中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

「二都物語」

2009年07月28日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞公式ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第19回の今日は、「革命を舞台のロマン」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/07/post-ec14.html#more
 古いモノクロ映画「二都物語」について書きました。

 このDVDを入手したのはつい最近。書店のワゴンの中に500円(正価!)で売っていたのです。版権が切れて昔の映画がずいぶん安く売られるようになっていますね(近所のTUTAYAにはなかったので、前から見たいと思っていたのです)。

 原作どおりとはいえ、やはりちょっと古めかしい作りでした。特にヒロインの描き方が。はっきり言えば、男性の理想像で、ということは、女性から見ると、血も肉もないただのお人形。。。

 ま、女性が思い描く理想の男性像だって、男から見たら噴飯ものでしょうから、どっちもどっちとは思いますけど。

 それよりこの映画でちょっと不満なのは、なぜダーク・ボガードが二役を演じなかったのかなあ、ということ(技術的には出来たはずなのに)。

 というのも、原作ではふたりの男性の外見はまるで双子のようにそっくりということになっているからです。誰もが(恋人でさえ)見まちがえるほど似ているから、裁判で無罪が証明されたり、入れ代わってギロチン台へ上がったりするわけなのに、映画はといえば、全く似ても似つかない俳優を使っている!背の高さも違う。

トム・クルーズとブラッド・ピッドをそっくりと言うみたい。これじゃねえ。。。


☆最新刊「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
  新聞での紹介から抜粋ーー「思わず見たい映画をピックアップしたくなるエッセー集」「映画の印象的なシーンに触発され、著者一流の物の見方を遺憾なく発揮している」「このテーマでこの映画?と驚くような選択も。公開当時は興味を覚えなかった作品でも、改めて見たいと思うきっかけになるかも」

恐怖と愛の映画102 (文春文庫)


☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。3刷中♪

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☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。<愛のフェア>本の一冊ですので、帯の写真は松山ケンイチさん♪「女の恋は 激しく、哀しい」がキャッチコピーです。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫 な 50-1)

☆最新刊「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、6刷中♪

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆最新刊「危険な世界史」(角川書店) 2刷になり、帯が変わります♪
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

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☆「怖い絵2」、7刷中。

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☆「怖い絵」12刷中

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中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


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ヴィーナスのあっけらかん

2009年07月21日 | 音楽&美術
 22日発売の月刊誌「オール読物8月号」(文藝春秋社)で連載中の「絵画で読む神話」第3回(p.95)は、「ヴィーナスのあっけらかん」

 ティントレットの「ウルカヌスに見つかったヴィーナスとマルス」について書きました。これは浮気現場における夫、妻、間男、三者三様のリアクションを描いて、かなり可笑しな絵画です(画家もクスクス笑いながら絵筆を動かしていたような気が。。。)

 人妻とのベッドインの最中に夫に踏み込まれた男は、小咄だとたいていベランダへ隠れ、その後、下着姿のままスタコラ逃げるのが定番?ということになっています。

 一方、女の方は夫に対して何食わぬ顔を装う(これも定番?)

 ティントレットもそのへんを承知していたのかどうか知りませんが、夫に疑われても全く動じず、あっけらかんとした人妻の図太さを描いています。

 弁解もせず平然たる女性。一方、男が浮気した場合は妻にあれこれ言い訳して、かえって相手を怒らせるというのもまた定番かな?

 こんな笑い話。

 妻に対しては絶対に浮気を認めてはいけない。ベッドに裸で女性といるところを見つかった場合は、「今ちょうどベッドをまたいで向こう側へ行こうとしていたところだ」と言えばよろしい。

 ちっともよろしくないわね~


☆9月から開催の「THEハプスブルク展」(国立新美術館)では、10月24日(土)にわたしの講演会があります。ハプスブルクに関心のある方、美術好きの方、どうぞいらしてくださいね!⇒ http://www.habsburgs.jp/2009/07/post-9d1b.html


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『恐怖と愛の映画102』刊行♪

2009年07月14日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第18回の今日は、「ハッピーエンドの是非」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/07/1872-fc11.html#more
 アメリカ映画『フランダースの犬』について書きました。ハッピーエンドにびっくり!

 さて今日は、先週末刊行した最新刊『恐怖と愛の映画102』(文春文庫)について。

 これは福音館の月刊誌『母の友』に今も連載中の「ははとも倶楽部VIDEO」9年分を集めたものです。福音館のHPでも紹介されましたのでお読みください⇒ http://fukuinkan.cocolog-nifty.com/hahanotomo/2009/06/video-6aba.html

 9年分だから12×9で108本のはずなのに102はおかしい?
 実は途中から秋が特別号になり、連載1回分がお休みになっているからです。108は煩悩の数だから、それも面白くてよかったんですけど。うふふ。

 表紙の怖い絵は世紀末の画家シュトックの「スフィンクスの口づけ」。こんな女性になら殺されてもいい、という恍惚の男性を描いた作品です。でもって表紙の帯は「女は復讐心から憎む男を放さない」

 でも中身は怖い映画や恋愛映画ばっかりじゃありません。個人的偏愛作『異人たちとの夏』やSFやほのぼの映画や、とにかくごった煮!映画好きのわたしの勝手なエッセィと思って楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。

 これまでの長い長~い(?)人生で、どれほどの時間を映画に費やしてきたかなあ。けっきょくドラマ好きなんですね。ふだんは淡々とおとなしく暮らしていますから。

 ときどき実体験も挿入しました。その一部を以下ーー

 「中学時代のこういう体験。
  友人と三人で横断歩道を渡っていた。そこへ猛スピードでオートバイが突っ込んできて、ひとりが撥ね飛ばされてしまう。彼女は弧を描いて宙を飛び(まさに地の果てまで飛んでゆくように感じられた)、ずっと先へどさっと落ちた。わたしともうひとりの友人はその場に凍りつき、果てしなく長い時間がたったかに思えた。
 すると倒れていた彼女がむくっと起き上がり、何が起きたかわからないというポカンという表情でこちらへ歩いてくるではないか。その瞬間、わたしと友人、そしてオートバイの主は、笑って笑って涙が出るほど笑いころげてしばらくとまらなかった(後で病院でみてもらったところ、膝がすりむけていただけ。奇蹟と言われた)。
 ヒステリックな笑いと恐怖は表裏一体だと、つくづく実感した出来事だった。」

 ーー本文中には書かなかったけれど(映画の肝となる部分なので)、なぜこんな私的なエピソードを入れたかは、この映画を見た人にしかわからない仕掛けになっています。

 最近、映画の本が少なくなり、どんどんマニアックになっている気がするので、たまには肩の凝らないこういう本はいいかも♪ と、自己宣伝ですみません。
 でもとにかく楽しんで今も連載しています。



☆9月から開催の「THEハプスブルク展」では(⇒ http://www.habsburgs.jp/supporter.html)10月にわたしの講演会もあります。どうぞいらしてくださいね!(詳細は次回)


☆最新刊「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
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☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。<愛のフェア>本の一冊ですので、帯の写真は松山ケンイチさん♪「女の恋は 激しく、哀しい」がキャッチコピーです。

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毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

危険な世界史

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マイケル・ジャクソンはノヴァのよう

2009年07月07日 | 雑記
 マイケル・ジャクソンの急死は人々を驚かせ、同時に「さもありなん」という気持にもさせたと思う。

 全身の皮膚の色を変え、度重なる整形で全くの別人になるほど、それほどにも、彼は自己否定したのであり、素人目にも精神分析事例の格好のケースだとわかる。

 タニス・リーの小説にこんな一文。

 ーー「みんな、ごらん」星が言った、「わたしはこんなにまばゆく燃えている」。そうしてそれはノヴァとなった。光が薄れたとき、星はもはやどこにもなかった。
 この物語の教訓は明らかである。ーー

 nova(新星)とは変光星の一種。
 それまで微光を放っていたにすぎないのに、数日間のうちに急激にそれまでの数千倍ないし数万倍に光度を上げ、その後減光してしてしまう。原因は恒星の爆発によると言われる。

 身を燃やして、夜空をあかあかと照らしたのである。凡人が何を憐れむことあろう。

 
*上記に関する「夏蜜柑」さんからのコメントを以下⇒

彼の色の変化は尋常性白斑という病気によるものです。
本人も公言し、裁判の際に医師側から証拠として診断書が出されて検察にも認められた、公の事実です。
現在の医学技術で全身の皮膚を白くするということは不可能だそうです。

「自己否定した」と仰る意味が、「黒人を否定し白人になりたかった」という意味を含むならば、決してそうではありません。

これは一ファンの主観になってしまいますが、
黒人であることを誇りに思っていた彼自身が一番この病気を悲しみ、苦しんだのだと思いますから。

そして、もしそう考えておられるなら、それはこの病気に罹患されている他の方に対しても失礼になるのではと思いました。

整形手術については詳しくはわかりませんが、鼻を施術したことは本人も認めていました。
が、発端は舞台上での骨折です。

記事に関係ないですが、彼は全身性エリテマトーデスという病も抱えていて、奇行のように言い立てられている多くのことが病気の症状に関係していたりします。
(↓このブログで納得の行く説明をしてくださってます。
http://yuuki-rinrin.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-f40e-1.html)


これらについてきちんとした報道がほとんどなされてないので、よほどファンでもない限りは知らなくて当然だと思いますが、
どうか、全くの別人になるほど自己否定したなんて言わないでください。

長々とすみませんでした。

 
☆9月から開催の「THEハプスブルク展」では、わたしの講演会もあります。どうぞいらしてくださいね!(詳細は次回)

☆NHKラジオで児玉清さんが「「怖い絵3」をご紹介してくれました♪ ⇒
http://www.nhk.or.jp/vitamin/culture/guestpage/kodama.html


☆最新刊「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
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怖い絵2

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