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大和総研の原田泰チーフエコノミストへの疑問 - なぜエスタブリッシュメント層に媚びるのか

2007-01-18 | 『週刊ダイヤモンド』より
私など足下にも及ばない立派な業績をお持ちの方だとは理解していますが、
どうして毎回毎回後ろ向きで、「問題があろうと何もする必要なし」的な、
怠惰で無責任なエスタブリッシュメント層にこびる甘言を弄されるのでしょうか。

今週の『週刊ダイヤモンド』に掲載されていた寄稿(P86)についてです。
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驚くべきことに「増税なしで財政再建が可能」と主張されているのです!!
いとすぎは「凄い! そんな方法があるのか!」と勢い込んで読んだのですが …

はっきり言って、騙されました。
先進国中で最悪の水準である、膨大な国債発行残高を完全に無視しています。
巨額の国債の利払いも、本当に計算に入れているのでしょうか?

P126では、野口悠紀雄 教授が最悪水準の公債依存度と税収の伸びの鈍化を指摘し
「プライマリーバランス(基礎的収支)が均衡しても財政再建にはならない」
と堂々の正論を展開されています。
原田氏の論考の方が明らかに説得力に欠けると思うのは私だけではないでしょう。

原田氏は、自分の属する世代が拵えたこの膨大な借金負担を、
後世にそっくりそのまま移転させるつもりとしか思えません。

確かに「繰り越し欠損金」の話は理解できます。
しかし、現在の法人税の増収は所謂新興国の好況に支えられており、
いつまで続くか分からない不安定なものです。

原田氏の以下の主張は、批判を受けること必至です。


その1「増税を急ぎ過ぎれば、財政を安定化する以上の増税
    をしてしまう危険がある」


 → いやこれは凄いロジックですね。
   先進国中最悪の借金大国のエコノミストの言葉とは思えません。
   寧ろ、このような無責任で鈍感な精神こそが債務を増やしたのでしょう。


その2「早期の増税は、歳出削減努力を阻害する可能性が
    あるので好ましくない」


 → これは、要するに「日本の政治は何もできない」ということです。
   歳出削減努力と増税が両立しないと言うのですから。
   政権与党にとっては極めて失礼な言い草で、
   「お前たちにはそれだけの政治執行能力がないだろう」
   と面罵しているのと同じです。一種の名誉毀損かもしれません。

なぜこのような不可思議な論を主張されるのか不思議に思っていましたが、
ついさっき、或るひとつの仮説が浮かびました。

大田 経済財政担当大臣「増税なき財政再建を目指す」(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20070119k0000m020185000c.html

このふたつがほぼ同時にメディアに出てきていることは、
原田氏の論考の裏に薄暗い政治的な動機があることを疑わせるのに充分です。

… 氏の論考は、なぜここまで現政権の意向に添った内容なのでしょうか。

   ◇     ◇     ◇     ◇

原田氏は以前『人口減少社会は怖くない』という
現在の社会保障システムの危機を無視したタイトルの本を出されていますが、

社会的問題があっても、何かしら安心できる
ような理屈をどこからか探し出してくる

というスタンスにおいて「増税なしで財政再建可能」論と共通しています。

つまり原田氏の論考は意識的にせよ無意識的にせよ、
自らの過ちを認めたくないエスタブリッシュメント層の利己心におもねり、
(「そっかー! 俺はべつに悪くないし、何もしなくていいのかあ!」となる)
結果的に怠惰と無責任を助長するという弊害を伴っています。

従って、この原田氏の主張は、政治的な動機が疑われる以外にも、
重大な社会的問題を包含するものである、と私は考えています。

※ 個人的な意見です。私の理解に誤りがありましたら、ぜひ御教示下さい。
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