今朝の読売新聞に、去る2月8日につくば市で行われた『ノーベル受賞者を囲むフォーラム「次世代へのメッセージ」』についての記事が掲載されていましたので、ご覧になった方もいらっしゃると思います。同じ『ノーベル受賞者を囲むフォーラム「次世代へのメッセージ」』が、先日の2月22日早稲田大学国際会議場でも行われました。この行事に参加・聴講してきましたので、少し書かせて頂きます。基調講演者は、2007年に「巨大義気抵抗の効果の発見」でノーベル物理学賞を受賞したペーター・グリュンベルク博士と、2001年に「キラル触媒による不斉水素化反応の研究」でノーベル化学賞を受賞した野依良治博士です。
ペーター・グリュンベルク博士の「巨大磁気抵抗効果(GMR) 」(わずかな磁界を加えるだけで電気抵抗が大きく変化する現象)を利用した装置として、後年小型大容量ハードディスクが開発されました。と言うことで、私達にはPCのメモリー装置として無くてはならない部品に利用されています。ただ、今回の講演では、ドイツにおける学校制度について主として話されました。これは主催者が余り業績の詳細についての説明は避けて頂けるように、とお願いしたそうなので、その所為かも、と言うことです。
ヨーロッパの諸国では、初等教育から進学コースがいくつかに分割されていることが多いようです。一方、日本では、誰でも色んなコースで高等教育を受けられるようになっているようです。良く分かりませんが、これは身分制度が関係しているからでは無いでしょうか。ペーター・グリュンベルク博士は、若い頃よりスポーツ(主としてスキー)と音楽(ギター)に親しんできたそうです。これらは、今も楽しんでいらっしゃるそうです。
野依博士の業績として挙げられているのは「右と左の化合物の作り分けに成功した」ということです。一見するとそっくりですが、まるで右手と左手のように鏡に映さないと重ならない形、つまり「鏡像体」と言う化合物があるのだそうです。こういう化合物に作用する炭素を、専門用語で「不斉炭素」と呼び、こういう化合物を「キラルな化合物」というのだそうです。かつては、この右手と左手のような化合物を、人工的に一方だけを作るのは難しく、ほぼ同数が生成されていました。野依博士の業績を一言で言えば、このほしい方の化合物だけを、化学の力で作り出すことを可能にしたというものだそうです。難しいので、私には良く分かりません。