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『週刊エコノミスト』4月8日号 -「成長、歳出減、増税が全部必要」日本社会の高いハードル

2008-04-01 | 『週刊エコノミスト』より
今週の特集は「動乱経済」でした。
『週刊エコノミスト』の内容案内

最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
(定期購読は方式によりディスカウント率が複雑なので御注意下さい)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

今週は『週刊ダイヤモンド』の教育特集が気になっていたのですが、
中身を少し読んでがっかり。珍しく「企画倒れ」だと思います。
「ゆとり vs 反ゆとり」の古い図式で、数年前の特集ですね。

相変わらず数値化できる教育にしか興味がなく、
競争原理の導入も数年後に必ず反動が来るでしょう。
(財界の「成果主義」失敗の二の舞になります)
日本の学校教育は、社会保障や特別会計の分野よりも
遥かに問題が少なく、比較的うまくいっている分野です。

   ◇     ◇     ◇     ◇

済みません、本題に戻ります。

メイン特集は玉石混淆だと思いますが、
いい記事がいくつかあると思います。

驚いたのは伊藤忠商事の北井義久チーフエコノミストの記事で、
「大企業・高所得者優遇政策を改めよ」と題して
政府による強制的なトリックルダウン効果を主張されています。
(実際、賃金も国内消費も一向に伸びていないですからね)

” トリックルダウン理論をこの段階で放棄しなければ、
 日本経済は中期的に個人消費の低迷と企業の国内市場
 離れの悪循環に陥る可能性が高い。日本にとって、今
 一番必要なことは、国内市場、特に個人消費を活性化
 させることにより、海外市場に向かいがちな企業の目
 を国内市場に戻し、国内での投資活動を高めることだ。
 企業が海外シフトを続ける最も大きな理由は、税など
 の負担の重さや規制ではなく、国内市場の伸び悩みで
 ある。”

全くその通り、です。

自らの企業・立場の利害の亡者となっている経済人が多いなか、
感動しました。このような方もいらっしゃるのですね。

ただ法人税の税率アップは政治的に難しいと思うので、
課税ベースの拡大と税率微減をセットにした方が良いと思います。

   ◇     ◇     ◇     ◇

サブタイトルに挙げたのはニッセイ基礎研究所の篠原哲氏の寄稿で、
「成長+増税+歳出削減が必要」という非常に冷静な意見(P44)です。
予想通り税収が鈍化して「上げ潮」政策の欺瞞が明らかになった今、
このような見解こそ当然だと思うのですが。。

他には、P40「賃金、物価、株価 "三つの足枷"」、
P33「地方や非製造業を直撃する内需縮小」をお薦めします。

経済とはやや関わりが薄いのですが、
P58の中島紀一 茨城大学教授の寄稿も興味深いです。
日本の食糧自給率を下げた「犯人」は油脂と畜産物ですね。
(その分、米の消費量が落ちている)
飼料の国内調達を増やせば、簡単に自給率が上がるでしょう。
輸入飼料に関税をかける、という手もあると思います。

   ◇     ◇     ◇     ◇

エコノミスト編集部には、是非今後の特集には
「新しい成長政策」を期待したいと思います。
中軸は環境分野以外にあり得ないでしょう。
金融に関しては『資本開国』の野口悠紀雄 教授、




『資本開国論―新たなグローバル化時代の経済戦略』(野口悠紀雄)

どう考えてもこれから伸びるはずの国内観光分野や
(海外からの観光客がまだ少な過ぎる)
福祉・医療部門での雇用吸収力も知りたいところです。
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