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産経新聞は年金運用で嘘をつく記者を解雇すべき -「積立金維持のため運用益で穴埋めする必要」という詭弁

2013-07-08 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
産経新聞が年金運用における「大本営発表」をやらかした。
「アベノミクス効果で年金運用益11兆円超」だそうだ。
第一次安倍内閣から麻生内閣までの年金運用で10数兆円の赤字を出した事実を無視し、
よくもそのように読者を愚民扱いする記事を書けるものだ。

東証を押し上げたのはアベノミクスなどではなく安倍発言を利用し儲けた投機筋であり、
11月初旬から始まった米経済指標の改善と南欧国債利回りの低下が主因であるのは明らかだ。

また、昨年度の年金運用の好調ですっかり図に乗ってしまい。
「積立金維持のため運用益で穴埋めする必要がある」と事実上の年金危機を認めている。
MRI投資にひっかかって基金に大穴を開けた中小企業の年金運用担当者の論理と全く同じだ。

産経は中国で喩えると「人民日報」に極めて近く、政治的立場に記事が左右されるので
驚くべきことではないだろうが、真に受ける情報弱者はいい面の皮だ。

リスクとリターンの関係を根本的に理解していないだけでなく、
12年間のGPIFのリターンが2%に過ぎないという明白な事実をも認識していない。
これでは大学の講義ですら単位を落とすレヴェルである。
(金融ゼミだったら確実に集中砲火を浴びて卒業が危うくなりかねない)


当ウェブログは、年金受給年齢引き上げという明々白々な現実を無視して
年金運用の好調で「余りある積立金になると確信している」
と口走った迂闊な田村厚労相発言を批判し、

○GPIFのポートフォリオで日本株は1割程度に過ぎない
○高齢層への年金給付は、国債発行によって補われている自転車操業
○日本の抱える破壊的な人口動態の問題は到底運用で取り返せない

という三重の誤りを含んでいると指摘した。
更に、年金制度ばかりか公的医療保険にも同種の絶望的な状況があると批判した。

 ↓ こちらに詳述

株高でも日本の年金に未来なし、田村厚労相は制度を理解していない - OECDは支給年齢引き上げを勧告
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/da56727d3885056089e7d79ff6f6500f‎

健康保険組合の9割が赤字に、高齢者医療費への拠出増で破綻必至 -「早晩行き詰まり解散へ」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/796550be193b05efd1e2180289906c5b

▽ 周知のように日本の家計金融資産の殆どは高齢層の所有、彼らにも膨大な公費がバラまかれている

『フレンチ・パラドックス』(榊原英資,文藝春秋)


現政権が行うべきは、一刻も早くカナダのような
クローバック制度を導入して富裕高齢層にバラ撒かれている公費を回収するとともに
医療費負担軽減は個人番号制度による資産補足を交換条件とし、
カネを持っていながら政府にたかるモラルハザードの利己的な連中をあぶり出し
社会保障給付を効率化することである。これは生活保護より遥かに額が大きい。

▽ カナダのクローバックは歪み切った日本の年金より遥かに公平な制度

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


▽ 現状の年金給付は、毎年10兆円以上の公費を投入した「老人手当」そのものである

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)


アベノミクス効果で年金運用益11兆円超、過去最高に(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130703/plc13070316500017-n1.htm
”厚生年金と国民年金の積立金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2日、平成24年度の運用が11兆2222億円の黒字になったと発表した。運用利回りは10.23%でいずれも比較可能な平成13年度以降で最高。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の影響で円安・株高が進み、特に国内外株式の運用益が膨らんだ。
 運用益は国内株式が3兆3314億円。前年度(1754億円)と比べ20倍弱となった。円安で円換算額が増えた外国株式も前年度(619億円)の60倍の3兆7620億円。国内債券も2兆1263億円の黒字で、外国債券の黒字も1兆8218億円だった。
 運用の結果、24年度末の運用総資産額は120兆4653億円にのぼり、前年度末より6兆8541億円も増加。24年度の年金の支払いに充てる積立金の取り崩し額は4兆3438億円だった。取り崩し額よりも運用益の方が上回ったため、年度末の総資産額が3年ぶりに増えた。
 取り崩しは、年金受給者の増加に伴い14年度以降続き22年度は6兆円、23年度は4.9兆円。今後も積立金維持のため、運用益で穴埋めする必要がある。

問題の記事はこれ。
GPIFの過去の実績もかつての安倍~麻生政権での大赤字も書かず、
株式のリスクとリターンの関係も書いていない。
所詮はアベノミクスをヨイショしなければならないという「使命感」か。

下の記事でも見て基礎から勉強しないと話にならない。
「年4.1%の高利回りで積立金を運用し続けます、という説明など、誰が聞いても納得できない話」
と鈴木教授が厳しく厚労省を批判されているが、
それこそ上の記事で書いてある「積立金維持のため、運用益で穴埋めする必要がある」の論理だ。
(約120兆円の4%の運用益が5兆円前後に相当する額)


孤立無援の厚労省(城 繁幸)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130703-00010003-agora-pol
”週刊現代の特集「年金制度廃止 私はこう考える」がなかなか充実しているので紹介しておこう。充実、といっても、中身は年金問題でおなじみの鈴木先生から高橋洋一氏、モリタクまで、識者総動員での厚労省フルボッコである(筆者もちょこっとだけコメント)。
 紙媒体だと一過性なので、目立つものだけピックアップしてネットに放流しておこう。

「年4.1%の高利回りで積立金を運用し続けます、という説明など、誰が聞いても納得できない話です。運用で挽回しようにも、その元手が毎年6兆円ずつ減っていくわけですから大して意味がありません」(学習院大・鈴木亘教授)

「役所の年金担当者たちは、最後の最後まで支給開始年齢の上限をはっきり言わないでしょう。受給者と若い世代の比率を眺めると、支給開始年齢は80歳近くになってしまいますからね」

「ヨーロッパでは今後半世紀で未成年者が1割増えるのに、日本では逆に5割以下に減ります。つまり年金をもらう人は増え続け、支える人は減る一方。人口対策はもはや手の打ちようがなく、日本の年金財政は未来永劫、悪化するばかりなんです」(政策研究大学院大学・松谷明彦教授)

「年金支給開始年齢は老後の生活設計を立てる上での根幹。支給開始年齢についても、なるべく早めに情報提供するのが親切というものだと思うのですが……」(元・厚生省年金局数理課長 坪野氏)

「厚労省が考えたのは、国民年金を維持するために、個人の意思では離脱できない厚生年金に加入するサラリーマンの負担を増やして肩代わりさせる方法です。『厚生年金は会社が保険料の半分を払っていてトクをしている』と言われますが、これは明らかに詭弁です。既に今の50歳以下はマイナス、実質“元本割れ”となっているのです」(橘玲)

〔中略〕

すでに40年間保険料を払った人の場合は支給額を減らすしかありません。これからの人には払った分を返して、別に税金で最低保証金をつくる。それしか方法はありません」(早稲田大:原田泰教授)

「残念ながらいま、50歳以下の世代の老後は、カネのある人やスキルのある優秀者は生き残れるけれど、そうでない人はお先真っ暗というのが実情でしょう」(筆者)

「65歳以上の人達は“逃げ切れる”でしょう。悲惨なのはその下の世代です。上の世代のツケをどっさり被ることになります」(明治大学・加藤久和教授)

「外国なら暴動が起こっているレベル」(法政大学・小黒一正准教授)

「厚生年金基金は官僚が天下って管理してきました。税金のように保険料を徴収して官僚が財テクして、失敗してきたわけです。公的年金制度がなくなれば、そんな官僚に預けないで、自分たちで運用できるようになる。確かに自己責任にはなりますが、官僚に好き勝手にやられて、損をしても文句しか言えない仕組みよりはいいと思います」(嘉悦大学・高橋洋一教授)

 これを見ても明らかなように、党派の違いに関わらず、もはや日本の年金制度は実質的に破綻しているということだ。「100年安心」どころか、既に不安で胸いっぱい状態である。
 ただ、筆者自身は年金制度がなくなると生活保護が激増し、結局社会全体の負担は変わらないので、若いころからきっちり本人から徴収した上で老後に支払うシステム自体は必要だと考えている
 そのためにも、政府は一度“不都合な真実”を明らかにした上で、全ての世代に負担を求めつつ、持続可能な新制度への切り替えを提案すべきだろう。
 恐らく年金支給は70代、支給額自体も今より何割かカットという結果に落ち着くだろうが、重要なのは落とし所がきっちり目に見えるということだ。ならば、若いうちからそれに向けて備えることが出来る。〔以下略〕”

当ウェブログから付け加えることは殆どない。
資産をたっぷり持っている富裕高齢層はそもそも公費を受け取る資格はない、
とだけ言っておきたい。貧窮と絶望に苦しむ同朋(例えば母子家庭)の窮状を無視して
利権にしゃぶりつく彼らの浅ましさは怒りすら思える。
日本からさっさと出て行って薄汚れたタックスヘイブンにでも行くがいい。
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