朝日新聞「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第4回の今日は、「こんなに愛しているのに、なぜ・・・」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2008/11/1827-024d.html#more
ゲーリー・オールドマンがベートーヴェンに扮した『不滅の恋』について書きました。
さて、先月の続き「墓場に近き老いらくの恋」です。
川田順は、恋人俊子の夫、中川教授と懇意だったため、自分の裏切り行為に苦しむ。やがてふたりの仲が教授に知られると、意を決して「奥さんを自分にください」と頼みに行くが、当然ながら会ってはもらえなかった。
「貴君とは永久にお目にかかりません」という返事が人づてにとどいた。
そのうち俊子は子どもたちをおいて、川田のもとへやってくる。すぐ連れもどされる。夫婦喧嘩が始まる。寂しくなった川田が迎えにゆく。また俊子は家出する。そんな繰り返しで彼女はノイローゼになるし、川田まで死を考えるようになった。
死なむと念ひ生きむと願ふ苦しみの
百日つづきて夏去りにけり
こうして晩秋の深夜、恋の重荷に耐えかねた川田は、前妻の墓のある寺の境内で自殺をはかる。幸い発見が早くて一命はとりとめたものの、マスコミにかぎつかれて大スキャンダルになってしまう。
どの新聞にも「老いらくの恋」の見出しが躍った。それは川田の次の歌がもとになっている。
若き日の恋は はにかみて
おもて赤らめ 壮子時(おさかり)の
四十の恋は 世の中に
かれこれ心配れども
墓場に近き老いらくの
恋は 怖るる何ものもなし
姦通、自殺未遂、世間からの嘲笑・・・「驕りたかぶっていた」かつての川田は、ある意味、死んでしまい、それによって罪ある恋は赦された。
俊子の離婚が成立し、翌年、ついにふたりは結ばれる。幸せなこの結婚は、川田が84歳で亡くなるまで続いた。
「老いらくの恋」という言葉は流行語になり、今に至るまで定着している。そして彼の熱い歌の数々も、わたしたちの胸を妖しくかき乱す。
☆☆集英社WEB文芸「レンザブロー」で今月から開始の連載「王妃たちの光と闇」はこちら⇒ http://renzaburo.jp/contents/022-nakano/022_hyoshi_001.html
☆☆集英社『青春と読書12月号』に「革命の激震、周辺国を揺るがす」を書きました。⇒ http://seidoku.shueisha.co.jp/seishun.html
☆最新刊「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」(光文社新書)、5刷中。
日経ビジネスのウェブサイト「日刊新書レビュー」で紹介されました⇒ http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20081104/176188/
![名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/317DmprK0ZL._SL160_.jpg)
☆最新刊「危険な世界史」(角川書店)
毎日新聞に書評が出ました⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html
![危険な世界史](http://ecx.images-amazon.com/images/I/41OcgjypoCL._SL160_.jpg)
☆「怖い絵2」、刊行半年。5刷になりました♪
![怖い絵2](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51DISobTrZL._SL160_.jpg)
☆『怖い絵』、10刷になりました。ありがとうございます♪
ゲーリー・オールドマンがベートーヴェンに扮した『不滅の恋』について書きました。
さて、先月の続き「墓場に近き老いらくの恋」です。
川田順は、恋人俊子の夫、中川教授と懇意だったため、自分の裏切り行為に苦しむ。やがてふたりの仲が教授に知られると、意を決して「奥さんを自分にください」と頼みに行くが、当然ながら会ってはもらえなかった。
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こうして晩秋の深夜、恋の重荷に耐えかねた川田は、前妻の墓のある寺の境内で自殺をはかる。幸い発見が早くて一命はとりとめたものの、マスコミにかぎつかれて大スキャンダルになってしまう。
どの新聞にも「老いらくの恋」の見出しが躍った。それは川田の次の歌がもとになっている。
若き日の恋は はにかみて
おもて赤らめ 壮子時(おさかり)の
四十の恋は 世の中に
かれこれ心配れども
墓場に近き老いらくの
恋は 怖るる何ものもなし
姦通、自殺未遂、世間からの嘲笑・・・「驕りたかぶっていた」かつての川田は、ある意味、死んでしまい、それによって罪ある恋は赦された。
俊子の離婚が成立し、翌年、ついにふたりは結ばれる。幸せなこの結婚は、川田が84歳で亡くなるまで続いた。
「老いらくの恋」という言葉は流行語になり、今に至るまで定着している。そして彼の熱い歌の数々も、わたしたちの胸を妖しくかき乱す。
☆☆集英社WEB文芸「レンザブロー」で今月から開始の連載「王妃たちの光と闇」はこちら⇒ http://renzaburo.jp/contents/022-nakano/022_hyoshi_001.html
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毎日新聞に書評が出ました⇒ http://mainichi.jp/enta/book/shinkan/news/20080903ddm015070149000c.html
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☆『怖い絵』、10刷になりました。ありがとうございます♪