中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

運命の支配か、宿命への挑戦か

2010年10月26日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載の「世界史レッスン<映画篇>」第49回の今日は、「プラトニック・ラブの終わり」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2010/10/post-3b6d.html#more
 奇才と呼ばれたケン・ラッセル作品について書きました。「オネーギン」の手紙のアリアがとても印象的でした。

 さて、今週はいよいよ最新刊「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社)が書店に並びます♪(下記画像をクリックするとアマゾンへゆきます)

残酷な王と悲しみの王妃

 この前も書きましたが、表紙は「怖い絵」の奥定泰之さん。とてもアイ・キャッチなステキな装丁ですよね~♪
 帯の「運命の支配か、宿命への挑戦か」は、担当編集者のk.kさん。カッコいいコピーで嬉しいです☆
 
 と、かように外側は完璧。内側はどうでしょうか……。多くの読者の方に楽しんでいただけたらいいなあ。

 メアリー・スチュアート、マルガリータ・テレサ、イワン雷帝の七人の妃、ジョージ一世妃ゾフィア・ドロテア、アン・ブーリンの、5つの物語です。

 特にアン・ブーリンは多くの作家に何度も取り上げられているので、それだけ人気が高いということでしょうね。でもだからといって、「わたしは全部知っいる」と切って捨てないでほしいというのが作者の気持ちです。

 たとえばこれまでに何十冊、いえ、何百冊の信長の本が出たでしょう。そしてそれらの本はどれも必ずよく知られたエピソードが取り上げられています。初めての読者のために必要だからです。また、よく知っている人にとっても、やはりそこは絶対に読みたいところだからです。

 そもそも、そのよく知られたエピソードは単に「書かれている」のではありません。それぞれの作者の個性で「描写されている」のです。つまり読み物というのは、「何が書かれているか」が面白いのではなく、「どう語られているか」が魅力の源泉なのです。でなければ、信長本はたった一冊あればいいではありませんか。

 「怖い絵」を糾弾する人たちは、「自分は美術に造詣が深いから、ここに書かれていることは全部知っている」「だからダメだ」と言いますが、美術史的新説を出すには、ほとんど生涯をその研究に費やし、それでもようやく1つか2つ、発見できればいいほうです。その1つについて分厚い研究書が出版されるのです(とても尊いことです)。それは、でも美術エッセイというジャンルとは全く別ものです。水彩画を見て、油絵の具の盛り上がりがない、と指弾してもはじまらないのではないでしょうか。わたしがどう語っているか、わたしがこの絵をどう読んだか、そこを見てほしいなあ、とつくづく思います。

 同じように、「残酷な王と悲しみの王妃」は歴史読み物であり、新説発表の研究書ではありません。しばし読者に今の時間を忘れさせ、遠い異国の王妃へと思いを馳せさせることができれば、著者としてはとてもとても嬉しいことなのです。

 (今回は書き手として、ついリキが入ってしまいました。。。反省)

 レンザブローで本書についてインタビューが載りました。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/


☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 6刷になりました♪

「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。

名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463) 


☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)13刷中。

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「怖い絵」16刷中。

怖い絵

☆「怖い絵2」、9刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。6刷中♪

怖い絵3


☆「危険な世界史」(角川書店) 4刷中。
危険な世界史

☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
 
 恐怖と愛の映画102 (文春文庫)

☆わたしのオペラ本 「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社プラスアルファ文庫)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫)



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「プレミアム8」再放送

2010年10月19日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 今春BSハイビジョンで放送された「『怖い絵』で人間を読む」が、来月再放送されることになりました♪

 これは2月&3月にNHK教育「知る楽」で8回連続放送分を再編集し、90分2回に分けたものです。今回は3時間一挙放映です!前に見逃した方はぜひご覧ください。

 特に「イーゼンハイムの祭壇画」は、CGを駆使し、祭壇の絵が観音開きになって次々あらわれる様子が見られます。現地でも解体して展示されているだけなので、これはほんとに見ものです。

●プレミアム8 「“怖い絵”で人間を読む」<前編>
BShi 11月1日(月)15:00~16:29

● 同 <後編>
BShi 11月1日(月)16:30~17:59

 番組テキストは絶版。そのかわりテキストに加筆・再編集して新書化したものがこれです。絵の数はテキストよりだいぶ増え、33点のカラー図版、10点のモノクロ図版入り。

「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書)5刷中

「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

 また先日お知らせしました朝日カルチャーの講演ですが、日が近づいてきました。21日(木)です♪

http://www.asahiculture-shinjuku.com/LES/detail.asp?CNO=89859&userflg=0

  
☆最新刊「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社)
残酷な王と悲しみの王妃

☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。

「明大新聞」での、谷川かおる先生(仏文学者・美術評論家)のご紹介が載りました⇒
http://www.meiji.ac.jp/koho/meidaikouhou/20100801/r_book1.html
 
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463) 


☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)13刷中。

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「怖い絵」16刷中。

怖い絵

☆「怖い絵2」、9刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。6刷中♪

怖い絵3


☆「危険な世界史」(角川書店) 4刷中。
危険な世界史

☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
 
 恐怖と愛の映画102 (文春文庫)

☆わたしのオペラ本 「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社プラスアルファ文庫)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫)



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MET「ドンカルロ」来日!

