経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

経験知の蓄積

2008-01-03 | 知財一般
 一昨日引用した「統合化された知的資産マネジメント」について。知財業務の位置づけを統合的に整理するという点では意欲的な著作と思いますが、個別の内容については抽象論が多く、率直なところ「そらそうよ」という部分が少なくありませんでした。これは本書に限ったものではなく、多くの知財戦略・知財マネジメントに関する書籍に共通する感想です。
 一方で、わかってるのならオマエできてるんか、と問われると、お恥ずかしながら、実績としてまだまだ大したことができているとはとても思えない。では、実績を上げるためにまだ不足している要素は何なのかということを考えると、それは「経験に裏付けられた、体で覚えた知識」なのではないかと思います。
 昨日放送された「プロフェッショナル・仕事の流儀/イチロー・スペシャル」で、茂木健一郎が「頭で理解した情報より、体の神経を介した情報のほうが脳によく伝わる」というようなことを言っていました。知財業務の場合は、物理的に体の神経から伝わってくるという性質のものではありませんが、それでも情報として得た知識と経験から得た知識の質の違いは明らかであると思います。抽象的な知財戦略本と丸島先生の「キヤノン特許部隊」の読後感の違いも、そこから生じるものなのではないでしょうか。
 知財の世界で質の高い仕事を実践するためには、おそらく経験知(実務だけでない多様な経験に基づくもの)の蓄積が不可欠になってきます。一方で、実務家である以上はルーチン(実務)に一定の時間を割くことは避けられない。これを両立していくためには、双方のパフォーマンスをもっと高めていかなければいけません。


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