みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

少子化社会白書「夫の育児参加」強調路線の欺瞞 ― より本質的な問題を隠蔽

2006-12-25 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
この視点は絶対に間違っていると思います。
個人がそう考えるのは良いのですが、政府の場合は全く別です。

少子化社会白書、夫の育児参加の必要性を強調(朝日新聞)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200612010133.html

” 06年版少子化社会白書が1日、閣議決定された。白書は「夫は外で働き、
 妻は家庭を守るべきだ」といった意識が強く、妻に育児を任せっきりにす
 る現状などを指摘、父親の育児参加や働き方、意識改革の必要性を強調し
 ている。”

夫の育児参加の重要性は良く分かるのですが、
政府が優先すべきことはそこではありません。

そもそもこの資料の読み方が根本的に間違っています。

日本の場合、出産時迄には退職している女性が多いのですから、
家事や育児に費やす時間が多いのは当然です。

(注 : それが正しい状態だと主張している訳ではありません)

有業率に基づいて分類したら、全く違った調査結果が出るはず。
そこまで調査しないと、この資料は無意味です。

… それにしても、アメリカで意外にも「夫は仕事、妻は家事育児」
という考えが強いのに驚かされます。(43%もの高率)
日本よりも早く女性の社会進出が進んだはずなのに、ねえ。
寧ろ北欧諸国が世界的に見て異常なのかもしれません。

「核家族化や都市化、女性の社会進出が進むなかで、
 父親の育児参加は重要性を増している。」

と称するこの白書が巧みに隠蔽しているのは、

「なぜその負担を社会が分担しようとしないのか」
「政府はなぜ何も支援に力を入れようとしないのか」

という重大な疑惑に他なりません。

核家族化や都市化、女性の社会進出が進むと
なぜ夫にその分の負担が移転されるのか、
ぜひ一度問いただす必要があります。

白書の主張する通りの社会が実現すれば、
サービスや流通、運輸といった長時間低賃金の労働者に
すべてのしわ寄せが集中するのは火を見るよりも明らかです。

北欧諸国よりも遥かに低い税率を享受しながら、
自分よりも労働条件の悪い人々に対して
「男女の役割分担意識が低い」
と見下す高慢な人々がこの日本に大勢生息していることを
この白書は証明しています。

朝日新聞のようなマスコミ、大学教授、教員、地方公務員といった
「非競争的セクター」の方々は、
自分の職業の収入と安定性を考慮した上で発言すべきではないでしょうか。

    ◇     ◇     ◇     ◇

これだけは強調しておきます。

アメリカのように低コストでベビーシッターを探せる訳でもなく、
北欧のように重税で福祉社会を支えてもいない日本で、
(しかも、育児に協力的な企業がまだまだ少ない)
意識だけ「育児参加しろ」と言うのは、
戦時中の特攻隊と全く同じ発想です。
間違っているのは、個々の人々ではなく政策決定なのです。

システムと予算さえあれば、意識などいくらでも変わるのですから。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする