中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

「怖い絵パート2」

2007年12月25日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」にて連載中の「世界史レッスン」第94回目の今日は、「姉弟、命がけの権力闘争」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/12/post_5a86.html#more
 ソフィア皇女とピョートル大帝の激しい権力闘争について書きました。
 「世界史レッスン」は、今年はこれでおしまい。新年度は1月8日からです。

 さて、わたしの今年度の仕事に関する総括ですが、本は3冊出しました。1月にツヴァイクの「マリー・アントワネット」新訳(角川書店)、2月にCDブック「椿姫」(ショパン)、そして7月に「怖い絵」(朝日出版)。

 他には「別冊歴史読本」(新人物往来社)への寄稿もかなりの本数やりました。「英王国恋物語」ではエリザベス1世について、「ヨーロッパ3都物語」では、ローマ・ヴィーン・パリを舞台にしたオペラについて、「マリー・アントワネット38年の生涯」では、ヴァレンヌ逃亡ドキュメントなど。

 連載では8年続いている月刊「母の友」(福音館)の、ビデオ&DVD評があります。毎年テーマを決めて楽しく書いていますが、今年は「音楽映画」。「ジーザスクライストスーパースター」「ウィンターソング」「ロックユー」など11本を取り上げました。ちなみにこれまでのテーマは「母」「恋」「電話」「別れ」「芸術家」「戦争」「乗り物」でした。
 来年は「家」。4月号はそのものずばり「家」という、ホラー映画で始める予定。70年代のこのアメリカ映画、めちゃくちゃ怖いですよ~!家そのものが生きているという・・・

 「怖い」のテーマは来年も続きそうです。というのもおかげさまで「怖い絵」が好評をいただき(たくさんのお葉書や応援、ありがとうございました。とっても励みになりました)、まだこういう怖い絵がある、続編を読みたい、とのご要望が多くありました。

 というわけで「怖い絵パート2」を出すことになりました♪
 来春の出版をめざし、いま必死に書いているところです。完成のあかつきには、パート1同様、どうぞご愛読くださいますようお願いいたします。

 ではよいお年をお迎えください。この「花つむひとの部屋」も1月8日までお休みです。2008年度もどうぞよろしく!

☆『怖い絵』5刷中です。
紀伊国屋書店キノベス第7位に選ばれました。るんるん♪
☆☆先日NHKラジオ「深夜便」で、小池昌代さんがご紹介くださったとのこと。残念、わたしは聞き逃してしまいました(早寝早起きのため・・・)

怖い絵
怖い絵
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中野京子 朝日出版社 (2007/07/18)


☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 下 (3)
     







 
 



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「怖い絵」、キノベス第7位に!

2007年12月18日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 「キノベス」というのをご存知でしょうか?(「このミス」(このミステリがすごい)にちょっと似た響きですね)

 年末恒例の、全国紀伊國屋書店員さんたちが選ぶベスト本が「キノベス」です。本年度は'06年10月~'07年9月の新刊を対象に、「これぞと思う一冊アンケート」による550件の応募の中から、ベスト30が決まりました。なんと嬉しいことに、「怖い絵」が7位でした♪

 詳しい結果は、以下--

第1位 『サクリファイス』 近藤史恵

第2位 『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦

第3位 『川の光』 松浦寿輝

第4位 『世界屠畜紀行』 内沢旬子

第5位 『給食番長』 よしながこうたく

第6位 『生物と無生物のあいだ』 福岡伸一

☆第7位 『怖い絵』 中野京子

第8位 『国のない男』 カート・ヴォネガット

第9位 『先生とわたし』 四方田犬彦

第10位 『ピクトさんの本』 内海慶一

第11位 『17歳のための世界と日本の見方』 松岡正剛

第12位 『なぜ社員はやる気をなくしているのか』 柴田昌治

第13位 『鹿男あをによし』 万城目学

第14位 『男子』 梅佳代

第15位 『映画篇』 金城一紀

第15位 『武士道シックスティーン』 誉田哲也

第17位 『インシテミル』 米澤穂信

第18位 『おひとりさまの老後』 上野千鶴子

第19位 『しずく』 西加奈子

第20位 『ねにもつタイプ』 岸本佐知子

第21位 『あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します』立花実枝子

第22位 『星新一一〇〇一話をつくった人』 最相葉月

第23位 『ホームレス中学生』 田村裕

第24位 『有頂天家族』 森見登美彦

第25位 『獣の奏者1』 上橋菜穂子

第25位 『神は妄想である』 リチャード・ドーキンス

第25位 『頭のうちどころが悪かった熊の話』 安東みきえ

第28位 『街場の中国論』 内田樹

第29位 『ぼくには数字が風景に見える』 ダニエル・タメット

第30位 『とりつくしま』 東直子

 一日に新刊が200点も出るという凄まじい本の洪水の中、美術エッセーというマイナーなジャンルの「怖い絵」がよくぞ選ばれたなあ・・・

 しかも本好きの書店員さんたちが、「この一年間で実際に読んで面白かったのでぜひお客さんに紹介したい本」という中に入れていただけたのですから、なおさら感激です。どうもありがとうございました♪

