はんどろやノート

ラクガキでもしますか。

2023詰将棋その3 答えと解説

2023年06月06日 | つめしょうぎ
『2023詰将棋その3 答えと解説』です。
問題のみじっくり見たい方はこちらへどうぞ





答え↓



答え:  3一歩成  同玉  9七角  2一玉  1一歩成  同玉
     1六飛  同と  1五飛  同と  8八角  6六歩
     同角  同桂  1二歩  2一玉  2二歩  3一玉
     8六角  4一玉  4二角成(4二桂成)  まで21手詰め


解説:
問題図で、可能な王手は3通りしかありません。1一歩成と3一歩成と2二桂成の3通りです。
(2二歩は「打ち歩詰め」で打てません)
初手の正解は、「3一歩成」です。



わかりやすく解説するために、まず次の図の詰め手順から示します。

参考図1
問題図の盤上から二枚の飛車を消したのがこの図です。これだと17手詰めになります。
この問題の「打ち歩詰め打開の流れ」を知ってもらうために、まずこの図から説明します。

この場合の詰め手順は
 3一歩成、同玉、9七角、2一玉、1一歩成、同玉、8八角、6六歩、同角、同桂、1二歩、2一玉、2二歩、3一玉、8六角、4一玉、4二角成
となります。
 ①「3二の歩」を「9七角」に変える。②9七に覗いた角を8八角として角の利きをはずす。③結果「3二の歩」が消えた状態になる。④これで2二歩が打てるようになり「打ち歩詰め」が打開できた。
――――という流れです。
以下、図面で見ていきますと――

参考図2
3一歩成、同玉、9七角としたところ。

参考図3
2一玉と戻りました。やはり2二歩は打ち歩詰めです。
ここで1一歩成、同玉と玉を1一に誘導し、8八角とします(次の図)

参考図4
これで9七角の角の3一への利きがなくなりました。
8八角には6六歩とし、以下同角、同桂と進みます。

参考図5
「3一への利き」がなにもなくなりましたから、「打ち歩詰め」の状況は解消されています。
1二歩、2一玉、2二歩、3一玉に~

参考図6
8六角(図)で仕留めることができます。

なお、3一歩成、同玉の後、9七角に代えて8六角と右の角を先に使うと、後で「一歩」が足らなくなり不詰めとなります。



それでは、「問題図」の解説に移ります。

問題図 (再掲)
この「問題図」では、「二枚の飛車」が中央に置いてあります。これがあるために、1一歩成、同玉の後の、8八角が王手になりません。
つまり、実はこの「二枚の飛車」は邪魔駒なのです。消す必要があります。
消す手段は、1一に玉が来たときに、1六飛、同と、1五飛とすれば消すことができます。
でも、だからといって、「問題図」の初手より1一歩成、同玉、1六飛、同と、1五飛、同と(次の図)を決行しても―――

失敗図1
これだと詰まないのです。持ち歩の数が足らないので、この図は詰みません。失敗です。
飛車を捨てるタイミングを考えなおす必要があります。

途中図1
正解は、「問題図」より、「3一歩成、同玉、9七角」(図)です。

途中図2
玉方は「2一玉」。「打ち歩詰め」はまだ解消されていませんが、“1一歩成、同玉、8八角”で王手ができれば、角の利きをなくすことができます。
そのためには、ここで二枚の飛車を消さなければそれはできません。
このタイミングで「1一歩成、同玉、1六飛」が正解手順となります。

途中図3
さらに、「1六同と、1五飛、同と」で二枚飛車を消去。
これで次の手「8八角」が王手になります(次の図)

途中図4
玉方は「6六歩」(図)と応じるのが最善です(7七歩だと同角右以下駒余りの詰めになる)

途中図5
「6六同角、同桂」これで持ち歩数が "2” になりました。
以下、「1二歩、2一玉、2二歩、3一玉、8六角」

途中図6
「4一玉、4二角成まで、21手詰め」
最終手は、「4二桂成」でも正解になります。

詰め上がり図
詰みました。



最後に、「紛れ筋」を解説しておきます。
「問題図」の初手より「3一歩成、同玉」の後、3手目に8六角、以下2一玉に、3二桂成という手があります(次の図)

