golf130のクラシックお笑い原理主義

オッサンのしがない日常や妄想話とその日聴いた音楽。

バッハ「マタイ受難曲」グッテンベルク

2009-11-22 22:03:11 | Weblog
久しぶりにラーメンでも食いに行こうか。

教授珍しいですね。
たまには外で昼食にするのも良いですね。まだちょっと早いけど、かえって空いていて良いでしょう。

どこの店にします?近い所で良いですか。

任せるよ。

あれっ?シャッター閉まってますね。おかしいな~、休みかな?

ああ、まだちょっと早かったんですね。11時半からって書いてありました。

どうします?あと、2、3分ですが。はい、そうですね。もうすぐですから待ちますか。

ガラガラガラガラ…(シャッターが開く)

へい、らっしゃい!

教授、何されます?ラーメン大盛ですか、じゃあ僕もそうしょっと。

ラーメン大盛、2つお願いします。

悪いんだけど、入り口に券売機あるんで、そちらでお願いします。

(後ろを振り向き)ああ、これね。券売機入れたんだぁ。

トッピングはどうされます?特にいらない。じゃあ、僕も無しでいいや。

チケットここ置きます。

はい、ラーメン大盛2つね。

最近、難しい顔して研究室に籠もってばかりでしたから心配していたのですよ。

う~ん、研究がちょっと行き詰まっちゃっててね。

たまには、こうして気分転換に外食したら新しいアイデアも閃くかもしれませんよ。もっともこんな汚いラーメン屋じゃ気分転換にならないかもしれませんが。

寺島先生、汚いラーメン屋で悪かったですねぇ。ラーメン2つ、ここ置きますよ。

ありゃあ~、聞こえてたよ。さあ教授、冷めない内に食べましょうよ。ここ、店は汚いけど、ラーメンはなかなか旨いですからね。

そうだね、早速頂こうかね。

麺もコシがあるし、魚介ダシのスープもなかなかいけるでしょ?

うん、旨いね。

あれっ、教授どうされたんですか?箸が止まっちゃって。早く食べないと麺が伸びちゃいますよ。スープも冷めちゃいますし。

おお!そうだよ寺島君。良いことを言ってくれたよ!研究室に戻るからな。

教授はまだ半分以上残っているラーメンをそのままにして、飛ぶように店を出て行った。

行き詰まっていた研究のヒントを何か掴んだらしい。

寺島講師も残りの麺を急いで啜り、研究室に戻った。

寺島君、遂に新理論が完成出来るよ!

寺島講師が研究室に入るや否や、さっきまで無口だった教授が、突然饒舌に話始めた。

遂に念願の「統一理論」の完成だよ!

寺島達が研究している宇宙物理学の世界では、謎に満ちた広大な宇宙に関して様々な理論が提示されて来ているが、何れもそれを統一的に説明出来るものとはなっていない。

宇宙は約137億年前に、超高温高密度な火の玉の爆発から始まったという「ビッグバン理論」にしても、ビッグバン瞬間のことやそれ以前のことについては説明が付いていない。

膨張する宇宙が将来どうなるのかについても解らない。

膨張が、ある点から収縮に転じ、また最初の火の玉に戻るという説もあれば、膨張する一方だと主張する学者も多い。

光さえも吸い込んでしまうブラックホールは一体どうなっているのか?

ブラックホールとは逆に物質を放出するホワイトホールは存在するのか?

宇宙は謎に満ちているが、それらを統一的に説明出来る理論は現在無いのである。

そんな、物理学界永遠とも言うべき課題に挑む新理論を山本教授は構想したと言うのである。

おっと~、寺島は座っている椅子からずり落ちそうになった。

彼が思わず身を乗り出したのも無理はない。理論が認められればノーベル賞は勿論のこと、物理学界いや科学界で最も偉大な学者として山本の名前は永遠に残るであろう。

さっきラーメン屋に行った時、シャッターが閉まっていたよな。

はい、まだ開店前でしたから。

そして、定刻になったらシャッターが開いたよな、あれがビッグバンだ。

突然の事で、寺島には山本教授の言っている意味が理解出来なかった。

シャッターが開いたら何が見えた?

