はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

次の一手 問10

2014年03月29日 | 次の一手
 「次の一手 問10」の問題です。
 この図はいま先手が「▲8五歩」として「桂馬」を取った手に対し、後手が「△同歩」と応じたところ。 ここで先手玉には△8九銀以下のかんたんな詰みが生まれています。
 しかしこの後手の「△8五同歩」は、悪手でした。なぜなら、ここで先手に“決め手”があったからです。

 受ける必要はありません。(一旦8七歩でも先手悪くはありませんが、1二角成で勝負が長くなります。)
 攻める手を指して、後手玉を寄せてください。




【この図についての話】

問7問題図

 この「問7」の図より、
 「1三桂成、同桂、1四桂、3一玉、3二銀、同玉、2一角、2三玉、1二角成、3二玉、7八馬、8五桂、9八玉、4三玉、8六歩、5三歩」
 とすすんでいくと、

図1 
 こういう局面が想定されます。(前はこの図の△5三歩のところで、△7四桂、△6六桂を検討した。△6六桂以下の変化から「問9」が生まれた。)

 この図で、先手の有力な手は(1)6三成香と、(2)6八金ではないかと僕は考えています。(僕の検討では、どちらも先手優勢になりやすい。)

 ここでは「(1)6三成香」を考えます。

 「6三成香、6六桂、1二馬、7八角」、という進行が考えられます。

図2
 先手は2三馬でなく、「1二馬」としましたが、これが後の展開を予測した重要な手です。
 7八角に、同馬では、同桂成で先手自信がありません。
 ここでは、「4二飛」と打つのが好手。(ここも4一飛ではないことが重要なポイント。)

図3
 「4二飛」を同玉は、5二金で簡単に詰むので、ここは「5四玉」の一手。
 そこで先手、「8五歩」と桂馬を取る。これで先手に掛かっていた「8九銀、9九玉、9八銀」の3手詰を解除しつつ、「桂馬」を持駒にしました。「桂馬」を手にしたことで、ここで先手からの攻めが有効となるのです。

 こうなって、4二飛と1二馬がつながっているとわかるでしょう。つながっていなければ、8五歩とできなかった(たとえば2三馬の位置だったら、△2三角成で角を取られる)のです。
 この図のようにつながっていれば、ここで1二角成は、同飛成で問題ない。だから「8五歩」が入る。
 1二馬~4二飛のアイデア、素晴らしいでしょう!

今日の出題図(再掲)
 そして後手が「8五同歩」。 これが今回の「次の一手」の出題図。

 上でも申し上げましたが、ここで後手が「8五同歩」としたのは失敗でした。後手は1二角成とすべきでした。(それも形勢は先手が良さそうですが。)

 さあ、先手が「勝ち」を決める手は?




【6八金の変化の検討】

 上の説明の中で、5三歩と後手が指した場面(図1)で、(1)6三成香と、(2)6八金が有力と書きました。
 その(2)6八金も僕は検討してみましたが、少しだけその内容に触れてみたいと思います。

変化図1 
 「(2)6八金」という手は、後手のねらいはまず6六桂なのでそれに備えつつ、金を活用し、2九飛の動きを楽にした味の良い手です。 
 この展開も先手が指しやすいのではと僕は思っていますが、しかし、ここからの後手の指し手がものすごく幅広く手段があるので、そのすべてに正確に対応するのは大変な面があり、ですから後手にもチャンスが生じてきます。その意味では、「(1)6三成香」の方が、「(2)6八金」より優っているかもしれません。

 以下、仮に、ここで後手が「5六桂」と打ってきた場合を検討してみます。

 5六桂、6七金、5八銀、8五歩。

 後手のこの5六桂や5八銀という手は、寄せの基本である“守りの金をはがす”手です。

変化図2
 6七銀成、同馬、6六銀打、同馬、同銀、5八桂。
 先手は金と馬とを消されるとちょっと自陣がうすくなって不安ですが…

変化図3
 この“5八桂”があるので、大丈夫。
 以下、5七角、6六桂、同角成、7七銀打。

変化図4
 これで「先手良し」。
 6七馬なら、5五銀と打つ。ここを押さえるのが急所となります。
 5五馬には、6三成香として、次に6四銀と馬を攻めていけばよい。
 6五馬には、6六歩、6四馬、2二飛で、次に6五銀打ちを狙う。


変化図5
 このようにすぐ6七銀成~6六銀は先手良しになるので、そうせずに「4七角」と打ってきたのがこの「変化図5」。
 この角打ちは、飛車取りと同時に1四角成(桂馬を取れば8六桂の攻めもある)があり、さらには今度は6七銀成~6六銀の攻めも有効となる。先ほどの変化のようになった時の、先手からの“5八桂”を封じている。
 このように「4七角」には優れた狙いがあるので、ここで9九飛などと逃げていては、形勢不明の混戦になってしまう。
 “両取り逃げるべからず”の格言を実行して、ここは「7七馬」が“好手”。

変化図6
 「7七馬」があるので、この変化も「はっきり先手優勢」となる。
 「7七馬」に、6七銀成と来ても、かまわず5五馬とする。この手は後手玉への“詰めろ”になっていて、1四角成とそれを一旦ははずされても、4六馬と金を取った手がまた“5五桂以下の詰めろ”。 「先手勝勢」です。
 だから「7七馬」には、5四玉かもしれない。その場合は、「6六金打」として、とにかくここは「5五」を獲りに行くのがよい。


 どうやらこの形になれば、「5五」を制するのが急所になるようですね。
コメント (2)
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次の一手 問9 答えあわせ

2014年03月27日 | 次の一手
                              次の一手 問9 問題図



正解図

 4五金 が正解で、この手があるので先手が勝利に近づきます。


 この「4五金」は、詰将棋によく出てくる技で、「脱出路の封鎖」の犠打。 これを取らせて3二馬が先手の意図です。
 ただしこの場合は後手が最善を尽くせばこの後手玉は詰むわけではなく、しかし“詰めろ逃れの詰めろ”にもっていくことができるので、先手が勝てる将棋となります。(でも、ここでこの4五金が見えないとこの将棋は先手厳しいですね。)


変化図1
 「4五金」を後手が取ると何で取っても――たとえば4五同馬に――3二馬、5三玉、4二飛成まで、この図のように詰み。


 ですので後手は4五金には、「6五玉」と逃げます。
 それを先手は「3二馬」と王手で追う。

図1
 なお、この3二馬では、5五金と指したくなるが、それは、以下同玉、5一飛成、5四歩となって、先手次の手がないので、後手が勝つ。(先手玉には8九銀、9九玉、9八銀打の詰みがある。)
 「3二馬、7四玉」が、この場合の本筋の手順となる。

 図の「3二馬」に、5六玉と逃げるのは、そこで5五金と銀を取って、これは後手がどう応じても“詰み”。(この変化は後でやっつけます。)

 そこで後手は「7四玉」と逃げる。
 以下、「7一竜、7三歩、7五歩」。


図2
 ここで「7五歩」があるのが素晴らしい!
 「7五歩、同玉、7三竜、7四歩、5五金」と進みます。

 先手玉には「8九銀、9九玉、9八銀打の詰めろ」が掛かっていたのですが、図の「7五歩」によって3二馬の利きが「9八」にまで通り、その“先手玉への詰めろが解除”されました。


図3
 そうして、5五金と銀を取ったこの図3は、“詰めろ逃れの詰めろ”で「先手勝勢」の形勢です。


 とはいえ、ここからまだ後手には8九銀、9九玉、9八銀打、同馬、同銀成、同玉、7六角とすればまだ“アヤ”があって、後手としても勝負をまだ捨てる局面ではありません。
 この先のことは、本記事の最後にまた調べてみることにします。



