中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

ピンク色の暴力

2006年04月05日 | 雑記
 我が家は比較的閑静な住宅街にあります。半年ほど前、南面ベランダから道を隔てた斜め前に、一軒の家が建ちました。壁全体が・・・まっピンク!!

 隣接する家々はどれも茶系かグレー系の落ち着いた色合いで、高さ制限もあるのでわりに落ち着いた雰囲気だったのです。そこへこの突拍子もない色の暴力。

 ディズニーランドじゃあるまいし、これって許されるのかなあ。個性だの自由だのというのと少し違う気がするんだけど。しみじみ斜め前でよかった。もしすぐ目の前なら、カーテンを開けるたび飛び込んでくるわけだから、発狂してしまうと思う。

 淡いピンクじゃないのです。汚い、泥くさい、醜悪な、人工的な桃色。そこへもってきて木製のバルコニーがぐるりと2階を取り巻いていて、それがテカテカに光らせた焦茶色。センスがないのはいいのですが、「勘弁してくださいよ」です。ご本人たちは中で暮らしているので、こんな最悪の建物を見ずにすんで羨ましい。

 そもそもピンクという色が象徴するのは、「肉体」「女々しさ」「赤ん坊」「肉感性」「青春」「歓喜」。建物の外壁に塗りつけるには、恥ずかしいはずです。
 
 ついでながら「同性愛」の象徴もピンク色。ナチスが強制収容所に同性愛者を収容し、彼らにピンクの記章を付けさせていたのは有名な話し(ユダヤ人は黄色の記章でした)。タランティーノの映画「レザボア・ドッグス」で、強盗仲間がそれぞれレッドやホワイトと色のあだなをつけて呼び合うことにしたとき、ピンクとつけられた男が嫌がって抵抗したのは、これをふまえてのこと。

 美しいピンク色は好きです、もちろん。






 

 

 
コメント (5)
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