中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

平均寿命15歳!

2006年04月25日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkids ぷらざ」で連載している<世界史レッスン>第11回は、「どこに生まれるかによって」。産業革命期イギリスの暗黒面について書きました。⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2006/04/post_3453_1.html#more

 当時の平均寿命は全体にもちろん、今の日本とは比較にならないほど短いのだが、それにしても農村地帯の労働者階級に生まれれば38歳までは生きられるのに、新興工業都市リヴァプールに生まれたら、たったの15歳。

 常に餓えと渇きに苦しみ、亜硫酸ガスや煤煙で汚れた空気を吸い、幼いころから過酷な肉体労働にあけくれる、そんな短い一生・・・

 目の前でそういう人生を送る人間を見るとき、人はやはり平気ではいられない。
そこで階級性が免罪符のひとつとなったのだろう。彼らは自分と同じ人間ではない、そう生きるべく神によって定められたのだ、弱肉強食のこの世界に、餌として投げ与えられたにすぎない、というように。

 ある意味、因果応報思想もこれに似て残酷かも。苦しんでいる人に対して、それはあなたの前世が悪いのだ、と糾弾するのだから。



コメント (4)
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