中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

マリー・アントワネットの遺書&松本清張記念館(世界史レッスン第129回)

2008年09月30日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞公式ブロク「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第129回の今日は「マリー・アントワネットの手紙」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/09/post-8606.html#more
 ちょうど昨日連絡があり、ツヴァイク「マリー・アントワネット」(角川文庫)が4刷になった由。古典中の古典ですから、これからもずっと読み継がれてゆくことでしょう。訳者として光栄に思っています♪

 さてアントワネットの悲痛な最後の手紙。これはけっきょく義妹(彼女も処刑された)の手にはわたらず、ロベスピエールの書類入れに収められた。ひどい話で。。。

 アントワネットの人生を考えると、まるでジェットコースターのように頂点から着地の水飛沫までが速い。人々はそこにさまざまなものを感じ、それが彼女の人気の大きな理由のひとつなのだろう。

 規模は違うけれど、松本清張にも似た点がある。
 小倉に清張記念館があり(なかなか面白いです)、生涯を大きなパネルで詳しく説明しています。すでに自伝を読んで知っていたにもかかわらず、改めて人生の不思議を思いました。

 清張の人生の前半40年は、こう言っては何ですが、社会の底辺を這いずっていたようなもの。貧しくて小学校もろくに通えず、行商したりして働きづめでした。風采も、お世辞にも良くはありません。書物だけが友だったようです。

 そして後半の40年。書く作品、書く作品、日本中で熱狂的に受け入れられ、カッパブックスだけで1000万部以上売り上げ、マスコミにはひっぱりだこだし、映画出演までしています。芥川賞から出発して社会派ミステリの巨匠となり、清張文学と認識されて生前にもう大部の全集が出ました。

 闇の前半、栄光の後半。とても同じひとりの人物の人生とは信じられないほどの落差です。

 アントワネットは上から下、清張は下から上。同じ変化なら、もちろん清張の方がいいですよね~

 「kids」で触れましたが、これまでの「世界史レッスン」は今回でいちおう終わりです。10月からは「世界史レッスン<映画篇>」として再登場しますので、引き続きご愛読くださいませ。
 ただし忙しくなりすぎて毎週は無理となり、隔週になります。でもこちらの「花つむ」ブログは毎週アップの予定ですので、どうぞよろしく♪


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『宮廷画家ゴヤは見た』&不運な皇帝夫妻(世界史レッスン第128回)

2008年09月23日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」128回目の今日は、「夫の処刑も知らぬまま・・・」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/09/post-771e.html#more マクシミリアンの妻シャルロッテの悲しいエピソードについて書きました。

 シャルロッテは夫が処刑されたのを知らないで死んだが、マクシミリアンの方は妻が倒れたとの連絡を受けている。どっちが不幸だったのかな・・・?

 話変わって--
 『オール讀物10月号』(文藝春秋)に「OH!マイヒーロー」というエッセー欄があります。そこへスペイン最大の画家ゴヤについて書きましたので、お読みください♪

 なぜかゴヤ関連が続き、この仕事のあと別の雑誌から、今秋公開予定の『宮廷画家ゴヤは見た』の紹介記事を頼まれ、映画を見ました。これに関しては雑誌が発行されたらまた書きますけど、とりあえず主演のハビエル・バルデムについて(とうぜんバルデムがゴヤを演じるのかと思っていたら違い、架空の神父役でした)。

 わたしが初めてバルデムをスクリーンで見たのは「ライブフレッシュ」。原作がルース・レンデルのスペイン映画で、ちょっとわけわかんない出来でしたが、彼は脇役の刑事を演じていました。主人公にピストルで撃たれて下半身麻痺になり、でも車椅子でプロバスケット選手になる、という設定。

 誰よりも光ってましたね。眼の力が違うのです。ものすごくステキでした。それからずいぶん時がたち、「コラテラル」に出ていたというのですが、全く印象なし。どこにいたのかなあ・・・またしばらくして「海を渡る夢」の主演。知的でユーモアにあふれていて、「ライブフレッシュ」の刑事と同じ人とは気づかなかった。

