トラッシュボックス

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映画「ファイナル・ジャッジメント」にまつわる日下公人の妄言

2012-06-03 22:55:53 | 珍妙な人々
 5月25日(金)の朝日新聞夕刊に、映画「ファイナル・ジャッジメント」の全面広告が載っていた。

日本占領
これは、映画か? 現実か?


 いや、映画の宣伝なんだから、映画だろ。

製作総指揮 大川隆法


日本奪還! 6月2日(土)全国ロードショー


 私はこの映画に全く何の関心もないが、載っている推薦文の一つに少し呆れた。

「フランスで社会主義の大統領が誕生し、
中国では共産党内で権力闘争が始まった今日、
この映画は日本人に全体主義の恐ろしさを如実に教えてくれる。
みんな観てください」(評論家・日本財団特別顧問 日下公人)


 「フランスで社会主義の大統領が」とは、先月の大統領選挙で社会党のオランドが現職のサルコジを破って当選したことを指すのだろうが、それが「全体主義の恐ろしさ」と何の関係があると言うのだろうか。フランス社会党が全体主義の政党だとでも言うのか。

 社会党出身のフランスの大統領はこれが初めてではない。フランソワ・ミッテランが1981年から2期14年を務めている。その間フランスでは全体主義化が進んだとでも日下は考えているのか。
 現代の強力な大統領制が成立する前の第四共和政でも、第二次世界大戦前の第三共和政でも社会党首班の内閣は存在した。社会党政権の成立などフランスではありふれたことに過ぎない。

 ドイツのシュレーダー前首相やシュミット、ブラント元首相、イギリスのブラウン前首相やブレア、キャラハン、ウィルソン元首相らも社会主義政党の出身だが、彼らの時代にこれらの国が全体主義化したとでも日下は言うのか。

 また、中国共産党で権力闘争が始まったとは、先の薄熙来の失脚を指すのだろうが、何も中共で今、初めて権力闘争が生じたわけではあるまい。
 中共は結党以来ずっと権力闘争を繰り広げてきたのだ。今さら騒ぎ立てるには及ぶまい。

 日下の名は私でも知っているが、この人がどんな評論活動をしてきたのかはよく知らない。ふだん私が読まないタイプの雑誌や書籍で活躍されておられるのだろう。長谷川慶太郎なんかと並んでやたら景気のいい日本経済論をぶつ御方だったように記憶しているが、自信はない。
 その活動ペースは未だ衰えを見せていないようだが、御年81歳、さすがに思考力は衰えだしているのではないか。

 それとも、スポンサーのため、あるいは国民の危機意識を煽るためなら、フランス社会党を全体主義の一派に加えてもお構いなしの、ただの放言家か。


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