【4五金、6五玉、3二馬に、5六玉の変化】

変化図2
 「5六玉」と逃げる変化は、後手玉が詰みます。それをこれから解説します。

 図の「5六玉」に、「5五金」(銀を取った)、そこで後手は3択です。
  (a)5五同玉
  (b)5七玉
  (c)4七玉


 まず(a)5五同玉ですが、5一飛成、4六玉、5四竜、3六玉、2七銀、4七玉。

変化図3
 ここで4八金と捨てる。同玉に、5九竜から、貴重な「一歩」が手にあって、ぴったり詰みです。


(b)5七玉
変化図4
 5五金に、(b)5七玉と逃げた場合は

変化図5
 2七飛とする。後手はこの王手を防ぐのに何かをしなければならないが、“歩合い”をするわけにはいかない。
 それでたとえば3七香成としたとすると、4八銀と打って、6七玉に、3七飛、同金、6八香まで、“詰み”。
 (2七飛のところで、先に4八銀だと失敗する。6七玉、2七飛に、5七歩と、“歩合い”ができて後手の勝ちとなる。)


(c)4七玉
変化図6
 (c)4七玉には4九飛からの詰みを紹介する。(一旦6五馬と王手して合駒をさせて、それから4九飛でもよい。)
 4九飛に、3七玉なら、4八金、2七玉、1八銀、3六玉、5四馬、4五銀合、3七歩の要領で攻めれば良い。

 4九飛、3六玉には――

変化図7
 4六飛。
 4六同玉、4四飛成、4五歩、同金、同馬、4七銀。
 (4六飛に、3七玉には、4七飛、同玉、4四飛成、4六銀、6五馬という攻めで詰む。)

変化図8
 4七銀と打ったところ、4七同玉なら4五竜でわかりやすいので、5七玉と逃げてみる。
 これには、5八金打と打って、同桂成、同金、6六玉――

変化図9
 この7八桂がおしゃれな手。
 (この図は見かけより玉の逃げ道がない。3二馬が遠くから利いていることに留意せよ。)
 7八同馬と取らせて、4六竜と引いて王手。5六歩合に――

変化図10
 5七金と上がって“詰み”。 たいへん美しいフニッシュとなりました。
 

 以上で【5六玉と逃げる変化】は終わりです。




【以下は、寄せのお勉強】

図3(再掲)
 さて、もう一度この図に戻って――これは確かに「先手勝勢」の局面。

 ですがまだ、アマレベルでは逆転の要素を十分に含んだ局面で、ここからの先手の勝ち方を勉強しましょう。
 アマ同士の対戦なら、先手が「8割方勝てる」という形勢でしょうか。
 そういう場合は、しかし、「2割の負け」というのが先手にとっては痛恨になるんですよね。まあ、だれしも経験し慣れていることではありますが。でも、やはり「勝ち将棋」はできるなら全部勝ちきりたい。

 この図3から、8九銀、9九玉、9八銀打、同馬、同銀成、同玉、7六角、9九玉、9六角成と進めてみます。

図4
 この場面から、「先手がどう指すか」を勉強です。正解は一つではなく、たくさんあります。でも、たくさんあるといっても、やはりしっかり読みを入れないと勝てない局面なのです。そして選択肢がたくさんあるほうが間違えやすく危険です。
 図4で、後手の次のねらいとしては△9七桂成と△7八桂成があり、無条件でこれらの手が入れば、先手は負けてしまいます。

 さて、ここでの先手の正解手(勝てる手)は、僕の確認した範囲では、次の6つ。
  (ア)7七歩
  (イ)6三成香
  (ウ)8七銀打
  (エ)8三金
  (オ)8三銀
  (カ)6八金
 
 どうやら先手の勝てる手が少なくともこの6つはある。

 ちなみにうちのソフト「激指」はここで「+99976 先手勝勢」と判断しています。この局面、後手に詰みがあるわけでもないのに、「激指」的には、まず負けのない局面と判断しています。有望な手が多いからでしょうか。「激指」のお薦めの最善手は(ア)7七歩なので、これで紛れがないという判断かもしれません。(ちなみに、この時点では「激指」は、(オ)8三銀では8六玉で先手不利、(カ)6八金は詰めろにならず冴えない手と判断しているようで候補手に入っていない。)
 しかし人間的には、やはりまだ1~2割の逆転確率はあると僕は思います。たとえばここで、8五歩(桂馬を取る)と指せば逆転負けです。

 「安全勝ち」のためにはどの手がいいのか。それがこの段階で判っているようなら苦労はないわけですが、安全と思って指した手がもっともダメだったなんてことは、よくあること。
 頼りになるのは、自分の「読みと経験と直感」ですが…、全部の手を比較検討する時間的余裕は、実際の勝負ではありません。だから、あせってしまう。


 さてこの6つの正解手のうち、いくつかを見ていきます。
 (ア)7七歩、(イ)6三成香、(ウ)8七銀打を見ていくことにします。


(ウ)8七銀打
 意外だが、実はこれが最も明解な勝ち方で、紛れが少ない。

 ここに銀を打っても数で負けているので、直感的にこの銀打ちは選択肢から除外してしまいそう。ところがこの場合に限っては、“最善手”となるのだ。
 理由は、手を追ってみれば明らか。

 8七銀、同馬、同銀、同角成、5三角。


 つまりは、「5三角」と打てば簡単に先手が勝ちになるということが見えていればいいのだ。
 5三角以下は、6四銀合、同竜、8六玉、6六竜… となる。

 わかっていれば、これが明解な順。


(ア)7七歩

 「7七歩」と角取りに打つのが「激指」がおすすめの手。これを3二角などと逃げるのは、7六銀と打ってこれは簡単に寄る。
 この図は、「7七歩に、7八桂成」としたところ。
 対して先手は「7六歩」と角を取るが、ここで後手の応手に3通りあり、そういう意味では「7七歩」のこの寄せは、変化はけっこう広くいろいろ読まないといけない。特に6六玉と逃げられた時に、それをどう追うかそれを考えておく必要がある。
 「7六歩」に、6六玉、6三竜、5五玉、6六銀。


 5五玉と金を取られつつ逃げられてちょっと不安になるが、先手が6六銀と打ったこの図から後の“詰み”は、よく見ればそうむつかしい詰めではない。
 ただ、30秒将棋の中で、この「7七歩」からの寄せを読んでいて、とっさにこの6六玉~5五玉と逃げる手が見えて、手を変えて…(それで失敗)、 というような悲劇がよく起こるのがわれわれの将棋である。


 「7七歩」に、「5八桂成」と、こちらに桂馬を成ってきたらどうするか。この場合は、6六玉~5五玉と逃げられた時に、後手の玉を捕まえるのが少し難しくなる。実際はそれでも詰むのだが、それは正確に詰まさないと負ける。 
 ということで、ここは冷静になって、「7六歩、6六玉、5八金」と指すのが良い。先手玉に詰めろは掛かっていないし、5五玉と金を入手されてもまだ大丈夫なのだ。5八金に5五玉には、4七桂からの詰みもあるし、そこでは6三竜でも先手が勝ちだ。
 あわてないことが、カギだ。



(イ)6三成香

 図は、「6三成香、7八桂成、6四銀」としたところ。
 「6三成香」は、考えてみたくなる手だと思う。ただし、「7八桂成」となったときにこの場合は「6四銀」と打つ手が有効で、ここでは6四竜と使うと8六玉で失敗する。
 6四銀以下、8六玉に、7五銀打、同歩、同銀、9五玉、8四竜で詰み。竜を7三のままで7五や8四に利かせておくことがポイントだ。先手の持ち駒が銀三枚なのでこの攻めとなる。
 この図の場合はだから、後手は6六玉と逃げるが――


 そこで6七歩が見えていれば問題ない。6七同角成なら、7五銀打、7六玉、6五銀で詰み。


 7八桂成に変えて、後手が「5八桂成」として来たらどうするか。
 いくつかの勝ち方があるが、わかりやすいのが、5八同金。 同角成なら、6四竜、8六玉、8七銀打から簡単に詰ますことができる。
 この将棋は「8七」の地点がじつは急所で、後手の「8七」への利きが弱くなると、8七銀という手が先手にとって有効になるのだ。それがわかっていれば、5八金と素直に取って、同角成と角の利きをそらせばいいという判断ができる。


 しかし、まだ後手には“技”があった。 「6三成香」に、「7八馬」という手がある。
 これは先ほどの先手6四銀からの詰めろを消しつつ(9六の空間を開けた)、先手玉に詰めろをかけた“詰めろ逃れの詰めろ”なのだ。
 これでも実は先手の勝ちになる。今度は、「6四竜」が正解だ。
 6四竜、8六玉に、8七歩と打つ。以下、同馬、同銀、同角成、6六飛成、7六銀、8八歩。


 これで先手の勝ちなのである。たしかに、ここから後手の攻めがないから、はっきり先手勝ちになっている。

 とはいえ、これはとっさには見つけにくい勝ち筋だ。初めから6四竜と8七歩が見えているならば良いが、秒読み将棋の中で、ずっと6四銀からの詰み筋を中心に考えていて、ここで6四竜からのこの寄せに切り替えるというのは、アマには難度が高そうだ。

 このように、(イ)6三成香を先手が選ぶと、ちょっとたいへんな筋もある、ということです。

 
 
 (エ)8三金、(オ)8三銀も同じように、先手にとっての危険な筋が含まれています。
 (カ)6八金は、わりと勝ちやすい手なのですが、これで後手に有効手がないので先手が勝てる、そう見極めるのに、しっかりした読みが必要です。他に有望手が多いだけに、(カ)6八金は選びにくいところでしょう。


 
[図4からの寄せの検討のまとめ]
 結論から言えば、
 (ウ)8七銀打が実は最も安全な勝ち方で、(ア)7七歩が次におすすめ。
 あとの手はそれぞれ、むつかしい場面が含まれています。(もちろん正しく指せば先手勝ちです。)
 どのコースをたどっても、しっかり読みを入れることが基本です。


 しかし、持ち時間の少ないアマの終盤で「勝ち将棋」のこのような場面になったときに、いくつかの選択肢がある時、そこで「より安全な勝ち方」を選ぶ才能が大事かと思いますが、それはどうやったら鍛えられるんですかねえ。そういう能力を持っている人って、確かにいると思うんですよ。意味もわからずビビッて安全そうに見える道を選ぶのではなく、確信をもってこれが安全と判断できる能力――それって、目立たないけど、大事な力ですよね。
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次の一手 問9

2014年03月23日 | 次の一手
 ▲4一飛の王手に、△5四玉と逃げたところ。
 先手玉は“詰めろ”になっています。それをはずずために▲8五歩では、△2三角成でたいへんなことに(笑)。
 この局面は、正しく指せば「先手勝ち」の局面です。 「次の一手」は何でしょうか。





【以下、この図についてのおまけの話】
 
 実はこの「次の一手 問9」の図面は、「次の一手 問7」の問題図から、1三桂成、同桂、1四桂以下、(僕の考える)最善手を先手後手両者が指し続けていくと現れてくる局面なんですね。

 [問7、問8の答えのまとめ]として次のことを「問7 答えあわせ 解説編」の記事の最後に書きました。

「次の一手 問7」 問題図

 この図から先手の唯一の勝ち筋は、1三桂成。
 以下、1三同玉に“1四銀”が「次の一手 問8」の答え。1四同玉に、4一角で「先手勝ち」となる。
 1三同玉に3一角も有力ではあるが、これは2二銀と受けられて、後手優勢となる。
 ただし、この「問7」の問題図で、1三桂成に“同桂”が先手にとって難敵で、1四桂以下、7八の竜を成角で抜いて先手が良さそうではあるが、ほとんど「互角」といってよい“これからの将棋”である。

       ↑

 このように[まとめ]を「解説」に書いたわけですが、この「問7 問題図」から、

 1三桂成、同桂、1四桂、3一玉、3二銀、同玉、2一角、2三玉、1二角成、3二玉、7八馬、8五桂、9八玉、4三玉、8六歩

 と進んで、 

図1
 これが「8六歩」の局面。これで先手が“やや指しやすい”のではないかというのが僕の(一応の)検討結果です。
 「問7の解説編」では、ここで後手の(A)7四桂からどうなるかを調べましたが、この図での後手の有力手は、それ以外では(B)6六桂か、(C)5三歩ではないかと思っています。

 ここでは(B)6六桂からの進行を採り上げます。


図2
 これが(B)6六桂。
 (A)7四桂だと、8七金、6六桂となりますが、この時、7四桂と8七金との交換が先手にとって得になっているとわかってきました。それなら(B)6六桂のほうが後手にとっては優りそうです。
 この図で先手には5三金、同玉、5二飛、4三玉、5五飛成というねらいがありますが、後手はその先手のねらいよりも早い攻めとして、6六桂と“馬取り”に桂馬を打ってきました。


図3
 それで2三馬と先手が逃げて、7八角と後手が打ったのがこの図3。
 これを同馬、同桂成は、これは後手の攻めがしつこく、先手大変です。(→あとで<7八同馬の変化>で解説)

 そこで先手は4一飛と王手に打って、すると後手が5四玉と逃げた。(→4二銀合は<4二銀合の変化>で)


問9 問題図

 この局面が、今回の「次の一手 問9」の問題図となります。
 最善手を探してください。




<7八同馬の変化>

失敗の図1
 先ほど触れた、後手7八角に、同馬、同桂成(詰めろ)からの展開です。 さらに8五歩、8六銀と進んでこの図となります。
 さすがにこれは、先手勝てませんね。
 (先手からも5二角、5四玉、6三角成、6五玉という追撃があるのですが、この時に後手の成桂や銀がよく効いています。上で触れた「(A)7四桂、8七金、6六桂」だとこの図の△8六銀がないので、その場合は▲6二角以下、先手有望の局面になる。)



<4二銀合の変化a>

 それで本筋は、7八同馬ではなく、4一飛となります。そこで5四玉と玉を逃げた図が「問9 問題図」ですが、4一飛に対し、“4二銀”と合駒をした場合はどうなるのでしょう。それをちょっと考えてみたいと思います。

4二銀の変化図1
 これが“4二銀合”の場面。
 後手に銀を一枚使わせたので、ここで7八馬、同桂成、8五歩はあるいはあるかもしれません。(△6六角で先手がたいへんか。)
 しかし、ここは3四歩という手が良いようです。
 3四歩に、8九銀、9九玉、3八香成、6八金となれば――

4二銀の変化図2
 図以下、2九成香、7八金とすすめば、後手玉は3二角、5三玉、5二金までの“3手詰”になっています。
 こうなれば先手の勝ち。

 4二銀と、後手が受けに一枚「銀」を使うと、攻め駒が足らなくなって、その分先手はラクになります。先手玉への3手詰も解除されますしね。8九銀からの攻めは無理でした。



<4二銀合の変化b>

 そこで今度は、先手の3四歩の手に、“同角成”でどうなるのか、それを調べてみます。
 
 「4二銀の変化図1」から、3四歩、同角成、同馬、同玉、4二飛成、7八桂成、8五歩、8六角(竜取り)、4三角、4五玉、3三竜、8八成桂、同玉、7七銀、8七玉、7八銀打、9八玉。

4二銀の変化図3
 これは一例ですが、途中で後手が8六角と打つ手を選んで、このように進みました。
 後手の次のねらい筋は9五歩です。しかしそれよりも3四角成の先手の攻めがここは早いので、一旦は5六玉でしょう。
 対して先手は、3五竜と追う。そこで9五歩。(これは詰めろ、9七角成、同玉、9六歩以下)

 その局面が、どうなのか。


 実はそこで後手玉に“詰み”があります。9五歩に、4八桂と打って、6六玉に、4六竜と、竜を切る筋です。
 以下、同銀、5六金、6七玉、6八香、7六玉、6四歩、8五金、9六玉、8六金、同玉、8七銀、8五玉、…(以下略)
 詰んでいたんですね。やはりこれは「先手勝ち」の将棋でした。

 でも、ちょっと長手数です。27手詰め。玉を8一まで追っての詰上がりとなります。
 この詰みの一手一手はそれほどむつかしいものは含んでいませんが、とはいえ、この5六玉に3五竜と追った時点でこの詰み筋を決断しなければいけないとなると、われわれアマチュアにはハードルが高い。最初に竜を切るだけに…。もともと不利な将棋なら仕方ないが、「これは勝てる将棋」と思うからこそ、できればもう少し安全確実な手段はないものかと思ってしまいます。アマ将棋の終盤はだいたい30秒将棋ですし。
 そんなことをこの局面を検討しながら、僕は考えました。(実はどうやら「激指」の考えも同じようです。)

 仮に、この4八桂からの“詰み”をここで見逃して、9五歩に、(指し手がわからないので)9一金ととりあえず指したとします。
 すると後手は、9六歩でしょう。それが次の図ですが――

失敗の図2
 ああ…、実はこの図ではすでに“形勢逆転”してしまっていて、「後手勝ち」の将棋になっています。
 8九桂と受けても意味がない。9七歩成、同桂、9六歩です。
 なんということでしょう!
 あそこで“竜を切って27手の詰み”の道を進まなければ、先手に勝ちはないのでしょうか。それはちょっと厳しすぎる気が…


 ということで探して見ました。「もっとわかりやすく勝てる手段はないのか」と。

4二銀の変化図4
 9五歩と突かれた時に、“8八桂”という受けがあった!!

