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朝日誤報問題で「勝ち誇る右寄り勢力」「原発推進派の勝利」- 日本の国際評価を傷つける情動的な保守派

2014-09-17 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
朝日誤報問題で興奮する右寄り勢力の見苦しい単細胞な行動が、
海外の良識派の眉を顰めさせ、我が国の国際評価を引き下げつつある。

安倍首相や菅官房長官は、朝日報道が日本の国際評価を傷つけ、
日韓関係を阻害したかのように公言しているが、
国際情勢を全く読めていない。

欧米の中立的なメディアは朝日誤報問題を冷たく扱っており、
「東電と原発再稼働推進派の勝利」「安倍首相に追い風」と論じており、
読売や産経の前のめり姿勢を嘲笑して「ライバル紙は朝日に食ってかかっている」としている。

当ウェブログは、日本の国益のためには朝日批判より遥かに優先すべき課題を三つ挙げ、
リアルポリティークの観点から以下のように警告した。

「90年代の朝日報道、しかも済州島での証言が全く取れずトンデモ扱いされた証言が、
 どうして10年以上もたってから日韓関係を悪化させるのか。
 良識ある者には、イデオロギストのうわ言と判断されても反論できない」

「そもそも韓国の対日姿勢が硬化したのは小泉政権時代であり、
 日本遺族会の票が必要だった小泉元首相が靖国参拝を強行した時からである。
 つまり朝日報道などより小泉参拝の方が遥かに日韓関係を悪化させた。
 (当時の両国の報道を見れば明白である)」

「しょうもない朝日バッシングに血道を上げ、
 より重要な国際宣伝戦を忘却している自民党政治家は救いようのない近視眼である」

「安倍政権が無駄に時間を過ごしている内に、
 アメリカのコリア・ロビーは日本を大きく上回る人数と資金力にものを言わせ、
 政治的圧力と情報操作により着々とアメリカで既成事実を積み上げている」

「日本が韓国側の人権問題を衝くとともに、慰安婦問題では軟着陸を図り、
 カウンターを繰り出さなければ事態は一層深刻化する」

日本の国際評価を下げたのは朝日誤報ではない。
朝日誤報に狂喜乱舞して見苦しい内輪もめを世界に示し、
日本社会の右傾化と良識派の退潮を欧米諸国に懸念させる単細胞な保守派である。

▽ そもそも慰安婦問題混迷の原因は韓国政治のオポチュニズムにあり、10年以上も前の朝日報道ではない。

『大統領を殺す国 韓国』(辺真一,KADOKAWA/角川書店)


不幸なことに、当ウェブログの懸念通りになっている。

「慰安婦問題は着々と問題の焦点がブレている。
 これは火に油を注いだ朝日新聞の報道姿勢に原因があるが、
 朝日の失態に大喜びで油どころかガソリンをぶっかけて煽っている
 保守メディアや近視眼の論者の責任も非常に大きい」

「真に国益がかかっているのは国際世論対策である。
 それを忘却して朝日報道が問題の焦点であるかのように論じるのは、
 第一に朝日新聞のプレゼンスを実態以上に過大に評価する愚行である。
 第二に朝日報道の件で日本を批判している人民日報、ひいては中南海を利することになる。
 第三に日本国民が人権問題を無視し歴史修正主義を望んでいる印象を国際社会に与える」

「日韓関係が早期に改善することは朝日報道があろうがなかろうがあり得ない。
 慰安婦問題の混迷は、韓国の国内に根源があるからだ。
 「朝日問題」に矮小化する愚行はその論者の視野狭窄の証明でしかない」

「リアルポリティークでは常識だが、「敵の敵は味方」である。
 いま節度を弁えない朝日バッシングを繰り広げている日本人は、
 人民日報や中南海と同じ立場にあることを自覚しなければならない。
 目先の情動に囚われた大合唱に加わるのは、人民日報の指摘を自ら証明する行為だ」

「外交下手な日本は、韓国側の立場を弱める好機を逃しつつある」
という当ウェブログの警告は完全に的中した。

 ↓ 参考

社民党・福島議員に偽証教唆の重大疑惑、国際社会に影響大-人民日報と同じ朝日批判をしている場合ではない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a2139fd87d484141a03fbdff18bc0998

安倍内閣は国際感覚を狂わせ、朝日報道に目くじらたてる視野狭窄-日韓関係悪化の根源は韓国民主化と靖国
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c6a040bfca7b5463da4460e8d5538990

河野談話検証は「内向き」の下策、アメリカから早速牽制される - なぜ韓国の人権侵害を取り上げないのか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/145ef1a6b8040767bd8e79629d47d3f3

▽ 近現代史は、粗暴で独善的な愛国心が国益を大きく損なうことを立証している

『太平洋戦争と新聞』(前坂俊之,講談社)


朝日慰安婦記事撤回、勢いづく右派に懸念 問題の本質は変わらない…英紙報道(NewSphere)
http://news.livedoor.com/article/detail/9158966/
”朝日新聞が、8月初めに従軍慰安婦問題に関する自社報道を検証し、一部の記事を取り消した問題で、その責任を問う声が、各所から挙がっている。自民党の議員連盟も、緊急総会を開催し、今後、朝日新聞の関係者から話を聞いて、事情を調査することを確認。海外メディアも事件の経緯や影響を報じている。

【国内他紙も反応】
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、普段は互いの活動を報道するのは慎む日本の新聞が、朝日の慰安婦報道取り消しを受けて騒々しくなっていると報じ、国内紙の反応を紹介している。
 保守の産経は、「根拠のない不正確な」記事に関して、朝日は公式な謝罪を掲載すべきと主張。また、発行部数1位の読売は、朝日の間違った報道が日韓の外交における緊張を拡大し、「間違った歴史認識が世界に広がった」と述べた、と同紙は報じている。

【吉田証言は虚偽に同意】
 フィナンシャル・タイムズ紙は、事の発端は「第2次世界大戦中に韓国済州島で何百人もの韓国人女性を誘拐し、軍の売春宿で無理やり働かせた」と主張した吉田清治の話に朝日新聞が「飛びついた」ことだと説明。
〔中略〕
 同紙は、慰安婦問題における最も有名なリベラルな学者、吉見義明氏が、吉田証言が歴史的証拠としては「役に立たない」と述べたことに言及。証言はほぼ確実に作り話で、彼の話や著書が、慰安婦制度の強制性や日本政府の責任を問う、唯一の証拠と呼べるようなものでは到底ないという見方を示している。

【右翼と保守の台頭】
 その一方で、フィナンシャル・タイムズ紙は、日本の右傾化・保守化という面から、今回の事件を眺めている。
 同紙は、朝日が誤りを認めたことで、修正主義者安倍首相の登場で、近年より声高になった右翼の中に、怒りと満足感の入り混じった気持ちが広がったとする。
 また、長らく朝日が「自虐的」歴史観をばらまいた、と非難してきた保守派は、現代的観点からは耐え難いが、慰安婦制度は他国の戦時下における性的略奪行為と変わらないと理解していると指摘。有名な保守派ブロガー、池田信夫氏も、慰安婦は民間の斡旋業者によって仲介されたケースがほとんどで、単に「売春婦」だったと主張していることにも触れている。
 そして最後に、右翼が大胆になり、日本の国際的地位を傷つける可能性に警鐘を鳴らす、慶応大学の歴史社会学専門家、小熊英二氏のコメントを引用している。
「日本の保守派には、軍人や役人が直接に女性を連行したか否かだけを論点にし、それがなければ日本には責任がないと主張する人がいる。」「そうした主張が見苦しい言い訳にしか映らないことは、『原発事故は電力会社が起こしたことだから政府は責任がない』とか『(政治家の事件で)秘書がやったことだから私は知らない』といった弁明を考えればわかるだろう」

