football smile

the days turn into months and years

5Bの鉛筆で書いた

2019-07-09 | book

片岡義男
JUL 1985
角川文庫
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「季節感をてきとうにとりこみながら、毎号、非常に腕の立つ、それぞれにタッチや世界の違うアーティストたちに、いい絵を描かせていたようだ。切り抜いてきちんと額に入れ、壁にかけたら、それだけで完璧にアメリカン・クラシックスだ。」

という本を読みました。我が家にもこの赤い背の角川文庫がたくさんありますが、古本屋で偶然目に付いたので、久しぶりに手に取りました。多少鼻につく文章は、今読んでも印象が変わらないどころか、ますます鼻につく感じでした(笑)。独特の句読点の位置も、やはりちょっと気になります。そいうこと全て含めて、懐かしく思いました。

今から34年前に書かれたエッセイは、さらに古き良きアメリカを回顧した内容ですが、非常に興味深いものがありました。一言で言えば「昔は良かった」ということになります。そう言えるのも、今を生きているからに他ならない。前を向くことは必要ですが、後ろを向くこともまた必要なの かも知れません。そして後ろを向けるのは、ある程度年齢を重ねた者の特権なのです。

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空想先生

2019-07-08 | book

武者小路実篤
30 NOV 1957
新潮文庫
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「僕の尊敬するものは、よく働く人です。よく勉強する人です。親切な人です。心の優しい人です。僕の嫌いな人は他人を不幸にして平気な人です。無理な注文をする人です。威張りやです。自分の馬鹿さに気がつかない人です。自然の偉大さに気がつかず、人間の方が利口だと思っている人間です。僕はそう言う人間の下らなさを十分知らされて来ました。」

という本を読みました。なぜか実家の本棚にあった文庫本です。なんと昭和59年の第40刷。ページは茶色く焼けていて、活字は小さいという、古本屋でも滅多にお目にかかれないような代物です。しかしそれだけに、妙な味わいがありました。「山谷五兵衛もの」と言われているシリーズらしいのですが、時代性とは無関係の人間の本質が描かれていて、とても面白かったです。

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俺か、俺以外か。

2019-05-14 | book

ROLAND
11 MAR 2019
KADOKAWA
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「たくさん嘘をついてきたけど、自分に嘘をついたことはないね。一度も」

という本を読みました。教授(坂本龍一)も言ってましたね。「自分に嘘偽りなく生きていきたい」と。自分に嘘をつくということについては、やはり気になるところです。結果として、そこに幸せはないのだなあということは、よくわかります。それから、そのことを理解している人の生き様が、自分は好きなんだなあということ。自分も自分に嘘はつかないようにしよう。

現代ホスト界の帝王なんて言うと、色眼鏡で見てしまうかもしれないけど、これは真面目に読まれるべき本である。全編を通じて一番感じたのはプロ意識の高さ。おのれの仕事を愛し、真摯に取り組むその姿勢は、どのような仕事にも参考になるのではないか。自分の仕事も一種のサービス業なので、色々思うことがありました。

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時を駆ける。東京時間旅行

2019-05-11 | book



出張なんかで新幹線に乗ると、シートの前に置かれているフリーペーパー「トランヴェール」を手に取る。その表紙に「ご自由にお持ち帰りください」と書かれているけど、果たして「ご自由にお持ち帰る」人って、どのくらいいるのだろうか。まあ、持ち帰る持ち帰らないはともかく、私はいつも楽しく読ませていただく。沢木耕太郎のエッセイ「旅のつばくろ」から始まって、なかなか面白い特集記事が多い。今月号は東京の近代建築が特集されていたので、「ご自由にお持ち帰らせて」いただいた。ただ、新幹線のシートで読むのと自分の部屋で読むのとでは、少々印象が異なるようだ。やはり、移動空間で読むのにふさわしい内容が編集されているのだなあと、妙に感心させられるのであった。

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作家との遭遇

2019-04-17 | book

沢木耕太郎
30 NOV 2018
新潮社
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「私はかなりの遅筆で、締め切りを過ぎてもまだ吟味しているというようなタイプの書き手だった。そのときの私には編集者のことは視野に入っていたが、どこかに「よりよい原稿にするためなら許してもらえるはずだ」という甘えのようなものがあったにちがいない。だが、印刷所で働いている人のことまでは深く考えたことがなかった。」

という本を読みました。自分は読書スピードが遅く、かつそれほど読書時間を確保するわけでもないので、気がつくと買い溜めした本が増えているということがある。これも「銀河を渡る」と同時に購入したわりには、なかなか読み始めることがなく寝かされていた本である。作家論ということで「銀河を渡る」ほどのバリエーションはないが、 いざ読み始めてみると、これがなかなか興味深い。知っている作家もいれば、知らない作家もいるけど、きっとこういう文章を書く人なのだなあと想像できて面白い。何よりその作家の人生観や生き様のようなものも垣間見ることができる。