 
 実はこの“8八桂”、「激指」が最善手として挙げていた手なのでした。ただそれを見ても僕は「なんじゃそりゃ、ダメでしょ。」と思って、この手を軽視していたのです。だって、ダメそうじゃないですか。

 だけど考え直してよく検討してみると、確かにこれは“最善手”。 この局面を勝ちに導くためには一番確実な手と納得しました。

 “8八桂”は、とりあえず「9七角成、同玉、9六歩」を消した手です。だけども、後手に単にじっと9六歩とされてその受けがないのでは意味がないように見えます。(だから僕は軽視していたのですが)
 ところが、そうではないんです。
 9六歩なら、「4八桂、6六玉、4六竜、同銀、5六金、6七玉、5八金打までの7手詰めで先手勝ち」なのでした。これなら、“かんたんな詰み”です。
 つまり“8八桂”という手は、「9六」を受けると同時に、「7六」へ後手玉を逃がさない攻めの手になっていたというわけです。
 なるほどなあ、と思いました。こういう手を実戦でなにげなく指したいものです。



 ところで、「激指」は長手数の“詰み”を読むのが得意ではないようです。
 以前詰将棋の検討に「激指」を使った時に信用して失敗したことが何度かあって、「これは詰将棋の検討には使えない」と判断して、今は使っていません。15手詰めでも見つけられないこともありました。
 今回の「27手詰」も、時間をかけると詰みを読み切ったようですが、けれどもそういう詰み筋を考えるのは“後回し”にしている気がします。そういう性質なのです、たぶん。「詰みよりももっと確実な勝ち方」を優先して探しているのかもしれません。
 だから上の図の検討も、8八桂という一旦受ける手が「最善手」で、4八桂から詰ます手が「次善手」となっています。
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次の一手 問8 答えあわせ

2014年03月21日 | 次の一手
                         「次の一手 問8」 問題図   出題は3月16日

 
正解図1(1四銀まで)


 「 1四銀 」と打つのが正解となります。


 この手の意味は、1四同玉に、4一角と打つねらいですが、1四同玉ではなく、2二玉と逃げるとどうなるかをまず見ておきましょう。これはうまい具合に玉を捕まえることができます。

 1四銀、2二玉、2三金、3一玉、5三角、4二角、4三桂、4一玉、5一成香。

2二玉の変化図1
 途中5三角に4二銀合の場合は5二成香で寄る。(5三銀は、4三桂まで。)
 そこで4二角合だが、この場合は図のように4三桂~5一成香でよい。
 5一同角、同桂成、同玉、7三角、5二玉、6二角右成、4三玉、5五角成。

2二玉の変化図2
 これで「先手の勝ち」。 後手の持ち駒「銀桂桂桂香」では、先手玉は寄らないので大丈夫。


正解図3(1四同玉まで)
 というわけで、後手は「1四銀(正解手)」を「同玉」と取ることになる。
 ここで「4一角」が先手のねらいですが、“6九角”という手に期待された人もいるかと思います。

6九角の変化図(これはダメ)
 しかし6九角は、同竜、同金となると、そこで後手持ち駒「角角銀銀桂桂歩5」となって、「後手勝ち」となる。具体的には8五桂です。これで先手玉は、9八玉は即詰み、8六玉は6六銀で必至となってどうにもなりません。


正解図2(4一角まで)
 正解手順を進めて、図は「4一角」と打ったところ。
 ここで後手の応手は、
  (1)2四玉
  (2)2三歩
  (3)2三角

 このうち、「(2)2三歩」は、「(1)2四玉」とほぼ同じような順に進むことになります。すなわち、2三歩、1五歩、2四玉、2五金、1三玉、1四金、2二玉、2三角成と進みますが、これは後手にとっては「歩」を先手に余分に1つ渡すことになりますので、「(1)2四玉」のほうが後手にとっては優れていると考えます。
 (注: 横道にそれますが、ただしこれが「次の一手問6」の問題図のように、1筋の端歩が「1七歩型」だったら、ここで2三歩合で「後手良し」に結論が変わってしまう。よって「問6」では、1三桂成、同玉、1四銀のこの攻めは成立しないのです。)
 という理由により、「(1)2四玉」と「(3)2三角」とを以下に解説します。

 まず「(1)2四玉」から。

2四玉図1
 「(1)2四玉」には、2五金です。1三玉、1四金、2二玉、2三角成。

2四玉図2
 こうなって、3一玉に、7八馬と、「竜」を取ることができます。
 以下、8五桂、9八玉。

2四玉図3
 先手の持ち駒は「飛桂歩」で、ちょっとさみしい気がしますが、後手の玉が「3一」と下段にあることが大きくこの図は先手が勝てる局面になっています。
 先手のねらいは5二飛で、これは4三桂の一手詰があります。また5一飛と打って、5五飛成と銀を取る手もあります。
 この図から後手が5六角ときたら――

2四玉図4
 5二飛が詰めろなので「先手勝ち」。
 4二銀と受ければ5四桂。3二銀の受けには、5六角、同金、2三桂、2二玉、3一角で寄っています。

2四玉図5
 もしも「2四玉図3」で後手が4一銀と受けた場合は、5一飛と打てばよい。5六銀というような手なら、5二成香で先手が勝てる。ここで5六角なら、同角、同金、3二歩が決め手となります。

2四玉図6
 3二歩に、4二玉は、4一飛成、同玉、5二角で詰む。2二玉なら、4一飛成でよい。こう進んだ時、先手の1四金が存分に働いていますね。
 3二歩に、同玉には、5四角と打ちます。4三桂合(銀、角でも同じ)に、2四桂と打ちます。4二玉なら、4一飛成、、同玉、3二銀でこれは詰みです。
 やはり“下段の玉”は寄せやすい。


 ということで、問題図から、「1四銀、同玉、4一角、2四玉」は、「先手勝ち」となります。
 (「(1)2四玉」と「(2)2三歩」はこれで先手の勝ちが確定です。)


 次に、「(3)2三角」を見ていきます。

2三角図1
 後手は「2三角」を合わせてきました。これを素直に、同角成、同玉は、逆に「後手優勢」になってしまいます。
 ではどうするか。
 ここは「1五歩」が見えますね。
 これで悪くはないんですが、この手はしかし“次善手”とします。
 「1五歩」で確かに先手は勝てる。勝てるのですが、けっこう指し手の“選択肢”が多いため、かえって間違いやすくなりやすいのです。
 具体的にすすめましょう。1五歩に、後手は2四玉。この局面が次の図です。

1五歩からの変化図1
 さあここであなたならどう指しますか? 有力手を3つ挙げます。(a)2五歩、(b)2五金、(c)1四金。さあ、どれを選ぶ?
 (c)を選んだ人は、勝利に近づきます。(b)は逆に敗者へと転落の道。(a)はその中間です。
 このように、“落とし穴”があるのです。この「1五歩コース」には。

 その“落とし穴”を覗いてみましょう。
 この図から、2五金、1三玉、1四金、同角、同歩、2二玉、1三歩成、同桂と進んで…

1五歩からの変化図2(先手失敗)
 先手の失敗図。先手玉には、8五桂、8六玉、7四桂、7五玉、6四銀打以下の“詰み”があります。(「金」を渡すとこの詰みが生じる。)
 しかしこれも惜しい変化ではある。この図から1四桂という手があって、これに後手が1一玉などと逃げると、1二歩、同玉、2三角打以下詰むのだ。1四桂に2一玉も、3二角打、3一玉、2二桂成以下詰む。
 だから後手は、1四桂には3一玉と逃げるのが唯一の勝つ手で、以下先手は6三角成としてみても、8五桂、8六玉、7七銀、7五玉、6六銀引不成から詰まされてしまう。

 
1五歩からの変化図3
 (a)2五歩からの道にも、“落とし穴”は存在しています。
 この図は、2五歩、3四玉とすすめたところ。
 ここで2三角成、同玉、2四歩が正着で、これなら先手の「勝ち」のコース。
 ところが、「2四金、4五玉、2三角成で、角がタダ取りできるじゃないか」と思って、その道を選ぶと―― 

1五歩からの変化図4(これも先手失敗)
 3四銀と打たれて、これは「後手優勢」となってしまっています。
 ここで3四金、同歩と進みそうですが、そうすると後手に「金」が入るので、先手玉の受けが難しくなっていて先手の有効な攻めもはっきりしない。ということで「後手優勢」。


 もう一度「2三角図1」(問題図から、1四銀、同玉、4一角、2三角)に戻って、ここで「1五歩」は、先手勝ち筋もあるが“危険な落とし穴”もあるとわかりました。要するに複雑になる。

 実はここでは、はっきりさっぱりと先手が勝ちきる“決め手”が別にあります。

2三角図2
 「2五歩」がその手です。
 これは次に、“2四金”の一手詰めを見ていますが、受けがむつかしい。1三銀は1五歩だし、1三玉としても2四金から捕まる。
 だから後手は、1二桂と受けるしかなさそうです。

2三角図3(これで先手勝ち)
 ここで、「2四歩」と歩を一歩進めれば、どうやら後手には指す手がなく、後手玉は“必至”の状態に追い込まれているようです。2四同桂なら、2五金として、その金を前進させれば後手玉は詰んでいますね。4一角には、1五歩、1三玉、2三金で。
 (一応、先手玉の安全を確認しておきますと、8八竜、同玉、7九銀の攻めは、同玉と取って大丈夫です。)



 以上が、「正解手1四銀」の解説でした。

 1四銀~4一角という攻め筋があると知っておけば、いつかこれを実戦で使う日も来ることでしょう。




[3一角の解説]

3一角図1
 ここからは、「問題図」での、「3一角」について考察します。これを正解手ではと考えられた方もいらっしゃるのではと思います。
 王手をしつつ、先手に掛かっている「△7五角からの7手詰め」を消しています。

 結論から言えば、これは先手優勢にはならず、正解手には及びません。しかしこれもかなり有力な手で、惜しい変化も含んでおり、勉強の意味で、調べた結果をまとめて書いておこうと思います。


 「3一角」に2二歩と歩で受けるのは、2五歩で、これは難解な形勢になりそうなので、後手の選ぶ手ではないと考えます。
 では、「3一角」に、2三玉はどうでしょうか。

3一角図2(4一角に2三玉の変化)
 2三玉には、2五銀と打つのが“詰めろ”になっています。2二金と打つ詰み筋ですが、この受け方が、存外、悩ましい。2二歩とすれば受かっていますが、9一金と香車を取る手がこれも2四香からの“詰めろ”で――という具合に、後手の立場からすれば“容易でない局面”になっているんですね。形勢は「互角」という感じ。

3一角図3
 「3一角」に2二角という手もありましたね。これはしかし、1四銀(図)でいっきに「先手の勝ち」に。 同玉、2二角成となって、後手玉は受けなしに、そして後手の「銀銀桂桂」の持駒では、先手玉は詰まないからです。


3一角図4
 ということで、後手は「2二銀」と受けるところと思います。
 先手はここで勝つ手があるかどうか。

 ここで先手から、1四銀、同玉、2二角成、というような手が見えますが、それは、「△7五角からの7手詰め」がありますね。「角銀桂」を後手に持たれているとこれがあることを忘れてはいけません。

 じゃあ、どうするか。(イ)4二角成、(ウ)7五角成、(エ)8六角成などを見ていきますが、その前に、(ア)2五歩を考えてみましょう。

(ア)2五歩
 2二銀の図から、2五歩、3一銀、2四歩。これでどうか。2四歩は後手玉の“詰めろ”だが――

3一角図5(2二銀に2五歩)
 これは“7五角”から、先手玉に“詰み”があるので、「後手勝ち」です。
 7五同歩に、8五桂、9八玉、8八竜、同玉、7六桂から。(7五角は、主に玉を8六~7五と脱出させないという意味)
 7五角に、8六銀には、8五桂、9八玉、8八竜、同玉、6六角。
 7五角に、9八玉には、8六桂、同歩、8九角、以下の詰みです。
 (しかしアマチュアの終盤でこれらを読み切って指せるかとなると、微妙ですね。それはしかし、“別問題”。)

(イ)4二角成
3一角図6(2二銀に4二角成)
 2二銀に、ぼんやりと4二角成としておくのは、どうでしょうか。しかしこれは“ぼんやりしすぎ”です。ゆるすぎます。
 8五桂、9八玉、8九角、9九玉、7七桂成で、先手玉が寄ってしまいます。(8五桂に、8六玉は、6六銀で。)


(ウ)7五角成
3一角図7(2二銀に7五角成)
 7五角成が第3の手段。しかしこれには、6六角(図)という手があって、これで「後手優勢」の展開です。これは同馬、同銀となって、この銀が6六銀と出たことによって、先手玉に8五桂、9八玉、8八竜からの“詰み”が生じています。


(エ)8六角成
3一角図8(2二銀に8六角成)
 8六角成が最後の手段です。これはなかなか有力な手です。 先手としては、何とか先手玉を安全にして、2五歩を間に合わせたい。(2五歩は“詰めろ”になっている)

 ここから2つの手、(カ)8五桂と、(キ)6六角を検討します。


3一角図9
 まず、(カ)8五桂。 これは8五同馬、同歩となる。(9八玉は、7七桂打という手があって、後手勝ちです。) そうなって、これは桂と成角との交換ですから、後手が得をしたように思える。ところが先手は、その駒交換のかわりに、“手番”を握った。

3一角図10
 で、2五歩。この2五歩で、後手玉は、1四銀、1二玉、2四桂、1一玉、1二金という“詰めろ”が掛かっています。後手は5六角と打ってそれを凌ぎますが、そこで9一金と「香車」を先手は入手すれば、またしても1四銀以下の“詰めろ”は復活。
 と、こんな感じでけっこう「先手ペース」になっています。2五まで歩が伸びると後手の受けもむつかしく、この変化では先手が勝つケースも出てきて、このあたりどうも「互角」という感触になっています。

3一角図11
 しかし、ここで図の“2三銀”という受けが好手で、どうやらここは「後手有利」かもしれません。(この受けは勉強になりますね。)
 以下、1五桂、2九馬、2四銀、1四玉、2七香と進めてみると――

3一角図12
 この局面は、「後手勝ち」です。図から、8八竜、同玉、7七銀、同玉、6六角以下、先手玉は詰んでいるので。

 結果として後手が勝った変化となりましたが、この変化は後手にとっても厳しく、逆の目が出て後手負けの結果になってもおかしくないような接戦でした。
 もっと安全に後手が勝つ道があればというところです。
 実は、その道があります。

3一角図13
 (キ)6六角がそれで、これは(カ)8五桂と打って桂と馬とを交換するいま見てきた手より優ると思います。
 この図は、問題図から3一角、2二銀、8六角成、6六角となったところですが、先手の2筋の歩がまだ2六のままなので、後手は先手先手で攻めていける局面なんですね。それが大きい。
 この6六角で、はっきり「後手勝ち」に導けると思います。寄せの勉強のために、以下を丁寧に調べてみます。
 
 “6六角”に、先手は受けなければいけませんが、まず「7九銀打」の受けから考えてみましょう。
 7九銀打、8九竜、2五歩、7四桂。

3一角図14
 7四桂と、馬取りに攻めるのがこの際の急所のようだ。先手は2五歩と2筋の歩を進めたが、7九銀打と受けに一枚使わせられたために、2五歩ではまだ後手の“詰めろ”になっていない。
 それでも、ここで2四歩ともう一つ進めれば、これははっきり後手玉への脅威になっている。
 7四桂以下さらに進めてみると、2四歩、2五歩、同飛、2三歩、同歩成、同銀、1五桂、2四歩、2七飛、8六桂。

3一角図15
 これは後手勝てそうです。

3一角図16
 今度は“6六角”に、「7七桂」と受けた場合。
 ここでも7四桂と打つのがよい。先手は6八金打と抵抗してみる――という場面。
 この図から8六桂、同歩、8五桂、同歩、8六角。

3一角図17
 これで決まった。

3一角図18
 “6六角”に、「7九金」の場合。
 この場合は、3八竜、4九飛、7四桂となる。 やはり“7四桂”。
 図から6八馬には、5七金とすればよい。後手の勝ち将棋と言ってよいでしょう。

3一角図19
 ここで一つ、付け足しの説明を。
 “6六角”に、「7九銀打」の時、(上の検討では8九竜としたが)3八竜とすると、2八金という手がある。これでも後手が良いが、局面が複雑になり勝負が長引く。「凄く強い人」というのは30秒将棋の中でも、きっとこういうところまで手が見えていて、読み筋に入っていたりするのでしょうね。

3一角図20
 “6六角”に、「7七銀打」。 これをまだやっていなかった。
 8五桂、同馬、同歩、6八金。

3一角図21
 8五桂からの桂と馬の交換ですが、この場合、やはり先手は受けに銀を一枚使わされているため、2五歩が詰めろにはなりません。そこで6八金と受けました。後手はどうするか。
 6八同竜、同銀、9五歩、9一金、9六歩、同玉、9五歩、9七玉、5六角。
 “端玉には端歩を突け”です。この手順中、9五歩を同玉なら、8四金、9六玉、8八角成です。

3一角図22
 5六角は、先手玉の“詰めろ”になっています。 8八角成、同玉、9六桂から。
 「後手勝ち」です。


 以上、「次の一手 問8」の問題図から、3一角をしつこく調べてきました。さらっと「これは2二銀の受けで後手の勝ち」としておけばそれですむところを、このようにしつこく書いてきたのは、自分の“寄せの勉強”のため。「あ、こう寄せればいいんだ。」という確認です。
 自分一人ではどんなに考えても答えがでないところを、ソフト(激指)の力を借りることで、それなりの答えが出せる。僕のような凡人でもそれができてしまう。強い将棋ソフトの誕生、これは確実に何かを変えていきますね。



[問7、問8の答えのまとめ]

「次の一手 問7」 問題図

 この図から先手の唯一の勝ち筋は、1三桂成。
 以下、1三同玉に“1四銀”が「次の一手 問8」の答え。1四同玉に、4一角で「先手勝ち」となる。
 1三同玉に3一角も有力ではあるが、これは2二銀と受けられて、後手優勢となる。
 ただし、この「問7」の問題図で、1三桂成に“同桂”が先手にとって難敵で、1四桂以下、7八の竜を成角で抜いて先手が良さそうではあるが、ほとんど「互角」といってよい“これからの将棋”である。
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次の一手 問7 答えあわせ 解説編

2014年03月18日 | 次の一手
                          「次の一手 問7」 問題図



正解図

 1三桂成が正解です。
 
 この手に、逃げると簡単に詰みます。3二玉なら、2三銀から。
 なので、1三桂成に後手の応手は、(1)同桂と、(2)同玉の2択です。


1三同玉図(→「次の一手 問8」に)

 作者が考えている本筋は「(2)同玉」です。
 これは「次の一手 問8」の問題図としました。考えてみてください。


 それで、ここでは「(1)同桂」以下を解説します。

1三同桂図1
 こうなって、「1四桂」と打ちます。後手の最善の応手は「3一玉」。
 そこで「3二銀、同玉」と捨てて、「2一角」と打つ。 「2三玉」に、「1二角成」。

1三同桂図2
 この馬はとれませんから、「3二玉」。
 そこで―――

1三桂成図3
 「7八馬」。 竜を抜いてこの図。

 この図を「激指(定跡道場2)」にかけて時間を与えて考えさせると、その評価値は「+1310 先手優勢」と出ます。 
 
 この図では後手玉に“詰めろ”がかかっています。後手の手番ですが、この局面での後手の有力手は△4三玉かと思われます。
 その4三玉の対しては、先手から5三金という手があります。5三金、同玉、5二飛、4三玉、5五飛成となって、これは先手成功でしょう。


 ということでこの図は「先手優勢」。



 ところが、後でここから具体的に指し手を調べてみると、ずいぶん怪しくなるんですよね。その話はまた後でしましょう。




 では次に、「問7」問題図での、「正解手以外の有力手」について、どうなのか調べておきましょう。


【正解手以外の有力手の検討その1 : 3四桂、同歩、4二角】

3四桂図1
 「問6」と同じように、問題図で「3四桂」として、「同歩」に、「4二角」と打ってどうか。

3四桂図2(<課題図>)
 これには後手「4一桂」と受けますが、ここで先手は最低でも“詰めろ”で迫らないと勝てません。「問7」の出題時に述べたように、ここで“詰めろ”以上で迫る手段は次の3つ。
 
(a)3一銀 (b)4三銀 (c)6三成香

 このうち、(a)と(c)とは実質同じねらいで、この図から、「(a)3一銀、3二玉」と指した場合に、次に「6三成香」と指すことになります。(他に手がない)

3四桂図3
 そうしてこうなるのですが、これは“詰めろ”になっています。
 3三歩(6三で歩を取ったその一歩)と打って、これを同桂などと取れば同桂成以下詰むし、2三玉と逃げる手には、2二銀成、同玉、3一角成以下の詰み、3三歩に4三玉なら5三金です。

3四桂図4
 ところが、後手に5三歩と打たれると、これ以上“詰めろ”が続かず、後手の勝ちとなります。しかもこの後手の5三歩は、“詰めろ逃れの詰めろ”になっていて、図では、後手からの7五角以下の“詰み”も復活しています。図から5三同成香は、7五角、同歩、8五桂、8六玉、9七角…。

 というわけで「(a)3一銀」はつぶれ。
 「(c)6三成香」も同様に、後手の“5三歩”があるので、先手の負けです。


 では「3四桂図2」から、「(b)4三銀」はどうなるでしょうか。

3四桂図5
 「(b)4三銀」は、次に、3一角成、同玉、3二金のねらいです。これにはこの図のように、3二銀と対応して、以下、同銀成、同玉となると、そこから“詰めろ”は続かないので、先手は勝てません。
 そこで指すとすれば、このままでは4二の角を取られてしまうので、5二成香くらいですが、これは“詰めろ”ではありません。8五桂、8六玉、6六銀とされて、先手玉は“必至”です。


 というわけで、問題図で、「3四桂、同歩、4二角」では、先手勝てません。




【正解手以外の有力手の検討その2 : 3三桂成】

3三桂成図1
 次は「3三桂成」。 こんな手もあるんですね。
 「3三桂成」は、同桂と後手が応じれば、3四桂から簡単に詰みます。(3二玉に2一角)
 なので、「同玉」ですが、そこで「3四歩」。