先月の段階でも吉田証言は信用されていなかった。
朝日誤報によって日韓関係や日本の国際評価が悪化したかのように騙る
安倍政権のコメントや保守紙の報道は明白に事実に反する。

311以来、世評を下げた池田氏は経済学者ではなく「保守派ブロガー」として紹介されており、適切な呼称だろう。
氏の主張に従えば、かつて昭和恐慌で親に売られた日本人の娘も「売春婦」と呼ぶことになる。


朝日は被害者? 慰安婦、吉田調書問題受け、「右派の攻撃」を米紙強調(NewSphere)
http://news.livedoor.com/article/detail/9248619/
”朝日新聞社は11日、東京電力福島第1原発の事故当時の状況を記した「吉田調書」に関する5月掲載のスクープ記事を誤報と認め、取り消した。同社の吉田伊量社長は同日夜、記者会見を開いて「読者の信頼を傷つけた」などと謝罪した。
 海外各紙もこのニュースを報じている。ニューヨーク・タイムズ紙(NYT)やウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)は、この原発関連記事の問題だけでなく、慰安婦問題をめぐる誤報やジャーナリストの池上彰さんの連載コラムの掲載拒否問題など、最近の一連の朝日の不祥事についても併せて取り上げている。

【木村社長「私自身も責任から逃れられない」】
 今回、朝日新聞が誤報と認めたのは、2011年3月の福島第1原発事故当時、現場職員の9割に当たる約650人が吉田昌郎所長(当時)の待機命令に背いて、約12キロ南の福島第2原発の敷地内に避難したという報道内容だ。政府は、 11日夜に急遽開かれた木村社長の会見に先立ち、同日午後に記事の根拠とされた「吉田調書」の公表に踏み切った。そこには従来からライバル各紙が指摘していたように、朝日報道を裏付けるような記述はなかった。
 朝日新聞社は、該当記事の責任者だった杉浦信之取締役編集担当の解任と、抜本的な社内改革の実施を発表した。会見では、木村社長自身も自らの進退について「社内改革を実行した後に速やかに決断する」と発言。
〔中略〕
【「慰安婦」誤報問題では各紙の論調に温度差】
 NYTは、今回の件について報じるとともに、いわゆる従軍慰安婦問題で、朝日新聞が日本軍による強制性の有力な証拠として度々取り上げてきた故・吉田清治氏の証言を虚偽と認め、関連記事を撤回した件についても詳しく論じている。
 NYT はその中で、朝日が誤報を認めるに至ったのは、以前から「朝日新聞の誤った記事によって日本の国際的な評判が傷つけられたという批判が、特に右派のメディア・政治家から高まっていた」からだと記す。そして、「(右派からの批判は)日本で最も抜きん出たリベラルの声である朝日新聞に打撃を与えるための、政治的なキャンペーンだという見方も多い」と、朝日も被害者だとする一部の国内世論を強調している
 リベラル色が強い論調で知られるNYTに対し、保守系とされるWSJは、一連の誤報を報じる記事で、朝日を「左翼」「安倍晋三首相の政策に批判的な新聞」と表現する。「吉田調書」については、産経新聞などの保守系のライバル紙や週刊誌が、「朝日は故意に物語を誇張し、反原発の主張を強化するために事実をねじ曲げた」と批判を重ねていると記す。慰安婦の誤報については、「ライバル紙は、朝日には慰安婦問題によってこじれた日韓関係を修復する義務があると食ってかかっている」と記している。
 インドの英字紙『タイムズ・オブ・インディア』も、木村社長の謝罪会見の内容と共に「慰安婦」の誤報問題を詳しく報じている。記事の大半は一連の経緯を淡々と追ったものだが、「公式記録が少ない中、多くの研究者は、韓国、中国、インドネシア、フィリピン、台湾の最大20万人の女性たちが、“慰安所”で日本兵のために働いたと見ている」と、独自の見解で結ばれている。

