本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

ソウルの旅2

2006-08-22 16:40:58 | Weblog
 前に書いた、尹東柱の記念碑が延世大学のキャンパスにあると知っていた。そこで、この機会に訪ねてみた。正門を入った脇に案内図があって、50番の表示が「尹東柱モニュメント」である。正門から結構遠い。それだけキャンパスが広いということだ。
 
 途中、男子学生に「ユン・ドンジュ モニュメントヌン オデエヨ?」と訊いたところ「モルゲッソヨ(分かりません)」と言う。文学におよそ関心がない理系の学生か、ニセ学生ではないかと思った。次の女子学生はちゃんと教えてくれた。つまり、小生の発音が理解不能ではなかったということ。
 一方、尹東柱をみんなが皆、常識の中にいないことを内心ほっとした感もある。なにしろ、日本の刑務所で病死したことになっているが、治安維持法で拘引したあげくの果てのことだからその実態は分からない。
 
 モニュメントは、小さな公園らしき木立の一角にあった。「シピ」とあるのは「詩碑」のことだろう。詩文は縦書きで、日本で言えば草書風といえるハングルであるため読めない。多分『序詩』でないかと思う。
 女子中学生らしい四人が携帯で写真を撮ったり、ノートにメモを取ったりしていた。夏休みの課題でもあるのか。いずれにせよ、この世代が歴史教科書で学ぶのだろう。また、延世大学に詩碑があることも知っている。それなのにさっきの学生はどうしたのだろう。
 その一人から「イルボン サラム イムニカ?」に訊かれてドキッとした。小生、尹東柱モニュメントの前ではいささかバツが悪く、思わず詩碑に両手を合わせた。
 しかし、四人とも親しみを込めて話しかけてきて、救われた気分だった。


ソウルの旅1

2006-08-22 08:46:46 | Weblog
 ソウルに三泊してきた。目的はミラノから里帰りのアジュマ(韓国では既婚女性をおばさんの意のアジュマ、未婚女性をお嬢さんの意のアガシと呼ぶ)とその亭主セニョールサベリオとの再会である。
 到着の午後、明洞界隈の雑踏の通りでばったりサベリオと会った。連れ合いが美容院に行ったので、時間つぶしをしていたという。歓談の日時も場所も決まっていない段階だったから、ほんに偶然である。
 その後、何度も歓談したことは言うまでもない。うれしいことに、サベリオのお父さん(サルバトーレ・マローネ氏)からのおみやげを携えてきていた。ナポリ名物サラミソーセージである。これは硬いが味がある。

 韓国は家族を大事にする国柄だが、イタリアもご存知のとおりファミリーの結束が堅い。そこに日本人の我ら夫婦が溶け込んでいるのも妙だが、イタリアでの結婚式では花嫁の父親代わり(母親は出席したが、父親は亡くなっている)を、韓国での披露宴では花婿の両親代理(イタリアの両親は来られなかった) を務めたから、まァ、親もどきであることは間違いない。事実、二人から「オトサン、オカサン」と呼ばれている。 
 愉しい旅であった。