毎度のことながら、日本はまたしても遅れをとっています。
エコファンド、欧州で人気高まる(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070313AT2M0300913032007.html
” 2006年に欧州でエコファンドに流入した資金は31億7000万ユーロ
(約5,000億円)と前年のほぼ5倍に膨らんだ。欧州では欧州連合
(EU)が主要国に先行して環境規制を強化。関連ビジネスも成長
しており、マネーも「環境シフト」が鮮明になっている。〔中略〕
米運用会社ブラックロックは、再生可能エネルギーの風力発電ベン
チャー株などに投資する株式投信を運用。欧州の個人向け販売が伸
び、1月末の残高が25億ユーロと1年間で3倍弱になった。”
記事の半分ほどを抜粋致しました。
この運用会社「ブラックロック」は、トーセイの大株主として
名前が出てくるので個人的にも興味の尽きないところです。
さて、この環境関連企業に投資するエコファンドですが、
いとすぎはそれほど賛成の立場ではありません。
投資家としては忸怩たる思いですが、
イノベーションを生み出すのは投資家自身ではありません。
イノベーションを生み出すのは、事業者の日々の営みです。
もちろん投資家は時代の革新における「2級市民」であり、
どれほど多額のマネーもそれだけでは何も生まないこと、
投資家は補完的な役割しか果たせないことを自覚すべきでしょう。
「投資が環境問題の解決に役立つ」とする言説に対して、
頭脳停止的な安直さを感じるのは私だけではないと思います。
エコファンドとは投資収益追求と環境問題解決という両面作戦です。
マーケティング的優位は間違いなく存在するものの、
初めから戦略的困難が約束されています。
その選択肢はもちろん素晴らしい価値あるものですが、
エンジェル、株式、債券、消費行動など幾多のオプションの中の
ひとつに過ぎないという慎ましい認識は忘れてはならないでしょう。
いとすぎは正直に言うと、株式で企業を応援するよりも
出資や債券において長期的にコミットメントを行うこと、
大規模な運動を展開して消費行動を変える方がより効果的と見ています。
(例えば、日本は電力消費においてドイツの環境意識に完全に負けています)
エコファンドは、決して良心への手頃なアリバイであってはいけません。
投資家は収益率を上げてから社会貢献するのが本筋だと私は考えます。
※ 念のためですが、私はエコファンドの存在価値は肯定しております。
最近ちょっとした衝撃を受けたのは、
環境問題解決における日本の優位性は脆弱である
ということに気づいたからです。
確かにハイブリッド車や低燃費、省エネにおいては世界一でしょう。
しかし、太陽光発電においては公的補助の手厚いドイツに抜かれつつあります。
また、『未来を変える80人』(日経BP)を読んで感じたのですが、
日本は環境技術では世界最高水準にあるものの、
マネジメントとマーケティングでは劣っていると思えてなりません。
アメリカや欧州ではクリエイティブで影響力の強い環境起業家が幾人も現れ、
日本には見られない先駆的な試みを成功させつつあるからです。
エコファンド、欧州で人気高まる(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070313AT2M0300913032007.html
” 2006年に欧州でエコファンドに流入した資金は31億7000万ユーロ
(約5,000億円)と前年のほぼ5倍に膨らんだ。欧州では欧州連合
(EU)が主要国に先行して環境規制を強化。関連ビジネスも成長
しており、マネーも「環境シフト」が鮮明になっている。〔中略〕
米運用会社ブラックロックは、再生可能エネルギーの風力発電ベン
チャー株などに投資する株式投信を運用。欧州の個人向け販売が伸
び、1月末の残高が25億ユーロと1年間で3倍弱になった。”
記事の半分ほどを抜粋致しました。
この運用会社「ブラックロック」は、トーセイの大株主として
名前が出てくるので個人的にも興味の尽きないところです。
さて、この環境関連企業に投資するエコファンドですが、
いとすぎはそれほど賛成の立場ではありません。
投資家としては忸怩たる思いですが、
イノベーションを生み出すのは投資家自身ではありません。
イノベーションを生み出すのは、事業者の日々の営みです。
もちろん投資家は時代の革新における「2級市民」であり、
どれほど多額のマネーもそれだけでは何も生まないこと、
投資家は補完的な役割しか果たせないことを自覚すべきでしょう。
「投資が環境問題の解決に役立つ」とする言説に対して、
頭脳停止的な安直さを感じるのは私だけではないと思います。
エコファンドとは投資収益追求と環境問題解決という両面作戦です。
マーケティング的優位は間違いなく存在するものの、
初めから戦略的困難が約束されています。
その選択肢はもちろん素晴らしい価値あるものですが、
エンジェル、株式、債券、消費行動など幾多のオプションの中の
ひとつに過ぎないという慎ましい認識は忘れてはならないでしょう。
いとすぎは正直に言うと、株式で企業を応援するよりも
出資や債券において長期的にコミットメントを行うこと、
大規模な運動を展開して消費行動を変える方がより効果的と見ています。
(例えば、日本は電力消費においてドイツの環境意識に完全に負けています)
エコファンドは、決して良心への手頃なアリバイであってはいけません。
投資家は収益率を上げてから社会貢献するのが本筋だと私は考えます。
※ 念のためですが、私はエコファンドの存在価値は肯定しております。
最近ちょっとした衝撃を受けたのは、
環境問題解決における日本の優位性は脆弱である
ということに気づいたからです。
確かにハイブリッド車や低燃費、省エネにおいては世界一でしょう。
しかし、太陽光発電においては公的補助の手厚いドイツに抜かれつつあります。
また、『未来を変える80人』(日経BP)を読んで感じたのですが、
日本は環境技術では世界最高水準にあるものの、
マネジメントとマーケティングでは劣っていると思えてなりません。
アメリカや欧州ではクリエイティブで影響力の強い環境起業家が幾人も現れ、
日本には見られない先駆的な試みを成功させつつあるからです。
アラビンドは、そのスタッフがインド社会で尊敬の眼差しで
見られている、とのエピソードが印象的でした。
有名なヒンディスタン・リーバのケースでも、
マネジメントとマーケティングの重要性が分かります。
日本の、この方面での国際貢献を望みたいものです。
日本はソフト面が弱いとしばしば言われますが、
つい半世紀前はメイド・イン・ジャパンが「安物」の代名詞でした
から、変えようと思えば変えることができるはずです。
”環境先進国”と言われるドイツの強さ、それもハードウェアに加えソフト面での強さを感じました。その強さのベースは市民・顧客の環境意識の高さにあるように思います。
ちなみに、ウォートンが出している『ネクスト・マーケット』にも、『未来を変える80人』に出ているアラビンド・アイ・ホスピタルのケーススタディが詳しく載っています。
ネクスト・マーケットでは、貧困層を対象としたビジネス戦略の事例分析をしていますが、ビジネスモデルさえ工夫すれば成り立ちうるし、それが貧困層の抱える問題の解決にもなっているという点で、マーケティングがいかに大事かを痛感します。
それは社会起業家だけでなく、全ての起業家に共通のことなんでしょうけれど。