中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

両性具有の起源

2009年11月24日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画編>」第27回の今日は、「3時10分発ユマ行き」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/11/post-0577.html#more
 ラッセル・クロウがとてもカッコ良かった「3時10分、決断のとき」について書きました(彼はグラディエーターよりアウトローの方が似合う)。

 西部劇の人気が、これ以上ないほど沈下してしまったせいか、上質のエンターテインメント作品なのに日本での公開は2年も遅れ、しかも上映期間もごく短かったので知らない人が多いかも。もっと話題になってもいいはずなんですが・・・。

 話変わってーー
 もう「THEハプスブルク」展へはいらっしゃったでしょうか?ハプスブルク家の肖像ばかりが来ていると誤解している方もおられるようですが、神話画も宗教画も武具も、そして日本が皇帝へプレゼントした浮世絵も見られますよ!

 スプランゲルの描いた奇妙な神話画「ヘルマプロディトスとサルマキス」も来ています。この絵に関しては、いま書店で発売中の「オール読物12月号」で解説しました(連載「絵画で読む神話」第7回「合体欲求」。415ページ)。どうぞお読みください。

 ヘルマプロディトスという舌を噛みそうな名前には、実は意味があります。この子は、父ヘルメス(Hermes)と母ヴィーナス(=アプロディテ、Aphrodite )との間に生まれ、双方の名前をそのままくっつけただけ(Hermaphroditos)なのです。「太郎花子」というようなもので、すでにこの名前からして、どんな子か想像がつきますね?

 スプランゲル作品は、この両性具有誕生秘話を題材に、とことんエロスを極めた強烈なもの。展覧会場で、男性はついふらふらとこの絵の前に引き寄せられてしまったんじゃないかしら。


☆わたしの講演会情報を「ベルばらkids」でごらんください⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/11/post-7e25.html#more


☆大塚美術館の「怖い絵ツアー」は11月&12月も開催していますので、ぜひご参加ください⇒ http://www.o-museum.or.jp/japanese/event/new/index.html#top

☆「THEハプスブルク展」は、来年から京都博物館へ移動します。わたしの講演は1月31日。どうぞいらしてくださいまし♪⇒ http://www.habsburgs.jp/2009/10/post-f80a.html

☆展覧会へいらっしゃる前にはぜひ拙著で予習もお願いします。肖像画に描かれた人々の運命を知ると、絵はきっとまた新たな魅力を増すはずです。

☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、10刷になりました♪
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)



☆最新刊「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
  新聞での紹介から抜粋ーー「思わず見たい映画をピックアップしたくなるエッセー集」「映画の印象的なシーンに触発され、著者一流の物の見方を遺憾なく発揮している」「このテーマでこの映画?と驚くような選択も。公開当時は興味を覚えなかった作品でも、改めて見たいと思うきっかけになるかも」

恐怖と愛の映画102 (文春文庫)


☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。4刷中♪

怖い絵3


☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫 な 50-1)

☆「危険な世界史」(角川書店) 3刷になりました♪
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

危険な世界史

☆「怖い絵2」、7刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵」13刷中。

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スピリチュアル番組?

2009年11月17日 | 雑記
 先日のTBS(地上波)「THE ハプスブルク展」特別番組「美輪明宏presents  伝説の大帝国ハプスブルクの宝石~マリア・テレジアの夢とエリザベートの涙~」がBSを含めて何度か再放送されました。

 実はわたしもインタビューを受けてちょこっと顔を出しました。

 数日後の授業中、学生A君が「先生、テレビに出てましたね」
 見てくれてありがと~と答えましたが、その後のA君とB君の会話。

 B「何に出てたの?」
 A「美輪明宏と出てた」
 B「スピリチュアル番組かあ!」
 A「まあ、そんなようなもんだな」

 これこれ、ちゃんと否定したまえ。


☆わたしの講演会情報を「ベルばらkids」でごらんください⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/11/post-7e25.html#more


☆大塚美術館の「怖い絵ツアー」は11月&12月も開催していますので、ぜひご参加ください⇒ http://www.o-museum.or.jp/japanese/event/new/index.html#top

☆「THEハプスブルク展」は、来年から京都博物館へ移動します。わたしの講演は1月31日。どうぞいらしてくださいまし♪⇒ http://www.habsburgs.jp/2009/10/post-f80a.html

☆展覧会へいらっしゃる前にはぜひ拙著で予習もお願いします。肖像画に描かれた人々の運命を知ると、絵はきっとまた新たな魅力を増すはずです。

☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、10刷になりました♪
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)



☆最新刊「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
  新聞での紹介から抜粋ーー「思わず見たい映画をピックアップしたくなるエッセー集」「映画の印象的なシーンに触発され、著者一流の物の見方を遺憾なく発揮している」「このテーマでこの映画?と驚くような選択も。公開当時は興味を覚えなかった作品でも、改めて見たいと思うきっかけになるかも」

恐怖と愛の映画102 (文春文庫)


☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。4刷中♪

怖い絵3


☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫 な 50-1)

☆「危険な世界史」(角川書店) 3刷になりました♪
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

危険な世界史

☆「怖い絵2」、7刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵」13刷中。

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ココ・シャネルとアニー・サリヴァン

2009年11月10日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>第26回の今日は、「奇跡的めぐりあわせ」 http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/11/post-d027.html#more
 日本でも何度も舞台化されている傑作『奇跡の人』について書きました。

