経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

お茶、入りましたえ。

2006-11-19 | 書籍を読む
 「サントリー・知られざる研究開発力」が非常に面白かったです。研究開発からヒット商品を生み出すまでの身近な具体例が盛り沢山で、まさに知財の「創造」→「活用」(「知的財産権」の活用ではなく、あくまで技術≒「知的財産」の活用という意味です)の意義を実感できる一冊です。
 最初に採り上げられているのが緑茶飲料の「伊右衛門」ですが、真のユーザニーズに立ち返るというマーケッティング戦略、非加熱無菌充填製法や茶葉微粉砕技術などの基礎技術を活かした研究開発戦略、お茶を販売するのに有効な老舗の信用を活かす福寿園との提携というブランド戦略が、見事に一体として成果を表していることがよくわかります。マーケッティング戦略と知財戦略の融合とか、抽象的に言われてもピンときませんが、具体例をみるとその意味も理解しやすいですね(尚、本書ではそういう視点で直接書かれているわけではないので、あくまで私が読み取った解釈ですが)。ちなみに、緑茶飲料の中では「伊右衛門」は明らかに美味しいと感じるので、私も愛飲しています。
 ところで、この本には残念ながら、我々知財屋に興味があるところの「保護」の話は殆ど出てきません(「青いバラ」の章では、特許出願のタイミングがポイントになったという話が少し出てきますが)。一般書なので当然といえば当然なのでしょうが、やっぱり知財の仕事は縁の下の、ってところでしょうか。

サントリー 知られざる研究開発力―「宣伝力」の裏に秘められた強さの源泉

ダイヤモンド社

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