みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

電力料金引き上げも原発再稼働も国民のためではなく、カネのため - 値上げ分でボーナス・廃炉・賠償費用

2012-05-29 | いとすぎから見るこの社会-全般
電力自由化や10年前に阻止された固定価格買取制度の際の騒動を知っていれば
我が国の電力利権の本性はよく理解できる訳であるが、
福島事故以来、それが漸く国民全てに明らかになった。

因に今でも、電力大手の関係者が各方面に
何とかいい話を書いて欲しいと頼み込んでいると言われている。

エネルギー政策・電力政策など知りもしないジャーナリストが
提灯持ちの記事を書いているのが散見されるが
あの連中や媒体は「電力ステマ」である可能性が高い。

我が国の電力供給の実態は事業の実質独占・地域独占という「利権」である。
電力の安定供給や原子力の優位性を実態以上に誇大に強調した理由はそこにある。

だからこそ、低成長の時期でも電力消費量が増えているのだ。
この利権を解体することで経済成長率も引き上げられる可能性が高い。


 ↓ 実例

東電の退職金積立、驚きの高額で上場企業平均の3倍 - 原子力はエネルギー政策ではなくただの利権だ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3b00d30fd3a7a666301681977bb1bc6b


 ↓ 因に、他の電力大手も大同小異である

関西電力の経営判断の誤りは明白 - 不安定な原発に依存し、老朽化した火力発電の設備更新を怠った報い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/7fc84acbad73e16aa4e9fe5aeeea466d


▽ 原発は事実上、実質独占を守るための手段になっていた

『震災復興 欺瞞の構図』(原田泰,新潮社)


「ボーナス出したいから値上げさせてくれ」と正面から頼めば良いものを、
そろっと滑り込ませる姑息な方法を使うから更に強い批判を受けるのである。


東電:賞与も値上げ分に 今冬147億円、人件費に計上(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120529k0000m020110000c2.html
”家庭向け電気料金の平均10%超の値上げを枝野幸男経済産業相に申請している東京電力が、社員の今冬の賞与(ボーナス)147億円分を料金値上げの原価となる人件費に計上していることが28日分かった。福島第1原発事故の処理と賠償で財務内容が悪化し、国から1兆円規模の公的資金投入を受ける東電は今夏のボーナス支給は見送ったが、冬のボーナスに関しては「未定」としていた。
 電気料金値上げの妥当性を審査している経産省の有識者会議「電気料金審査専門委員会」(委員長・安念潤司中央大法科大学院教授)は、東電に対し、人件費の一段の削減を通じた値上げ幅圧縮を促したい考え。同専門委は29日に会合を開き、人件費や修繕費などの計上が適正か審査するが、委員からは「公的資金を投入される立場を考慮し人件費を決めるべきだ」との厳しい声も出ており、冬のボーナスの大幅削減を迫られる可能性がある
 東電が経産省に示した資料によると、12年度はボーナスを147億円計上。13~14年度も各290億円強のボーナス(夏・冬含み)を見込んでいる。東電は福島第1原発事故以降、社員の年収を20%(管理職は25%)削減したが、専門委では「実質破綻企業の合理化策としては甘過ぎる」との指摘が出ている。東電は燃料費や人件費などに一定の利益を上乗せした総額を基に、7月から家庭向け電気料金の平均10.28%値上げの認可を枝野経産相に申請している。【小倉祥徳】”

福島原発事故で故郷を追われた人々、
農業など仕事ができなくなった福島の人々、
観光客激減で倒産被害に遭ったり苦境に陥った人々は間違いなく激怒する。
国民も納得する訳がない。それすらも理解できていないのだ。


東電値上げ1%超分に廃炉・賠償関係費用(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120529-OYT1T01049.htm
”東京電力の家庭向け電気料金値上げの総原価に、新たに福島第一原子力発電所の汚染水処理などの廃炉関係費用や、賠償業務費用が関連人件費を含めて年間計957億円盛り込まれていることが29日、わかった。
 総原価の1.6%を占め、値上げ幅(平均10.28%)の1%超分を占める計算で、一連の費用の料金への転嫁が適切かどうか、今後の焦点となりそうだ。
〔中略〕
 福島第一原発事故の緊急的な処理や廃炉費用は、特別損失としてこれまでの東電の決算で計上している。東電が被災者に支払う賠償金は、政府の原子力損害賠償支援機構から資金支援を受けて充当するため、いずれも料金の算定根拠となる総原価には盛り込めない。”

