る。
 以下、4二金打と粘ってみても、2二銀成、同角、同飛成、同玉に――
変化図B5
 3三角と打って詰んでいます。


変化図B6
 (ウ)2四桂はどうでしょうか。 同歩、同歩となれば、これも「先手勝ち」という気がします。3三金と受けるのは同飛成で無効、3一桂も同飛寄成でやはり無効。受けはありません。
 それに先に「7六桂、同歩」で桂馬をもらったので、この手で切り返して勝つのは気分が良いですし、(イ)7八金よりもこの手のほうが安全そうに見えるかもしれません。
 しかしその判断は誤りで、この道を選ぶと「負け」に転落します。
 桂馬を一枚渡すことで、先手玉に“詰み”が生じてしまうからです。

変化図B7
 2四桂(変化図B6)から、同歩、同歩、8七歩、9八玉、8九銀(図)。
 ここで、8九同玉と、8七玉があります。(どちらも詰み)
 まず、8九同玉から。8九同玉、7七桂、9八玉、8九角、8七玉、7六銀成、8八玉、8七歩、7九玉、6九桂成、同玉、5七桂、5八玉、4六桂…

変化図B8
 4八玉、4七金、3九玉、3八金まで。 ぴったり“詰み”です。

変化図B9
 「変化図B7」から、8七玉の場合は、8七玉、7六銀成、8八玉、8七歩、7九玉、6七桂、6八玉、5七角、5八玉、4六桂、4九玉、3七桂(図)。
 やはり駒が余らずぴったりの“詰み”。
 (途中、6七桂に8九玉には、7七桂、7八玉、7九桂成、同玉、5七角、6八金、同角成以下。)
 桂馬を一枚渡したから、この詰みが生じた。

 それにしても、こういうとくに妙手があるわけでもない「並べ詰め」を実戦で読み切る能力はどうやったら効果的に身につくのでしょうか。いわゆる“詰将棋”は、華麗に持駒を捨てていく手が多く、こういう平凡な手の続く「並べ詰め」はやらないので、一般にある“詰将棋”ばかり解いても、こういう能力は伸びていかないんですよね。
 (『平凡並べ詰め詰将棋ドリル200題』みたいなものを誰かつくってくれないかなあ。)

 さて、以上見てきたように、「3二飛、2二角」となった局面(変化図B1)で、正解手は2つあって、(ア)3一飛寄成、または、(イ)7八金なら、先手勝ち。  しかし(ウ)2四桂は、先手負けになる
 


【正解手以外の手を検討してみる】

問11 出題図
 「問11 出題図」まで戻って、こんどは、正解手以外の指し手について考えます。
 後手の立場に立って、「どう受けるのが正解なのか」と考えてみたい。


 まず、▲4一飛成にはどうするか。

参考図1
 これは△4三角が(後手にとっての)絶好打。 △4三角は8八歩成、同玉、8七角成の詰みを見ており、「後手勝ち」となります。

参考図2
 この問題の場合、基本的には、先手が2段目に飛車を打つ手には「△4二桂」と打って、また1段目に飛車を打ってきたら「△3一桂」と打って、それで先手の攻めを後手は受け止めることができる
 図は、▲6二飛と2段目に飛車を打ったところ。
 これには、したがって、△4二桂と受ける。 
 さらに6一飛行成なら――

参考図3
 △3一桂と打つ。なおも先手は4一飛成と迫るが、この図のように「△4三角」があるので、やはり「後手勝ち」の将棋となる。
 とにかく、この「△4三角」が絶好打なのです。

参考図4
 ところが、微妙な、面白いケースがありまして――。
 これは「問題図」で、▲5二飛と打ち、その手に対し後手が4三角と角を打ったところ。
 この5二飛に対しても、4二桂と受けるのが正解で、それで先手の攻めは続きません。図の4三角は“失着”です。
 けれども、5二飛と、ここに飛車を打たれると“4三角”とこの角を打ちたくなりませんか。
 しかしそれが“先手の仕掛けたわな”だったんですね。

 なぜ4三角が後手の失着だったかというと――
 図から、2一飛成、同玉、3三桂。 こういう手がある。
参考図5
 後手玉は“詰み”。 2二玉なら、2一金、3三玉、2二角、同金、同飛成まで。 よって、3三桂には、1二玉と逃げるが、2一角、2二玉、3二角成、同角、同飛成、同玉、2一角…
 
