中野京子の「花つむひとの部屋」

本と映画と音楽と。絵画の中の歴史と。

陽光のもとで暗い家

2011年02月22日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第57回の今日は「おおぜい愛妾がいても」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2011/02/post-52a0.html#more
チャールズ2世時代が背景の「恋の闇、愛の光」について書きました。

 ロバート・ダウニーJr.、メグ・ライアン、ヒュー・グラント、イアン・マッケランなど芸達者がたくさん出ているし、衣装や美術はすばらしいのに、映画としては何ともはや惜しい出来にとどまってしまって残念。リメイクされないかなあ。

 さて、昨日は4時間もの口述でへろへろ。帰りの電車で仕事の本を読むつもりで持参していましたがとてもそんな元気はなく、立ち寄った書店で「新耳袋コレクション」というのを買って読みました。いや~、怖面白かった!

 それで思い出しましたが、以前、新築マンションを見に行ったときのこと。東南の角部屋で2階か3階、というこちらの要望にぴったりのがあります、というので不動産屋さんに連れて行かれたそのマンション。。。

 雲ひとつないピーカン天気の日でしたが、車から降りてそのマンションを見た瞬間、わたしは「暗いな」「嫌だな」と思ったのです。南向きで日が当たっているのにです。

 これまでならすぐ中へ入るのに、なぜか東側の道路を見たいからと、曲がりました。自分でも自分の行動がよくわからないまま、ずんずん歩いていったのです。

 すると道の突き当たり(つまり購入を勧められていた部屋の真下に当たる場所)に稲荷神社があり、その前でワイシャツ姿の若い男性がうずくまっていました。見た瞬間、何時間も同じ姿勢で祈っていたらしいのがわかりました。

 思い出すと今でもぞっとします。とにかく異様な雰囲気でした。不動産屋さんをふり返ると、相手も顔を蒼ざめさせ、わたしが何も言わない先に「ここはお勧めしません」と言ったのです。連れてきたのはあなたでしょう、と突っ込みたいところですが、その時はとっととその場を逃げようという気持ちでいっぱい。帰りの車中、誰もが無言。

 あとから知ったのですが、そのマンションは広さや場所に比して売れ残りが多かった由。やはり何となく、不穏な気配がたちこめているのを人は感じるからじゃないのかなと思った次第でした。直感は大事。



☆最新刊「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
 レンザブローで本書についてインタビューが載っています。お読みくださいね!⇒ http://renzaburo.jp/(「特設サイト」をクリックしてください)

残酷な王と悲しみの王妃

 
☆「『怖い絵』で人間を読む 」(NHK出版生活人新書) 7刷中。

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「新書大賞2011」15位に「『怖い絵』で人間を読む」が選ばれました♪

2011年02月15日 | 
 今年も「新書大賞」の発表がありました。

 去年の新書刊行点数は1500以上!驚きの大生産ですね。その中から、20点が選ばれました。書店員、書評家、各社新書編集部(自社作への投票は禁止)、新聞記者70名による投票です。

 拙著「『怖い絵』で人間を読む」が15位になり、メデタイ♪

「怖い絵」で人間を読む (生活人新書)

 どんな本がランクインされたか、以下に書きとめておきましょう。

1位  「宇宙は何でできているのか」
2位  「デフレの正体」
3位  「街場のメディア論」
4位  「戦争と公平感」
5位  「伊藤博文」
6位  「葬式は、要らない」
7位  「希望難民ご一行様」
8位  「田中角栄の昭和」
9位  「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」
10位 「創られた「日本の心」神話」
11位 「残念な人の思考法」
12位 「天才 勝新太郎」
 同  「日本映画「監督・俳優」論
14位 「ハングル語の誕生」
15位 「『怖い絵』で人間を読む」
 同  「愛と憎しみの新宿」
17位 「発達障害に気づかない大人たち」
18位 「生物多様性とは何か」
 同  「物語 エルサレムの歴史」
20位 「電子書籍の衝撃」

 毎年感じることですが、芸術系は不利かも。。。

 実は2年前も「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」がランクインしたんですよ!(今年と方式は違っていましたが)

名画で読み解く ハプスブルク家12の物語 (光文社新書 366)

 「ベルばらkidsぷらざ」で漫画オペラシリーズの第二弾2冊分の読者プレゼントをおこなっていますので、応募してみてくださいね!
⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2011/02/kids-097e.html#more

「トゥーランドット」 プッチーニの最高傑作がすばらしい漫画になりました!

トゥーランドット 【マンガでオペラ4】

「蝶々夫人」 某音大で講義をもっていたとき、「蝶々夫人(マダム・バタフライ)は、パリのマダムの話かと思っていましたあ」と言った学生がいました。確かに、オペラに関心なければそう思ってしまいますよね。日本女性が世界の男性の憧れとなったルーツがこれ!

蝶々夫人 【マンガでオペラ3】


☆最新刊「残酷な王と悲しみの王妃」(集英社) 2刷中。
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残酷な王と悲しみの王妃

 

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『武士の家計簿』のヒット祝い

2011年02月08日 | 朝日ベルばらkidsぷらざ
 朝日新聞ブログ「ベルばらkidsぷらざ」で連載中の「世界史レッスン<映画篇>」第56回の今日は、「これのどこが悪女?」⇒ http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2011/02/post-2db4.html#more
 リース・ウィザースプーン主演『悪女』について書きました。

 このごろ映画のタイトルがひどいなあと思っていますが、これもそのひとつ。まあ、原題をただカタカナにしてしまう(しかも冠詞抜き!)よりはマシかもしれませんが、『悪女』がまさか『虚栄の市』だなんて、わたしもつい最近、教えてもらうまで全然知りませんでした。

 原作を読んでいる人は少ないかもしれませんが、古典としてタイトルだけは知っている、という人は多いと思うのに。。。この調子では、いつか『風とともに去りぬ』も『悪女』に変えられてしまいそう(ブルル)

 次は邦画の話題。

 先日、昔の仲間たちと飲み会がありました。千野隆司氏をはじめとした時代小説家や東洋占星術師や元大手建設会社アメリカ支社長といった、不思議な?集まりです。

 『武士の家計簿』のヒット祝いも兼ねました。というのはこの映画の脚本を書いた柏田道夫氏も仲間のひとり。いろいろ裏話が聞けて面白かったです。

 本人も侍姿でちょこっとエキストラをやったとかで、写真も見せてもらいましたが、ちょんまげを結うと、もう全然別人になるのでびっくり。仲間ゆきえさんとのツーショットでは、「美女と野獣」?でした。。。


☆ヤマハ・オペラ・マンガシリーズ、「カルメン」「椿姫」に続いて3巻と4巻が発売されました♪(画像をクリックするとアマゾンへゆきます)

「トゥーランドット」

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「蝶々夫人」

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3人のアン・ブーリン

2011年02月01日 | 映画
 「残酷な王」の筆頭にあげられるヘンリー8世は、何度も映画に登場しています。必然的にアン・ブーリンも描かれるわけで、今日は3人の女優それぞれのアンについてーー

 最新作『ブーリン家の姉妹』(ジャスティン・チャドウィック監督、2008年公開)のアンは、ナタリー・ポートマン。理知のかった正統派美女。しかし王は、優しくて何でも言いなりになる妹スカーレット・ヨハンソンに恋します。

 この映画は(原作も)史実と少し違い、アンは妹が王の恋人になってから、自分をブラッシュアップするため数ヶ月フランス宮廷へ行儀見習いに行ったという設定になっています。大変身して帰国し、妹から王を奪ったという話の流れなのですが。。。

 あいにくナタリー・ポートマンは、フランス渡航前も後も、全然変わって見えません。すでに十分魅力的でしたし、もどってからもその魅力に変化が生じたようには思えず、観客としては釈然とせず。
 しかしギラギラした野心はとても良かった。

 『1000日のアン』(チャールズ・ジャロット監督、1970年公開)のアンは、ジュヌヴィエーヌ・ビジョルド。美人ではないけれど、ツンと上向いた鼻と勝気な強い眼と、全体に何とも愛らしさの漂う、不思議な女優で、イメージ的には全くイギリス人的ではなく、だからかえってアンにぴったりでした。

 『わが命尽きるとも』(フレッド・ジンネマン監督、1966年公開)のアンは、なんとバネッサ・レッドグレイプ。大柄でがっちりした彼女は、フェミニズムの闘士然としているので、ミスキャストだろうと思いきや!

 彼女の出演シーンはわずか1回。
 でもそこに至るまでさんざんヘンリー(こちらはロバート・ショーで、やはり素晴らしかった)の暴虐ぶりと周囲の恐怖が描かれているので、このシーンは強烈です。誰に対しても高圧的で手におえない王が、アンにだけは腑抜け状態であることが示されるのです。

 アンは特に媚態を見せるでなく笑顔で王に近づき、計算ずくの仕草で、彼の耳にふうっと息を吹きかける。演技巧者のふたりの役者の、なりきりぶりが凄いので、たちまち彼らのベッドでの様子までもが想像できるような、エロスの立ち上りようでした。

 わたしのアン・ブーリン解釈は、こちら♪
   ↓
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☆光文社新書「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」3刷中。

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☆「恐怖と愛の映画102」(文春文庫)
 
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