経営の視点から考える「知財発想法」

これからのビジネスパーソンに求められる「知財発想法」について考える

知財デューデリ

2006-11-13 | 書籍を読む
 先週末に「法務デューデリジェンスの実務」を購入しました。読みたかった部分は知的財産権についての1章(40ページ程度)だけだったので、4,600円はちょっと高いなーと悩みましたが、なかなか得難い情報なのでやむを得ません。
 で、その中味ですが、魔法のようなデューデリの手法は披露されておらず、「時間に制限のある中でリスク分析には限度があり、対象企業の認識の程度と管理状況を中心に確認するしかない」というのが主な内容でした。期待外れ(?)であったかもしれませんが、日頃の自分のアプローチとほぼ同じ感じだったので、この説明には大いに納得です。
 この技術、この特許が命綱、といったバイオベンチャーみたいなケースを除くと、ある企業の知財リスクを分析するのに個別の内容まで踏み込んで確認するのはちょっと難しいと思います。「知財リスクは誰にだってある」という前提で、対象企業がどういう認識でどういう方針で知財業務を行っているかといったことを評価するしかないでしょうし、不確定要因が多くてどう転ぶかわからない個別事案の内容をあれこれ検討するより、そうした部分の評価のほうが実際のところは有益であるようにも思います。
 そう考えると、知財デューデリには、「この業種の、この規模の企業であれば、この程度の認識や管理はなされているべきである」といった相場感が必要ということになりそうです。知財デューデリを仕事としてやっていくためには、日常業務の中でもそうした視点でクライアント(特に中小・ベンチャー企業)の状況を見るクセをつけておいて、相場観を養っておくことが必要なのでしょう。

M&Aを成功に導く法務デューデリジェンスの実務
長島大野常松法律事務所
中央経済社

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