【首相、官房長官のコメントも報じる】
 『タイムズ・オブ・インディア』は、木村社長が会見で、慰安婦関連の誤報についても「誤った記事を出し、訂正が遅すぎた」と、読者に謝罪したと報じた。 NYT、WSJ、『タイムズ・オブ・インディア』の3紙は、揃って池上彰さんのコラム掲載拒否問題についても触れている。
〔中略〕
 また、安倍首相は同日のニッポン放送のラジオ番組で、「慰安婦についての誤報で多くの人々が傷つき、日本が国際社会で信用を傷つけられたのは事実だと思う」と述べた(NYT、WSJ)。”

NYTだけでなくWSJまでもが「右派の攻撃」と解釈しているのは致命的である。
事実その通りなのだから仕方がない。

所詮これは「朝日の不祥事」に過ぎない。
見苦しいバッシングで騒げば騒ぐほど欧米社会から奇異の目で見られ、
日本の名誉を傷つけることになる。


“安倍首相の勝利” 朝日の記事撤回、政治的雰囲気の変化が影響と英紙指摘(NewSphere)
http://news.livedoor.com/article/detail/9263561/
”朝日新聞は11日「福島第一原発をめぐる吉田調書」に関する報道が誤りであったことを謝罪する会見を開いた。同会見では、先月8月に従軍慰安婦に関する報道が虚偽の情報源に基づいたものであったことを認めた点についても謝罪が行われた。
 この2つの誤報が招いた一連の騒動に関し、海外メディアがそれぞれの意見を繰り広げている。

【原発派の勝利】
 エコノミスト誌は今回の記事撤回について「東電と原発推進派の勝利」と報じている。
 朝日新聞は、吉田調書の入手にあたって「職員が吉田所長の指示に背いて逃げた」という記事を書いた。朝日新聞は、政府が進めようとしている原発再稼働に反対の立場を取っている。エコノミスト誌はこの記事について「国が原発を再稼働しようとしていることへの攻撃だった」と分析している。
 しかし結局、その記事は誤りであったことを他のメディアから指摘された。右寄りの報道勢は「勝ち誇ったように一面でそのことを伝えた」と同紙は伝えている。

【安倍首相も勝利】
 フィナンシャル・タイムズ紙も、今回の騒動は「安倍首相にとって追い風となった」と報じている。
 政府が朝日を撤回に向け動かしたという証拠はない。しかしこのタイミングは、とくに慰安婦問題に関しては、政治的雰囲気の変化に影響を受けていると言えるだろう、と同紙は述べる。
 日本のナショナリズム派は、「朝日の自虐的に歪曲した記事が日本を貶めている」と批判し続けてきた。その声は、日本の誇りを取り戻すことを主眼に置く保守派の安倍晋三氏が首相になってから更に高まった、と同紙は言う。NHKの経営委員会に保守的な見解を持つ人物を据えることで「安倍首相の影響力は公共放送にまで及んだ」と伝えている。

【朝日は信頼を回復できるか】
 ロイターは、「身から出た錆となった誤報により、朝日新聞135年の歴史の危機」と報じ、信頼を取り戻せるかどうかは疑問、との見解を示している。
 同メディアは朝日新聞を「日本のニューヨーク・タイムズ」と伝えている。テンプル大学アジア研究学科ディレクターによると、「権力に立ち向かう声として信頼できる媒体、という理由で同紙を選択しているのが読者層の共通点」だという。
 しかし、リベラル派としての存在が今回、危うくなってしまった。
上智大学の中野晃一教授は「朝日新聞は今後、政府の方針に批判的な意見の編集に慎重にならざるを得ないだろう」と述べ、「安倍首相とその一派は、歴史の書き換えがよりやりやすくなった」と語っている。
 朝日が信頼を取り戻せるかは今後次第、とロイターは言う。〔以下略〕”

このように保守派の軽挙妄動が、
国際社会に向けて「日本社会の右傾化」を立証してしまっている。

クオリティ・ペーパーで欧米社会に影響の大きいエコノミストやFTに
冷ややかな記事を書かれている現実を正しく認識できないのは困ったことだ。
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