みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

『週刊東洋経済』12月9日号 - リチャード・クーツ「安倍政権には成長を実現させる戦略なし」

2006-12-04 | 『週刊 東洋経済』より
今週の『週刊 東洋経済』は非常に良い特集「落ちる中間層」でした。
「ワーキング・プア」特集以来の強いインパクトです。
『週刊東洋経済』の定期購読(レビュー投稿で1,000円券プレゼント付)

最新の記事内容紹介は、こちらの方が早いです。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/

さて、今回の「歴史的な特集」では、
アメリカにおけるアウトソーシング、オフショア化の激変を捉えて、
日本にも近似の現象が起きるのではないか、との問題意識で書かれています。
(何しろ、インドでは毎年10万人の会計士が誕生している、と言うのです)

いとすぎはこの件については『ハイ・コンセプト』等で知っていたので、
それほどでもなかったのですが、特集を読み衝撃を受ける方も多いでしょう。

非常勤公務員の劣悪な雇用環境も、この機会に広く知られることを望みます。

P31の「日本の就業者数予測」は日本の未来を語っています
製造業への従事者が大幅に減少、医療・福祉・サービス・金融業への
従事者が代わって増加する、という図式です。
(経団連の御手洗冨士夫 会長は、この現実をよく理解されていないのです)

日本の未来は金融とサービス業にある、と言っても過言ではないでしょう。
それにしても、日本のサービス業の生産性が先進国で最下位とは …

処方箋としてはP50、『フラット化する世界』の内容に基づいて
必要とされる人材像を実例とともに説明しています。
不法投棄を根絶させた石橋正佳 氏(千葉県職員)のような凄い方が多数登場。

P42からの「沈みゆくアメリカの中間層」を読んで不安になる方が多い
と思われるので、次回はぜひ「新時代の旗手」の特集を望みます。

   ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『東洋経済』で、極めて重要な記事がありました。
P78のリチャード・カッツ氏の寄稿です。

いとすぎはこの方を全く知らないのですが、凄まじく優秀な方です。

日本で低賃金の非正規労働者が増加し、金利収入はほぼゼロ、
貯蓄ゼロの世帯が25%に達していることを良く理解されており、
それでも法人税を減税しようとしている現政権を嘲笑しているのです。

キヤノンの御手洗冨士夫 会長が決して自ら口にしようとしないこと、
つまりお膝元のキヤノンでさえ非正規雇用が70%に達することを喝破し、

安倍首相が本当にしなければならないことは、
市場改革を継続しながら格差と戦い、社会的
セーフティネットを整備することである。

と堂々の正論を展開されているのです。(素晴らしい)

「安倍首相は成長について語っても、成長を実現する戦略は持っていない」
とする慧眼のこのジャーナリストには、注目せざるを得ません。
(ジャーナリストらしく、処方箋の提案が弱いのは残念ですが)

   ◇     ◇     ◇     ◇

P134の塩田潮 氏の寄稿(これも鋭い)と併せて読むと、実に興味深いです。

「 小泉氏という異才の指導者が退場した途端、自民党では
 昔ながらの"情の政治"、"何でもありの無責任体質”、”
 国民不在の権力争い”といった一面が露呈し始めた 」

「 政治家一家の中で純粋培養された面がある安倍首相は、
 歴代首相と比べて交遊の幅が狭く、社会と国民の実生活
 に対する理解が浅いばかりか、取り巻きや身内の論理、
 利害に傾斜しがちだという評も聞く。」

「 90年代以降の流れを見ても明らかなように、国民を味方
 にする道をとらず、永田町の身内の論理で多数派を形成
 しても政権は長続きしない。」

長々と引用しましたが、いとすぎは全くもって同感です。
現首相の育った環境を知ると、あのような独善的な政策に
なるのも、或る意味では当然なのかもしれません。

   ◇     ◇     ◇     ◇

最後になりますが、
麻生太郎 外相の外交力レベルを客観的に把握されたい方は、
P132の藤原帰一教授の寄稿をお読み下さい。
「アジア地域構想は日中の主導権争いの反映で、実質に乏しい」
と鋭く本質を抉っています。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする