2019年2月6日(水) Brexit イギリス海峡
イギリスのEU離脱については、数日前、以下の記事を投稿したところだ。
Brexit その後 続(2019/2/1)
そして2/2に、たまたまスイッチを入れたNHKテレビのBS放送番組「体感 グレートネーチャー」で
圧巻! 白亜の大断崖を行く~英仏海峡の秘密~
を、因縁のようなものを感じながら、引き込まれるように視ることとなったのである。
太古の1度目以来、今や、2度目のBrexitが行われようとしているのだろうか!(英国:最初の離脱は氷河期に? 科学誌に報告 - 毎日新聞.url)
そして、またもや不思議な因縁のようだが、著名なサッカー選手の乗った軽飛行機が、先日イギリス海峡で行方不明になり、4日のニュースで、海底から、機体が発見されたということが伝えられたのだ。(仏海岸に座席クッション漂着、サラ選手搭乗の不明機か)
今回、TVで見たイギリス海峡の話題を軸に、Brexitについて取り上げたい。
◇ イギリス海峡は、これまで、歴史上、いろいろと話題になってきたが、 イギリス側のドーバー近郊の海岸線に、白亜の岸壁が連なる光景があるという。
イギリスでは、「ドーバーの白い壁」 (White Cliff of Dover)と、呼ばれているようだ。 ドーバー海峡対岸の、フランスのカレーからも、この白い壁は見えるようだ。
白い壁の岩石の成分は石灰質で、チョーク材(白墨)等になるという。
イギリス側のドーバーの白い壁(長さ約3km、 最高高度110m)
イギリス側の位置:ドーバー近郊地図
イギリス海峡を挟んだフランス側にも、同様の白い巨大な岸壁があるようだ。場所は、イギリス海峡の南西部のノルマンディー地方で、セーヌ川河口に近いルアーブル近郊の小村エトルタで、「エトルタの白い壁」と呼ばれる景勝地のようだ。
フランス側:長さ 数km、高さ50m以上 (尖塔や象の鼻に見える造形なども)
フランス側の位置(ルアーブル近郊)
◇ 海峡形成過程の解明
上述の番組によれば、イギリス海峡を挟んで、このような対称的な光景があるのは、地質学での長年の謎だったようで、いろんな仮説が唱えられて来たようだ。
太古には、イギリスは大陸とは切り離されていて、その間、海底に石灰質の大量のプランクトンの死骸が堆積したという。そして、その後の地殻変動で、海底が海面上に隆起して、大ブリテン島と欧州大陸とが、石灰質の陸続きになったという。
その石灰質の陸地に、地殻変動で亀裂ができ、北海から海水が流れ込んで湖となり、断層で滝と滝壺ができ、長い時間を経て滝つぼが移動して、ついには、海で分断されて、海峡になったという説だ。
両岸に分断された海岸線は、長年の波と風の浸食で、断崖絶壁になったという。
なんとも雄大なストーリだ。
アメリカのナイヤガラの滝でも、現在の滝の下流に、太古の滝壺の跡があるといわれる。硬い岩石でも水流で削られて滝壺が移動するようで、石灰質の岩なら、比較的削れ易いだろうか。
番組やネット情報によれば、最近、ドーバー海峡で行われた国際的な海底調査で、海峡の中間に、滝壺の跡とみられる場所が見つかったことが、2017年に科学誌に公表されて、上記のような、両岸の白亜の絶壁とイギリス海峡の形成過程の仮説が裏付けられたといわれている。 海底には、人間が生活していた跡と見られる、人工的な木杭も見つかったという。(下図)
(地質学的ブレグジット 英国が欧州大陸から分離した謎ついに解明?)
やや分かりにくいが、下図はドーバー海峡で、陸地は緑色だ。海峡部分の海面からの深さを色で表していて、赤から黄、薄緑、青と深くなり、一段と濃い青の部分が、滝壺の跡という。
◇ マルハムコーブ( Malham Cove)
また、番組では、イングランド中部のヨークシャー・デール国立公園にあるマルハムコーブについても紹介された。(場所や名前は、後日、ネットで確認)
下図のように、草原の中に石灰岩に覆われた広い平地があり、地面には縦横に深い亀裂が走っている。自然の造形といわれ、石灰岩が、氷河によってえぐり取られ、そこに雨水が入り込んで亀裂ができたという。(下図 ネットより)
マルハムコーブ風景 1 マルハムコーブ風景 2
石灰岩の奇形といえば、日本国内のカルスト台地の秋吉台や各地の鍾乳洞などが思い浮かぶが、これらとは異なって、マルハムコーブは、広大な、古代の遺跡のようにも、城壁跡の石垣のようにも見える。
また岩の表面は、かなり狭いので広さでは比較にならないが、以前訪れたことがある、東尋坊の岩場(柱状節理)に似ているようにも見える。
異様な光景はここの地底にもあり、テレビ番組では、調査隊が潜り込んだ先には、なんと、100mもの落差のある、地底の大滝が現れた。
地表といい、地底といい、ここマルハムコーブの地形が、どのようにして形成されたのか、これらとイギリス海峡の生成過程とがどのように関連付けられるのか、よく理解できなかったのだが、地質学では、学術的に重要な地域なのだろう。
地球上には、テレビでも見たことがない、想像を超える、幾多の絶景があるようだ。
◇余談1 海峡トンネル
ドーバー海峡は、津軽海峡よりも少し狭いが、現在は、鉄道専用のトンネル(ユーロトンネル)が掘削され、1994以降、供用されている。
英語名:The Channel Tunnel
数年前、欧州への難民・移民問題が大きな問題になった時は、ユーロトンネルで、トラックを運ぶ貨車に潜り込んで、イギリスに渡ろうとした多くの人たちがいたようだ。
◇余談2 海峡名
イギリス海峡 イギリスとヨーロッパ大陸間の海峡(北海と大西洋を結ぶ)
英;English Channel (英仏海峡とも)
仏:La Manche
ドーバー海 峡 イギリス海峡の最峡部(32km)
英:Strait of Dover
仏:Pas de Calais(カレー海峡)
◇余談3
地球の地質時代の区分に、「白亜紀」と呼ぶ時代があるが、このネーミングは、イギリ
ス海峡の白い岸壁からなずけられたという。