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中国人新卒は、日本企業の古い体質を破壊する「現代の黒船」- 時代は人事・人材の「開国」へ

2010-12-09 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
新卒で優秀な中国人・韓国人を採用できると
日本企業が喜ぶ時代になってきました。

これは日本経済にとっても大変に喜ばしい事です。

但し、愚かな企業はこの吸引力が9割方日本円の強さに由来している
全く理解していないので別のリスクもあるでしょうが。

その内に、国内の若手を草食系と見下していた古い管理職や経営層が
優秀なアジア人に寝首を掻かれ実力で取って代わられる時が来るでしょう。
力のない者ほどよく吠える。今後の実力本位の戦いがとても楽しみです。

…昔は野性味に溢れたベンチャーだった東証一部の優良大企業は
今や、リスク回避型の人材の巣窟(掃き溜め?)になっています。

これは、大企業での長期雇用の慣行と
経営責任を厳しく問われず社内政治で出世が決まる
日本企業の悪しき慣習のもたらした「死に至る病」です。

組織はよりフラットになり、意志決断は早く大胆に、
年齢を一切問わず能力と実績だけで抜擢されなければなりません。

慎重と言いながら判断が遅れ、長期雇用を称えながらポストに居座る、
悪しき人事慣行は日本経済のために滅びるべきです。

自己主張の強く行動的な中国人・韓国人新卒の採用は、
こうした日本企業の悪習を破壊する「現代の黒船」となるでしょう。
人事制度はダイナミックに変貌し「社内政治家」は追放されます。

「残念ながら、多くの体質の古い日本企業には
 優秀な外国人留学生を使いこなす能力はありません。
 成長して力を付けたら外国人はすぐに辞めます」

以前、このように当ウェブログで書いた事があります。
優秀なアジア系人材はすぐ辞めずに是非、
日本の「居直り経営陣・管理職」を放逐して欲しいものです。

…最近、当ウェブログへのアクセスが異様に増えているので
新規閲覧者の皆さんにも改めてこの本を紹介します。





『外交官が見た「中国人の対日観」』(道上尚史,文藝春秋)

  ↓ 以下、引用

「1980年代の日本ビジネスは確かに世界最高レベルで、雲の上の
 存在でした。ただ90年代以降は、失礼ながら長期停滞する日本の
 ビジネスへの関心は急速に薄れています。中国のビジネスマンも
 大学の研究者も、欧米の企業に目が向いています」

「中国での日系企業のシェアも減っており、日本の方が思うほど”日
 本製”が突出して優秀だとは思われていません。価格帯ごとの品質
 や品揃え、モデルチェンジのスピードなどの面で中国マーケットの
 ニーズに応えきれていない。他国企業に差をつけられているという
 話も聞きますが、苦戦しておられるようですね」

「”もの作り”だけに熱意を燃やすのではなく、外国市場のニーズの
 把握や、人の使い方など、ビジネス手法を少し工夫された方がいい
 でしょう。日系企業に就職した学生によると、ネクタイやマナーを
 こと細かく言われるのはまだしも、若い者が新しい提案をすると
 迷惑がられるという話です」

「『組織で仕事をする』という名のもとに、個人の能力や発想が十分
 活用されず、リスク回避することでビジネス・チャンスも逃してい
 るのではないですか。『トップがあまり動き回るべきではない、関
 係各所の皆さんとよく相談して』と何ヵ月も会議ばかりしてすぐに
 決断できないようでは、国際的な競争では勝負になりません。日本
 は、技術はいいものがあるのに、勿体ないですよ。マネジメントさ
 えよくなれば、もっと世界で戦えるのに」


中国人採用の件では朝日新聞が非常に良い記事を出しているので
是非お読み下さい。


中国で新卒争奪戦 日本企業、「負けず嫌い」求める(朝日新聞)
http://www.asahi.com/business/update/1120/TKY201011200289.html

”日本の企業が、本格的に中国で大学新卒者の確保に動き出した。年630万人とい
 う世界最大の市場に狙いを定め、日本本社の幹部要員として採用する。中国では、
 優秀な人材は待遇のいい欧米企業に流れていた。日本企業は、高給の「本社採用」
 を武器に、中途の即戦力も併せて呼び寄せる考えだ。
 「金鉱を掘り当てた気分。正直、ショックです」
 中国上海で、人材大手のリクルートが中国の有名大新卒者向けに初めて開いた集団
 面接会。米コンサルティング大手、ボストンコンサルティンググループ(BCG)
 の内田有希昌パートナーは2日間の面接を終え、こう感想を漏らした。
 いい学生が2~3人いればと半信半疑で参加したが大当たり。「すでに上海と北京
 で6人に内定を出し、さらに数人採用するかもしれない」
 同社は近年、東大や慶応大などの有名校を中心に日本で年十数人を採用してきた。
 だが、「安定志向の草食系が多く、戦闘意識の強い野武士タイプが減っていた」と
 内田氏。それで中国に来てみたら、「負けず嫌いで、競争意識の強い、我々の大好
 きなタイプがうじゃうじゃいた」

