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『週刊現代』の蓮池薫氏=拉致未遂犯報道について

2006-12-26 23:57:51 | 事件・犯罪・裁判・司法
 昼食時に『産経新聞』を読んでいると、次のような記事に驚いた。

週刊現代に蓮池さんが抗議「荒唐無稽」(産経新聞) - goo ニュース

 これは、以前miracleさんのブログが取り上げていた、元社労党の?左翼活動家が自分のブログで開陳していたヨタ話ではないか。

 私がこれをヨタ話だと思ったのは、miracleさんのブログへのコメントでも書いたように、

・「お前を拉致するぞ!」と言って拉致しようとするのは不自然(相手がより抵抗する)。騙して入国させるか、何も説明せずに力ずくで連れて行くのでは。
・学校の体育館に蓮池薫氏らが突然訪れるというのも不自然。普通、学校で部外者は自由にうろつけないのでは。
・初対面で、しかも公共の場で、自分が拉致被害者だの何だのと語ること自体が不自然。
・よど号グループは入国後かなりの洗脳を受けている。八尾恵も、日本国内で洗脳されている。北朝鮮シンパでもなく予備知識もないこの人物が、何で田宮の後釜に座れようか。
・「私は北朝鮮を社会主義国家だと思ったことはない」と言ったというが、86年当時の新左翼にそこまでの認識があったかどうか疑問。
・「今回はあきらめるといって去ってい」ったと言うが、拉致とは指令であり、不実行は許されないはず。去っていった後、この人物がそれを公にした場合の危険性を考えてもそれは明らか。

といったことからだ。
  
 『週刊現代』でこの話が報じられていたとは知らなかった。
 今は亡き『噂の真相』や、今もあるその類似誌のようなスキャンダル雑誌ならともかく、『週刊現代』クラスの週刊誌が取り上げるほどのネタとは思えないのだが。

 いや、産経の記事には

《週刊現代編集部は「証言をさまざまな角度から精査し掲載に至った」とのコメントを発表している。》

とある。この人のブログの記事以上の何らかの根拠があるというのか?

 コンビニで買って先ほど読んでみた。
 何と、トップ記事ではないか。4ページもある。この雑誌は今号でリニューアルしたらしい。その目玉記事ということか。

 横井邦彦氏の告白なるものの内容は、多少、話が詳しくなっているが、基本的には彼のブログの記事を超えるものではない。北朝鮮についても拉致被害者についても、全て、これまでに報じられていることばかりである。彼だけしか知らない新事実といったものがなく、信憑性が感じられない。
 ただ、記者が書き直しているだけあって読みやすく、ブログの記事に比べ説得力が増している。疑うことを知らない読者ならうっかり信じ込んでしまいそうだ。
 そして、
1.「外務相の元北朝鮮担当者」による、横田めぐみさんの元夫とされる金英男が自ら日本に行ったことがあると話していたように、北朝鮮は拉致被害者を対日工作に利用していたという話
2.同じ人物による、内閣府には「蓮池ファイル」と呼ばれる厖大な証言録があるという話
3.「朝鮮総連元幹部」による、86年に金正日が対日工作に力を入れ始めたという話
4.「北朝鮮の対日担当幹部」に本件を確認したら、否定しなかったという話
5.「拉致被害者の支援に長年当たってきた人物」が「蓮池氏の幼なじみ」から聞いたという、「ある時、宴会で痛飲した蓮池氏が、拉致されていた時期に日本に来たことがあるような話しぶりだった」という話
を紹介している。
 「さまざまな角度から精査し」たというのはこれか。どうにも弱すぎる。4など、北朝鮮に利用されているのではないか。

 そして記事は、日本政府も蓮池氏が日本に来ていたことは知っているのではないかとして、

《日本人拉致事件の全貌を解明するためにも、一刻も早く、真実を国民に明かすべきである。》

としめくくっている。
 その後ろに蓮池氏の写真と、

《いまは翻訳家として活躍する蓮池氏が真実を語る日が待たれる》

というキャプションが添えられている。

 「真実」とは何か。『週刊現代』はたかがこれだけの証拠で、横井氏の告白が真実である、蓮池氏や政府はそれを認めよと迫るというのか。
 週刊誌の報道にこれほど憤りを覚えたのは久しぶりだ。

 蓮池氏が対日工作に従事していた可能性はあるだろう。その過程で日本に入国していたということも、あり得ないことではない。
 だが、横井氏が示しているようなストーリーでの入国、そして拉致未遂といったことはあり得ないと、私は思う。
 そもそも横井氏のブログの他の記事やホームページ(「赤星マルクス研究会」)を少しでも読んでみれば、彼がまともに相手にすべき人間かどうかわかりそうなものだが。

 と書きながら、横井氏のブログ「労働者のこだま」を見てみると、12月25日付けで「おことわり」と題して、この件で身辺が騒がしくなってきたから更新を中断するとある。
 まあそれはいいのだが、この件を初めて明らかにした「正直に言います」という記事が見当たらない。
 さらに寄せられた意見に応えて、昔のことなので物証もなく、事実であることは証明できないとした「証明はできません」という記事も見当たらない。
 削除したのか、見えなくしているのか。
 いずれにせよ、更新を中断するというのはわかる話だが、これらの記事を読めなくするというのは理解できない。
 コトが大きくなってきたから逃げ出したのではないか。
 『週刊現代』、どうするつもりだ。

付記
 「正直に言います」を転載しているブログが見つかったので、参考までにリンクを張っておきます。


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