経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

「木を見て森を見ず」防止策

2006-11-14 | 企業経営と知的財産
 昨日は知財デューデリについて考えましたが、デューデリでも知財業務を始めるときでも同じことだと思いますが、ベンチャー企業の知財の状況を診断する際には「木を見て森を見ず」ということにならないことが肝心だと思います。
 そのために私がよく使う手法ですが、最初にこういう順序でヒアリングをすることが有効ではないかと思います。このヒアリングは役員レベル、できれば社長を対象に行いたいところです。
 まず、
御社の商品(サービス)が顧客から選ばれる理由は何ですか?
と尋ねることによって、その企業の差別化要因となっている要素(コアとなる知的財産であることが多い)を探ります。差別化要因が知的財産ではない場合は、知財屋の出番はあまりなさそうですが。
 続いて、
その強みが他社に模倣される可能性はありませんか?
と尋ねて、参入障壁の状況を探ります。模倣される可能性がないという回答が返ってきて、その根拠が説得的なものであれば経営者の基本認識に問題はないということでしょうが、ノウハウ的なものである場合は営業秘密の管理体制がチェックポイントの一つになってきます。
 模倣される可能性がありそうだという回答の場合は、その差別化要因が知的財産権で保護できないか、現在保有している知的財産権は有効に機能しそうか、といった検討を進めることになってきます。この部分をどこまで詰めるかは、目的と与えられた時間によって違ってくることになるでしょう。

 企業が知財業務に取り組む目的は、権利のコレクションではなく、収益の源となる差別化要因を守ることです。基本的な位置付けを最初にしっかりと把握できるように、ヒアリングの入り方は重要だと思います。