中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

大塚美術館、再訪

2011年06月28日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第65回の今日は、「もうすぐおまえもこうなる!」⇒ nifty.com/bbkids/2011/06/post-490f.html#more
 アンジェイ・ワイダの「ダントン」について書きました。

 タイトルは、断頭台行きの荷馬車の中からダントンがロベスピエールに向かって叫んだ言葉。しかしおそらくダントン自身、まさかたった2ヵ月後にほんとうにそうなるとは思っていなかったのではないでしょうか。革命の怒涛の流れはそれほどまでに速かったということです。

 さて、昨日は雑誌のお仕事で、また徳島の大塚美術館に行ってきました♪

 前日は台風、今日はANA組合のストがあるかもしれないという、けっこうヒヤヒヤのとんぼ返りでした。でもフライトは順調。眼下にすばらしい雲海が広がり、こんな景色を見たこともなかった画家たちが、想像を駆使して雲上の神々(ゼウスやアポロンetc.)を描いたことに、今さらながら感嘆してしまいます。

 大塚美術館では「怖い絵ツアー」も継続中なので、ぜひご覧になってくださいね!
⇒ http://www.o-museum.or.jp/info/event/100425_87.html  
 毎週おこなっていますが、7月はもう3回分が満員になっています。お急ぎくださいませ♪


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 レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)

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セザンヌとゾラ

2011年06月21日 | 音楽&美術
 いま六本木の新美で開催中の「ワシントン・ナショナルギャラリー展」には、セザンヌの父親像も初来日しています。この絵に関しては最新刊「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)にも取り上げました。

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 今日は、この本に書かなかったことを少し--セザンヌとエミール・ゾラの友情と破綻について。

 ふたりは14歳と13歳で知り合い、親友になります。セザンヌの父は帽子屋から銀行家に成りあがった、典型的な成金男で(後年ゾラは「冷淡、吝嗇、己の経済力を基に人を嘲る」と評しています)、一人息子をむりやり坊ちゃん学校へ入学させたのです。とうぜんセザンヌは苦しみます。

 一方、片親に育てられた技師の息子ゾラもまた、同じ学校で周りの学生との身分差ゆえに苦しんでいました。浮いた存在のふたり、たちまち仲良くなり、共にパリへ出て成功しよう、と誓いあいます。絵画と文学、方向こそ違え、互いに相手の才能を信じ、夢を大きく持っていました。

 それから20年後、ゾラは一流の人気作家となり、富裕者の仲間入りし、幸せな結婚(愛人も)手に入れましたが、セザンヌは相変わらず無名。それでもゾラは親友に経済的援助をしていました。

 さらに10年後、ゾラの名声はいよいよ高まっていましたが、セザンヌの芸術は誰からも認められないままでした。そしてゾラの胸に怖ろしい疑惑がわくのです。セザンヌはほんとうは才能が無いのでは…?
 その疑いがセザンヌに通じないわけはなく、長く続いた友情はついに終わりをむかえたのでした。

 セザンヌは40代後半からは、父の莫大な遺産を継ぎ、ようやく経済的に安定します。そして絵を売る必要がないので、ますます自分の思想を深めてゆきますが、作品はけっきょく彼の生前、認められることはありませんでした。

 セザンヌの死の数年前、ゾラもまた亡くなっていますが、その死は。。。こちらは拙著に詳しく書きましたのでお読みくださいね。


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MET「ドン・カルロ」~熱狂の一夜

2011年06月14日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第64回の今日は、「世界が注視した夫婦喧嘩」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2011/06/post-2ce6.html#more
 見応えある「終着駅 トルストイ最後の旅」について書きました。

 さてさて、先日は5年ぶりのメトロポリタン・オペラを見てまいりました。「ドン・カルロ」!ヴェルディ作品中、一番のボリュームです。今年前半最大の楽しみでした。

 ところが。。。

 今回のプロダクションの「売り」は、現在もっとも華やかでビジュアル的にも完璧な大スターを5人もそろえた、だから高額チケットなのも当然、ということでしたのに、な、なんと、5人のうち3人が交代、しかもスター指揮者レヴァインまで交代という、とんでもない事態に!

