毎年終戦記念日を迎える頃,邦画は決まって戦争映画が上映されていましたが、
近年、時期に関係なく上映されることが多いのは、ブームなのでしょうか?
現に今「出口のない海」が全国で上映されています。
原作者は横山秀夫。
友人が薦めてくれたこともあって図書館で借りて一気に読み終わりました。
昭和18年「出陣学徒壮行会」で戦争に駆りだされ、人間魚雷「回天」に搭乗志願し
帰らぬ人になった主人公、並木浩二の話です。
絶え間ない死への恐怖と生への執着。
そして負ける戦いと知っても、愛する人々を守る為の選択の
はざまで苦悩する主人公。
ああ、きれいだなあ・・・美しい海、母なる海。だがそれは、
二度と陸地を踏むことを許さない、出口のない海でもあった。
これは本文より抜粋したものですが、出撃命令を受け目的地に
向かう潜水艦上でこうつぶやくのです。
小説とはいえ、わずか60数年前に、実際にあったこの史実の重みを
厳粛に受け止め、彼らの犠牲の上の今の平和の有難さをかみしめています。
ぜひ主人公と同世代の人達に読んで欲しい一冊です。
映画は・・・・・
本の中で膨らんだイメージを壊さない為にも見ないことにしましょう。
さあ次の本は「隠し剣秋風抄」の中の短編「盲目剣谺返し」
藤沢周平著です。(何故か彼の作品は殆ど我が家にあります)
12月1日公開の映画「武士の一分」の原作ですが・・・・
多分これも映画は見ない・・・でしょう