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日々の思いをたまに綴るブログ。

鳩山由紀夫内閣は民主連合政府か(笑)

2009-09-24 22:47:07 | 「保守」系言説への疑問
 小池百合子がメールマガジンで次のように述べている。
民主党の小沢幹事長が、「外国人地方参政権」の成立に意欲を見せている。
国家や領土などへの基本的意識が希薄な日本では、
この制度の安易な導入は極めて不適切、危険といわざるをえない。

そもそも現代の日本人の国家意識がなぜ希薄なのか。
昭和47年に明らかになった中国共産党による秘密文書なるものがある。
1.基本戦略:我が党は日本解放の当面の基本戦略は、
日本が現在保有している国力の全てを、我が党の支配下に置き、
我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある。
2.解放工作組の任務:日本の平和解放は、下の3段階を経て達成する。
1国交正常化(第1期工作の目標)=田中角栄
2民主連合政府の形成(第二期工作の目標)=小沢一郎
3日本人民民主共和国の樹立・天皇を戦犯の首魁として処刑(第三期工作の目標)

つまり、民主党による政権交代で
2の民主連合政府の形成という目標が達成されたことになる。
韓国も、この戦略に呼応した対日工作に便乗すれば、独自の地位確保が可能となる。

 呆れ果てて言葉もない。

 この中国共産党による秘密文書なるものを私は知らなかった。
 検索してみると、月刊誌『Will』2006年3月号で紹介され、広く知られることになったらしい。
 Depot(ディポ)というseesaaブログで、Will編集部による紹介文を含む全文が掲載されている。

 さらにその出所は、右派系の月刊紙『國民新聞』のサイトのようだ。
 『Will』発売当時、既に國民新聞のサイトに全文が公開されていたことが、宮正弘のメルマガからわかる。

 ざっと見たところ、日本製の偽文書ではないかと思える。田中上奏文のようなものか。いや、それほどのレベルにも達していないか。

 小池のメルマガ中の
1国交正常化(第1期工作の目標)=田中角栄
2民主連合政府の形成(第二期工作の目標)=小沢一郎
という太字部は原文にはない。もちろん、1969年に初当選したばかりの小沢の名が1972年に明らかになったという秘密文書に記載されているはずもない。小池サイドで付け足したのだろうか。田中角栄により国交正常化が成り、小沢一郎により民主連合政府が形成されたという意味で。
 メルマガには次のようにも書かれているし。
つまり、民主党による政権交代で2の民主連合政府の形成という目標が達成されたことになる。
 しかし、今般の政権交代により民主連合政府が形成されたという主張は不可解である。
 民主連合政府とは、民主党主導の連合政府という意味ではもちろんない(笑)し、単に民主的な連合政府という意味でもない。

 民主連合政府とは、日本共産党の用語である。
 戦後、武装闘争期を経て、共産党が議会主義に転じてから、1960年代から70年代にかけて、党勢を拡大した時期があった。そのころ共産党は、ソ連や中国のような一党独裁政権ではなく、社会党など他党と連合して「民主連合政府」の樹立を目指すとしていた。おそらくは、チリのアジェンデ政権のようなものが想定されていたのであろう。
 やがて社会党が共産党との共闘から中道政党である公明・民社両党とのいわゆる社公民路線にシフトしたため、民主連合政府の樹立は期待できなくなったが、共産党は現在でも民主連合政府の目標を掲げ続けている。

 要するに、民主連合政府とは、共産党を加えた連立政権のことである。この「秘密文書」でも、そのように用いられているようである。
 そして、鳩山由紀夫内閣に共産党が加わっていないことは言うまでもない。
 小池は、何を根拠に、「民主連合政府の形成という目標が達成された」などと妄言を吐いているのか。

 私は、政治については、新聞報道程度の知識しかない。個々の政治家が具体的に何を発言しているかはあまりよく知らないし、これまで政治家のホームページやメルマガを読んだこともほとんどなかった。
 しかし、読んでおくべきものだなあと、このたび強く感じた。

 私は、ずっと以前から、政権交代を可能にするためには、自民党に代わる保守政党が必要だと考えていた(ここに言う保守とは、共産化の否定、自由社会の堅持という程度の意味である)。
 だから、日本新党の結成は歓迎したし、そこに当初から加わっていた小池には期待していた。
 比較的早くから朝銀の問題を指摘していた点も評価していた。