参考図6
 以下略。
 ほんと、将棋は気が抜けない。(後手は5二飛に4二桂と受けておけば問題なかった。)


参考図7
 こんな手も考えられる。▲4一飛打
 後手は3一桂と受けるが、そこで5二飛成とする。

参考図8
 ここで△4三角はないので(同飛成で意味なし)、後手は4二桂と受けることになるが、先手の狙いは、ここで同飛成、同金、同竜の“二枚換え”で、「どうだ!」ということである。
参考図9
 これには、2二角と受けて、これは「後手勝ち」になるようです。先手玉には「8八飛の1手詰」があります。これを受けるには7九角と打つくらいですが、これには6九銀不成(詰めろ)、8八桂、7八銀不成となって、先手玉は“必至”に追い込まれます。
 先手の工夫は実りませんでした。この「参考図9」で、先手は「角金金桂」と持っていて、その上に7八に「銀」の質駒もあるのでいけそうに見えたのですが、駄目でした。この将棋、飛車を渡すと、もうそれだけで先手は勝てないようです。


参考図10
 最後に、この手を紹介しておきます。「問題図」で、「▲3三角」という手です。
 結果的に、この手は正解手にはなりませんが、場合によっては成立する可能性もある手で、知っておいて損はないです。
 まず、この3三角は後手玉への“詰めろ”になっています。その手順は、2二金、同金、同角成、同玉、3二飛、同玉、5二飛成、4二合、4三金以下。
 ということで、後手はこれを3三同桂または3三同金と取ることになります。するとどっちで取っても、その形が、先手が7八金と銀を取った時に、後手玉の“詰めろ”になっています。「▲3三角」の先手の狙いはそういうこと。

 これに対して、後手はどう対処するのが良いか。この場合は正解は一つではないが、一例を示しておきます。
 3三角には、8八歩成、同玉、3三桂と応じるのがわかりやすいと思います。以下、7八金(後手玉の詰めろになっている)、同銀成、8七玉、3一桂(2一銀以下の詰みを防ぐ)、6二飛、4三角。

参考図11
 やはりここでも出ました、4三角。 以下8六玉には、6七角で。5四銀なら、7六歩が“詰めろ”です。
 これで「後手勝ち」です。


 どうやら、正解手の「▲4三角」の詰めろならば、後手からの△4三角打ちのスペースがないので、先手が勝てる将棋になるという、そういうカラクリのようです。



 以上検討してきた結果、この「問11」の問題図では、▲4三角以外の手では先手に勝ちはない、ということになります。



 以上で、終わりです。
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次の一手 問11 答えあわせ(シンプルver.)

2014年04月08日 | 次の一手
                        次の一手 問11 出題図



正解図


 正解は、「 4三角 」です。



 この▲4三角を、△同金なら――

図1
 3二飛と打ちます。
 後手は、(a)2二桂合か、(b)2二角合。
 どちらでも、そこで7八金と「銀」を補充すれば、後手玉には“詰み”が生じていて、先手が勝つ、という仕組みです。


図2
 「(a)2二桂合」に、「7八金」。 これを後手が「同銀不成」なら、「2一飛成、同玉、3一金、1二玉、2一銀」まで後手玉の詰み。

 (注意:7八金と銀を取らず3一飛行成では、先手負けになる。8八歩成、同玉、7六桂、同歩、7九角以下、先手玉は詰まされてしまう!)


図3
 「(b)2二角合」にも、やはり「7八金」とする。

図4
 「同銀不成」に、「2二飛成、同玉、3三角」(図)以下、詰み。
 同玉なら、3一飛成、3二合、2二銀まで。 他の駒で取っても、簡単ですね。



 上はしかし、正解手の「4三角」に対し、後手が“素直に同金”と取った場合でした。

 この角を取る前に、「8八歩成、同玉」、あるいは「8八歩成、同玉、7六桂、同歩」と細工をし、「4三金」とそれから角を取る変化などあって、するといろいろ複雑になります。
 先手も正確に対応しないと、負けになる筋も存在します。その例を少し説明しておきます。


