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「福祉予算を高齢者に集中してきたことが、社会の先細りを加速させた」- 毎日新聞社説、堂々の正論

2010-12-28 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
先日、現下の社会保障制度の本質を鋭く抉る
毎日新聞の社説を発見しました。

若年層や子供向けの社会保障予算が極端に少ないこと、
新しい高齢者医療制度は現役世代へのつけ回しに他ならないこと、
若年層や子供への支援を怠れば社会自体が地盤沈下するであろうこと、
いずれも多くのメディアが触れない「不都合な事実」です。

偉そうな言い方で恐縮ですが、執筆者は
詳細に社会保障を調べられていることが分かります。

学習院大学の鈴木亘教授は、
日本でこっそり社会保障に投入されている公費は
何と年間
20兆円にものぼり、
その大部分が年金と医療への支出であることを指摘されています。

当ウェブログで指摘したように、子供手当より遥かに額が大きい。





『日本経済「余命3年」』(竹中平蔵/池田信夫/土居丈朗/鈴木亘,PHP研究所)



社説:社会保障改革 若年世代の支援も軸に(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20101220k0000m070114000c.html

”「福祉」といえばこの国ではもっぱら高齢者について考えることだった。社会保障
 給付費約105兆円の半分は年金が占める。医療が30%、介護が7%で、これか
 ら高齢化はますます進展するので医療費と介護費の膨張からは逃れようがない。
 一方、支える側の現役世代は少子化のために人数が減り続けている。大学や高校を
 出ても就職できない若者の問題も深刻だ。若年世代の失業率は平均より2倍も高い。
 また、社会との関係を断ってひきこもる若者も推計70万人に及ぶ。ところが、
 れまで子育てや若者世代の社会保障はあまり顧みられたことがなく、公費支出は先
 進国では最低レベルだ。

   ◇政権公約を実質修正
 老いてからの安心を得ようとして少ない福祉の財源を高齢者に集中してきたことが、
 社会を支える若年層の先細りを加速させ、ますます老いてからの福祉の弱体化を招
 いている
。そうした悪循環を断つためには、安定した財源を確保した上でほころび
 が出ている年金・医療・介護の手当てをしつつも、優先的に取り組む政策の軸足を
 子育てや若者支援に移すしかない
。長期的な視点で抜本改革に着手すべきである。
 菅政権が設置した「社会保障改革に関する有識者検討会」(座長、宮本太郎北海道
 大大学院教授)は当面の優先課題として、(1)子ども・子育て新システムの実現
 (2)新規学卒者と若年層のための就労支援体制の強化(3)与野党の国会議員や
 有識者で構成する「社会保障諮問会議」(仮称)の設置を盛り込んだ報告をまとめ
 た。政府もこれを踏まえて社会保障改革の基本方針を閣議決定した。
 累積赤字、財源不足は危機的な状況だ。消費税アップの道筋をつけるための付け焼
 き刃的な検討会報告ではあるが、その方針は大筋で評価できる。問題はどうやって
 与党内および野党との合意を形成していくかの手順と手法である。
 まず、政権交代を果たした昨年の衆院選時点の公約であるマニフェストとの整合性
 はどうするのか。子ども手当や保育所の待機児童解消はいいとしても、年金制度改
 革、後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の廃止はマニフェストでの社会
 保障改革の目玉だったはずだ。
 政権交代から1年以上がたつものの、年金制度改革については見るべきものがない。
 もともと細部の具体性に欠ける改革案だったが、「年金制度を一元化し、すべての
 人に月額7万円以上を給付する最低保障年金を創設し、その財源に消費税をあてる」
 というものだった。ところが、参院選のさなかに発表した年金改革7原則からは、
 「月額7万円」「財源は全額税で」という項目がなくなった。さらに今回の有識者
 検討会報告では「年金制度一元化」という看板も消えた。基礎年金の国庫負担を3
 分の1から2分の1へと引き上げることすら四苦八苦している現状からすれば当然
 の帰結だろう。
 後期高齢者医療制度に代わる新制度については、急ごしらえでまとめはしたものの
 高齢者の負担を現役世代につけ回ししたに過ぎず、抜本改革にはほど遠い内容だ。
 法案提出すら危ぶまれているのでは、何のために時間を費やしてきたのかわからな
 い。有識者検討会報告では新制度についての記述は一切なく、「病院・病床の機能
 分化の徹底と集約化」「不必要な入院期間を減らし」「家庭医を多数養成」など、
 自公政権時代に進められてきた医療改革を前面に出した記述が目立つ。
 〔中略〕
 社会保障改革は時間的に土壇場であることを各党は深刻に認識すべきだ。消費税を
 含む財源確保ができなければ基礎年金の国庫負担はもうまかなえない。12年4月
 には6年に1度の診療報酬・介護報酬の同時改定が行われる。高齢者医療と介護を
 立て直さなければ、綻びではすまなくなる。子育てや若年世代の支援がこれ以上後
 回しにされると社会全体が地盤沈下していく
ことになる。”

認識は的確ですが、問題は処方箋です。
「与野党で協議」しても彼らは足の引っ張り合いで
点数を稼ごうとするので、時間の無駄だと思います。

取りあえずは優遇し過ぎの退職金課税を即刻見直して
育児支援の財源とすべきでしょう。
豊かな高齢層にもバラまかれている年金・医療給付の公費投入分も
すぐに削減しなければなりません。
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