ガスコンロの火がまず目に入って来ましたね。

そうだ、あれが宇宙最初の火の玉だ。

店にはまだ誰も居なかったろ。

我々が最初の客でしたからね。

勿論、人類などまだ存在していない訳だな。

でも店長がいましたけど…。

あれは人じゃない、神だ。

あの髭面の汚いオッサンが神ですか?

そうだ、神だ。

宇宙の進化や構造は全てラーメンで説明出来るという「ラーメン構造理論」を今度の学界で発表するぞ!

なあ、寺島君。ラーメンを食べずにそのまま置いておくとどうなる?

汁を吸った麺が膨張して伸びますが…。

そうだ、それが宇宙の膨張を現している。

更にそのまま食べずに置いておいたらどうなる?

冷えきって、冷たくなっちゃいますが…。

そうだ、それが宇宙が将来冷えきって迎える終焉「コールドデス」だ。宇宙は全て「ラーメン」で説明が付くぞ!

いつもは冷静な山本教授だが、何物かが乗り移った様にその口調は熱を帯びていた。

ブラックホールは?

テーブルの目の前にあっただろ!

寺島は、質問した瞬間、しまったと思ったが遅かった。確かに目の前に「黒胡椒」の小ビンが置いてあった。

すみません教授、急用を思い出しました。

教授の返事を待たずに、彼は研究室を飛び出した。

寺島君、「別宇宙」もあるぞ、これは別のラーメン屋…。

教授の声が背中で聞こえたが振り返らなかった。

自宅に戻ると、先日から迷っていた他大学の教員の応募書類を書き始めた。

もう何の迷いも無かった。

クラース・アーカン・アーンシェ(テノール、福音史家)、クリストフ・ドブマイヤー(バス、ペドロ)、トーマス・ドブマイヤー(バス、ピラト)、ヤルド・ヴァン・ネス(アルト、偽証者Ⅰ)、クリスティーナ・シュナイダー(ソプラノ、女中Ⅰ)、ヘルマン・プライ(バリトン、イエス)、トーマス・ハンベルガー(バス、ユダ)、アルド・バルディン(テノール、偽証者Ⅱ)、マルティナ・コッペルシュテッター(アルト、女中Ⅱ)、マーガレット・マーシャル(ソプラノ、アリア&レチタティーヴォ)、ヤルド・ヴァン・ネス(アルト、アリア&レチタティーヴォ)、アルド・バルディン(テノール、アリア&レチタティーヴォ)、アントン・シャリンガー(バリトン、バス、アリア&レチタティーヴォ)、エーノホ・ツー・グッテンベルク指揮ミュンヘン・バッハ・コレギウム、コーアゲマインシャフト・ノイボイエルン、テルツ少年合唱団(合唱指導:ゲルハルト・シュミット=ガーデン)(BMG盤)

先日から、極私的に開始された「もっと日常的にマタイを聴こう!運動」。

メンゲルベルク、ダウス(抜粋)、マウエルスベルガー、クレオバリーに継ぐ第5弾であります。(メンゲルベルク盤の時にはこの運動はまだだったが、まあいい始まっていたことにしちまおう(笑))

先日図書館から借りて来たCDです。

グッテンベルクって誰?グーテンベルク(活版印刷の発明者)なら知ってるけど…。

初めて名前を知った人ですが、ドイツの実力派指揮者の様です。

1990年録音の現代楽器による演奏。

重厚でかつ非常に引き締まった表現で、マタイというよりヨハネを聴いている様な厳しさを感じます。

福音史家のアーンシェの若々しい誠実な感じの声も良いし、プライの暖かみを感じるイエスやマーシャルの清らかな歌もなかなか。

ちょっとくすんだ響きのオーケストラは、重厚でありながらもすっきりした演奏。

そして、劇的なアクセントの合唱が曲全体を引き締まったものに仕上げている。

バッハに対する敬愛と伝統を感じる、リヒターの延長線上にある演奏と言えるでしょうか。

マタイの隠れた名演でしょう。

ピリオド奏法による2003年の録音もあるようで、そちらも是非聴いてみたいですね。

それにしても、さり気なくこんな隠れた名盤もある近所の図書館の学芸員の方のセンス?には感心してしまいます。

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