みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

子供手当の迷走が示す政権担当能力の低さ - 調査では41%が「将来のための貯蓄・保険に」と回答

2010-12-07 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
当ウェブログでは、民主党の役割は政権交代の実現で終わったのだと
一度書いた事がありましたが、まさにその通りの展開です。

子供手当の制度設計は実は非常に重要であり、
支持率を上げる要因にもなりますし下げる要因にもなります。

尚、子供手当をバラマキと言って批判する無責任なメディアがありますが
それは根本的に間違いです。いい加減なことを書かないで
年金と医療にどれほど巨額の公費が投入されているか調べなさい。


…子供手当が良策かどうかは全て費用対効果にかかっています。

(1) 出生率引き上げ

 出生率引き上げ効果に関しては東大の伊藤隆敏教授が結論を出されており、
 現金給付より現物(サービス)給付の方が遥かに有効です。

(2) 内需振興策

 内需振興策としてはキャッシュよりバウチャーの方が即効性があります。
 また、バウチャーならば完全に使途を制限できます。
 (保育・教育に加え、観光に使えるようにすると効果が大きい)

(3) 雇用増効果

 保育所を利用して働きに出る女性が増えれば
 育児支援部門で保育士の雇用が増えます。
 人手不足に悩む医療・介護分野での女性雇用増も望めます。

 ただ現金給付では貯蓄などの退蔵が生じるので効果が薄くなります。
 しかも配偶者控除を温存するとまず雇用は増えない

(4) 待機児童問題の改善

 待機児童問題改善にも現金給付はほぼ効果ゼロです。

 学習院大学の鈴木亘教授の指摘通り、
 公立保育所の既得権を破壊するような大胆な規制緩和と
 保育バウチャーを組み合わせないと効果が出ない。


▽ 育児・介護部門における雇用増は、規制緩和なくしてあり得ない





『社会保障の「不都合な真実」』(鈴木亘,日本経済新聞出版社)


上積み7000円の減額案浮上=配偶者控除見直し難航―子ども手当(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c%3Fg%3Dsoc%26k%3D2010120700007

”政府・与党内で2011年度の子ども手当の上積み額について、3歳未満に限定し
 て一律7000円を上積みするとした当初案から、上積み額を圧縮する案が浮上し
 ていることが6日、明らかになった。財源として想定した配偶者控除の見直しに与
 党内で反対意見が出ており
、必要な2450億円の財源が確保できない可能性が出
 てきたためだ。このため、来年度は5000円程度の上積みにとどめ、必要財源を
 1800億円程度に抑えることが検討されている。
 関係5閣僚の会合では、所得税と住民税の年少扶養控除の段階的廃止により、12
 年度以降に最大6000円の手取り減となる3歳未満児を持つ世帯に7000円を
 上積みすることでいったん合意。財源は高額所得者に対する配偶者控除の廃止を軸
 に検討を進めてきた。
 しかし、配偶者控除見直しには、来年4月の統一地方選に向けて専業主婦の反発を
 恐れる民主党税制改正プロジェクトチームが強く反対
。一方、財務省が導入を検討
 している支給世帯への所得制限についても、「社会全体で子育てを支援する」とい
 う手当創設の理念に反するとの批判が強い。”

 → これだから組合を支持母体に持つ政党は有権者から馬鹿にされるのだ。
   高所得の支持者から突き上げを食らっているに違いない。
   専業主婦の反発など「雇用増で経済効果大」の一言で鎮圧できる。

   財務省の所得制限案もコスト高なので愚策だ。
   中高所得層の所得税を数%引き上げて調整した方が遥かに賢い。


子ども手当:使い道の41%が「貯蓄など」 厚労省調査(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101208k0000m010057000c.html

”厚生労働省は7日、子ども手当の使途などに関するアンケート調査の結果を発表
 した。使い道(複数回答)で最も多かったのは、「子どもの将来のための貯蓄・
 保険」で41.6%。
次いで、子どもの衣類など16.4%、学習塾などの学校外
 教育費16.3%と続いた。厚労省は「貯蓄であっても子どものためなので悪い
 ことではない。全体としてかなりの割合で子どものために支出されている」とし
 ている。
 調査は今年6月の初支給を受け、8~9月にインターネットを使い実施。子ども
 手当の対象である中学3年生以下の子どもを持つ保護者約1万人が対象。
 子ども手当は少子化対策として導入されたが、手当支給をきっかけに子どもを増
 やそうと考えた家庭は8.5%。ただ、第1子が0~3歳の家庭に限ると13.9
 %
だった。
 「子どものため」以外の使い道で最も多かったのは、家庭の日常生活費で13.8
 %。野党から「親のパチンコ代に消える」などの批判もあったが、「大人の小遣
 いや遊興費」は0.4%にとどまった
。子どものため以外の回答を選んだ人の内、
 最も多かった理由(複数回答)は「家計に余裕がない」(64.2%)だった。
 【山田夢留】”

所轄官庁の暢気なコメントにはらはらさせられます。
有権者が怒れば制度は粉々に破壊されると理解しているのでしょうか?

貴重な税収を支出する限りは絶対に効果を出さねばなりません。
特に雇用増と内需振興効果は絶対に必須です。
もっと緊張感を持って政策と向き合って欲しいところ。

私が以前書いたように不正受給への「強制返還条項」も入れないと
後で間違いなく問題が生じるのですが。。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする