タイガーマスク現象の旋風が一巡したようです。
世間に大いなる誤解があるようなので指摘しておきますが、
タイガーマスク現象はボリュームが圧倒的に不足しています。
金額的には年間10万円を超える子供手当の方が遥かにましです。
小学生でも分かる計算すらせずに
僅かな金額を過大評価する傾向が強いのはおかしい。
また、日本国内には平均年収200万程度の母子家庭は100万世帯以上、
少なくとも児童養護施設の数十倍の子供が支援を必要としている筈です。
彼ら彼女らには何も贈られていません。
なぜこのような歪みを放置して喜んでいられるのでしょうか。
現状は、おのれの自己満足を優先して
少ない金額で正当化しているようにしか見えません。
日本は家族支援政策が先進国で最も貧弱であり、
母子家庭の貧困率が極めて高いことで有名です。
▽ 専門家が何度も指摘しているのに改善されていません。
▽ おまけに社会的弱者に対し非常に冷たい世論。
タイガーマスク:山形では野菜や米150キロも(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110111k0000e040084000c.html
”プロレス漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」を名乗る贈り物が11日も各地
に届けられた。
長野県上田市役所にも11日朝、ピンクと黒のランドセル計2個が正面玄関脇に置
かれているのを清掃業者が発見。「伊達直人」名の手紙が添えられ、「上田市の新
1年生へ」「これをもらった君たちが明るく元気に過ごせますように」などと書か
れていた。市は児童養護施設などの新1年生に贈る予定。
山形県新庄市の児童養護施設「双葉荘」では9日夜、「田舎伊達直人(タイガーマ
スク)」名でネギ44本、白菜11個、米150キロと現金1万円が置かれている
のが見つかった。添えられた広告のチラシの裏に「ちょくなってね」と記され、横
田英雄荘長は「『強くなってね』というメッセージと思う。本当にありがたい」と
話した。
このほか10日夜~11日朝に▽長野県松本市の松本児童相談所に「北アルプスの
伊達直人」名のランドセル2個▽横浜市南区の市中央児童相談所に「OSK32」
名でボクシンググローブ2組とかばん18個▽埼玉県上尾市の県中央児童相談所に
「伊達直人」名でランドセル4個▽同県越谷市役所に「肝っ玉かあさん」名でラン
ドセル5個▽新潟県小千谷(おぢや)市役所に「小千谷の伊達直人」名で現金1万
円の封書▽栃木県足利市の山辺公民館に電話で「伊達直人」と名乗る人物からラン
ドセル2個▽甲府市の児童養護施設「めだかの学校」に「山梨のタイガーマスク」
名でランドセル2個--が届いた。”
→ いずれもみな良い志の表れですが、
あらゆる贈り物はせいぜい2万円以下、
矢張り子供手当にすら及びません。
タイガー現象:「補助金では買えない」施設、喜びの声(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110114k0000e040040000c.html
”社会現象と化した、漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人などを名乗る善意
の贈り物は、主に全国の児童養護施設に届けられた。漫画が書かれた高度経済成長
期には孤児院と呼ばれていたが、今は虐待などさまざまな事情を抱える子供たちが
親元を離れて暮らしている。多くは社会福祉法人などが設立した民間施設で、厳し
い経済情勢の中、国や自治体の補助を受けながら何とか運営を続けている。その一
つを訪ねた。【神足俊輔】
〔中略〕
児童養護施設は児童福祉法に基づき、親の死亡や病気、家庭の経済的な事情などで
親と暮らすことが困難な子供が入所する。厚生労働省によると09年10月時点で
全国に563カ所あり、2万9753人が生活する。子供の年齢や人数に応じて国
や自治体から受ける補助金で運営され、子供には数千円のお小遣いも渡されるが、
施設が購入するものは行政側の厳しいチェックが入る。そのため、おもちゃなどを
子供に買い与えるのは困難という。
山本さんは「何でも買ってあげるわけにはいかない。(贈り物は)施設のお金では
買えないものばかり。絶対みんなが欲しがります。どうやってみんなに渡そうかな」
と顔をほころばせた。”
→ 問題は、この子供たちが貧弱な教育投資しか受けられないこと、
そして実社会に出る時に不利であることだ。
ランドセルだけではそうした時に役立たない。
「貧困、ブームではだめ」 今冬一転、寄付の毛布足りず(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/1221/TKY201012210246.html
”年の瀬を迎え、東京のホームレスたちに支援団体が配る毛布が足りない。2008、