2010年10月12日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載の「世界史レッスン<映画篇>」第48回の今日は「写真一枚を頼りに」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2010/10/post-043b.html 
 不思議なテイストだった「ピアノレッスン」について書きました。

 さてさて、鬼が笑うような話題ですけど、来年6月にニューヨーク・メトロポリタン・オペラが5年ぶりに来日します。ヴェルディの「ドンカルロ」を引っさげて。

 ミラノスカラ座の引越し公演があったばかりではないか、とおっしゃる方もいらっしゃるでしょうが、あのプロダクションは現地ですでに悪評サクサク。とても見る気になりませんでした。

 今回のMET版は、ホロストフスキー様が出るのです。もしやフィリポ二世(=フェリペ二世)ではないだろうな、それならちょっと嫌だなと思っていました。だって「ハプスブルク家12の物語」にも書きましたが、原作者のシラーはまだ30代のフェリペを「老王」にしてしまい、自分がこんなにお爺さんだから妻に愛されない、とか歌うのですもの(そのくせちゃっかりエーボリと浮気するし)。

 しかし心配は杞憂でした。ホロストフスキー様の役は、主人公ドンカルロの親友ロドリーゴ。やったあ、バンザイ!!この役はすごくカッコいいのです。スペインの現状を憂え、オランダ独立に手を貸す理想主義者。男の中の男。

 おまけにドンカルロの身代わりとなって死ぬのです。そのときのアリアがまた聴きごたえあり、涙なしにはいられません。ドンカルロの腕の中で「わたしを忘れないでください」と歌うホロストフスキー様、もとい、ロドリーゴ。想像しただけで胸がいっぱい。

 「ケッ、死ぬ直前にあんなに歌えるものか。これだからオペラは阿呆らしい」と言う人がいますが、まあまあ、そう言わないで。この非リアリズム感がたまらないのですから。

 しっかりチケットを購入。来年の楽しみができて嬉しいな♪ 

 ☆わたしのオペラ本 「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社プラスアルファ文庫)


☆最新刊 「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 5刷になりました♪

「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

 (本書は今年の2月から3月にかけて、NHK教育テレビ「知る楽」で8回、後にNHK/BSで2回に再編集されて再放送された番組のテキストを、加筆・再編集して新書化したものです。絵の数はテキストよりだいぶ増やしました♪33点のカラー図版、10点のモノクロ図版)
 
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。

「明大新聞」での、谷川かおる先生(仏文学者・美術評論家)のご紹介が載りました⇒
http://www.meiji.ac.jp/koho/meidaikouhou/20100801/r_book1.html
 
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463) 


☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)13刷中。

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「怖い絵」16刷中。

怖い絵

☆「怖い絵2」、9刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。6刷中♪

怖い絵3


☆「危険な世界史」(角川書店) 4刷中。
危険な世界史

☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
 
 恐怖と愛の映画102 (文春文庫)


☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫)
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『残酷な王と悲しみの王妃』

2010年10月05日 | 
 今日は新刊のお知らせです。

 『残酷な王と悲しみの王妃』(集英社)♪

 書店に出るのは10月26日とまだ先なのですが、21日(木)の朝日カルチャーセンターの講演では一足先にサイン付きでの販売ができることになりました。

 詳しくは朝日カルチャーのHP、あるいは「ベルばらkids」でも告知&申し込み手続していますのでごらんくださいませ。⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2010/10/kids-aefa.html#more

 アマゾンにはまだ書影は出ていませんが、今回も「怖い絵」で担当くださったグラフィック・デザイナーの奥定氏がとお~ってもステキな表紙にしてくださいました。使用絵画はベラスケスの「ラス・メニーナス」。ちょっと傾けただけで、この絵はこんなふうに不穏な雰囲気を醸し出すのだと驚きです。そして「悲しみ」という文字が、まるで涙のしずくのように滴り落ちようとしているのです。

 肝心の中身ですが、これは集英社「レンザブロー」にて2年ほど連載していた「王妃たちの光と闇」に加筆訂正した歴史読物です。

 タイトルに聞き覚えのある方がいらっしゃるかも。以前、日経新聞「美の十選」で連載した「傲慢な王と悲しみの王妃」に重ねたのです。

 メアリー・スチュアート、マルガリータ・テレサ、イワン雷帝と7人の妃、ジョージ一世とゾフィア・ドロテア、ヘンリー八世とアン・ブーリンなどが登場します。楽しんでいただけますように!


☆最新刊 「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 5刷になりました♪
産経ニュース「話題の本」♪⇒ http://sankei.jp.msn.com/culture/books/100918/bks1009180748003-n1.htm
他に朝日新聞、赤旗、東京新聞、中日新聞の書評にとりあげられました。

「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

 (本書は今年の2月から3月にかけて、NHK教育テレビ「知る楽」で8回、後にNHK/BSで2回に再編集されて再放送された番組のテキストを、加筆・再編集して新書化したものです。絵の数はテキストよりだいぶ増やしました♪33点のカラー図版、10点のモノクロ図版)
 
☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。

「明大新聞」での、谷川かおる先生(仏文学者・美術評論家)のご紹介が載りました⇒
http://www.meiji.ac.jp/koho/meidaikouhou/20100801/r_book1.html
 
名画で読み解く ブルボン王朝 12の物語 (光文社新書 463) 


☆「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)13刷中。

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

☆「怖い絵」16刷中。

怖い絵

☆「怖い絵2」、9刷中。

怖い絵2

☆「怖い絵3」♪ シリーズ完結篇です。6刷中♪

怖い絵3


☆「危険な世界史」(角川書店) 4刷中。
危険な世界史

☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
 
 恐怖と愛の映画102 (文春文庫)

☆「おとなのためのオペラ入門」(講談社+α文庫)
おとなのための「オペラ」入門 (講談社+アルファ文庫 D 61-1)

☆「歴史が語る 恋の嵐」(角川文庫)。「恋に死す」の文庫化版です。

歴史が語る 恋の嵐 (角川文庫)
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