経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

どこへ行くか知財信託

2006-12-09 | 知的財産と金融
 知財信託が可能になった信託業法の改正に続き、信託の基本法である信託法が改正されます。改正のポイントは、事業を信託の対象にできる「事業信託」や、自分の財産を自ら信託する「自己信託」が可能になるそうです。
 知財信託との関係を考えると、直感的には資金調達型(特に特許権を信託するもの)にかなり影響があるのではないかと思います。将来のキャッシュフローを裏付けにして資金調達を行うのであれば、権利の安定性に難があり、権利範囲もわかりにくい特許権を対象にするより、事業から生じるキャッシュフローのほうがはるかに明確で投資家にとってのリスクがわかりやすいからです。私個人が投資する立場にあるならば、無効リスクなどとりたくないですから、迷わず事業の受益権を選ぶでしょう。また、同じ将来のキャッシュフローを活かして資金調達をするのであれば、事業全体を対象にしたほうが調達可能額も大きくなるはずなので、わざわざ特許権に範囲を限定する必要性は乏しくなるように思います。そう考えてみると、特許権を対象とする知財信託は、(今も実質的にはそんな感じですが)管理型に絞られていくのかもしれません。
 資金調達という視点で考えると、事業信託は知財信託よりもかなり実現性がありそうです。しかしながら、調達する企業にとっては事業の将来収益を売り渡してしまうことになるので、信託期間(≒調達資金の実質的な返済期間)が終了するまでは、事業を行いながらもお金は投資家にスルーしていく状況が続くことには留意が必要なのではないでしょうか(ソフトバンクモバイルの資金調達みたいな話ですが)。


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