紛れ図1
7九の角が1三まで利いていて、後手は1二玉と逃げることはできません、ですので3二同玉と応じ、そこで4二角成と攻めることができます。
有望な攻めに見えます。
以下2三玉、2五飛、3四玉と進みます(次の図)

紛れ図2
攻方の盤上の四枚の大駒が裸にちかい玉を包囲しており、捕まったかに思えますが、実はこの図は “逃れている” のです。不詰めです。
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2023詰将棋その3

2023年06月02日 | つめしょうぎ
わかりやすい「打ち歩詰め(禁じ手)」の形になっていますね。
「打ち歩詰め回避問題」です。

二枚の角が主役となります。




                     → 答えと解説
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2023詰将棋その2 答えと解説

2023年05月22日 | つめしょうぎ
『2023詰将棋その2 答えと解説』です。
問題のみじっくり見たい方はこちらへどうぞ






解答です↓

問題図
答え:  3五銀  同桂  1六飛  同桂  3六金  1五玉
     2五金  まで7手詰め

これが答えになります。7手詰です。
初手に“紛れ”が多く、「3五銀が正解」と見つけるのが、この詰将棋問題のポイントになります。
初手2七銀上、または初手2七銀引、初手2五飛、などが目 につくと思いますが、いずれも3七玉と逃げられ、これを捕まえることができません。

失敗図
初手2七銀上に3七玉の場面。
ここで3八金は、4六玉と逃げる場所があります。以下4五飛、5七玉で逃げ切られてしまいます。
この失敗図に戻って、ここで3八銀とするのも考えられますが、これには4八玉でやはり逃げられてしまします。以下5八金には3九玉です。
つまり初手2七銀上では失敗ということです。

問題図(再掲)
問題図に戻り、それならと、2七金と打つのはどうでしょう。
その手には1五玉です。するとこの玉が1四から逃げていくのを防ぐことができないとわかりますね。

途中図1
初手の正解手は、「3五銀」(図)です。
角道を通し、1五玉なら、2五金で3手詰めになります。

途中図2
2手目の正解手は「3五同桂」(図)。
ここでどうするか。

途中図3
3手目「1六飛」(図)とする。
同桂と取らせることで、3六に金を打つことができるのです。
4手目「3六金」以下、「1五玉、2五金」

詰め上がり図
まで、7手詰め。



この詰将棋は、2012年2月にできました。
7手なので、また「LPSA日めくり詰め将棋カレンダー」の募集があったら応募しようと保存していたのですが、「詰め将棋カレンダー」は2012年正月に発行のものが最後になったようです。
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2023詰将棋その2

2023年05月16日 | つめしょうぎ

10年位前につくったものです。
ヒントはなしで。
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2023詰将棋その1 答えと解説

2023年05月11日 | つめしょうぎ
                    問題図

『2023詰将棋その1 答えと解説』です。
問題のみじっくり見たい方はこちらへどうぞ








問題図

答え  1六歩  同玉  2五銀  同玉  5二角不成  3四桂
    同角不成  2四玉  1五角  同玉  1六歩  2四玉
    3六桂  3三玉  2五桂  まで15手詰め

15手詰になります。途中、5二角不成(5手目) とナラズで角を使うのが大事なポイントです。



途中図1(初手1六歩まで)
初手は「1六歩」(図)。以下、「同玉」に「2五銀」と打って、「2五同玉」に、「5二角不成」と進めるのがこの玉を捕まえる構想です。
初手「1六歩」に、2五玉の変化は5二角成で早く詰みますし、2四玉と逃げるのも3六桂から早詰みとなります。
よって、2手目「1六同玉」が正解手順ですが、そこで3手目「2五銀」と打ちます。

途中図2(3手目2五銀まで)
「1六歩、同銀、2五銀」(図)で、玉を「2五」に誘導します。
「2五銀」に、1七玉なら、3九角、2八合駒、2九桂で仕留められます。
(また「2五銀」に1五玉は、1六歩、2五玉、5二角成以下簡単に詰みとなる)