09年はリーマン・ショックやネットカフェ難民、年越し派遣村などで「貧困」の
問題が注目を集め、全国から寄付が寄せられたが、今冬は動きが鈍いという。支援
団体は「貧困支援は一時的なブームであってはならない。凍死者が増える前になん
とか集めたい」と懸命だ。
東京都墨田区の隅田公園で、九州出身の男性(59)が眠っていた。ブルーシート
を敷き、寝袋にくるまる。年齢を理由に日雇いの仕事もなくなり、空き缶収集で得
る収入は月4千円ほど。記者が会った日の所持金は300円だった。寒さをしのぐ
ため服は5枚重ね着し、寝袋の中に毛布を2枚重ねる。それでも夜は底冷えし、辛
いという。
ホームレスの越冬に毛布は不可欠だ。支援団体「山谷労働者福祉会館活動委員会」
は例年、拠点の山谷地区(東京都台東区)や上野周辺、江東区の公園などで毛布を
配ってきた。今年はさらに、墨田区の隅田公園に「毛布箱」を設置し、誰でも箱か
ら毛布を持ち出せるようにした。
昨年暮には毛布が200枚以上集まったのに、今年は50枚ほど。配る毛布は11
月中旬で底をついた。同委員会によると、年を越すために「あと300枚必要」と
いう。
東京都によると、都内のホームレスは1月の調査で3125人。最多の台東区には
331人いたという。同区によると昨年12月~今年2月、凍傷などで129人が
緊急的に生活保護を受け入院した。
東京都と23区がホームレス保護のため5カ所に設けている緊急一時保護センター
(定員351人)は、昨年に比べて定員が2割減らされた。今秋以降はほぼ満床で、
希望者が入れない状況が続く。都は昨冬、国の要請で「公設派遣村」を開いたが、
その後、石原慎太郎知事は「政府はもっと総合的にやるべきだ。厚生労働省の役人
に代わって都が(派遣村利用者の)面倒を見る筋は全くない。昨年のような協力は
できない」と明言しており、今冬は設置しない。
毛布の寄付や問い合わせは同委員会へ。(青木美希)”
タイガーマスクも来年の今頃には忘れられかけるだろう。
すっかり萎んでしまったこの昨年の「派遣村」ブームのように。
タイガーマスク現象を持続的な運動とするには、
タイガーマスク基金を創設して寄付金控除の適用対象とし、
運用も行って長期的に安定して支援継続できるようにしなければならない。
気紛れで冷め易い現在のタイガーマスク現象では、
散発的なものにとどまりいずれ忘れられるだろう。
▽ 賢いアメリカの超富裕層は、政策を変えようと働きかけている
世間に大いなる誤解があるようなので指摘しておきますが、
タイガーマスク現象はボリュームが圧倒的に不足しています。
金額的には年間10万円を超える子供手当の方が遥かにましです。
小学生でも分かる計算すらせずに
僅かな金額を過大評価する傾向が強いのはおかしい。
また、日本国内には平均年収200万程度の母子家庭は100万世帯以上、
少なくとも児童養護施設の数十倍の子供が支援を必要としている筈です。
彼ら彼女らには何も贈られていません。
なぜこのような歪みを放置して喜んでいられるのでしょうか。
現状は、おのれの自己満足を優先して
少ない金額で正当化しているようにしか見えません。
日本は家族支援政策が先進国で最も貧弱であり、
母子家庭の貧困率が極めて高いことで有名です。
▽ 専門家が何度も指摘しているのに改善されていません。
『大貧困社会』(駒村康平) |
▽ おまけに社会的弱者に対し非常に冷たい世論。
『格差と希望―誰が損をしているか?』(大竹文雄) |
タイガーマスク:山形では野菜や米150キロも(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110111k0000e040084000c.html
”プロレス漫画タイガーマスクの主人公「伊達直人」を名乗る贈り物が11日も各地
に届けられた。
長野県上田市役所にも11日朝、ピンクと黒のランドセル計2個が正面玄関脇に置
かれているのを清掃業者が発見。「伊達直人」名の手紙が添えられ、「上田市の新
1年生へ」「これをもらった君たちが明るく元気に過ごせますように」などと書か
れていた。市は児童養護施設などの新1年生に贈る予定。
山形県新庄市の児童養護施設「双葉荘」では9日夜、「田舎伊達直人(タイガーマ
スク)」名でネギ44本、白菜11個、米150キロと現金1万円が置かれている
のが見つかった。添えられた広告のチラシの裏に「ちょくなってね」と記され、横
田英雄荘長は「『強くなってね』というメッセージと思う。本当にありがたい」と
話した。
このほか10日夜~11日朝に▽長野県松本市の松本児童相談所に「北アルプスの
伊達直人」名のランドセル2個▽横浜市南区の市中央児童相談所に「OSK32」
名でボクシンググローブ2組とかばん18個▽埼玉県上尾市の県中央児童相談所に
「伊達直人」名でランドセル4個▽同県越谷市役所に「肝っ玉かあさん」名でラン