 実在の主人公アニー・サリヴァンは、母亡き後、父親に救貧院へ入れられました。これはココ・シャネルと同じです。

 で、シャネルについて。
 先日見たフランス映画『ココ・アヴァン・シャネル』がとっても面白かったので、原作も読みました。興味深かったのは間違いないのですが、でも。。。

 シャネルは決して自分の出生について語りませんでした。知られたくなかったからです。しかし著者はそれをぐいぐいあばいてゆきます。それはまあ、いいのです。でも彼女のスタンスがどうにもわたしには気に障ってなりませんでした。

 つまり階級意識が見え隠れするのです。
 シャネルのファッションの根は、その貧しい生い立ちからきているという結論がまずあります。そしてシャネルが唯一愛した恋人が交通事故死した夜、勧められてもベッドに横にならなかったのは生まれが「農民」だからであり、時代の流れに敏感なのは「空を見上げる農民と同じ」だったというのです。父親や弟が「商人」なのも、隠すべき恥ずべき秘密とされています。

 とにかく全編、ことあるごとにシャネルの階級の低さがしつこく強調され、一方で自らについては「外交官の娘として世界各国を旅行し」なんぞと誇らしく書いてあるのだから違和感があります。

 シャネルはこういうヨーロッパ階級社会のいやらしさにげんなりし、何を言っても何をしても、お里が知れる、と結論づけられるのを怖れて出生を秘密にしていたのではないかしらん。


☆大塚美術館の「怖い絵ツアー」は11月&12月も開催していますので、ぜひご参加ください⇒ http://www.o-museum.or.jp/japanese/event/new/index.html#top

☆「THEハプスブルク展」は、来年から京都博物館へ移動します。わたしの講演は1月31日。どうぞいらしてくださいまし♪⇒ http://www.habsburgs.jp/2009/10/post-f80a.html

☆展覧会へいらっしゃる前にはぜひ拙著で予習もお願いします。肖像画に描かれた人々の運命を知ると、絵はきっとまた新たな魅力を増すはずです。

☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、10刷になりました♪
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)



☆最新刊「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
  新聞での紹介から抜粋ーー「思わず見たい映画をピックアップしたくなるエッセー集」「映画の印象的なシーンに触発され、著者一流の物の見方を遺憾なく発揮している」「このテーマでこの映画?と驚くような選択も。公開当時は興味を覚えなかった作品でも、改めて見たいと思うきっかけになるかも」

恐怖と愛の映画102 (文春文庫)


☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。4刷中♪

怖い絵3


☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫 な 50-1)

☆「危険な世界史」(角川書店) 3刷になりました♪
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

危険な世界史

☆「怖い絵2」、7刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵」13刷中。

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「人工記憶」を書き込まれたハエ

2009年11月03日 | 雑記
 先日の新聞に、オックスフォード大学などの科学者チームによる研究成果が発表された。

 それによると、ショウジョウバエに電気ショックやらを与えて人工的「記憶」を組み込むと、経験もしていないことを、その新しい「人工記憶」をもとに行動するようになったというのだ。

 認知症の治療とかに役立つのならいいけれど、マッドサイエンティストが独裁者と組んでこれを利用したらどうなるのだろう。考えるだに怖ろしい。

 りドリー・スコットのSF映画『ブレードランナー』に、人間そっくりのレプリカントという精巧なロボットが登場した。彼らは人間の奴隷として、戦闘用、愛玩用、労働用と区分けされ、寿命も設定されて製造される。おまけに自分を「人間」と信じて楽しく暮らせるように、「人工記憶」も埋め込まれている!

 愛玩用に作られた美しいレプリカントが、自分は人間ではないとわかったとき、「両親との幸せだった子供時代の思い出をはっきり思い出せるのに。。。」とすすり泣くシーンが忘れられない。

 神ならぬ人間ごときが、あまり脳をいじらない方がいいのでは。。。


☆早稲田祭で講演します。11月7日(土)2時。タイトルは「絵を読む」
 戸山キャンパスへは高田馬場駅からバスで「馬場下門前」で降ります。早稲田正門前のひとつ手前ですので、お間違えありませんように。
⇒ http://www.wasedasai.net/2009/feature/art/speech.html#link


☆「THEハプスブルク展」は、来年から京都博物館へ移動します。わたしの講演は1月31日です⇒ http://www.habsburgs.jp/2009/10/post-f80a.html

☆展覧会へいらっしゃる前にはぜひ拙著で予習してくださいまし。肖像画に描かれた人々の運命を知ると、絵はきっとまた新たな魅力を増すはずです。

☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、9刷中。
名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)



☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
  新聞での紹介から抜粋ーー「思わず見たい映画をピックアップしたくなるエッセー集」「映画の印象的なシーンに触発され、著者一流の物の見方を遺憾なく発揮している」「このテーマでこの映画?と驚くような選択も。公開当時は興味を覚えなかった作品でも、改めて見たいと思うきっかけになるかも」

恐怖と愛の映画102 (文春文庫)


☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。4刷中♪

怖い絵3


☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫 な 50-1)

☆最新刊「危険な世界史」(角川書店) 2刷になり、帯が黄色から白に変わりました♪
毎日新聞での紹介⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html

危険な世界史

☆「怖い絵2」、7刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵」13刷中。

怖い絵
怖い絵
posted with amazlet on 07.07.14
中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする