朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第65回目の今日は、「ムンクが叫んだ赤い空」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/05/1883_ee54.html
ムンクの『叫び』は、火山噴火の影響による異様な赤い空を現実に見て描いたものではないか、とする新説について書きました。
5年前、スウェーデンのイエテボリに行ったとき、たまたまムンク展にいあわせてラッキーだった。『病める少女』『吸血鬼』『マドンナ』『思春期』といった名作を一挙に見られて感動した。ムンクはずうっとピカソの青の時代にいたようなものなのだな、とつくづく思った。
彼は5歳で母親を結核で亡くし、次いで14歳のとき同じ病気で姉を失う。以来、父親は狂気に近い信仰心の虜となり、妹は精神病院に入れられた。
「病と狂気と死が、わたしの揺りかごの上を漂い、生涯にわたってわたしにつきまとう黒い天使となった」
この彼の言葉は、誇張でも何でもない。本人も子ども時代は虚弱で、長じては不安神経症や被害妄想に苛まれ、過度の飲酒、いくつもの女性問題も抱えた(影のある美青年だったのでやたらもてたのは事実)。一度など愛人との別れ話のもつれからピストルで撃たれ、左手の指の一部を吹き飛ばされている。
このように常に不安に捉えられていたため、45歳の時とうとうで自ら進んで精神病院へ入院する。この決断が奏功して心身の健康を取りもどすのだが、皮肉なことに、それ以降、81歳の高齢で亡くなるまで、もはや見るべき作品を残すことができなくなってしまう。病める魂が鎮まるとともに、ムンクの中の天才も消えてしまったのだ。
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☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆『マリー・アントワネット』新訳です(角川文庫)
☆☆『叫び』のあの顔を、マリーに入れ替えてパロディにしたら面白いかも・・・?!
ムンクの『叫び』は、火山噴火の影響による異様な赤い空を現実に見て描いたものではないか、とする新説について書きました。
5年前、スウェーデンのイエテボリに行ったとき、たまたまムンク展にいあわせてラッキーだった。『病める少女』『吸血鬼』『マドンナ』『思春期』といった名作を一挙に見られて感動した。ムンクはずうっとピカソの青の時代にいたようなものなのだな、とつくづく思った。
彼は5歳で母親を結核で亡くし、次いで14歳のとき同じ病気で姉を失う。以来、父親は狂気に近い信仰心の虜となり、妹は精神病院に入れられた。
「病と狂気と死が、わたしの揺りかごの上を漂い、生涯にわたってわたしにつきまとう黒い天使となった」
この彼の言葉は、誇張でも何でもない。本人も子ども時代は虚弱で、長じては不安神経症や被害妄想に苛まれ、過度の飲酒、いくつもの女性問題も抱えた(影のある美青年だったのでやたらもてたのは事実)。一度など愛人との別れ話のもつれからピストルで撃たれ、左手の指の一部を吹き飛ばされている。
このように常に不安に捉えられていたため、45歳の時とうとうで自ら進んで精神病院へ入院する。この決断が奏功して心身の健康を取りもどすのだが、皮肉なことに、それ以降、81歳の高齢で亡くなるまで、もはや見るべき作品を残すことができなくなってしまう。病める魂が鎮まるとともに、ムンクの中の天才も消えてしまったのだ。
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☆新著「怖い絵」(朝日出版社)
☆☆アマゾンの読者評で、この本のグリューネヴァルトの章を読んで「泣いてしまいました」というのがありました。著者としては嬉しいことです♪
①ドガ「エトワール、または舞台の踊り子」
②ティントレット「受胎告知」
③ムンク「思春期」
④クノップフ「見捨てられた街」
⑤ブロンツィーノ「愛の寓意」
⑥ブリューゲル「絞首台の上のかささぎ」
⑦ルドン「キュクロプス」
⑧ボッティチェリ「ナスタジオ・デリ・オネスティの物語」
⑨ゴヤ「我が子を喰らうサトゥルヌス」
⑩アルテミジア・ジェンティレスキ「ホロフェルネスの首を斬るユーディト」
⑪ホルバイン「ヘンリー8世像」
⑫ベーコン「ベラスケス<教皇インノケンティウス10世像>による習作」
⑬ホガース「グラハム家の子どもたち」
⑭ダヴィッド「マリー・アントワネット最後の肖像」
⑮グリューネヴァルト「イーゼンハイムの祭壇画」
⑯ジョルジョーネ「老婆の肖像」
⑰レーピン「イワン雷帝とその息子」
⑱コレッジョ「ガニュメデスの誘拐」
⑲ジェリコー「メデュース号の筏」
⑳ラ・トゥール「いかさま師」
☆『マリー・アントワネット』新訳です(角川文庫)
☆☆『叫び』のあの顔を、マリーに入れ替えてパロディにしたら面白いかも・・・?!