 しかし、こんな怪文書を根拠に民主党を攻撃するようでは、話にならない。
 統帥権干犯を唱えて民政党内閣を攻撃した政友会と同類であろう。
 他のメルマガの記事にも、疑問に思う点は多い。
 小泉構造改革を継承する気概もないようだし、今後小池に期待できるものはなさそうである。


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4 コメント

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Unknown (通りすがりの保守)
2010-01-19 13:56:57
確かに、当時の中共が小沢一郎の存在を知っていたかどうかといえばないでしょうね?

ですが、中共の意のままに動く政治家の出現というならば創価学会なり民主党と考えれば、小沢一郎を中共が利用していると考えられなくもないでしょう。
そちらの方が、弱小政党の日共への期待より現実的でしょう。中共もそうかんがえているはずです。

確かに日共の過渡的政権という民主連合政府(※実態は御世辞にも民主主義とは言い難い)が民主党連立政権ということに関しては間違いですが、民主党が中共とつながっているということに対する恐怖はあるでしょう?

だから、一概に間違いとは言えないでしょう。
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Re:Unknown (深沢明人)
2010-01-23 23:45:12
 私は「中共の意のままに動く」とまでは思いませんが、たしかに、民主党の対外政策にある種の懸念はあります。
 そういう意味では、おっしゃるように「一概に間違いとは言えない」ですね。
 
 しかし、鳩山由紀夫内閣の成立をもって「民主連合政府の形成という目標が達成された」などと評価すること自体、(民主連合政府という用語に無知な層への影響を含めて)私には疑問ですし、そもそもこの秘密文書なるもの自体、自民党総裁候補にまでなった人物がまともに取り上げるべきではない種類のものだと思います。
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これは驚きました (stachyose)
2010-03-16 23:43:04
お久しぶりです。

深沢さん、小池百合子を取り上げるのは二度目ですよね。よく思い起こしてみると、深沢さんが一度目に取り上げた頃からすでにおかしな行動が目立ってきたような。昨夏の選挙戦において幸福実現党に協力をあおぐなど。

とにかく、こんな判断力の欠落した人物が総裁選に出馬するような自民党って、もう末期的だったんだなあ、と今更ながら。いや、政府の要職を歴任していたことが信じられない。

twitterでのつぶやきを見ると、こじつけが甚だしいですが、本気で信じているのでしょうかね。

ttp://twitter.com/ecoyuri/status/6083239039
------------------
中共の「日本解放工作要綱」にならえば、事業仕分けは日本弱体化の強力な手段。カタルシスを発散させながら、日本沈没を加速させる…。
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こんな輩は絶対に政界に復帰して欲しくないですね。危なすぎて、任せられない。
返信する
Re:これは驚きました (深沢明人)
2010-03-19 00:02:33
ご無沙汰しています。

>小池百合子を取り上げるのは二度目ですよね。

主題として取り上げるのは、正確には三度目になります。

小池百合子って……
http://blog.goo.ne.jp/GB3616125/e/3dbb426656336d314175ad377f3ead22

小池百合子は「政党を転々として」などいない
http://blog.goo.ne.jp/GB3616125/e/9a1b0b635bf63552498757f9fe43cb0e

>twitterでのつぶやきを見ると、こじつけが甚だしいですが、本気で信じているのでしょうかね。

私はtwitterは見ていないのですが、今でもそんなことを言っているのですか。
常識がある人なら、この中共の文書なるものが偽書であることは容易にわかりそうなものですが。
私のひいき目かもしれませが、小池がそこまで判断力を失っているとは思いがたいです。
承知の上で、敢えて脅威を煽っているのかもしれません。
中国に対してなら何を言ってもいい、それが日本の国益となるなら、とでも思っているのかもしれません。
私は、そういうやり方、目的のためなら手段を問わないようなやり方には反対ですが。

この記事以来、小池のメルマガを読んでいるのですが、民主党攻撃と自慢話が中心で、率直に言ってつまらないです。
(他の政治家のメルマガを読んだことがありませんので、比較はできませんが)

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