 そして「ノーカントリー」でのあのオカッパ頭の野獣のごとき殺人者(怖い!)、次いで「コレラの時代の愛」(サイコー♪)。
 でもってこの「宮廷画家ゴヤは見た」の悪党。ずいぶんいろんな役をできるというのではフィリップ・シーモア・ホフマンと同じ。

 ハンサム系のスターはなかなかこうはゆかず、役が限定されがちなので、キアヌ・リーブスも最近は苦しいんですよね。

 以前、授業中の雑談で「わたしはキアヌ・リーブスのファンで」と言うと、男子学生が「先生、あいつはバカですよ。おまけにゲイです」。すかさずわたしも反撃、「なに~!あなたは<ドイツ語不可>決定です!」
 

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長崎出島でのシンクロ(世界史レッスン第127回)

2008年09月16日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第127回の今日は、「ピナテールこそあはれなりしか」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/09/post-5240.html
 医者で歌人の齋藤茂吉に歌われた、フランス人と遊女の恋について書きました。

 ところでピナテールについてはあまり資料がなく、たまたま長崎へ行ったとき出島跡(復元され、観光地になっています)を訪ねてみました。案内係の女性に聞くと、そんな名前は知らないとのこと。がっかり。。。

 それで資料館やらカピタン屋敷やらをぷらぷら廻り、広場のようなところへ出ました。史跡説明のボランティアをする男性とゆきあい、ダメもとで聞いてみました。すると。

 何とわたしたちが今立っているその場所が、ピナテール商会跡だというのです!小さな石碑までありました。うわあ、シンクロですわねえ。

 というわけで、一昨年このブログに書いたシンクロについての記事を、以下、再録ーー

 友人が、こういう実話を聞いた由(ラジオでの情報らしい)。

 --ある人が、具合の悪くなった愛犬を病院へ連れて行った。獣医は「これは重病だ。もう助からない」と宣告。
 帰宅するなり、その犬は突然ダッシュで玄関から走り出て、交通量の多い道路へ飛びだし、轢かれて即死。

 「自殺としか考えられない」
 飼い主はそう言うのだそうだ。なぜなら犬は生まれたときから室内で飼われており、これまで一度も、自分ひとりで外へ出て行ったことなどなかった。獣医に死を宣告され、悲観したに違いない、と--

 確かにそういうことはあるかもしれないなあ。
 象や猫だって、自ら死期を悟るとひっそりいなくなるというし、まして人間に長く飼われていた動物は言葉も解するのだから、獣医は本人(本犬?)の前で無神経な告知をすべきじゃないのでは・・・

 それで思い出したのだが、わたしが直接聞いた、犬にまつわる不思議な話しを2題。

 Aさんは東京で一人暮らし。実家には子どものときから可愛がっている犬がいて、めったに会えないのをお互い悲しがっている。先日、母親から仕事先に電話がきた。犬が右足の爪にひどいケガをして、手術することになったという。

 心配でならないけれど、おいそれとは帰郷できる立場にない。Aさんはその日一日憂鬱な気分で、夜、アパートへ帰った。背広を脱ぎ、靴下を脱ぐと・・・

 なんと右足が血まみれ。
 妙なことに、痛くも何ともない。ただ血が出ているだけ。よく見ると、親指の爪の間に小さな傷ができていた。愛犬がケガしたという箇所と同じだな、とぼんやり頭の隅で感じたそうだ。

 もうひとつはBさん、というより、Bさんのご主人の話し。
 夫婦はマンションの6階住まい。長年そこで犬を飼っていた。慣れたもので、犬は決してベランダへ下りたことがない。

 ところがあるとき、Bさんが買い物へ行っている間に、その犬はベランダから墜落死してしまう。ベランダへのガラス戸を開けたまま出かけたのは確かだが、これまでもいつもそうしていたし、なぜ今回に限って危険を承知でわざわざベランダへ行ったのか、しかも手すりの柵はかなり密なので、中型犬がそこをくぐりぬけるのは至難の業のはず。どうしてそんなことをしたのだろう、今もって謎と言う。

 不思議なのは、しかしこのことではない。

 事故が起こったちょうどそのとき、Bさんのご主人はヨルダンへ出張中だった。一仕事終え、観光のため死海のほとりを歩いていた。すると突然、青く高い空から小鳥がまっすぐ墜ちてきて、彼のすぐそばの石に激突した。

 小鳥の死骸を見て、彼の頭にまっさきに浮かんだのは、愛犬の身に何かあったに違いない、というほとんど確信めいた直感だったのだそう。


 --Aさんは、わりと霊感の強い人である。非常に感度のいい受信機といった趣き。
 一方、Bさんのご主人は、ごりごりのリアリストで科学者で、目に見えないものの存在は絶対信じないタイプ。

 どんなタイプであれ、起こるときは起こるということかしらん・・・



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長崎出島でのシンクロ(世界史レッスン第127回)

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 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第127回の今日は、「ピナテールこそあはれなりしか」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/09/post-5240.html
 医者で歌人の齋藤茂吉に歌われた、フランス人と遊女の恋について書きました。

 ところでピナテールについてはあまり資料がなく、たまたま長崎へ行ったとき出島跡(復元され、観光地になっています)を訪ねてみました。案内係の女性に聞くと、そんな名前は知らないとのこと。がっかり。。。

 それで資料館やらカピタン屋敷やらをぷらぷら廻り、広場のようなところへ出ました。史跡説明のボランティアをする男性とゆきあい、ダメもとで聞いてみました。すると。

 何とわたしたちが今立っているその場所が、ピナテール商会跡だというのです!小さな石碑までありました。うわあ、シンクロですわねえ。

 というわけで、一昨年このブログに書いたシンクロについての記事を、以下、再録ーー

 友人が、こういう実話を聞いた由(ラジオでの情報らしい)。

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 確かにそういうことはあるかもしれないなあ。
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 Aさんは東京で一人暮らし。実家には子どものときから可愛がっている犬がいて、めったに会えないのをお互い悲しがっている。先日、母親から仕事先に電話がきた。犬が右足の爪にひどいケガをして、手術することになったという。

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 もうひとつはBさん、というより、Bさんのご主人の話し。
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 不思議なのは、しかしこのことではない。

 事故が起こったちょうどそのとき、Bさんのご主人はヨルダンへ出張中だった。一仕事終え、観光のため死海のほとりを歩いていた。すると突然、青く高い空から小鳥がまっすぐ墜ちてきて、彼のすぐそばの石に激突した。

 小鳥の死骸を見て、彼の頭にまっさきに浮かんだのは、愛犬の身に何かあったに違いない、というほとんど確信めいた直感だったのだそう。


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「美の十選」(日経新聞)&「映画の中のクラシック」(母の友10月号)

2008年09月12日 | 音楽&美術
 毎火曜日に朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載している「世界史レッスン」は、今週は旅行のためお休みしました。

 日経新聞朝刊で連載の「尊大な王と悲しみの王妃」(「美の十選」)は、今日が最終回です。ご愛読、ありがとうございました。
 これまで取り上げた10作品は、以下ーー

①ダヴィッド「ナポレオンの戴冠式」
②ルーベンス「マリー・ド・メディシスのマルセイユ上陸」
③リゴー「ルイ14世像」
④ベラスケス「王妃マリアナ」
⑤クルーエ「フランソワ1世像」
⑥伝ガウアー「エリザベス1世像」
⑦メンツェル「フリードリヒ大王のフルートコンサート」
⑧ゴヤ「カルロス4世家族像」
⑨ヴァン・ダイク「狩場のチャールズ1世像」
⑩ヴィジェ=ルブラン「マリー・アントワネットと子どもたち」

