今週のエコノミストの半導体特集は本格派だが想定の範囲内ではなかろうか。
日本は部材と製造装置で稼ぐ構造になっているのは従来通り、
日韓台中でそれぞれ得意分野で住み分けている印象である。
だから問題は今後の需要次第であるが、率直に言えば
アフター・コロナの局面では超過需要が剥落する可能性を
見ておいた方が良いのではないだろうか。
シノペック等の中国ワクチンは質の面でもどうも怪しいが
ワクチンの摂取拡大によりコロナ禍の収束は疑いようがない。
コロナ対策で急激に進んできたデジタル化の急ブレーキは必至で、
そうなると自動車向けの待機需要が一巡する前に
相場が先を読んで急収縮するだろう。
事実、今週号のAI予測では5月に半導体製造装置の販売額はピークを付けるとある。
記事としての鋭さは72頁「コンビニの「成長期」は終わり」と題した
センスクリエイト総研・藤原代表の寄稿の方が優れている。
コンビニ店舗数は2019年夏に頭打ちとなり急減、
コンビニ全店売上高も2020年に初のマイナス成長と、
これまで不毛なカニバリズム(共食い)を繰り返した報いだろう。
コンビニ本社の優越的地位の濫用と低賃金労働に支えられた成長は
社会的に見て正しくなかったし、経済的にも難しくなってきている。
テレビを使った宣伝やプロモーションでは誤摩化せない局面に入ったのである。
猶、藤原氏は北海道の雄セイコーマートを範とすべきとしており、
前々からセコマを称賛してきた当ウェブログからも大いに賛同できる。
コンビニ本社の搾取的な利益構造が容易に改まるとは考えにくいが、
脱フランチャイズと地域ニーズへの対応、地元食材の活用は
セコマの長所であると同時にコンビニ大手の最大の課題である。
エントリーのサブタイトルは102頁、市岡繁男氏のコラムより。
「1987年とよく似た米債券下落ペース」と題されており
確かに1987年の米債券先物価格の下落と直近のそれは酷似しており、
当時のNYダウの推移と重ねるとピークを付けるのは3月中旬、
4月下旬に一旦値を戻した後に5月上旬から20%を超える急落となる。
これはブラックマンデーの再来、金利上昇・株価暴落への警告だろう。
◇ ◇ ◇ ◇
東洋経済はの株特集は明白な危険信号であり、
マネックスの執行役員が「3万9000円」と公言している。
コロナ禍がなければまず間違いなく日経平均3万円に届かなかった筈で、
これだから証券会社のポジショントークは信用できないのである。
先週「逆指標特集、リスクが高まっている」と書いた通りだろう。
市場が急変するとこの手の特集のランキングは役に立たないと、
初心者は改めて自らの損失により思い知らされるのだ。
記事としては98頁「話題の本」の方が優れている。
評価の高いルポライターである安田峰俊氏が
かなり中立的な目で日本の移民政策を分析しており、
ベトナムの「低度」人材が「日本の官憲との闘い」と認識していること、
田舎出身で論理的思考が苦手なマイルドヤンキー的な層であること、
上場しているメーカーの工場で働く恵まれた実習生もいるが
多数派は中小企業に勤めて14万円ほどの低賃金で働いていること、
そして日本に定住したいとは言うが日本語を学ぶ気のない偽装留学生の存在。
自ら「移民には寛容な自分」と語る安田氏ですら
不快感を抱いたとはっきり語っているのが現状なのである。
洞察力に優れた安田氏は、こうしたベトナムの「低度」人材が
疲弊した疲弊した地方都市に集住し、閉鎖的な社会を形成する可能性がある
と不吉な予言をしており、前々から「スラムができる」と明言してきた
当ウェブログの警告と不思議にも一致している。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンド農業特集は売れるから恒例化してしまったのだろうが、
功罪相半ばであろう。農業自体や農産物の輸出に過大な期待ができないことは、
オランダや韓国の低成長、或いは雇用悪化を見れば明白である。
もしオランダになりたいならコージェネ発電の買取制度も必要な筈だ。
業界としては改善の余地はあるのは明白であるが
マクロの日本経済、雇用、付加価値の面では効果は限定的だ。
例えばコロナ禍で高付加価値の農産物市場が大打撃を受けた事実は
最低でも言及すべきだったのではないだろうか?