なお、この「2五銀」に代えて1七歩は、同玉で継続手なしです。

途中図3(4手目2五同玉まで)
3手目「2五銀」に、「同玉」(図)と応じたところ。
ここで実戦で時間がないと“手成り”で5二角成としてしまいそうですが、それだとこの場合は詰みません。ここにこの“詰将棋の仕掛け”が用意されています。5二角成に、3四桂と合駒をされ、以下同馬、1五玉と進んで攻めが止まり失敗とわかります。

ここは、「5二角不成」(次の図)が正解となります。

途中図4(5手目5二角不成まで)
「5二角不成」(図)に、2四玉には、1五角と打って、以下同玉、1六歩、2四玉、3四角成まで。
「5二角不成」に対する正解手順(最長手順を選ぶ粘り)は、「3四桂」(6手目)です。

途中図5(6手目3四桂まで)
桂馬以外の合駒――たとえば香車の合駒なら、同角成、1五玉、1六香で詰みますから、「桂合」なのです。
図の「3四桂合」(図)に、同角成とすると、1五玉で―――

失敗図
これは「打ち歩詰め」の型にハマってしまっています。これを解消できず失敗です。
この図を避けるために、角を「不成(ならず)」で使ってきたのでした。

途中図6(7手目3四同角不成まで)
7手目は、「3四同角不成」(図)が正解手となります。
玉方は8手目「2四玉」ですが、対して3六桂と指してしまうと、やはり「打ち歩詰め」の型となりいけません。
また「2四玉」に、4二角とする手には、3三桂と合駒されて詰みません。

途中図7(9手目1五角まで)
9手目は、「1五角」(図)が正しい手になります。

途中図8(11手目1六歩まで)
以下「1五同玉」に、「1六歩」(図)。
ここで歩を使って玉が1五へ行く手を消します。「2四玉」と追いかえし、そこで「3六桂」です(次の図)

途中図9(13手目3六桂まで)
桂を打って、玉を「3三」に落とし、「2五桂」と二枚目の桂で仕留めます(次の図)

詰め上がり図
詰みました。



この詰将棋は、
未来での失敗の予知夢(打ち歩詰めの行き止まりの図)を見た角が、慎重に行動を選び、「不成」の技で成功の未来への道を切り開いた
  ―――そんなイメージで、どうでしょうか。
詰将棋は、「成功への道筋が一つしかない」という仕組みになっています。失敗の道はたくさんあるわけで、成功することは大変なのです。
ですが、「かならず成功への道筋が一つある」ということでもあるので、それが希望になり、だから詰将棋というシステムは、「やる気を引き出す装置」になっているのですね。
実戦は、「希望への道筋があるかないかわからない」というところで歩みを進めなければならないので、これはほんとうに大変です。
コメント (3)
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2023詰将棋その1

2023年05月08日 | つめしょうぎ
お久しぶり!
2年ぶりの詰将棋投稿です。



実戦で、相手の玉が入玉をねらって中段に出てくることはよくあることです。
そうして、自分の玉はもう絶体絶命の状況―――だとしたら、相手玉を詰め上げるしか勝利への道は残されていません。

がんばって、詰めましょう!
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2021詰将棋その7 答えと解説

2021年11月20日 | つめしょうぎ
LPSA (日本女子プロ将棋協会)『2013年日めくり詰将棋カレンダー』へ、私が応募した詰将棋問題は3つ。そのうち2つが採用されました。
この詰将棋はボツになることを想定して “第三候補” として送ったのですが、意外にもこれが採用されました。もとは11手詰だったものですが、『日めくり詰将棋カレンダー』はこのときは「7手以下」が条件だったので、7手詰に調整したものがこれです。(原案の11手詰問題は最後に紹介)


さて、答えと解説です。     (答えを見ないで考えたい方はこちらへ)


問題図(再掲)
答え: 3八飛  同玉  2八飛  同玉  2九金  3七玉  4七金  まで7手詰


解説:

初手、迷わせます。
候補として、「4七金」、「4七飛」、「4七飛打」、「3八飛打」、「2八飛」などがある。
しかしそれらはすべて “紛れ筋” であり、玉方に “5九玉” と対応されて詰まない(そのように作った)

一例として、「4七金」以下を見ておこう。
4七金、5九玉、2九飛、4九銀(次の図)

紛れ図01
実は「飛と金は “品切れ”」である。なので下段の飛車のヨコ王手に対する合駒は「銀か角」しかない。この図の場合「銀合」にしたが、「角合」でも同じく、この玉は詰まない。
4九銀合に対し王手で迫るなら4九同飛、同桂成、6八銀しかないが、5八玉、5七金引、6九玉と進んで、次の図となる。

紛れ図02
こうなって、「詰まない」とはっきりした。
(攻方7九歩がなかったら金が打てて詰むのだが、これが詰んでは困るので作者は7九歩を置いた)


さて、「問題図」に戻って、初手の正解は、「3八飛」である(次の図)

途中図1(1手目3八飛まで)
「3八飛打」ではない。持駒の「飛」を手元に温存して、「3八飛」とするのが正解手になる。
3八同玉、2八飛以下、簡単に詰みとなる。それが正解手順である。

難しいかもしれない変化は、ここで「“5九玉” とした場合」である。
“5九玉” には、2九飛と打つ(次の図)

変化図01
前回の問題(2021詰将棋その6)で学んだ通り、最下段の飛車の横王手に対しての合駒は「飛、角、金、銀の4通り」だけを考えればよい。
そしてこの問題の場合、「飛、金は品切れ」である。これに気づくことが重要なポイントとなる。
もしも4九金と合駒に金が打てたら、この玉は詰まないのである。しかし金と飛は “品切れ” なので、2九飛に対する受けは、4九銀合または4九角合しかない―――ということになる。どちらであっても、4九同飛と取って、同桂成に、取った銀(角)を、6八銀(角)と打てば―――(次の図)

変化図02
詰みである。
こういうしくみで、2手目 “5九玉” は、2九飛があるので詰ますことができるとわかった。
なお、これは「7手」で詰んだが、持駒の金を使わずに残っている。つまり「7手駒余り」である(駒余りは正解手順として採用しないのが詰将棋の基本ルール)


途中図2(2手目3八同玉まで)
ということで、2手目、玉方は「3八同玉」(図)と応じる。こちらが正解手順となる。


途中図2(3手目2八飛まで)
2手目「3八同玉」には、「2八飛」(図)と打つのが継続手(ここに飛車を打てば、玉は4八~5九と逃げられない)
以下は簡単な詰みとなる。
「2八同玉」(3手目)に、「2九金」と打ち、玉方は「3七玉」の一手。
これには―――(次の図)


詰め上がり図(7手目4七金まで)
「4七金」(図)まで。

「7手」で「駒が余らない」、こちらが正解手順となる。



以上が本問題の答えの解説となります。
作図の段階で「飛、金を品切れ」にする必要があったことがいまの解説でわかったと思います。「玉方2六金配置」が歩ではなく金なのは、そういう意味があるのでした。


この詰将棋は、“一部の人” にとっては大変に難しかったかもしれないと思っています。
“一部の人” というのは、実戦のための詰将棋にしか興味のない人、あるいは、詰将棋の「合駒を考えるのが嫌」というタイプの人です。
そういう人は、苦手な「合駒を考える筋」を無意識に避けてしまうクセがあり、本問題の変化「2九飛に対する合駒は何?」というような思考に慣れていないのです。また、実戦では相手の玉が最下段にまで来ることは稀ですしね。
逆に「趣味としての詰将棋が好き」というタイプの人は、「入玉形」にも「合駒」にも慣れているので、「2九飛に4九銀(または角)」のような変化はすぐに読めてきます。
ましてや、「詰将棋をつくる」という人は、「合駒は何か」、「何の駒が残っているか(品切れなのか)」などは常に考えています。盤上に何の駒を何枚使ってあり、相手の持駒にある駒は〇〇だから‥‥というようなことを反射的に考えるクセがついているのです。
今回の問題が「7手詰めなのに難しい」と思われたとしたら、その人はたぶん「実戦タイプ」の人でしょう。
つまり言い方を変えると、この詰将棋は、「実戦タイプの人をちょっと困らせてやろう」というようなつくりの7手詰め問題ということです。



この詰将棋、上にすでに述べた通り、もとは「11手詰め」の問題でした。

原型図00(問題図)
これが「原型」の問題図です。
内容的には、こちらのほうがよりおもしろいと思っています。
「2六金」の向きが逆になって、「攻方1七歩」が配置されている。

同じように、初手3八飛と飛車を引いて、同玉に―――(次の図)

原型図01(途中図)
ここでこの図の場合は、4九金と打つ “紛れ筋” がある。4九金を同桂成なら、4七角以下この玉は詰んでしまう(以下2八玉には2七金がある)
しかし、4九金に、2八玉なら大丈夫。

やはり正解手順は「7手詰め」の場合と同じで、2八飛、同玉、2九金、3七玉と進む(次の図)

原型図02(途中図)
ここで2七金もあるけれどそれは4八玉と入られてダメなので、やはりここは4七金とすることになる。
以下2六玉、3六金、1五玉、2五金、まで11手詰め。

原型図03(詰め上がり図)
4七金~3六金~2五金という金の活用でのフィニッシュがおもしろいので、作者のなかではこちらの11手詰めが本来の “決定版” となっているのでした。




『日めくり詰将棋カレンダー』は、LPSA (日本女子プロ将棋協会)のヒット製品でしたね。
私のようなレベル(『将棋世界』の「詰将棋サロン」等の雑誌入選レベルには届いていない)の詰め将棋作家の作品も拾っていただける場として、ありがたかったです。
『2013年日めくり詰将棋カレンダー』を最後に、この企画は終わったようです。
もともと、これは中井広恵さん(女流棋士)がLPSA の代表をしておられたときに企画されたもので、彼女がこの『詰将棋カレンダー』の発行 にこだわっていたようです。
その中井広恵さんはLPSAを2014年に脱退されているので、『日めくり詰将棋カレンダー』もそのままなくなり、そして復活することはなさそうですね。もともと採算が取れていない企画だったのかもしれません(しらんけど)

       『ヒロエ、現る
       『鏡花水月 ひろべえの闘い
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2021詰将棋その7

2021年11月18日 | つめしょうぎ

LPSA(日本女子プロ将棋協会)制作・販売の『2013年 日めくり詰将棋カレンダー』に応募して採用されたもの。

7手詰め。



答えは2日後に。
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2021詰将棋その6 答えと解説

2021年11月13日 | しょうぎ
この詰将棋の答えとその解説をしていきたいと思います。 (問題のみ見たい方はこちらへ)


その前にまず、「ヒント」として添付した練習問題の9手詰め詰将棋の答えから。

練習問題

「練習問題」の答えは、7九飛、8九角、同飛、同玉、9九金、同玉、3三角、9八玉、8八角成 まで9手詰め、となる。
初手、7九飛と下段に飛車を打って王手する。
対して玉方は「8九合」で応じることになるが、このようなとき―――最下段の飛車の王手に対する「合駒」は、飛、角、金、銀、の4通り、ということを知っておくとよい。
この場合、飛または金の合駒は、同飛以下簡単に詰む。そして角合の場合が「答え」の手順。
さらに、「銀合」ならどうなるか。―――実は「銀合」なら、この玉は詰まない。ところが、よく見れば、盤上に銀は四枚すべて置いてある。すなわち「銀は品切れ」という状況なのである。

練習問題途中図1
―――ということで、銀合はないので、玉方は「8九角」と応じるしかない(図)―――ということで、同飛、同玉、9九金以下詰ますことができるのである(次の図)

練習問題途中図2
9九金(図)と打って、同玉に、3三角と打ってこの玉を詰ますことができる。

以上の説明の通り、6二銀、6三銀の無駄に見える二枚の銀の配置は、玉方の手駒から銀を「品切れ」にするために必要な処置だったのです。
(なお、この二枚の銀は別の場所に置いても成立するが、どこでも大丈夫というわけではない。たとえば6二銀の配置が5三銀配置だとまずい。その場合は最後の3三角に4四歩と止められる手が生じてしまうためにこの問題は「不詰め」となってしまう)

この「練習問題」が「ヒント」であるというのは、本問題においても、
【1】最下段の飛車の王手とそれに対する「合駒」がキーになる
【2】3三角と遠くから角を打つ筋が(変化の中に)出現する
ということなのです。



さて、では本問題――「2021詰将棋その6」の答えと解説に入りましょう。


問題図
[答え]7三飛成、同銀、7八金、6九玉、4九飛、5九飛、同飛、同玉、7九飛、6九飛、同飛、同玉、7九飛 まで13手詰め

これが本問題の「答え」となります。

この「問題図」には、金が四枚、銀が四枚、そして飛車二枚と角二枚が盤上に置いてあります。つまり、「飛、角、金、銀」の駒はすべて使っている。その4種の駒は「品切れ」状態になっているということなのです。そのために――「品切れ」にするために――作者は、それらの駒をすべて配置しました。だからこんなふうなにぎやかな、つまり、めんどくさそうな盤面になっているのです。
問題の難易度としては、それほど難しくはありません。それでもやっぱり、駒が多いとめんどくさそうに見えますね。


さて、解説です。

問題図(再掲)

[解説]
この問題は初手が難しい選択となる。
正解手は〈A〉7三飛成 だが、他に〈B〉7八飛〈C〉7八金 と有力そうな手があり、〈D〉4九飛 も考えられる筋である。

まず初手〈D〉4九飛 は、8八玉と金を取りながら逃げられてしまうので駄目だ。

最大の紛れ筋は初手〈B〉7八飛 で、これは結局詰まないが、この解説は末尾で行うこととする。

初手〈C〉7八金 が最有力に見える。
これは対して2手目6九玉なら、4九飛までの詰みである(次の図=参考図a)
参考図a
最下段の飛車の王手に対する「合駒」として考えられる、飛、角、金、銀の4通りの駒のすべてが盤上にあり、つまり「品切れ」となっているので玉方はどれも持っておらず、したがって指す手がない。4九飛に対する「合駒」がないから投了するしかないわけである(最下段に桂、香、歩を打つのは反則手である)

しかし「初手7八金」には、8九玉と逃げられて詰まないのである。
以下4九飛、9八玉(参考図b)
参考図b
この図は詰まない図である。

しかし、もしもあの「3三」にある飛車が居なかったら―――そう、9九飛、同玉、3三角と売って、この玉は仕留められる!
―――ということに思い至れば、あの飛車を最初に捨てておけばいいのでは?―――という発想にたどり着く。
ということで―――


途中図1(1手目7三飛成まで)
初手は「〈A〉7三飛成」(図)と飛車を捨てる手が正解手となる。
「同銀」(2手目)に、それから「7八金」(3手目)とする(次の図)


途中図2(3手目7八金まで)
以下4手目8九玉なら、上で述べた通りに、4九飛、9八玉、9九飛、同玉、3三角、9八玉、8八角成までの詰みとなる。これが初手に「7三飛成」と飛車を捨てた効果。
しかしそれはこの詰将棋問題の正解手順とはならない。

今度は、3手目「7八金」に、「6九玉」とこちらに逃げる手のほうが手数が長くなるので、それが4手目の玉方の最善手となるのである。
「6九玉」には、「4九飛」(5手目)とする(次の図)


途中図3(5手目6九飛まで)
なお、この手「4九飛」に代えて、6八金と追うのは、7九玉と逃げられて、捕まえられない。
さて、「4九飛」(図)と飛車で王手した手に、今度は「飛、角、金、銀」のうち「角、金、銀」は相変わらず「品切れ」状態だが、後手はこの場合は「飛」を一枚持っている。初手、7三飛成で攻方が飛車を一枚献上したからだ。状況は変わったのだ。
というわけで、6手目は「5九飛合」となる(次の図)