変化図1
 「4三角」に、“8八歩成”。

変化図2
 8八同玉、4三金、3二飛、2二桂。 ここで「7八金」ですが――この場合は、7八同銀成が先手玉への“王手”になっておりまして――

変化図3
 しかも7八同玉なら、先手玉は詰んでしまう! (その場合はもちろん、負けです。)
 ですので、7八銀成には、「8七玉」と逃げますが、さらに後手は7七成銀(図)があります!
 これも取ると詰み。よって、「8六玉」とさらに逃げる。これでなんとか先手が助かっています。あぶない、あぶない。(後手の持駒は「角角金桂歩2」とたくさんあり、怖いところでしたがなんとかセーフでしたね。)

 ここで、後手陣には先ほどの、「2一飛成、同玉、3一金」以下の詰みがありますから、そこで後手はいったん受ける必要があります。受けるとすれば、4二角くらいですが…。

変化図4
 上の図から、4二角、3一銀、3三角打、4一飛成と進んで、この「変化図4」。 次に2二飛成~3二金の詰みがあり、それを受ける手段もないので、これは「先手勝ち」が確定です。


変化図5
 これはまた別のアヤシイ変化。正解手「4三角」に、“8八歩成、同玉、7六桂、同歩、7九角”。
 この7九角を同金は、同銀不成以下、詰まされてしまう! 取ってはいけない。
 
 でも大丈夫。ここは「9八玉」と逃げておく。
 そこで後手が4三金と角を取れば、先手玉は次に8七角までの1手詰め。ですが、それには、「3二飛、2二桂、7八金」が、“詰めろ逃れの詰めろ”になっていて、「先手勝ち」になります。


 このように、いろいろあるも、後手が4三金と角を取る変化は、正しく指せばいずれも「先手勝ち」。 


正解図(4三角)
 さて、もう一度、正解手「4三角」の図に戻って、ここで後手が4三角を取らずに放置して、先手玉に“詰めろ”をかけてきたらどうするか。
 その「答え」を示しておかないといけませんね。

図5
 仮に、後手が、「7六歩」とした場合。
 この手は“詰めろ”になっています。先手3二角成なら、8八歩成、同玉、7七歩成、同桂、8七歩(9八玉なら8九角までの詰み)、同角成、同銀成、同玉、7八角、同金、7六角、8八玉、7八銀成以下、詰みますから、先手負けです。

 じゃあどうするか。

図6
 「 2一飛成 」とする。
 「4三角」は、「2一飛成、同玉」以下の、後手玉への“詰めろ”になっていたのです!



塚田詰将棋200題』(金園社) 9手詰め第46問


 最初にこの問題を見たとき、悩んだなあ。
 今回のこの「次の一手」の問題図は、この塚田正夫の9手詰め詰将棋から発想してつくりました。
 実戦で、いつかこの詰めのパターンで勝つんだと、以前から僕は夢見ているのですが、いまのところはまだ実現しておりません。

 一応、『次の一手 問11 答えあわせ(ロングver.)』を書く予定でいるので、この詰将棋の答えはその時に。 (書かないかもしれないが。)
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次の一手 問11

2014年04月04日 | 次の一手
 「次の一手 問11」。 昨年10月につくったものです。

 現在先手玉に“詰めろ”はかかっていません。
 しかしこれが後手の手番なら、△6九銀不成(または成)、△9五桂、△7九角、△4三角、△7六桂、というような“詰めろ”がかかって、先手負けになってしまいます。
 
 幸い、先手の番です。 たったひとつ、先手が勝つ手が存在します。


 さて、先手が勝つための「次の一手」は?  


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次の一手 問10 答えあわせ

2014年04月02日 | 次の一手
                         次の一手 問10 問題図



正解図

 「 5三成香 」が正解で、これで後手玉は詰んでいます。


 この問題は、「決め手があります。攻めてください。」というようにヒントに書いておきましたので、この手を当てられた方も多いかと思います。しかしこれが、「実戦で」となると、この寄せを見送る人も多いのではないかと思うのです。


 この「問10」の出題図では、正解手の「5三成香」以外の手だと、攻めるとすれば、“6四金”という手がありますので、まずそれがどうなるか確認しておきましょう。

紛れ図1
 6四金は、以下、同銀、同成香、5五玉、6七桂とすすみます。

紛れ図2
 この6七桂がねらいで、6七同角成、同馬となって、「これで先手がいいだろう!」と胸をそらして言いたいところ。
 
紛れ図3
 ところがその“先”があって、8六桂と後手に王手で打たれ、9七玉、9八金、8七玉、7八銀打(図)となってみると、これは「先手負け」ですね。
 8六桂があるので、この攻めは成立しませんでした。



