ケイの読書日記

個人が書く書評

島田荘司「夜は千の鈴を鳴らす」

2007-07-01 08:26:01 | Weblog
 「猫まんま」さんに教えていただいて、このロマンチックな題名の小説を読んでみた。
 いやぁ、どう贔屓目に考えても、「猫まんま」さんのご指摘どおり『人形はなぜ殺される』の見事なパクリですね。これほどあからさまなパクリは珍しいんじゃないだろうか?

 でも、推理作家が本格を書き続けていくのは本当に難しい。この推理小説も『人形はなぜ殺される』を読んでいなければ、それなりに読みごたえある作品。


 博多駅に到着した寝台特急<あさかぜ>の個室から女性の死体が発見された。前夜、車内で「列車を止めて、人が死ぬ、ナチが見える!!」と半狂乱になったという。
 検死の結果、死因は心不全と判明したが、警視庁捜査一課の吉敷竹史は不審を抱き、独自に捜査を開始する…。


 また、これも少し驚いたが、島田荘司って鉄道ミステリを結構書いているんだね。鉄道ミステリの探偵役は、ほとんど吉敷竹史らしいが、この人はすごくマトモな人である。
 エキセントリックな御手洗潔と対極にあるような人で、だから当然彼の出てくる小説も淡々として地味。まるで十津川警部シリーズを読んでいるようだ。
コメント (4)
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