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みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

米ヘッジファンド4年連続市場平均に敗北、「レバレッジが不充分」- ガラパゴス化する「いつかはゆかし」

2013-01-29 | 株式・為替マーケット全般
最近、当ウェブログは「ゆかし 怪しい」「ゆかし 詐欺」といった検索ワードで
訪問されることが多くなっており、どうやらアブラハムが新しいサービスを開始し
テレビ広告を打っているため、不審に思って検索している人が多いようだ。

当ウェブログは詐欺ではなく単に自己利益の追求に過ぎないと見ているが、
確かにテレビ広告を見ると不審に思うような出来ではあると思う。
あれでは質の悪い顧客ばかり増えるであろうと他人事ながら気の毒ではある。

まず金融サービスに必要な品格や信頼感が醸し出されていないし、
(実際は必ずしもそうではないが、そうした印象を重視する業界である)
知性を漂わせてもいない。広告代理店に払う分をケチったのだろうか?

アブラハムは最初に富裕層向け広告本を出した翌年にリーマン・ショックが起き、
社長が週刊ダイヤモンドで日本株投資を嘲笑した直後にドル円が大反転し東証が急騰した。
余程運が悪いのか、もしくはマーケットに対する先見力に欠けるのかもしれない。

▽ こちらが証拠

『週刊ダイヤモンド』2012年 10/20号


社長以外にどのような人物が幹部なのか分からないが、
どうも企業理念と言うか倫理面において大いなる課題があるように思えてならない。
テレビ広告を見る限りでは以前と殆ど進歩がない印象を受ける。

 ↓ 参考

ゆかし(YUCASEE)は一体どうしたのか - ブランディング戦略があさっての方角に大暴投
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b439a8ee9262d34cc9aa77d62967cbfa

最近は海外ヘッジファンドへの直接投資を大発明であるかのように宣伝しているようだが
金融リテラシーのある者にとってはそれは素人同然のプロモーションであろう。

▽ 例えば有名どころではこちらを参照

『ヘッジホッグ―アブない金融錬金術師たち』(日本経済新聞出版社)


▽ 金融業の内幕はこちらも良い

『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物』(チャールズ・エリス,日本経済新聞出版社)


上掲書の著者の調査では、リーマン前でもファンドの平均パフォーマンスは凡庸で、
キャリートレードによる金利差益分でしかなかったと言う。


「いつかはゆかし」で文明開化の音がする(ゆかしメディア)
http://news.livedoor.com/article/detail/7117949/
” ■「いつかはゆかし」の衝撃
 日本最大の海外投資助言会社のアブラハム・プライベートバンクは10月22日、海外積立投資支援サービス 「いつかは ゆかし」の提供を開始した。日経ビジネスに掲載された「世界トップファンドに月5万円から積立をして、老後の1億円を貯める」というコンセプトに、世間は騒然となった。
 このサービスが話題を呼ぶのには理由がある。世界には年利10%以上の実績のある海外ファンドが豊富にあることを知っている日本人が少ないため、「驚き」をもってこのサービスがむかえられているのだ。インターネット上では、「10%はありえない」などという驚きの声が圧倒的だ。
〔中略〕
 週刊文春によれば、アブラハム・プライベートバンク株式会は日本で唯一、個人投資家でも海外ファンドを直接購入できるようにサポートするビジネスモデルを確立したパイオニアとされ、既に数千人の顧客がいる。

■世界ファンドランキング第100位でも、年利16%の実績
 実は、日本人が投資助言会社を通じて海外ファンドを直接購入できるようになったのはほんの5年前から。では、どんな海外ファンドがあるのか?海外の著名金融専門誌バロンズによると、第100位のファンドですら16%以上の年利を出している。
〔中略〕
 その状況に対して、アブラハム・プライベートバンクの「いつかはゆかし」は、いままで日本人が甘んじていた低金利状態が実はガラパコス環境であったことを公衆の目にさらしてしまった。いうなれば、金融鎖国の日本人の目の前に「海外ファンド」をダイレクトに持ってきた「黒船」といえる。週刊ダイヤモンド2011年10月号(「日本を見捨てる富裕層」)によると、アブラハム・プライベートバンク社の会員の投資助言実績は年率13.94%と報じている。