最近古本ばかり購入していたのだが、こうして真っさらな新刊の本を読むというのは、気持ち的に全然違うものなのだなあということがよくわかった。たまには新刊も読もう。

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銀河を渡る

2019-04-16 | book

沢木耕太郎
27 SEP 2018
新潮社
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「こことは異なるどこかへ旅をしても、やはりしばらくすればここに戻ってくる。しかし、それはここが離れがたい宿命の土地と感じられているからではなかった。どこかに行き、ここに戻ってくるたびに、ほっとするということはある。しかし、同時に、ここが、他のどこかとほとんど等価になっていくような感覚が生まれてくるのを覚えつづけてもいたのだ。」

という本を読みました。新聞の書評欄で目についたのは、装丁デザインに惹かれたからに他ならない。もう一冊「作家との遭遇」と並べると、その良さが一層引き立つ。こういうフレーム(基準となる形式)のデザインというのが、個人的にとても好きなのだ。いうわけで、2冊まとめて購入する。もちろん「深夜特急」の存在は知っていたけど未読である。沢木耕太郎に関する知識はその程度であった。あと、新幹線のシートにあるフリーペーパーに連載しているエッセイ「旅のつばくろ」は読んでいるか。

じっくりと読んでみると、なるほどよくできているなあと感心させられるものばかり。どんなに短い文章でも必ずオチがある。それが目的ではないのだろうが、なんかしっくりきて完結する。お見事としか言いようがない。

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ゼロは最強

2019-04-15 | book

TAKAHIRO
19 FEB 2019
光文社
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「スターに共通して言えることは、自分の携わる制作物に対して、誰よりも向き合っていることだった。作品と向き合い、お客さんにこれをどのように伝えたらいいだろうかと、さらに向き合う。スターは作品を信じ向き合う人だった。その姿勢が見る人を惹きつける大きな魅力を生むのだと思う。」

という本を読みました。この人、怒らないそうです。ダンスの指導をするにしても、相手に教えるのではなく、相手の意見に耳を傾けて、一緒に創り上げていくというスタンスを取るとのこと。怒らないというのはいいね。自分も怒らないから、その考え方はよくわかります。感性とか感覚が近いような気がしました。

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でか足国探検記

2019-02-07 | book

椎名誠
1 DEC 1998
新潮文庫
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「細長い国というのも困ったもので、南米大陸のシッポのあたりにべたっとへばりついているチリという国は、南北に四千二百七十キロもある。幅は広いところでも三百五十五キロしかないから、まるで川みたいな国なのだ。そこでこの国の地図は、スーパーで売っている長芋みたいに、まん中でスパッと切って、左右に並べてある。」

という本を読みました。2度目のパタゴニア紀行。世間的な評価は何となく前作の方が高いようだけど、個人的にはこっちの方が楽しめました。単純にくだらない話が多いから。しかし中には、マイナス五十五度の焚火みたいに興味深い話もあって、ううむ、奥が深いのか何なのかよくわからないなあと、ひたすら感心しましたね。

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告白

2019-01-05 | book

湊かなえ
8 APL 2010
双葉文庫
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「牛乳を飲み終わった人から、紙パックを自分の番号のケースに戻して席に着くように。全員飲み終わったようですね。「終業式の日まで牛乳かよ」なんて声も聞こえましたけど、ミルクタイムも本日で終了です。お疲れ様でした。「来年はないのか?」ありません。」

という本を読みました。あれだけ世間を騒がせていた時はスルーしていたのですが、今更ながら読んでみるとすごかったです。特に第六章の冒頭がゾクッとしました。そういう展開を見せるのかと。各章によって感情移入する対象が異なるので、果たして正解(真実)はどこにあるのかわからなくなりました。なるほど、これは売れるわなあ。ちなみに私は、古本屋で86円で購入しました。

年末年始にa-haの「UNPLUGGED」を聴きながら一気に読んだのですが、その世界観のギャップに我ながら笑ってしまいました。

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Nのために

2018-12-26 | book

湊かなえ
23 AUG 2014
双葉文庫
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「その人のためなら自分を犠牲にしてもかまわない。その人のためならどんな嘘でもつける。その人のためなら何でもできる。その人のためなら殺人者にもなれる。みんな一番大切な人のことだけを考えた。一番大切な人が一番傷つかない方法を考えた。」

という本を読みました。今更ですけど。よくできた物語だなあと思いました。各章の最後に「十年後」が描かれるという構成に唸りました。お正月に読もうと思っていたけど、読み終わってしまったので、また古本屋へ行かなくちゃ。

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