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とにかく菅内閣が倒れれば何でもいいのか

2011-06-01 00:48:24 | 現代日本政治
 数時間前、Yahoo!ニュースでFNNが次のように報じているのを見た。

自民党、内閣不信任案を6月1日にも提出へ 2日の本会議で採決の見通し
フジテレビ系(FNN) 5月31日(火)18時25分配信

自民党は、菅内閣への不信任案を1日にも提出する方針を固めた。
菅内閣不信任案の2日の採決が固まったことで、与野党の動きは一気に緊迫化している。
自民党の谷垣総裁は、1日の党首討論の最後で、「到底、菅首相を信任することはできないので、直ちに不信任案を提出する」などと宣言する見込み。
そして自民党として、早ければ1日中に不信任案を提出する方針で、不信任案は、2日に本会議で採決される見通しとなった。
これを受けて、民主党内では、造反をめぐる駆け引きが本格化しており、態度を決めていない鳩山前首相のグループが、31日午後に会合を開いたが、結論は出なかった。
現在、不信任案に同調する覚悟の議員は50人台とみられ、可決に必要なおよそ80人には及んでいない情勢。
一方、小沢元代表らの造反回避に向けては、渡部恒三最高顧問らが動いているが、小沢氏サイドは、将来的な菅首相退陣の確約など、高いハードルを掲げているもようで、対立回避は難しいもよう。



 出す、出すとは聞いていたが、いよいよか。
 しかし、可決される見通しはあるのか。
 記事にあるように、可決に必要な80人程度の造反者を確保できないのなら、出すだけ無駄ではないのか。
 否決されれば、かえって菅内閣にお墨付きを与えることにならないか。

 そして、私が不思議でならないのが、仮に可決されたとして、その先にどのような展望を描いているのかまるで読めないことだ。
 衆議院で不信任案が可決されれば、内閣は総辞職するか、衆議院を解散して総選挙を行うかしかない。
 総選挙の結果、自民党と公明党が過半数を占めれば、自公政権が復活し、衆参の「ねじれ」は解消される。それは、現在の停滞状態よりはマシかもしれない。
 だが、現在の両党の実力で、果たして過半数獲得が可能なのだろうか。
 半数に満たなければ、造反議員が民主党を離れて新党を結成し、自・公・新党(原口一博言うところの民主党A?)の連立という事態も考えられる。菅内閣が総辞職を選択しても似たようなことになりそうだ。
 だが、民主党Aとはマニフェスト堅持派であり、民主党B以上に自民党とは相容れない勢力ではないのか。
 かつて自民党が社会党と連立を組んだように、相容れないはずの勢力であっても政局次第で手を組むことは有り得よう。
 しかし、そんな野合政権にいったい何ができるというのだろうか。
 村山内閣の経験を忘れたのか。

 そんなことを考えながらマスコミ各社のサイトを見ていると、msn産経ニュースでこんな世論調査の記事を見た(太字は引用者による)。

政府の原発発表「信頼できない」80% 不信任案可決なら「内閣総辞職を」62%
2011.5.30 11:43

 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が28、29両日に実施した合同世論調査で、東京電力福島第1原子力発電所の事故に関する政府の発表について「信頼できない」との回答が約8割に上った。また、野党が提出を目指している内閣不信任決議案が可決された場合、6割以上が解散総選挙ではなく、内閣総辞職を求めた。

〔中略〕

 野党が今国会で不信任案を提出することについては「理解できる」が45.6%、「理解できない」が47.1%とほぼ拮抗(きっこう)。可決された場合は62.2%が総辞職を選ぶべきだと答えた。



 内閣不信任決議案が可決されたら、内閣は衆議院を解散して国民に信を問うのが普通である。唯々諾々と総辞職した内閣は過去にない。
 また、総辞職後にどんな内閣ができるのか考えると、再び民主党を中心とする連立政権ができたとしても、衆参の「ねじれ」は解消されないし、民主党AとBの対立が容易に解決できるとも思えない。現在と状況はさして変わらないのではないか。
 かといって、先に述べたような自・公・民主Aによる連立ができたとしても、要するに「反・菅」で結集しただけで何事もなしえないように思う。
 私は総辞職よりは解散総選挙がまだしも望ましいと考えていたので、これほどの高率で総辞職が支持されるとは意外だった。

 しかし、併記されているグラフを見てみると、質問形式に問題がありそうだ。



「内閣不信任決議案が可決された場合、菅首相は解散総選挙はせず、内閣総辞職すべきだ」
という文に対し「思う」「思わない」を回答している。
 普通に考えれば、こう問うべきだろう。
「内閣不信任決議案が可決された場合、菅首相は解散総選挙と内閣総辞職のどちらを選ぶべきだと思いますか?」

 FNNのサイトによると、この調査は29日までの2日間にわたって全国の有権者1,000人から回答を得た電話調査だそうだが、それならこのように問うことも容易だと思うが。

 初めから内閣総辞職ありきの、誘導的な質問ではないだろうか。

「野党が今国会で不信任案を提出することについては「理解できる」が45.6%、「理解できない」が47.1%とほぼ拮抗」というのも何だかなあ。
「理解できる」とは、本来は単に論理として理解できるという意味なのだろうが、日本語の文脈では「同意できる」あるいは「論理的にはともかく、心情的には同意できる」といった意味にも用いられる、曖昧な言葉だからなあ。

 この数値について、同じmsn産経ニュースによると、自民党の大島理森副総裁は次のように述べたという。


自民・大島副総裁「菅首相を代えろという気持ち蔓延している」
2011.5.30 11:46

 自民党の大島理森副総裁は30日午前、産経新聞とFNNの合同世論調査で、野党が今国会で内閣不信任決議案を提出することにほぼ半数の45.6%が理解を示したことについて「国民の間に『菅直人首相を代えてください』という気持ちが蔓延(まんえん)しているという数字だ。重く受け止めていかなくてはいけない」と語った。党本部で記者団の質問に答えた。



 半数弱の「理解」しか得られず、しかも「理解できない」が上回っているというのに、「『首相を代えてください』という気持ちが蔓延している」ですかそうですか。
 世論調査の記事中には、


 一方、菅直人内閣の支持率は29.2%で、前回(4月23、24両日)から7.4ポイント上昇した。不支持率は4.4ポイント下がり、58.3%。



ともあるのだがな。

 まあ、世論調査の質問が誘導的であることなど、別に産経に限ったことではないが。

 前にも書いたが、野党は与党から政権を奪い取るのが仕事。
 だから不信任案の提出それ自体を別にどうこう言う気はない。
 ただ、将来の展望を欠いたまま、やみくもに不信任案の提出を強行しても、さして良い結果が得られるとは思えないのだが。

 東條内閣を退陣に追い込んだものの、後に誕生したのは小磯内閣で、結局何も変えられなかったという故事を思い出す。

 


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