こちらも問題である。いずれ電気料金か税金に転嫁されるものだが、
決して不透明な形、関係者の利害で決めてはならない。


核燃サイクル「秘密会議」:まるでムラの寄り合い(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20120524k0000m040126000c.html
”扉の向こうに信じがたい光景が広がっていた。4月24日、東京・霞が関で開かれた「勉強会」と称する核燃サイクルを巡る秘密会議。一線を画すべき国家公務員と電気事業者が談笑する様は、まるで「原子力ムラ」の寄り合いだ。参加者の手元にはなぞの文書が配られる。取材班は後に内閣府原子力委員会の小委員会で示される報告案の原案だったことを突き止めた。【核燃サイクル取材班】
  ◇反対派批判、一斉に笑い
 4月24日午後5時前、東京・霞が関の中央合同庁舎4号館7階743会議室。開けっ放しのドアから三々五々、背広姿の男たちが入室していくのを記者は目撃した。原子力委員会、内閣府、経済産業省・資源エネルギー庁、電気事業連合会、日本原燃、東京電力……。反対・慎重派の姿はなく、推進派ばかりだ。
〔中略〕
 2人の内閣府職員が「ロ」の字に並べられた机の上に1部ずつ原案を配布していく。電事連幹部らが笑顔で受け取る。扉のすぐそばに座っている高速増殖原型炉「もんじゅ」を運営する「日本原子力研究開発機構」幹部は熟読していた。やがて雑談が始まり、1人が反対派の論客である環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長らの名前を挙げ批判すると、一斉に笑い声が起こった。
 午後5時10分、開けっ放しだった会議室のドアが静かに閉まり、秘密会議が始まった。関係者によると、青森県六ケ所村の再処理工場を運営する「日本原燃」幹部が再処理事業の生き残りを意味する「再処理・直接処分併存(併用)」政策で小委員会の議論をまとめるよう依頼した。「六ケ所をやめて直接処分にするとあちこちが大変になる」と強調する幹部。再処理事業が破綻すると、六ケ所村に貯蔵中の約2919トンの使用済み核燃料は施設外に搬出しなければならないとされる。
 小委員会は今月23日、新大綱策定会議に併存に有利な表現の並んだ「総合評価」を盛り込んだ取りまとめを報告した。経産省関係者は「再処理しても最後はごみを捨てなければならない。政府と役人が一体となって最終処分場を造るために汗を流さなければならない時に、時間稼ぎに過ぎない政策を推進している」と嘆いた。
  ◇「うっかり」は通用しない
 長期的な原子力政策を論議する「新大綱策定会議」(議長・近藤駿介原子力委員長)の議案が原発再稼働の妨げになるとして隠蔽(いんぺい)された問題を毎日新聞が報じた(8日朝刊)際、近藤氏は主に二つの理由から「問題ない」との見解を示した。しかし、秘密会議問題で発覚した経緯に照らすと、今度は同じ弁明は通用しない。
 議案隠蔽問題は4月19日、事務局の内閣府職員が「(原子力と)地域社会との共生」と題した同24日の策定会議の議案を経済産業省・資源エネルギー庁や電気事業連合会に渡したところ「『(地域には再稼働に慎重な)滋賀県は含むのか』と追及され策定会議が紛糾する」と言われ、この議案をとりやめたというもの。
 近藤氏は電気事業者に渡った点を不適切としながらも「議案ではなくメモ。議案なら(パソコンのプレゼンテーションソフトである)パワーポイント形式にする」「事務局がメモをうっかり電子メールで流してしまった」などと釈明した。
 しかし今回発覚した秘密会議疑惑で配られた原案はパワーポイント形式。さらにメールではなく会議室で事業者に手渡している。所管大臣である細野豪志原発事故担当相は議案隠蔽発覚時、近藤氏擁護論を展開した。対応が注目される。【核燃サイクル取材班】〔以下略〕”

毎日新聞が鋭く真相の一端を暴いている。
これは核燃料サイクルでの話であるが、
残念ながら原子力関係もエネルギー政策関係も全て同じである。

事情を知っている者にとってはまったくもって想定内の話で、
国民の批判が厳しくなっている今の時期になっても
相変わらず隠蔽体質が変わっていないことが分かる。

▽ 電力自由化も再生可能エネルギーも全く同じ構造

『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』(NHKスペシャル「日本新生」取材班)


電力10社利益、7割は家庭向け 再稼働なしで15%値上げも(共同通信)
http://www.47news.jp/news/2012/05/post_20120523113334.html
”経産省が電力10社の収支構造を調べたところ、06年度から5年間の平均で、販売電力量に占める割合が38%しかない家庭向けから利益の69%を上げていることが23日、分かった。企業向け電気料金は、顧客との交渉で価格が決まるが、家庭向けは制度規制で割高となっている。東電はその傾向が最も顕著で利益の91%が家庭から。東電は同日、柏崎刈羽原発が再稼働しなければ値上げ率は15.87%に達するとの試算を公表。”

当ウェブログは「不都合な事実はまだまだある」と明言したが、
その通りの展開である。はっきり言っておくが、
不都合な情報の隠蔽はまだまだある。
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