ケイの読書日記

個人が書く書評

コナン・ドイル「シャーロック・ホームズの冒険」

2007-07-06 14:00:38 | Weblog
 私は小学生の頃、子供向けのホームズ作品を読んだが、あまり面白くなかったことを覚えている。
 それに比べアルセーヌ・ルパンの素晴らしかった事!!
 兄が借りてきた『奇巌城』を皮切りに、シリーズを一気に読んでしまった。こちらの方は推理と言うより冒険小説というべきだろう。

 しかし、今、大人向けの小説としてホームズとルパンを読むとしたら、ホームズのほうがぐんと面白いのではないか?
 大人向けのルパンは、この創元文庫にもあるらしいが、読む気がしない。
 なぜ子どもの頃、ホームズよりルパンに夢中になったかというと、恋愛模様がたくさん書かれているので、それが少女マンガ大好きな私の心を掴んだのだろう。


 大人になった私が、大人向けのホームズをつくづく読みたいなと思ったのは、その時代背景にある。
 19世紀後半、ヴィクトリア女王時代の霧の街ロンドン、ベーカー街、スモッグ、街灯、浮浪者、貴婦人、アヘン、階級制度、スコットランドヤード、王族、etc。
 この時代の空気を私も吸ったような気分になりたいのだ。これは、ポアロを読む時もマープルを読むときも同じです。


 さすがに英国は、法的にきちんとしていて、遺産分配もしっかり遺言でまもられている。
 それに、特権階級や中産階級は額に汗して働く、という発想は無く、投資や年金や遺産で生活しているようだ。
 だから、娘が結婚し、年金や遺産を持って親と別会計を営む、という事になると親が(自身で働かず、遺産や年金を当てにしている人は特に)大変困ることになる。
 そこで、親が結婚前に娘を殺す、あるいは結婚を妨害する。それが動機になっている事件が、この短篇集中、3件もあった。
 恐ろしいねぇ。

 それに、落ちぶれた金に困っている貴族の多い事。19世紀後半でこうなんだから、21世紀の現在では、どうなっちゃってるか心配です。

 『赤毛連盟』にでてくる悪党は「おれの血管には王室の血が流れているのだ」と大いばりだったが、これに似た実話はあるんだろうか?
コメント (4)
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