チャレンジリーグ入替戦 第1戦
2010年11月14日(日)11:00キックオフ
東京ヴェルディグランド人工芝
スフィーダ世田谷FC 3 - 3 ルネサンス熊本フットボールクラブ
そういえば、すべてはあのゴールから始まったのだった。もしあのゴールを見ていなかったら、磐田へ行ったり長居へ行ったりすることもなかった。もちろん、今日のこの試合を観戦することだってなかった。「最後まであきらめない」と口で言うのは簡単だけど、実際に形として見ることができたのが、あの狭山での1点だった。20点取られたチームから1点を取り返すことの意味について、あれからずっと考えているような気がする。
急遽予定を変更して武蔵野線で向かったのは、浦和方面とは反対の府中本町方面である。南武線を乗継いで稲田堤へ。そこからよみうりランドまでの坂道を登って行くと、そこに見えるは宿敵ベレーザ(ついでにヴェルディ)のクラブハウスではないか。あまり積極的に来たいとは思わない場所である。なぜここが会場になったのか?事情はよく知らないけど、チャレンジリーグ入替戦の第1戦、世田谷のホームゲームが開催されるとあっては仕方がない。アジアのチャンピオン決定戦を見た次の日に、今度はなでしこのセカンドカテゴリー入替戦である。どちらもクラブチームの試合には違いないが、その落差はかなり大きい。我ながらなかなかのセンスであると感心してしまう。
両チームとも動きが固かった前半は、何だか蹴り合いの様相を呈していた。ボールがなかなか落ち着かない。それはそれでチャンスはあるのだが、もちろんピンチもついてくる。バタバタした中での2失点は、いずれもやらなくていいものだった。特に前半終了間際の失点はもったいない。そんな中で12番の選手の上手さがとにかく目立っていた。終止あわてることなく落ち着いたプレーは、守備から攻撃への組立も促していた。プレーの雰囲気が明らかに他の選手と違っていたので、後でプロフィールを確認したら、新加入の選手だった。経歴を見て納得。
どうやら相手チームのキーマンは8番のようで、ここにボールが納まると決定的なパスを繰り出されてしまう。あるいは、自らドリブルで仕掛けてくるのも厄介だ。DFはよく体を寄せて守っていたと思う。中央を崩されることは少なかった。これはリーグ最終戦でも感じたことだけど、以前に比べて守備力が格段に上がっていることは確かである。ただゲーム全体を見渡してみると、静産大戦の方が落ち着いてボールを回していたかもしれない。まあ、この試合の意味することを考えれば当然のことだけど。それにしても終盤は選手の焦りがこちらにまで伝わってきてハラハラした。
正直、後半3-1になったところで気持ちが折れかけた。さすがにもう駄目じゃないかと思った。第1戦を落として挽回できるのだろうか?とか、いろいろなことを考えてしまった。時間が経過する程にその不安は大きくなった。でもね、やはりこの人は決めるのだ。狭山での1点以来、今日まで見ることができなかった9番のゴールが、このとても大切な試合のとても大切な場面で2つも決まった。試合前のシュート練習からものすごいゴールを連発していたので、今日はやってくれるかもしれないと期待していたのだが、本当に決めてしまったのだ。あそこへボールが通ればスピードでは絶対負けない。みんなの期待に応えたすばらしいゴール。
残り5分、20番の同点ゴールがサイドネットに決まった。ボールの軌道がやけにハッキリと見えた。これで「アウェーでは負けない」という課題をひとつクリアーすることができた。しかし、まだ何も決まっていないし、何かを手にしたわけでもない。ここで喜ぶわけにはいかないのだ。次は「ホームでは絶対勝つ」という課題をクリアーしなければならない。第2戦でいちばん心配なのは、第1戦に健闘したことから来る「気のゆるみ」かもしれない。今日の試合で追いつけたのは、最後まであきらめずに走り続けたから。まだまだ、最後の最後まで走り切らなければ意味がない。
今日は本当にすばらしい試合を見せていただきました。来週のホームゲームは、今日以上に頑張ってください。そこには大勢のサポーターの応援があるはずだから。絶対残留を信じています。