本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

日本語基礎講義(その7)

2009-02-07 09:52:47 | Weblog
 それでは講義に入ります。前回は音節が少ないとどんな特徴があるか、雑談で話しました。今回もその特徴のひとつである忌み言葉のお話です。

 日本には言霊信仰があります。善い言葉には神霊が宿しているという考えですね。
 柿本人麻呂は「磯城島(しきしま)の日本(やまと)の国は言霊(ことだま)の幸(さき)はふ国ぞ真幸(まさき)くありこそ」と詠いました。「日本は言霊が幸いをもたらす国ですよ、ご無事でいらっしゃいな」ですね。
 好ましい言葉が幸いをもたらしますが、裏返しに言えば、縁起の悪いことや不吉なことを連想させる言葉を避けなければいけません。これらの言葉を忌み言葉と言いますね。
 ビジネス上のレターでは、「つぶれる」、「倒れる」、「負ける」、「壊れる」などなどの言葉は、注意しなければ相手方の会社を不快にさせかねません。場合によっては、当り前の言葉が忌み言葉にもなるわけです。

 日常語には忌み言葉を避ける工夫があります。
「アタリメ」を知っていますね。イカを干したスルメのことですよね。飲み屋さんに行けば「アタリメあります」と書いてあります。「スルメ」は掏る目に通じる。金をする、馬券をするといった「掏る」ですね。これは縁起が悪い。音節が少ないからこうした現象が起こるわけです。そこで「摺る」の反対の「当り」にして「アタリメ」になりました。
 同様に「すり鉢」を「当り鉢」と言い換える。「すりこ木」は「あたり木」ですね。

 次回も忌み言葉を続けます。