 同社は、面接時の日本語能力は不問。面接に来た学生の大半は一度も海外へ行った
 こともないのに英語を滑らかに話す。日本語など、素地があるから内定後に学ばせ
 れば十分という考え方だ。中国の学生は転職意識が高いのがリスクという人もいる
 が、内田氏は、「日本でも2~3年で辞める草食系エリートは多い。定着するかは
 会社次第だ
」と意に介さない。
 〔中略〕
 リクルートの上海現地法人で面接会の責任者、伊藤純一さんは、中国人学生の人気
 が高かった背景を「日本企業の中国現地法人は欧米企業より給与が安く、優秀な人
 材の確保が難しかった」
と説明する。現地法人採用だと企業のトップにはなれない
 とも見られがち。それが、今回は給料が高く、昇進もできる本社採用なのでたくさ
 ん集まった
との見方だ。
 〔中略〕
 上海の面接会に臨んだ玩具大手タカラトミーは、「あまりに優秀。日本の学生より
 自分のキャリアアップの計画が明確で、上昇意識がある」
(福元紀哉人事室長)と
 の理由で、予定の2人を上回る3人に内定を出した。同社は将来新卒採用の半分を
 外国人にする計画があり、「中国人の採用が増えれば、その分日本人の枠が少なく
 なる」と話す。
 中国の学生も、チャンスととらえる。復旦大日本語学科4年の女子学生(22)は
 「日系の現地法人の給与は3千元(約3万7千円)程度だけど、日本だと初任給が
 約20万円と全然違う
」という。本社採用なら責任ある仕事ができるのも魅力と言
 い、「同級生はみな米国、英国で就職する。私も海外で働きたい」。
 メガバンクの面接に参加した上海の同済大日本語学科4年で、週末は復旦大で国際
 経済も専攻する徐爽さん(21)は、「外国人を採用しようという気持ちが伝わっ
 てきた。日本の企業文化も変わってくるんじゃないか」と期待を込める。
 新卒だけでなく、既に働いている現役の人材を確保する動きも始まった。中国最大
 の国営人材派遣会社「上海FESCO」海外就職サービス部門と、日本で中国ビジ
 ネス支援を手がけるAコマース、外国人専門人材派遣のグローバルパワーの3者は
 10月に提携。中国内の事務管理職(ホワイトカラー)の人材を日本企業の本社に
 紹介する事業に乗り出した。
 上海FESCOが、外資系企業などで働く社員から日本企業への転職希望者を募り、
 紹介する。年内に上海で日本企業約50社を集めた合同説明・面接会を開き、3年
 後には対象企業を500社に増やす方針だ。
 Aコマースの秋葉良和代表によると、中国人の人気は欧米企業が集めがちだったが、
 2008年のリーマン・ショック以降は「雇用の安全を重視する日本企業の良さが
 見直されている」
という。
 中国でのビジネス拡大を目指す日本企業には、「日本人による営業では限界があり、
 優秀な中国人に本社で企業文化を身につけてもらい、市場開拓を任せたい」(食品
 大手)との声が強い。
 BCGの内田氏はいう。「優秀な外国人を採用することで、日本人の目の色も変わ
 るだろう。グローバルでの競争意識に目覚め、学生も社員も危機感を持ってくれれ
 ば成功だ」(奥寺淳=上海、斎藤徳彦)”

まあ中国では戦闘的でないと生き残れませんからね(特に上海)。
日本人は変化適応能力が高いのでいい刺激になるでしょう。

1ドル360円時代には日本人も大喜びで海外で働いていました。
それと全く同じです。人材格差でも何でもありません。
やる気のある連中が強い円に釣られて集まっただけです。

ただ優秀な中国人に驚いている企業幹部は気の毒です。
そのうち現地法人の顧客をごっそり引き抜くなど
ダメージの大きな独立をしでかされるでしょう。
日系は外資系のように仲間割れや裏切りに対する防止策が殆どないから。

個人的には、とっくの昔に中国で採用を始めていたと思っていた
BCGが今更に出て行っているのに驚きました。
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