 さて、わたしは福音館の月刊誌「母の友」で、ビデオ評をもう9年続けています。10月号では、この担当コーナーのほかに、特集記事「映画の中のクラシック」も書きましたので、どうぞお読みください。

 取り上げた映画と音楽は、以下ーー

①「リトルダンサー」&「チャイコフスキーの白鳥の湖」
②「ビフォア・サンライズ/恋人までの距離(デスタンス)」&「バッハのゴールドベルク変奏曲」
③「ヒトラーの贋札」&「シュトラウスのこうもり」
④「アザーズ」&「ショパンの告別」
⑤「危険な情事」&「プッチーニの蝶々夫人」
⑥「幸福」&「モーツァルトのクラリネット五重奏曲」

 「ビフォア・サンライズ」は、ブダペストからウィーンへの列車の中で、アメリカ青年とフランス娘が運命的な出会いをするという、実に可愛らしい映画です。

 これに関して我が担当編集者Mr.I.(独身。花嫁さん募集中?)が、この雑誌の編集後記に似たような体験を書いていました。学生時代、ヨーロッパ旅行中の列車でフランス女性に話しかけられたのだそうです。
 「すわ「ビフォア・サンライズ」か!と思ったものの、いかんせん、話しがまるで盛り上がらず、しまいには寝たふりをしてしまった」

 ちょっと情けないですね~
 

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ガルシア・マルケス「コレラの時代の愛」

2008年09月02日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン」第126回の今日は「コレラの時代」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/09/post_06d5.html#more
 江戸時代に日本でも3度大流行をみましたが、その中でも最大規模だった「安政ころり」について書きました。あまりにひどい病気のため、「狐狼狸(ころり)」という漢字を当てて怖れていたようです。

 日経新聞連載「美の十選」では、
 昨日1日(月)リゴー「ルイ14世」
 今日2日(火)ベラスケス「王妃マリアナ」を書きました。

 さて、映画の「コレラの時代の愛」についてですが、これはわたくし的にはとても面白かった! ガルシア・マルケスのは「エレンデラ」にせよ「キング罪の王」にせよ、何というか、ものすごく違和感を覚え、南米の苛烈な世界観はかなわないなあ、という感想しかなかったのですが、本作は違いました。

 違和感はもちろんあるのです。リアリズムと法螺話の混交、ユーモアと悲惨の混交が、日本人的文脈とは相容れないものですからなかなかすんなり受け入れられず、ちりちり皮膚を刺される感じなのですが、「愛」というテーマはそれら小さな差異を圧倒するのでしょうか、数々のありえない話の積み重ねの後に、ふいに愛の真実が立ちのぼる、といった深い感動を覚えました。

 50年以上も愛し続ける、というのは抽象的にはありえても、リアルな現実を思えば、相手の女性は70歳を越えているわけです。それでもなお彼女とベッドインしたいと願う心も抽象的にはありえても、リアルな現実では、自分も彼女の肉体も、早い話、老いさらばえているわけです。

 映画は(もちろん特殊メイクですけど)、そんな彼女の、老いてしなびた肉体、シミの浮き出た肌を、敢えてスクリーンに映し出します。前半で観客は彼女の若いころの輝く裸体を眼にしていますから、主人公がその美しかったころの彼女の姿は知らず、今初めて見る体がこれなのだ、と思うとどうしても哀れを覚えしまう。でもそれは凡人の感覚でしかない。

 続くベッドシーンには、涙があふれてしまいました。
 主人公の法悦が、熱風のように吹き付けてきて。。。。。

 「恋は恩寵です」ーー彼は恋文にそう書きましたが、ほんとうにほんとうにそうなのだと納得させられたのでした。


☆最新刊「ハプスブルク家 12の物語」(光文社新書)、3刷になりました♪ 
 担当編集者さんを同じくする宮下誠さんが、ご自身のブログでご紹介くださいました。⇒ http://ameblo.jp/kegel/entry-10130612338.html 

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