3三桂成図2
 「3四同玉、2五金、3三玉、3四銀」に、「4二玉」。

3三桂成図3
 これで先手は攻めが続かず、これは後手の勝ち。

3三桂成図4
 なお、「問7」のコメントに解答をいただきまして、その方は「3四同玉」の局面で、2五銀、3三玉、2四金として、4二玉に、5二成香とするアイデアを提供されました。(これは作者も考えていなかった。)
 しかし、5二成香は、同玉と取って、それで後手が優勢と思います。
 5二成香、同玉、3四角(これが先手のねらいなのだが)、5三玉、7八角。
 そこで、8五桂と打たれて、8六玉と上がると、6六銀で“必至”がかかり、8五桂に9八玉は、6六角が“詰めろ”で、しかもこれは受けがなさそうです。


 以上により、問題図で、「3三桂成」は、先手勝ちがない、が結論です。
 




【ここからは、1三同桂以下の変化を掘り下げて検討します】

検討基本図(=再掲1三桂成図3)

 さて、ここから長いですよ。たぶんほとんど読む人はいないと思いますが、一応検討の成果を書き留めておきます。

 この局面は「先手優勢」――そう考えて、僕はこの「問7」の出題図を設定したのですが…。

 ところがですね、実は出題の後に、この図(検討基本図)から後の変化をよく調べてみると、なかなか「こうなって先手良し」とはっきり断言できるような道筋が見つからないので困りました。
 だって「激指評価 +1310 先手優勢」ですよ。そりゃ大丈夫って思うじゃないですか。

 でも、後手が「最善の頑張り」をすると、先手側もくるしい展開になることが多いとわかってきました。「先手優勢」などとはっきり言える局面ではなかったようです。
 今では、「1三桂成、同桂」以下の形勢は、実戦的にはどうも、“ほとんど互角”という表現が正しいと思います。
 「互角」ということは、まだまだむつかしいというわけで、つまり「次の一手」の問題としてはどうかということもいえますが、しかし「問7 問題図」の局面では、先手が勝てる可能性のある手はやはり「1三桂成」しか見当たらず、ですのでこれが最善手と言ってよいと思います。


 それで、「1三桂成図3(検討基本図)」以下の変化をさらにいろいろ調べまして、なんとか僕の思う「先手の勝ち筋」を一応ですが特定できたので、それを本記事に書いておこうと思いました。
 


 この「検討基本図」(先手が7八馬としたところ)から、どうなるかということの検討です。
 以下のことを、順に解説。

  (A)「8五桂、9八玉、4三玉」に、6三成香
  (B)8五桂に、8六玉と上がるのはどうか
  (C)「8五桂、9八玉、4三玉」に、8六歩
  (D)単に「4三玉」も調べてみよう


 この図は、後手の手番です。ここでは、「4三玉」とするのが有力。
 しかし、僕の検討では、ここで「4三玉」なら、割と「先手優勢」の変化に誘導できるんですね。
 ところが

  8五桂、9八玉、4三玉

 という手段がある。これが先手にとって厄介なんですね。ここからなかなか「先手の勝ち」への道筋が出てこないのです。ですので、これを中心に検討結果を書いていくことになります。



検討図01
 「検討基本図」より、「8五桂、9八玉、4三玉」の局面です。
 ( ここでの「激指」の評価は「+1704 先手優勢」です。)

 実は上の「検討基本図」で「激指」も、第一候補手を「8五桂」としています。しかし「激指」の読み筋は「8五桂、9八玉、9七銀、同銀、同桂成…」というものです。でもここでの9七銀からの攻めは後手の無理攻めで、それははっきり先手の勝てる将棋となります。(このように「激指」の読みもたびたび間違っています。確かにソフトは強いけれど、間違いもかなりあるのです。)

 そこで「8五桂、9八玉」としておいて、そこで「4三玉」、という手順がどうやら後手のとってのベストのようです。


 さて、先手はどう指しましょう?

 ここで「5三金」という手があります。先ほども紹介した筋ですが、これは5三同玉に、5二飛、4三玉、5五飛成とします。
 しかしこの場合ははっきり「先手の負け」となってしまいます。

失敗図
 9七銀以下、先手玉は詰まされてしまいます。「金」を一枚渡したので、詰んでしまったのです。
 ここに「8五桂、9八玉」を入れた効果がでています。「8五桂、9八玉」の手の交換が入っていると、先手は、9七銀からの後手の攻めを常に気にしなければいけないのです。



 「8五桂、9八玉、4三玉」の局面(検討図01)で、考えられる先手の指し手は、▲5二飛と、それから▲6三成香と思います。
 ▲5二飛は“詰めろ”で有力ですが、それを防いで後手に5三歩とされると、そこで6三成香と結局この成香を活用することになります。それなら、「5二飛、5三歩」の交換を入れずに「6三成香」のほうが、飛車打ちの場所を後で決められるなどのメリットがあるかと考えます。

 そこで、「8五桂、9八玉、4三玉」に、「6三成香」の局面をここで検討してみましょう。


◇検討(A) 「8五桂、9八玉、4三玉」に、6三成香

検討図A1
 さてこの局面、ここでは後手玉に5三飛からの“詰めろ”がかかっています。
 (「激指」の評価値は、+1108 先手優勢)
 その詰みを防いで5二歩なら、1二飛と打って、これは先手調子が良い。勝てそうです。

 ところが――

検討図A2
 ここで9七銀が手ごわい手。以下、9七同銀、同桂成、同玉、8五桂、9八玉(8八玉は7七銀から詰んでしまう)、9七銀、8九玉、8八銀、同馬、同銀成、同玉となります。

検討図A3
 先手の持駒が豊富になりました。そして「激指」の評価値はここでは「+165 互角」と変わります。しかし「検討図A1」から「検討図A3」までの間に、先手に変化の余地はなく、一本道の順です。先手に何の落ち度もないというのに、評価値が自然に下がってしまっています。
 そして僕は、ここから先手に勝てそうな順を見つけることができませんでした。
 図は後手の手番です。いろいろやってみましたが、ここから7七角で、先手厳しいというのが僕の検討結果です。


 これで勝てないとなれば、先手はどうすればよいのか。
 まるで「激指」に騙された感じです。「+1310 先手優勢」とは何だったのか。

 しかし、せめてひとつくらいは、先手の勝ち筋を見出したい。



◇検討(B) 8五桂に、8六玉と上がるのはどうか

 8五桂に、8六玉と上がる手が成立しないのか、調べてみる。これで良ければ問題はなくなる。 

検討図B1
 8六玉には、4二角。この筋に角をすぐに打たれるのが、先手としても気になるところだ。
 これには7五歩しかなさそうだが、その前に5三歩、同角としておく。
 すなわち、4二角に、5三歩、同角、7五歩。
 以下、7四桂、7六玉、5六金となって、次の図。

検討図B2
 この図についての、「激指」の評価は、初めはやはり+1000以上あるのだが、5分考えさせると評価は下がってきて「+208 互角」と変わる。それでもまだプラスだが、実際はどうだろうか。調べて見よう。
 この図の、後手の5六金は、次の6六金の“一手詰め”がねらいだ。
 しかし先手にも2二飛からのねらいがあった。2二飛、4三玉、5二飛成。
 そこで後手が5四玉とこちらへ逃げると、6三竜、4五玉、5六馬、同銀、5五金、同玉、5三竜以下、先手勝ち。
 したがって、5二飛成に、後手は3四玉。

検討図B3
 3四玉という位置は、先手の7八の馬のナナメの利き筋に入っている。だから後手は6六金とはできず、その“詰み”は回避できている。よってここで5三竜と角を取る――というのが、先手の理想。
 ところが――、ここはもうひとつ別の詰み筋が先手玉にあるのです。
 7七桂成。これを同銀では、8五銀の一手詰め。だから7七同玉だが、それも6六銀、6八玉、6七銀打以下詰まされる。

 (つまり「激指」も、この詰み筋は、数手前、「検討図B2」の時にはまだ読めていなかったということです。だから「互角」と評価した。実際にはそこではすでに「後手優勢」が正しかったのです。)


 というわけで、「8五桂に、8六玉」は成立しない、とわかりました。(残念~!!)