 正解手の「5三成香」に戻ります。

図1
 「5三成香、同玉、5四歩」(図)と攻めを続けます。
 「この5四歩で後手玉が詰んでいる」というのが見えるかどうか、そこがポイントになりそうです。

 5四歩には、(a)4二玉と飛車を取って逃げる手と、(b)5四同玉と、2通りの応手があります。

 
 (a)4二玉なら、5三金、4一玉、4二歩、6三桂となって――

変化図1
 “詰み”ですね。 8二金が働いてきます。
 桂馬がないと後手玉は詰まない――つまり、「出題図」の直前に先手が「8五歩」と桂馬を入手した瞬間に、この“詰み”が成立しているわけです。


 そういうわけで、図1(5四歩まで)から、「(b)5四同玉」のほうを本線として追っていきます。

 「5四同玉、5二飛成、5四歩、4五金」とすすむ。

図2
 「4五金」。 「次の一手 問9」でも現れた“脱出路封鎖”の金打ちがここでも出現しました。
 同歩や同馬なら、2一馬からの“詰み”。 よってここは「6五玉」と逃げる。

 なお、その前に、先手5二飛成に“5三香”と合駒する手もあって、それでも後手玉は結局は詰まされてしまうが、そのほうが少しアヤがあるかもしれない。

 というのは、前問の解答と同じように、「6五玉」に対し、“2一馬”と玉を追うと、以下、5六玉、5五金、同香となって、失敗するからである。(次の図)

失敗図
 これがその失敗の図。 形勢逆転して、「後手優勢」になっています。
 先手は、「6五玉」に、“2一馬”としたのが失着でした。


 図2に戻って、「6五玉」には、1二に馬を置いたままで、「5五金」とするのが、この場合は正しい攻め方になります。
 「5五金」に“同玉”ならば、5三飛成、5四歩、6四銀、6五玉、7七桂――

変化図2
 こうなって“詰み”ですね。(やはりここでも“桂馬があるので先手勝ち”という状況になっているのでした。)


 そこで「5五金」に、後手は「7六玉」と逃げる。


図3
 そこで「6八桂」。
 この手ではしかし、先手の勝ち方は6八桂のこの一手ではなく、7七歩、8六玉、8七銀打、7五玉、7六銀、という手順でも詰みますし、また、先手は、後手玉を必ずしも詰める必要はここではなく、というのは、“7八馬”と先手玉の“詰めろ”をはずしながら角を取る手が先手にはいつでもあって、この「角の保険」があるため、すでに先手に余裕のある局面となっています。

 「6八桂」以下は、「8六玉、9七銀、7五玉、7六歩、8四玉、7五銀、9三玉、8三金」

図4
 以下、「8三同玉」に、「8四歩」と打ち替えて、「9三玉、6三竜、8二玉、8三竜までの詰み」
 となります。



 「次の一手 問10」の答えの解説は以上です。

 出題図を見て、「5三成香、同玉、5四歩」で攻めがつながる、という判断ができるかどうか、という問題でした。



【4五金のところで7八馬はどうなるか】

7八馬図1
 正解手順以外の手で、「5三成香、同玉、5四歩、同玉、5二飛成、5三歩」、このタイミングで“▲7八馬”と角を取って、6三角で仕留めよう、という手。これを少し検討してみます。
 7八馬、同桂成、6三角、6五玉、7四角成。

7八馬図2
 この▲7四角成を、△同玉でも、△7六玉でも後手玉は詰みます。この馬が取れないようでは、先手勝勢に見えますが…。
 しかし、△5四玉とここに戻る手があって、これで実は詰みません。その後、どうなるか。
 5四玉、6五金、4五玉、5五金、3四玉、4三銀、2四玉、2二竜、2三歩、8五馬、8八成桂、同玉、6六角、7七桂、5五角。
 先手玉は、まだ、8九銀、8七玉、8六銀までの“詰めろ”が掛かっているので、8五馬と、いったんそれを解除します。後手は8八成桂、同玉、6六角と攻める。(ここは単に6六角もあるところ。)