そうした点でどうも誠実さが足りない印象である。
勿論、特集としては評価できる点もある。
各種ランキングは今回も素晴らしいし、
イノベーションも生まれつつある。
当ウェブログが以前より挙げてきた風来が誌面に登場したのも良い。
このような農業が本来は日本社会にとって望ましいと考えている。
但しコメ農家を特権階級と批判して輸出に注力しても多寡が知れている。
少子高齢化は確実に国内の胃袋を縮小させるものであり
農業を重視しないスウェーデンが高成長で米に逆転した事実を直視しなければ。
編集後記にダイヤモンド社が例の件で勝訴した後の件が書いてある。
JA側の当時の強硬姿勢は結局、何だったのだろうか。
良からぬ組織体質が窺われるようで悲しいことだ。
大規模化も切り札ではなさそうで、JA間の優勝劣敗も進むのだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
次週の注目は東洋経済、先週のエコノミストと比較したい。
▽ サブ特集の転売ヤーの問題やドコモ独禁法違反疑いの方が重要かな。。
▽ ダイヤモンドは完全にバブル確信犯、愈々不吉な予感高まる
▽ 流石はエコノミスト、暴落シナリオにも言及している
景気対策が過大な為に「このままではインフレ」という見解が最も的確だろう。
日本は部材と製造装置で稼ぐ構造になっているのは従来通り、
日韓台中でそれぞれ得意分野で住み分けている印象である。
だから問題は今後の需要次第であるが、率直に言えば
アフター・コロナの局面では超過需要が剥落する可能性を
見ておいた方が良いのではないだろうか。
シノペック等の中国ワクチンは質の面でもどうも怪しいが
ワクチンの摂取拡大によりコロナ禍の収束は疑いようがない。
コロナ対策で急激に進んできたデジタル化の急ブレーキは必至で、
そうなると自動車向けの待機需要が一巡する前に
相場が先を読んで急収縮するだろう。
事実、今週号のAI予測では5月に半導体製造装置の販売額はピークを付けるとある。
記事としての鋭さは72頁「コンビニの「成長期」は終わり」と題した
センスクリエイト総研・藤原代表の寄稿の方が優れている。
コンビニ店舗数は2019年夏に頭打ちとなり急減、
コンビニ全店売上高も2020年に初のマイナス成長と、
これまで不毛なカニバリズム(共食い)を繰り返した報いだろう。
コンビニ本社の優越的地位の濫用と低賃金労働に支えられた成長は
社会的に見て正しくなかったし、経済的にも難しくなってきている。
テレビを使った宣伝やプロモーションでは誤摩化せない局面に入ったのである。
猶、藤原氏は北海道の雄セイコーマートを範とすべきとしており、
前々からセコマを称賛してきた当ウェブログからも大いに賛同できる。
コンビニ本社の搾取的な利益構造が容易に改まるとは考えにくいが、
脱フランチャイズと地域ニーズへの対応、地元食材の活用は
セコマの長所であると同時にコンビニ大手の最大の課題である。
『週刊エコノミスト』2021年 3/23号 |
エントリーのサブタイトルは102頁、市岡繁男氏のコラムより。
「1987年とよく似た米債券下落ペース」と題されており
確かに1987年の米債券先物価格の下落と直近のそれは酷似しており、
当時のNYダウの推移と重ねるとピークを付けるのは3月中旬、
4月下旬に一旦値を戻した後に5月上旬から20%を超える急落となる。
これはブラックマンデーの再来、金利上昇・株価暴落への警告だろう。
◇ ◇ ◇ ◇
東洋経済はの株特集は明白な危険信号であり、
マネックスの執行役員が「3万9000円」と公言している。