 さて朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」ですが、第93回目の今日は「ナポレオンを兄にもつと・・・」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/12/post_0565.html#more
 ナポレオンの弟妹たち7人の、幸運でもあり不運でもあった人生をちらっと眺めてみました。

☆☆『怖い絵』5刷中です。
これまで書評や紹介が載った新聞は20紙。
雑誌で把握したのは、「クロワッサン」「エクラ」「婦人公論」「ミセス」「イラストレーション」「編集会議」「茶の間」「母の友」「ダ・ヴィンチ」「Coyote」「FINE BOYS 」「Job Diadim」。他にもあるのかもしれませんが、出版社からの連絡がないのでわからないのです。もしこれ以外に見かけましたら、ご一報おねがいします♪

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☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

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アントワネットとフェルゼン(朝日新聞be「愛の旅人」)

2007年12月15日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 今日12月16日土曜日、朝日新聞朝刊折込beの連載「愛の旅人」は、「アントワネットとフェルゼン」。ヴァレンヌ逃亡失敗についてのエピソードを、現地取材によって楽しめます♪

 とりわけ興味深いのは、来年1月から都美術館で開催される「ルーヴル美術館展」の目玉、「アントワネットの旅行セット」で、これはヴァレンヌ逃亡の際、馬車に載せて実際に使ったのではないか、と言われている。

 この旅行セットのみごとさは写真からも十分うかがえるが、ルーヴルの学芸委員は、「全体の調和を何より大事にしたアントワネットの美意識がよく表れている」と語っている。早く実物が見たい!

 ヴァレンヌを訪れた日本人は少ないのではないだろうか。何しろパリからの直通列車はなく、クレルモンという小さな駅からさらに車で15分というのだから、フランス史専攻の学者でもない限り、なかなか行く気にもなれない。この村の現在、そして事件についての村人の反応などにもbe記事は触れてあるので、歴史に翻弄された土地の複雑さがよくわかって、これまた非常に面白かった。

 ところでこれに先立って、わたしもインタビューを受けました。記事後半に、フェルゼンに関してちょこっと感想を述べましたので、ぜひ読んでくださいね!!


☆もうマリーはお読みになりましたか?(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 下 (3)

☆☆『怖い絵』5刷中です。
これまで書評や紹介が載った新聞は20紙。
雑誌で把握したのは、「クロワッサン」「エクラ」「婦人公論」「ミセス」「イラストレーション」「編集会議」「茶の間」「母の友」「ダ・ヴィンチ」「Coyote」「FINE BOYS 」「Job Diadim」。他にもあるのかもしれませんが、出版社からの連絡がないのでわからないのです。もしこれ以外に見かけましたら、ご一報おねがいします♪

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アントワネットとフェルゼン(朝日新聞be「愛の旅人」)

2007年12月15日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 今日12月16日土曜日、朝日新聞朝刊折込beの連載「愛の旅人」は、「アントワネットとフェルゼン」。ヴァレンヌ逃亡失敗についてのエピソードを、現地取材によって楽しめます♪

 とりわけ興味深いのは、来年1月から都美術館で開催される「ルーヴル美術館展」の目玉、「アントワネットの旅行セット」で、これはヴァレンヌ逃亡の際、馬車に載せて実際に使ったのではないか、と言われている。

 この旅行セットのみごとさは写真からも十分うかがえるが、ルーヴルの学芸委員は、「全体の調和を何より大事にしたアントワネットの美意識がよく表れている」と語っている。早く実物が見たい!

 ヴァレンヌを訪れた日本人は少ないのではないだろうか。何しろパリからの直通列車はなく、クレルモンという小さな駅からさらに車で15分というのだから、フランス史専攻の学者でもない限り、なかなか行く気にもなれない。この村の現在、そして事件についての村人の反応などにもbe記事は触れてあるので、歴史に翻弄された土地の複雑さがよくわかって、これまた非常に面白かった。

 ところでこれに先立って、わたしもインタビューを受けました。記事後半に、フェルゼンに関してちょこっと感想を述べましたので、ぜひ読んでくださいね!!


