経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

価値評価・・・

2010-10-18 | 知的財産と金融
 今週金曜にIPアカデミーという講座で「知的財産と資金調達、知的財産の価値評価」を担当するので、この週末はその資料作成で机にベッタリでした。元々は「価値評価」が主題だったのですが、諸々考慮して「資金調達」を前段に付けさせていただいた次第です。
 「価値評価」というと、新味のあるテーマ(私が担保評価に取り組んでいたのはもう15年前なので、実はそんなに新しくもないんですが・・・)なので、「知財戦略」「知財経営」なんかと並んで何となく‘川上系’に見えがちです。でも、「価値評価」は手段であり、「研究開発投資」⇒「資金需要」⇒「資金調達」⇒「デッドファイナンス」⇒「知的財産権担保」⇒「価値評価」といった位置付けにある、もろに末端というか、‘川下系’のテーマです。
 これが同じ‘川下系’でも、例えば、「競争力強化」⇒「競合との差異化」⇒「類似品の排除」⇒「特許権の行使」⇒「均等論の要件」の流れで出てくる「均等論の要件」といったテーマであれば、川上に何があるかについてのコンセンサスがあり、川下という位置付けを認識した上での議論がされていると思うのですが、「価値評価」は源流がいろいろある(資金調達、知財流通、発明評価etc.)のを横串で指したようなテーマであることに加えて、時として川下から川上に遡るのような主張(「知的財産の価値を評価できれば資金調達ができるはずだ!!」etc.)が出てきたりして、話が堂々巡りになりがちです。何も考えずに、価値評価の手法だけ淡々と説明するという選択肢もあるのでしょうが、それでは4時間も話が続きそうもないことに加えて、結局は川上が見えないまま、何に活かし得るのかがよく見えないままの、目的のない準備体操になってしまいかねません。
 そうしたことから、いろいろある源流の中から川上を「資金調達」に設定し、そこから川下に向かうストーリーの中で価値評価の位置付けを検討する内容にまとめてみることに。それにしてもこの作業、なかなか大変です。


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2 コメント

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他者を制御する手段としての知財権の価値 (久野敦司)
2010-10-19 05:56:48
知的財産権を資金調達の手段として価値評価するという事もあるとは思いますが、知的財産権の価値の根本はやはり、「他者を制御する手段」としての価値であると思います。

競合企業を知的財産権の権利範囲の事業から排除する機能、知的財産権の権利範囲内の事業に関して顧客から受注を誘導する機能、新たな市場を形成する新システムの要素技術の知的財産権を保有することで新システムの共同開発や標準化活動に参加して先行者利益を確保できる機能などをはじめとして多くの類型での「他者を制御する手段」としての知財権の価値があります。

「他者を制御する手段」である知的財産権を用いて資金調達をするということは、「他者を制御する手段」としては知的財産権を活用しないという事であり、本来のものではなく、仕方なくというものだと思います。
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Unknown (土生)
2010-10-20 21:05:04
久野様

コメント有難うございます。

今回いただいたコメントのように、やはり「価値評価」というのは様々な場面で必要になることがある手段なので、川下でテーマを設定すると、そこからイメージすること・知りたいことが人によって様々なので、話が発散しやすく、難しいところです。
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