ドセル5個▽新潟県小千谷(おぢや)市役所に「小千谷の伊達直人」名で現金1万
円の封書▽栃木県足利市の山辺公民館に電話で「伊達直人」と名乗る人物からラン
ドセル2個▽甲府市の児童養護施設「めだかの学校」に「山梨のタイガーマスク」
名でランドセル2個--が届いた。”
→ いずれもみな良い志の表れですが、
あらゆる贈り物はせいぜい2万円以下、
矢張り子供手当にすら及びません。
タイガー現象:「補助金では買えない」施設、喜びの声(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110114k0000e040040000c.html
”社会現象と化した、漫画「タイガーマスク」の主人公・伊達直人などを名乗る善意
の贈り物は、主に全国の児童養護施設に届けられた。漫画が書かれた高度経済成長
期には孤児院と呼ばれていたが、今は虐待などさまざまな事情を抱える子供たちが
親元を離れて暮らしている。多くは社会福祉法人などが設立した民間施設で、厳し
い経済情勢の中、国や自治体の補助を受けながら何とか運営を続けている。その一
つを訪ねた。【神足俊輔】
〔中略〕
児童養護施設は児童福祉法に基づき、親の死亡や病気、家庭の経済的な事情などで
親と暮らすことが困難な子供が入所する。厚生労働省によると09年10月時点で
全国に563カ所あり、2万9753人が生活する。子供の年齢や人数に応じて国
や自治体から受ける補助金で運営され、子供には数千円のお小遣いも渡されるが、
施設が購入するものは行政側の厳しいチェックが入る。そのため、おもちゃなどを
子供に買い与えるのは困難という。
山本さんは「何でも買ってあげるわけにはいかない。(贈り物は)施設のお金では
買えないものばかり。絶対みんなが欲しがります。どうやってみんなに渡そうかな」
と顔をほころばせた。”
→ 問題は、この子供たちが貧弱な教育投資しか受けられないこと、
そして実社会に出る時に不利であることだ。
ランドセルだけではそうした時に役立たない。
「貧困、ブームではだめ」 今冬一転、寄付の毛布足りず(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/1221/TKY201012210246.html
”年の瀬を迎え、東京のホームレスたちに支援団体が配る毛布が足りない。2008、
09年はリーマン・ショックやネットカフェ難民、年越し派遣村などで「貧困」の
問題が注目を集め、全国から寄付が寄せられたが、今冬は動きが鈍いという。支援
団体は「貧困支援は一時的なブームであってはならない。凍死者が増える前になん
とか集めたい」と懸命だ。
東京都墨田区の隅田公園で、九州出身の男性(59)が眠っていた。ブルーシート
を敷き、寝袋にくるまる。年齢を理由に日雇いの仕事もなくなり、空き缶収集で得
る収入は月4千円ほど。記者が会った日の所持金は300円だった。寒さをしのぐ
ため服は5枚重ね着し、寝袋の中に毛布を2枚重ねる。それでも夜は底冷えし、辛
いという。
ホームレスの越冬に毛布は不可欠だ。支援団体「山谷労働者福祉会館活動委員会」
は例年、拠点の山谷地区(東京都台東区)や上野周辺、江東区の公園などで毛布を
配ってきた。今年はさらに、墨田区の隅田公園に「毛布箱」を設置し、誰でも箱か
ら毛布を持ち出せるようにした。
昨年暮には毛布が200枚以上集まったのに、今年は50枚ほど。配る毛布は11
月中旬で底をついた。同委員会によると、年を越すために「あと300枚必要」と
いう。
東京都によると、都内のホームレスは1月の調査で3125人。最多の台東区には
331人いたという。同区によると昨年12月~今年2月、凍傷などで129人が
緊急的に生活保護を受け入院した。
東京都と23区がホームレス保護のため5カ所に設けている緊急一時保護センター
(定員351人)は、昨年に比べて定員が2割減らされた。今秋以降はほぼ満床で、
希望者が入れない状況が続く。都は昨冬、国の要請で「公設派遣村」を開いたが、
その後、石原慎太郎知事は「政府はもっと総合的にやるべきだ。厚生労働省の役人
に代わって都が(派遣村利用者の)面倒を見る筋は全くない。昨年のような協力は
できない」と明言しており、今冬は設置しない。
毛布の寄付や問い合わせは同委員会へ。(青木美希)”
タイガーマスクも来年の今頃には忘れられかけるだろう。
すっかり萎んでしまったこの昨年の「派遣村」ブームのように。
タイガーマスク現象を持続的な運動とするには、
タイガーマスク基金を創設して寄付金控除の適用対象とし、
運用も行って長期的に安定して支援継続できるようにしなければならない。
気紛れで冷め易い現在のタイガーマスク現象では、
散発的なものにとどまりいずれ忘れられるだろう。
▽ 賢いアメリカの超富裕層は、政策を変えようと働きかけている
『ザ・ニューリッチ―アメリカ新富裕層の知られざる実態』(ロバート・フランク) |