☆もうマリーはお読みになりましたか?(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

マリー・アントワネット 上 (1) マリー・アントワネット 下 (3)

☆☆『怖い絵』5刷中です。
これまで書評や紹介が載った新聞は20紙。
雑誌で把握したのは、「クロワッサン」「エクラ」「婦人公論」「ミセス」「イラストレーション」「編集会議」「茶の間」「母の友」「ダ・ヴィンチ」「Coyote」「FINE BOYS 」「Job Diadim」。他にもあるのかもしれませんが、出版社からの連絡がないのでわからないのです。もしこれ以外に見かけましたら、ご一報おねがいします♪

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宮廷のキャリアウーマンーーポンパドゥール夫人

2007年12月11日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の世界史レッスン第92回目の今日は「名門一族の不出来な息子」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/12/post_41b3.html
 ウェッジウッド家とダーウィン家の結びつきについてなど、書きました。
 
 でも今日はそれとは全く関係なく、以前、時事通信社系新聞に連載していた「まなざしの瞬間(とき)」という美術エッセーから、再録いたします。
 ラ・トゥールの「ポンパドゥール夫人肖像画」(ルーブル美術館)です。

<宮廷のキャリアウーマン>

 絢爛たる衣装、匂いたつような胸もと、楽譜を持つしなやかな指先ーー。ルイ15世の愛妾たるにふさわしい美しさだが、しかし道具立てを変えれば、これは紛れもなく有能なキャリアウーマンの顔である。高層ビル内のオフィス、仕立ての良いスーツ、机上のパソコン、手に携帯電話・・・そのまま彼女を現代ビジネス界へ連れてきても、違和感はないだろう。

 ラ・トゥール(1704~88)がパステルで大画面に描いたこの人物は、どんな時代のどんな国にも必ずいる、美貌と才覚でのし上がってゆく女性の典型だ。

 自己演出力にたけた彼女は、どういうポーズがふさわしいか熟知し、テーブルに並べた書物(「百科全書」や「法の精神」など)の選択も抜かりない。媚びたところのない落ち着いた態度は、王の愛人として、また片腕として、宮廷文化ばかりかフランスの政治経済までうごかしているとの確固たる自信に裏打ちされていよう。

 そもそも貴族ではなかった。父は高利貸し。才色兼備の娘ジャンヌ・アントワネット・ポワソンは20歳で裁判官と結婚し、デティオール夫人となる。裕福な夫人はサロンを開き、ヴォルテールら名士と交流してさらに上を目指す。

 ルイ15世とは、仮面舞踏会で知り合ったらしい。周到に準備して接近したのは間違いなさそうだ(ハンサムで遊び人だった王の歓心を買いたがる女性はいくらでもいた)。

 彼女には「平民の主婦」という自らの不利な立場をものともしない根性があった。だからチャンスをつかめた。つかむだけでなく、それを持続させる能力もあった。ためらうことなく離婚し、ポンパドゥールの地を授与してもらい、貴族に叙せられる。24歳で侯爵夫人、31歳で公爵夫人と、階段を上り続ける。

 こうして彼女は芸術文化の偉大なるパトロンになり、大臣並みの公務を抱える立場にもなったわけだが、成り上がりの女性に対する風当たりは当時も今も変わらず強い。七年戦争の敗北も、宮廷の財政悪化も、全て彼女のせいにされている。

 放蕩者の王を叱咤激励し続けたのは、他ならぬポンパドゥール夫人だったというのに・・・ 


☆☆『怖い絵』5刷中です。
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雑誌で把握したのは、「クロワッサン」「エクラ」「婦人公論」「ミセス」「イラストレーション」「編集会議」「茶の間」「母の友」「ダ・ヴィンチ」「Coyote」「FINE BOYS 」「Job Diadim」。他にもあるのかもしれませんが、出版社からの連絡がないのでわからないのです。もしこれ以外に見かけましたら、ご一報おねがいします♪

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☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

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「幸せはいつも3月花のころ・・・」(世界史レッスン第91回)

2007年12月04日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の世界史レッスン第91回目の今日は、「グレゴリオ暦とフランス革命暦」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2007/12/post_30fe.html#more
 イギリスでの改暦の暴動や、フランス革命政府が強制しようとしたへんてこな暦についてのエピソードを書きました。

 さて、江戸時代の歌舞伎役者、5代目市川団十郎が作ったとされる戯れ歌に、

 「楽しみは春の桜に秋の月、夫婦なかよく3度食う飯」

 というのがある(ロマンティストなのかリアリストなのか、わかりませんね)。
 それをもじった落書きとして、

 「幸せはいつも3月花のころ、お前18、わしゃ20(はたち)、使って減らぬ金10両、死んでも命がありますように」

 江戸庶民の願いはなかなか欲張りだ。いつも良い季節で、夫婦いつまでも若く、大金とはいえなくとも金には不自由せず、あげくの果ては「死んでも死なない」でいたいというのだから・・・

 ところでこの「3月花のころ」だが、これが現代のカレンダーと違う。旧暦の3月は今でいえば4月、まさに「花のころ」を指すのである。もちろん日本人が言う「花」は「桜」ですね!

 生を謳歌するのも桜のもと、死ぬ時もまた桜がいいのが日本人だ。西行の有名な一首、

 「願わくば花の下にて春死なん、その如月の望月の頃」


☆「怖い絵」、5刷になりました!!ご愛読、感謝しています。

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☆マリーもお忘れなく!(ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫、中野京子訳)

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