途中図4(8手目5九飛まで)
ここで6八金とする手もあるが、以下7九玉、5九飛、8八玉の変化は、飛車をタダで一枚入手にしても、詰まない。

正解は、「5九同飛」(7手目)である。
以下「同玉」に、「7九飛」と打つ(次の図)


途中図5(9手目7九飛まで)
「7九飛」で、今度は逆側から飛車の横王手。
これも「6九飛」と飛車合で応じるしかなく、以下、「6九同飛、同玉」―――つまり玉を6九に戻させて―――(次の図)


詰め上がり図(13手目7九飛まで)
「7九飛」(図)と打って、詰んだ(最後のほうの手順については、一本道で、解説の必要もないだろう)



この詰将棋で作者がやりたかったことは、最後の飛車の王手と飛車合のやりとりなのですが、それだけでは問題として単純すぎるかもしれないと思ったので、それで初手に「7三飛成、同銀」という飛車捨てを付け加え、今回のこの出題図となったのでした。
飛、角、金、銀の4種の駒をすべて盤上に置いたのですが、そうしないとこの詰将棋は成立しないのです。



さて、最後に、もう一度「問題図」まで戻って初手〈B〉7八飛の “紛れ筋” を解説しておきましょう。

問題図
初手〈B〉7八飛 は、結論を言えば「詰まない」わけだが、なかなかにきわどいので、こっちの筋が有力と見て頑張ってしまう人は沼にハマった状況となってしまう。
以下、この筋が「どう詰まないか」を見ておく。

紛れ図イ
〈B〉7八飛(図)としたところ。以下6九玉に、さらに迫るには5八銀だ。対して玉方は5九玉と逃げるしかない(次の図)

紛れ図ロ
ここで攻方に2つの有力(に見える)手がある。一つは〔U〕6八銀、もう一つは〔V〕4八銀である。順に見ていこう。
まず〔U〕6八銀から。これに対して5八玉なら、5三飛成、4八玉、5七竜、3九玉、7九飛、4九銀、同飛、同玉、5九竜まで、詰み。
しかし、〔U〕6八銀に4八玉と応じられ―――(次の図)

紛れ図ハ
この玉が詰まないのである。
というわけで、〔U〕6八銀は不詰め――が確認された。

紛れ図二
次は〔V〕4八銀を見ていく。これは同玉と応じる一手だが、そこで(1)6七銀と(2)4七銀が候補手となる。どちらも飛車の開き王手で玉を追い詰めようという手である。

紛れ図ホ
(1)6七銀に4九玉なら4三飛成があるし、6七銀に3九玉も3八金から詰ますことができる。
しかし、この図のように(1)6七銀に5七玉と逃げる手があって、これでこの玉は逃れているのである(5三飛成、6七玉、7七金は、同馬と取られてしまう)


それでは、(2)4七銀はどうか。5七玉なら、今度は5三飛成以下詰みがある。

紛れ図へ
しかし、(2)4七銀に対しては、4九玉が玉の正しい逃げ方となる。4七に銀がいるので4三飛成がないので、ここに逃げていく。以下3八銀には同馬で攻めが切れているし、7九飛には4八玉と応じて逃れている(7九飛、4八玉、3八金は、5七玉と逃げて、以下5三飛成には5五歩で詰まない)

ということで、〔V〕4八銀の変化も、詰みはない。

つまり、以上の通り、初手〈B〉7八飛 は不詰めとなる。
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2021詰将棋その6

2021年11月11日 | つめしょうぎ
一見、30手を超えるような長い手数の問題に見えます。
しかし実はそこまでの問題ではなく、13手詰めです。

答えと解説は2日後に。


             → 答えと解説



ヒントとして、類似の、より易しい問題として次の練習問題を出しておきます。こちらは9手詰め。

練習問題
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