◇検討(C)「8五桂、9八玉、4三玉」に、8六歩

 困ったことになりました。先手の勝ち筋が出てこない。
 そうして、やっと見つけたのが、この手、「8六歩」です。

8六歩の変化(検討図C1)
 この「8六歩」は、「激指」の候補手の中には挙がっておらず、僕が見つけました。
 やってみると、有力な手だとわかりました。
 一例ですが、手を進めてみます。8六歩、7四桂、8七金、6六桂、1二馬、7八銀、6八金。

検討図C2
 こうなると先手が良い。6八金が抜群に味がよく、後手のねらいの8九角には、同飛と出来る。
 (なお、手順中の7八銀のかわりに、7八角と来れば、同馬、同桂成、5二角以下の展開となりますが、これも先手が良さそうです。)

検討図C3
 上の図から、8七銀成、同玉、5四玉、8五歩、同歩、8四飛、6四歩、6三銀、4三玉、8五飛と進んで、この図。先手良し。


 これは“変化の一例”にすぎませんが、先手に希望の持てる展開になりやすいと思います。
 やっと「これならやれそう」という「先手の勝ち筋」を見つけられました。よかったよかった。



◇検討(D) 単に「4三玉」も調べてみよう

 さて、最後に、「検討基本図」から単に「(D)4三玉」とする順を調べます。
 後手の立場に立ってみれば、もしも「8五桂、9八玉、4三玉、8六歩」で後手がうまくいかないのなら、「8五桂のタイミングをずらしてみるのはどうだろう」ということも考慮したくなるのではないか。

検討図02

 しかし、上でもすでに述べましたが、この単に「4三玉」とした局面は、もともと先手が有望な変化が多いと僕は感じています。(それでもどれも簡単に先手が良くなるわけではなく、まだまだ大変。)

 (あ)5三金
 (い)6三成香
 (う)8六歩

 この3つが有力手としてあります。

 「(あ)5三金」は、上でも触れました。そこでは「先手成功でしょう」と書きましたが、これもほんとうはそれほど簡明ではありません。
 5三同玉、5二飛、4三玉、5五飛成と進みます。そこで後手8五桂には、8六玉と出て、以下3一角、7五歩、7四桂、7六玉、6六金、同竜、同桂、1二馬で、次の図。
検討図D1 
 この図では「激指」の評価値は、「-383 後手有利」と出ました。
 しかし僕の感触では、先手のほうが勝ちやすい感じです。


 次に「(い)6三成香」を調べましょう。

検討図D2
 「6三成香」に「8五桂、8六玉、4二角」の場面。
 8五桂に、9八玉だと、それでは上ですでに解説した“先手自信なし”のコースに入ってしまいますので、8六玉と出ました。ここでの8六玉はどうなのか、というのがテーマです。

 この4二角(王手)には、
  (a)5三歩
  (b)5三金
  (c)6四歩
 という3つの候補手が考えられ、どれも先手にとって有力です。

(a)5三歩
検討図D3
 4二角には、アマチュアの早指戦ではたぶんほとんどの人が「5三歩」と指すと思う。
 以下、進めてみると、6六銀打(詰めろ)、7四飛、5六歩、8四飛、3八香成、8五玉、2九成香、5二歩成、3四玉、4二と、3五玉。
 この局面は一見互角のように見えますが、実際に指すとずいぶん先手が勝ちやすいようです。「激指」評価は「+1966」。
 しかし下手をすると、「相入玉」になってしまう。そこが気になるところではある。

(b)5三金
検討図D4
 「5三金」は、一気に後手玉を仕留めてやろう、という手です。
 5三同角、同成香、同玉、3一角、4二香、8三飛、6三歩、5四歩、同玉、8四飛成。

検討図D5
 これで寄っています。
 6四歩、4二角成、5六歩、6四馬、同銀、同竜、4五玉、5五銀。

検討図D6
 「腹銀」で決まりました。鮮やかです。
 この順が最も明解なようですが、しかし実はちょっと問題があります。

検討図D7
 戻って、途中の3一角に、合駒するのでなしに、6二玉とされると、明解な勝ち手順が見つからないのです。これは、あるいは先手が選んではいけない変化かもしれません。
 6二玉としたこの図、先手は大駒を4つすべて持っていて勝てそうな気はするのですが、現状は先手玉が後手7四桂からの“詰めろ”がかかっています。その手を消して7五歩は、6六銀打がやはり“詰めろ”でこの受けがむつかしい。
 ソフト「激指」は8三飛を推奨。 なるほど、そう行くか。7四桂と打たせても、これで大丈夫と。 この手でよいのかもしれないですね。


(c)6四歩
検討図D8
 「4二角」に、「6四歩」。 これも有力です。
 これには後手、6四同銀が正着と思われます。
 しかしそう指さずもしもここで後手が6六銀(これで先手玉は“必至”)なら、5三金以下、後手玉は詰みます。5三金、同角、同成香、同玉、6三飛、5二玉、3四角。

検討図D9
 華麗な角打ちで詰み。4三角と打っては4二玉で詰まないが、3四に離して打てば詰むというわけ。図からは、3四同歩、同馬、4一玉、4二歩、同玉、4三竜以下の詰みとなる。

検討図D10
 「6四歩」の図に戻って、6四同銀に、7四飛と飛車をここに打ちます。
 ここに逆に後手から桂馬を打たれると先手玉は詰みなので、それを防ぎつつ――という手ですが、これはちょっとすぐには打てない飛車です。だけど、これでどうやら先手良しになるようなのです。
 ここで後手7三銀打という手があります。同成香なら、同銀がアキ王手で、後手は飛車を取れます。後手が良さそうに見えますが――。

 5三歩、同角、5四歩。

検討図D12
 5三歩、同角、5四歩が、かっこいい手順。(5三歩に、7四銀と飛車を取る手は、6四成香として、先手が指せるようです。)
 5四同玉と、ここまで玉を呼び込んで、そこで7三成香。これなら、7三同銀とはできないというわけ。
 続いて、6五玉(これは先手玉への“詰めろ”)とくれば、先手は7五銀として、これは先手優勢の将棋。

 このように「6四歩」以下は先手が指せそうなのですが、しかし7四飛以下の先手の手順は、これをアマチュアの持ち時間で指して勝つ人がいたら、“達人”としか思えないような…。

 以上、検討の結果、「(D)4三玉」→「(い)6三成香」は先手指せるように思えます。


 最後に、「(D)4三玉」に対しての、「(う)8六歩」を紹介します。
検討図D13
 後手の攻めのねらい筋が8五桂で、これが強力なので、「8六歩」として、そのねらい筋をあらかじめ消した受けの手です。
 相手にここで手を渡すのはやりにくい気がしますが、実際に調べてみると、これもかなり有力とわかりました。
 その内容については、省略します。




◇◇まとめ◇◇ 
 「検討基本図」から後手「4三玉」には、先手の手段がいくつかあって、どれも有力と判断しています。
 ですので後手は、「検討基本図」からは、「8五桂、9八玉、4三玉」と指すのが最善かと思われます。これが先手にとって最も手強い対応です。それには、今のところ、「8六歩」が最善で、これで先手が指せるのではないか、というのが、「次の一手 問7」出題者の検討結果です。
再掲 検討図C1

 ここでたとえば△4七角のようなぬるい手なら、5三金、同玉、5二飛、4三玉、5五飛成。
 (その場面の「激指」の評価は「+2504 先手勝勢」。)




 いや~、それにしても(記事が)長いな~。 
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次の一手 問8

2014年03月16日 | 次の一手
 というわけで、これが「次の一手 問8」です。

 「次の一手 問7」の問題図から、1三桂成、同玉と進んだ局面。
 先手の継続手は?
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次の一手 問7 答えあわせ(仮)

2014年03月15日 | 次の一手
 「次の一手 問7」の答え。

 正解は、1三桂成です。



 解説は、今まだ書きかけですので、書き終えたらあらためて発表します。


 なお、正解手の1三桂成には、(1)同桂と(2)同玉の応手がありますが、この「(2)同玉」の後の先手の次の手を、「次の一手 問8」の出題図としたいと思います。
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