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『週刊ダイヤモンド』3月26日号 - 米経済はリセッションに接近、日銀もGPIFももはや無力

2016-03-25 | 『週刊ダイヤモンド』より
今週の『週刊ダイヤモンド』のご当地特集はいま一歩だった。
「対決」シリーズにして盛り上げた方が良かったような気がする。

小ネタも本当の小粒で、ぴりりとした「山椒」に欠ける。
編集部も不完全燃焼を感じているのではないだろうか。

大前研一氏に取材して、地方分権が進んでいるドイツやスイスの例を取り上げて
いかに日本の地方自治が横並びであるかに焦点を絞った方が良かったであろう。

年頭の特集で島根県海士や長野県下條を取り上げていたが、
その時の記事の方が遥かに面白かった。残念ながら。

『週刊ダイヤモンド』2016年 3/26号 (ニッポンご当地まるごとランキング)


最も重要なのは27頁。ドイツ証券の田中泰輔氏が「110円割れの円高を警戒」として、
米景況のモメンタムを反映するナウキャスト指数(NCI)がリセッションに近付いているため、
景況の変調を受けて氏はドル円の水準を4つのシナリオに分けて想定している。

田中泰輔氏の想定する確率で加重平均を算出すると、
ドル108円という数値が出るとのことだ。
(市場関係者や投資家は必見である)

長期のナウキャスト指数を見ると現在はリーマン前とよく似ている。
1995年のように寸前でとどまって回復する可能性はなくはないが、
90年代の時のような力強さが今の指数にないため、前途は多難である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊エコノミスト』の経済学特集もいまひとつ。
「人気経済学者ランキング」は単に、検索ランキングだった。
マイナス金利についてもまあ想定内か。

ただ、個人的にはサブ特集の「悩む仏教」の方が興味深かった。
寺も、経営力が問われる時代になったようだ。。

『週刊エコノミスト』2016年03月29日号


市岡繁男氏のコラム「米石油在庫が示唆する原油低迷の長期化」も良い。
玄人好みのテーマだが、中東で原油を減産しても米石油在庫への影響は限定的、
16%のシェアしかない中東より40%を超えるカナダの方が重要であること
カナダは原油高の時期に巨額投資を行ってしまったこと、
石油在庫の高止まりが予想され、それが減少しなければ原油価格は回復しないこと。
これは保存版だと改めて思った次第である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』の銀行特集は完全に想定内。
意外な情報は全くないのではないだろうか。

読む側としては「ひと休み感」が漂った。
北欧で生じ始めている弊害をもっと詳しく書いた方が良かったのでは。

『週刊東洋経済』2016年3/26号 [特集:追い込まれる銀行]


それより巻頭の「マイナス金利で債務膨張 退職給付の“時限爆弾"」の方が評価できる。
完全に「手詰まり」の日銀はマイナス金利を撤回できないから、
この退職給付の問題は今後ますます深刻になる一方であろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は久々に東洋経済へ注目だが、いつも通り情報は集めたが「後追い」になる可能性もあろう。

▽ 以前のエコノミスト特集と比較すれば「質」が分かる

『週刊東洋経済』2016年4/2号


▽ ダイヤモンドは、東洋経済の三菱特集の後追いか?

『週刊ダイヤモンド』2016年4/2号


▽ エコノミストは次週も見てみないと分からない

『週刊エコノミスト』2016年04月05日号

「大恐慌の教訓」は、今回無関係だろう。寧ろ、緩和中毒への新しい教訓が必要な局面だ。
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