7八馬図3
 先手には桂馬と歩しか持駒がありませんが、次に先手が▲2五桂または▲4一馬と指せば、後手に受けはなさそうです。
 ところがここで▲2五桂と指せば―― 

7八馬図4
 なんと、8七歩から、先手玉は詰んでしまう!
 8七歩、同玉、7八銀、同玉、6七金、同玉、6六銀以下。
 ▲4一馬でも同じ。やはり、8七歩で詰みます。同玉、7八銀に、8六玉と、上部脱出しようとしても、9七銀、8五玉、8四歩以下、並べ詰み。おそろしや…。

7八馬図5
 というわけで、「7八馬図3」では、“6八金”といったん受けるのが正着。
 われわれの実戦ではすべては読み切れませんが、しかしこのような場合に「8七歩からの詰みがあるかも…」と、“カン”が働けばこの“6八金”は指せます。そういう実戦の“カン”を培うことがわれわれの将棋では最も大事。
 これで後手の次の手に有効な手が見当たらず、この「7八馬図5」は「先手優勢」と思われます。
 8六歩なら、同馬と取っておいて、次に2五桂を狙う。(1三竜の1手詰め。) この2五桂からの先手の寄せを、後手はわかっていても防ぎづらい。3八成香でも、かまわず2五桂で、以下、3五玉、3三竜、4五玉、5九飛。これは後手玉が逃げ切れないと思います。


[まとめ]
 5二飛成、5三歩のところで、“▲7八馬”とするのは、「先手優勢」になりそうです。しかし先手にとって危険な変化もありますし、正解手順の「▲4五金」以下が明解な詰みでマギレも少ないので、そちらがおすすめです。



【出題図の前の、1二角成をちょっと研究してみた】

 このように、「問10 出題図」では、すでに「先手勝ち」の局面でした。その前の後手の「△8五同歩」が悪かったということになります。
 だから後手は、その手で、“△1二角成”が正着だったのではないかと思われます。

 しかしその場合も、やはり「先手優勢」ではないか、というのが僕の検討結果。
 その変化の一例を紹介してみます。

参考図1
 後手が“1二角成”と指したところ。
 以下、同飛成、7八桂成、5三成香、同玉、6六桂。

参考図2
 7八桂成と先手玉に迫る手には、いま開いた「6六」に桂馬を打つ、“6六桂”がぴったりの返し技です。
 これがあるので、その前の後手の5三同玉では、4五玉のほうが、後手としてもまだ紛れの可能性に期待できると思います。その場合は、先手は4五玉に、4八桂として勝てそうと、僕はみています。

 図の6六桂を同銀は、もちろん6四金、4三玉、5二角までの3手詰。
 この局面は「先手勝ち」とは思いますが、ここで後手から8八成香、同玉、8六香という手段もあるので、その先を考えてみましょう。
 8六香には、8七桂と応じます。(それ以外の応手だと先手負け)
 それで手がないと思いきや、9九銀、同玉、7七角、とこういう手段がある。

参考図3
 これで8八銀は、6六角成で逆転する。これが後手の狙いですが、ここは“8八角”があるので、この場合は先手優位は変わりません。
 8八角に、なおも後手は、9八銀、同玉、8七香成、同玉、8六銀、9八玉、8八角成、同玉、7七角、7九玉と、手をつないでくる。

参考図4
 ついに後手は6六角成と桂馬をはずして、後手玉の“詰めろ”をはずしながら馬をつくる状況にもちこみました。
 しかしやはりこれは「先手勝勢」の将棋。先手は持駒たっぷり、後手は駒損をして攻めが細い。
 先手は、2一角、4三桂、3二竜と迫っていけばよい。後手にはまだ粘る手はありますが、先手の勝ち将棋です。


 また、「参考図2」から、8八成香、同玉、8六香、8七桂に、8七同香成、同玉、7八銀という手もあります。(いろいろな手があるものですねえ!) 
 7八同玉に、4五角、で次の図。

参考図5
 Oh! なんと、「王手竜取り」が掛かってしまった。
 先手、大丈夫か。

 6七香と受けて、大丈夫。
 1二角に、5四銀、4二玉、4三歩、5一玉。

参考図6
 後手玉は詰んでいる。いくつかの詰め手段があるが、7三角が一番わかりやすいか。6二歩合に、5二歩、同玉、5三歩、6一玉、5二金まで。

 この図では、仮に先手の持駒に歩がなくて、「角金」だけだった場合でも詰む。もしよければ、その詰みの手順を考えてみてほしい。(2通りの答えがあります。)
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