 歌手は肉体が楽器という過酷さですから、時に変更はやむを得ません。わたしもこれまでに何度かそういう経験をしています。でもそれが許されるのは、せいぜいひとりかふたりでしょう。ところが今回は指揮者も含めると6人中4人が交代ですから、いくら震災が一因とはいえ、チケット払い戻しに応じないのはとうてい納得できません。そうとうなクレームがきたはずです。

 タイトルロールのドン・カルロ役は、輝くスター、ドイツ人のカウフマンから、韓国人のヨンフン・リーへ。大丈夫か?劇場中が固唾を呑み、せめてふつうに歌ってくれよ、と祈る気持ち。

 ところが。。。

 リーはアジア人であることを忘れさせる大音量、美声、何より猛烈な熱気で、舞台をぐんぐん熱くさせたのです!

 ロドリーゴ(ホロストフスキー様♪)との二重唱の後、固く抱き合う場面では、ど~んと抱きついて火花が散るばかり。へヴィーな重唱の多いオペラなので、相手の熱さは感染します。次第に歌手も、オケも、観客も、興奮の度を深め、稀に見るヒートアップしたオペラの一夜になったのです。大大満足!

 禍転じて福となる。
 明日のスター、リーの誕生を目の当たりにし、期待に違わぬホロストフスキーとパーぺのオーラの凄さにくらくらし、あ~、もっともっと聴いていたいなあと席をたつのが惜しいほどでした。

 ちなみにドン・カルロというのは、スペイン・ハプスブルク家の王子さま。フェリペ二世の出来の悪い息子です。オペラでは老王のフェリペでしたが、ほんとうはこの時まだ三十代。息子よりずっとマシだったということは、拙著「ハプスブルク家12の物語」で書いたとおり。オペラでしかドン・カルロを知らない方は、ぜひ読んでみてくださいね!

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新刊「印象派で「近代」を読む」は明日発売♪

2011年06月07日 | 
 最新刊「印象派で「近代」を読む ~光のモネからゴッホの闇へ~」(NHK新書)が、明日、書店に並びます♪

印象派で「近代」を読む―光のモネから、ゴッホの闇へ (NHK出版新書 350)
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 これは去年、ドガ「エトワール」が日本に初来日したとき、横浜美術館でおこなった講演をもとに書き下ろしたものです。

 この時の講演は幸いにも好評で、終了後2社さんから書籍化を、とオファーがあったのです。美術館サイドがDVDを撮ってくださっていたので、それをおこせば一冊になるかと思っていたら、そんなに楽なものではなく、けっきょくかなり書き加え、絵も前著「怖い絵で人間を読む」と同じくらい多数掲載しました。

 今年はわたしにとっての印象派イヤーなのかな?
 お正月には韓国のテレビに出て、やはり「エトワール」のお話をしました(「怖い絵」の韓国語訳が出ている関係でお話がきました♪)。「芸術新潮6月号」ではワシントン・ナショナルギャラリー展の印象派解説の仕事をしたばかり。そして本作です。

 実は絵の好みでいえば、わたしは意味や物語の詰まったオールドマスターに傾いていました。ルーベンスやブリューゲルなどはオペラ、印象派はポップスという感じかな。でももちろんそれぞれの良さや魅力があって、比べられるものではないのかもしれませんが。

 どの美術館でも、いつもならサッとまわるだけだった印象派。今回ほどじっくり見た経験は初めてでした。モネってすごくいいんだなあ、と改めて思いました。すると意外にも、「芸新」の担当編集者さんもNHK出版の編集者さんも、同時に「モネはいいですね!」

 というわけで、これは全くの偶然で、「芸新」の表紙と新書の帯が、同じモネの「日傘の女性」になってしまいました!帯の絵はもちろんわたしと編集者さんで選んだのですが、「芸新」の表紙は出るまで知らず、ほんとに驚いてしまいました。

 でもこの作品はほんとに涼やかですよ~ ナショナルギャラリー展に出品されますので、ぜひ本物を味わってくださいね!



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