コロナ禍がなければまず間違いなく日経平均3万円に届かなかった筈で、
これだから証券会社のポジショントークは信用できないのである。
先週「逆指標特集、リスクが高まっている」と書いた通りだろう。
市場が急変するとこの手の特集のランキングは役に立たないと、
初心者は改めて自らの損失により思い知らされるのだ。
『週刊東洋経済』2021年3/20号 (波乱に負けない! 上がる株) |
記事としては98頁「話題の本」の方が優れている。
評価の高いルポライターである安田峰俊氏が
かなり中立的な目で日本の移民政策を分析しており、
ベトナムの「低度」人材が「日本の官憲との闘い」と認識していること、
田舎出身で論理的思考が苦手なマイルドヤンキー的な層であること、
上場しているメーカーの工場で働く恵まれた実習生もいるが
多数派は中小企業に勤めて14万円ほどの低賃金で働いていること、
そして日本に定住したいとは言うが日本語を学ぶ気のない偽装留学生の存在。
自ら「移民には寛容な自分」と語る安田氏ですら
不快感を抱いたとはっきり語っているのが現状なのである。
洞察力に優れた安田氏は、こうしたベトナムの「低度」人材が
疲弊した疲弊した地方都市に集住し、閉鎖的な社会を形成する可能性がある
と不吉な予言をしており、前々から「スラムができる」と明言してきた
当ウェブログの警告と不思議にも一致している。
◇ ◇ ◇ ◇
ダイヤモンド農業特集は売れるから恒例化してしまったのだろうが、
功罪相半ばであろう。農業自体や農産物の輸出に過大な期待ができないことは、
オランダや韓国の低成長、或いは雇用悪化を見れば明白である。
もしオランダになりたいならコージェネ発電の買取制度も必要な筈だ。
業界としては改善の余地はあるのは明白であるが
マクロの日本経済、雇用、付加価値の面では効果は限定的だ。
例えばコロナ禍で高付加価値の農産物市場が大打撃を受けた事実は
最低でも言及すべきだったのではないだろうか?
そうした点でどうも誠実さが足りない印象である。
勿論、特集としては評価できる点もある。
各種ランキングは今回も素晴らしいし、
イノベーションも生まれつつある。
当ウェブログが以前より挙げてきた風来が誌面に登場したのも良い。
このような農業が本来は日本社会にとって望ましいと考えている。
但しコメ農家を特権階級と批判して輸出に注力しても多寡が知れている。
少子高齢化は確実に国内の胃袋を縮小させるものであり
農業を重視しないスウェーデンが高成長で米に逆転した事実を直視しなければ。
『週刊ダイヤモンド』21年3/20号 (儲かる農業2021 攻める企業・消えるJA) |
編集後記にダイヤモンド社が例の件で勝訴した後の件が書いてある。
JA側の当時の強硬姿勢は結局、何だったのだろうか。
良からぬ組織体質が窺われるようで悲しいことだ。
大規模化も切り札ではなさそうで、JA間の優勝劣敗も進むのだろう。
◇ ◇ ◇ ◇
次週の注目は東洋経済、先週のエコノミストと比較したい。
▽ サブ特集の転売ヤーの問題やドコモ独禁法違反疑いの方が重要かな。。
『週刊東洋経済』2021年3/27号 (全解明 半導体パニック) |
▽ ダイヤモンドは完全にバブル確信犯、愈々不吉な予感高まる
『週刊ダイヤモンド』21年3/27号 (米国株/日本株/仮想通貨/金 バブル投資見通し&リスク) |
▽ 流石はエコノミスト、暴落シナリオにも言及している
『週刊エコノミスト』2021年 3/30号 毎日新聞出版 |
景気対策が過大な為に「このままではインフレ」という見解が最も的確だろう。