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冬の新刊 -『2040年の日本』『英語と中国語 10年後の勝者は』『不倫―実証分析が示す全貌』等

2023-02-23 | こんな本を読んでいます
祝日にも恒例の新刊紹介です。
経済分野では野口悠紀雄氏以外は残念なものが多いですが、
(まるで日本経済低迷の原因を示唆しているような。。)
他の分野では注目すべき新刊が出ています。

視点の鋭さと視野の広さでは『英語と中国語』が良く、
意外な分野での本格的研究としては『不倫』が評価できます。


『2040年の日本』(野口悠紀雄,幻冬舎)


 → このまま高齢者三経費にバラ撒き続ければ社会保障負担が4割にも達してしまう、
   少子高齢化を放置し女性の就労抑制を温存してきた歴代自民党政権の罪は大きい。
   (但し著者はテクノロジーの効果については見通しが甘いので注意を要する)


『英語と中国語 10年後の勝者は』(五味洋治,小学館)


 → 国力低下とともに存在感も低下する日本語、
   ASEANや東欧等で日本語学習ニーズがあるのに教え手の残念な不足、
   確かに日本版「孔子学院」があった方が良い。
   (中国と違いスパイ目的はないから歓迎される筈)


『不倫―実証分析が示す全貌』(五十嵐彰,中央公論新社)


 → 男性は職場に女性が多いこと、女性は自由な時間が多いことが
   不倫の誘因になることを明らかにした客観的で緻密な研究。
   (いずれ女性の不倫率25%も上昇して男女平等になってゆくだろうと嫌な予感。。)


『世界インフレと日本経済の未来 超円安時代を生き抜く経済学講義』(伊藤元重,PHP研究所)


 → アベノミクスで企業投資も実質賃金も低迷している事実を認めているのに、
   今更に再エネ投資と北欧型のフレキシキュリティを取り上げて
   リフレ派を支持した自らの非を認めないのがとてもとても不思議。。


『給料が上がらないのは、円安のせいですか? 通貨で読み解く経済の仕組み』(永濱利廣,PHP研究所)


 → アベノミクスで実質賃金が悪化したばかりか、潜在成長率も全要素生産性も急落し
   労働分配率は歴史的水準にまで悪化したという厳然たる事実を無視する神経の太さ、
   著者は完全に市場関係者と輸出企業の代弁者であり
   日本の史上最悪の低成長については何一つ語っていない。
   (なおクルーグマンは2014年に、高齢化した日本では金融緩和の効果が低いと言明。。)


『ウィーン・フィルの哲学: 至高の楽団はなぜ経営母体を持たないのか』(渋谷 ゆう子,NHK出版)


 → 日本文化の海外進出やマネタイズに於いて非常に参考になる良書、
   オーストリアの一人当たりGDPが高い理由の一端を教えているようだ。


『さらば,男性政治』(三浦まり,岩波書店)


 → バイアスが相当強いので批判的に読むべき。
   意に沿わない政策は「教条的」と批判するこの著者自身こそ教条的であり、
   経済学・社会学の研究では日本女性の幸福度が夫の収入に左右されるという事実、
   しかも働いていない女性の幸福度の高いのが歴然としている事実、
   そして何より日本女性の多数派が男性政治家に投票しているという苦い事実を直視すべき。


『教育大国シンガポール~日本は何を学べるか』(中野円佳,光文社)


 → こちらも日本的なジェンダーバイアスが強い。
   相変わらず北欧の本場の男女平等を理解せず「女性は被害者」の構図に固執、
   特に政策面の分析は『物語シンガポールの歴史』に大きく劣っており
   シンガポール女性も結構ジェンダーが強固でハイパガミ願望が強いのは興味深いが、
   最後は日本の学歴社会や塾産業への批判に脱線し支離滅裂である。。
   (シンガポールの厳しい早期選別や高額な教育費負担がましとでも言いたいのか?)


『患者が知らない開業医の本音』(松永正訓,新潮社)


 → 率直に書いていて興味深い内容であり、
   開業は矢張り「失敗した人を見たことがない」ような世界で
   例に漏れずすぐ外車を買ってしまったことを告白しているのが微笑ましいのだが、
   他国ではあり得ないような診療報酬格差や限定的な情報公開には触れずに
   日医を弱小団体とするナイーブさには流石に驚愕した。


『ルポ 大学崩壊』(田中圭太郎,筑摩書房)


 → 大学私物化の典型的な例であり必見、高等教育無償化を行うと
   こうした無軌道で無法な経営をしている大学にも巨額の税が投入され続けるのだ。。


『装飾古墳の謎』(文藝春秋,河野 一隆)


 → 最後にこちらを。
   衝撃的な装飾古墳の綺羅びやかさ、日本は古代からアートの国だった?

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