■「いつかはゆかし」の中身とは?
 海外投資コンサルティングでは助言会員に年率13.94%実績のファンドを提案してきた同社だが、「いつかはゆかし」の顧客には年利10%程度の実績のあるポートフォリオを同社は提案していく模様だ。
 ただし、年利10%以上はあくまで過去の実績であるため、将来の年利が保証されるわけではないが、アブラハム・プライベートバンク株式会社は富裕層を中心に400億円以上の助言実績があり、そのノウハウを一般投資家に提供していきたいとの考え。
〔中略〕
 同社HPのQ&Aの「世界トップファンドの選び方について教えてください」にはこのような回答がある。
----------------------------------------------------------------------------
  「私たちは「アブラハムだけが目利きで優良ファンドが分かる」という主観的な立場を取っていません。
 私たちが特に重視しているのは、世界で著名なファンド・ランキングやファンド・アナルシスなどの世界的な評価機関の客観的な結果です。
 私たちは、「私たちだけが知っている秘密のファンドを紹介する」というスタンスではなく、「プロ(機関投資家)の間で評価が高いけれども、今まで個人投資家はアクセスできなかった有名海外トップファンド。それに小額から投資できる仕組みを作ることで、 個人投資家を豊かにしたい」というスタンスでファンド選別をしています。従い、世界ランキング上位のファンドへの投資を中心に助言をしています。
----------------------------------------------------------------------------
 ここにあるとおり、世界トップランキングのヘッジファンドの運用次第ということになる。もちろん会社員が仕事の片手間で自分で相場をいじるよりも何万倍も勝率が高く、安心であることは間違いないが、いくら天才運用会社でも損をすることはある。
 この点、同社資料によると「10年以上安定してリターンを出した実績のあるファンドを選び、過去実績が出てないファンドは選ばない方針」と回答している(ソース:ガラパコス資産運用からの脱出) 将来を予測できない「神ならぬ人間」としては、過去実績しか頼るものが無いのが事実。
 そういう意味では、過去実績が劣悪な日本の金融商品を買うよりも、確率論的に言えば、過去実績の高い海外ファンドを購入する方が合理的であるとはいえるだろう。
〔中略〕
 週刊文春によると、一部の海外ファンドは人気が高いため、日本の大手証券会社も取り扱っている。ただし、海外ファンドは通常、日本で投資信託の形にされる。その過程で日本の証券会社(販売会社)の手数料が乗るため、最終的に投資家の手元に残るリターンは減ってしまう。具体的にはある海外ファンドを買おうとすると日本の証券会社に4%。間に入る外資系証券会社に2%を取られてしまうという。
 逆に、アブラハム・プライベートバンク株式会社のような投資助言会社を活用して直接海外ファンドを購入すれば、販売手数料をカットでき、投資助言手数料0.945%のみの負担ですむ。この差は大きい。
〔中略〕
■日本人の老後不安をなくすことで、日本を明るくしたい
 アブラハム・プライベートバンク株式会社の高岡社長は、「国や企業に頼れない時代。1億円は富裕層だけのものではなく、すべての日本人があたりまえに手に入れるものであって欲しい。老後の不安をなくすことで日本人を明るくしたい。」と語る。「いつかはゆかし」のメインターゲットは、団塊ジュニア世代の1,000万人。高岡社長もおなじく団塊ジュニア世代で、「自分と友達に必要なものだから創った」とのこと。
 アブラハム・プライベートバンク株式会社は、「いつかはゆかし」発売にあわせて、平日は夜8:00まで、土曜日も営業日にするなど、業務時間を変更した。「日本の銀行は15時に閉まるので、会社員には使いづらい。でも、当社は仕事帰りの会社員が相談しやすいように営業時間を拡張した。日本の金融の常識に挑戦していきたい。」とのこと。
 この世に確実なものはないが、日本よりも格付けの高い国で、日本の金融商品よりも実績の高い商品に、毎月リスクを抑えた海外積立投資をしていくこの「いつかはゆかし」。「いつかはゆかし」がガラパコス化した日本人の資産運用の常識を変えることだけは、間違いないだろう。

初出 海外投資新聞
編集委員:琢磨 武裕
東京大学卒、米ミシガン大学MBA。三菱銀行(現 三菱UFJ銀行)入社後、ロサンゼルス支店長・執行役員などを歴任。
編集委員:松室 哲生
元ダイヤモンド社代表取締役専務。「週刊ダイヤモンド」編集長などを歴任。”

平然とヨイショ記事を出してしまう神経が実に素晴らしい。
銀行の窓販で「このファンドはいかがですか?」と言っているのと同じである。
末尾を見ると、うまい具合に持ち上げてくれる書き手を実質的に雇ったようだ。
それでも所詮「過去の実績に頼っている」限界は隠せないが。

昨年であれば当ウェブログを見ていれば20%~50%程度は出ている筈なので
何故「10%はありえないなどという驚きの声が圧倒的」なのかさっぱり分からない。

記事の内容から見ると前よりは少し進歩しているような感じはあるものの、
矢張りCSRや企業倫理を根本から研究した方が良いのではないだろうか。


米ヘッジファンド苦戦 金融緩和強化を予測できず 12年の投資収益率6%どまり(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1201X_S3A110C1FF8000/
”【ニューヨーク=川上穣】金融市場で存在感を誇るヘッジファンドの不振が続いている。2012年の投資収益率は約6%と、米国株の市場平均の上昇率(約13%高)の半分以下にとどまった。日米欧の金融緩和や、米国の「財政の崖」問題などに伴う変化を読み切れなかったのが原因だ。高い収益を求めてファンドに振り向ける資金を増やしてきた年金基金の思惑も外れ、予定利回りの引き下げなど対応を迫られている。
 ヘッジファンドの運用成績が市場平均に届かないのは、09年から4年連続。
米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)によると、12年に苦戦が目立ったのが世界の為替や株式、債券に資金を投じる「マクロ戦略」のファンドだった。運用成績は通年でマイナスに沈んだ。「米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和強化を予測できず、その後の株高に乗り遅れた」。米西海岸に拠点を構えるファンド大手のトップはこう反省する。
 ヘッジファンドにはかつて、1990年代の英ポンド売りで大もうけした著名投資家ジョージ・ソロス氏のように大胆なポジションで高い収益を上げる「巨頭」がいた。一般に買いと空売りを組み合わせ、どんな環境でもプラスの収益を目指す姿勢が注目を集めていた。
 だが今は「(収益の源泉である)レバレッジ(借り入れ)も十分にできず、ファンド間の競争も激しい」。ソロス氏と並ぶファンド業界のスターだったジュリアン・ロバートソン氏は昨年、米メディアに後進の世代が直面する問題について語った。
 一般に投資家から年率2%の運用手数料と、20%の成功報酬を受け取ることで知られるが、運用不振が長引き「法外な手数料はもはや正当化できない」(米プリンストン大のバートン・マルキール名誉教授)との声も漏れる。
 ファンドの不振は巨額の運用資金を振り向ける年金マネーの苦戦に直結する。年金運用の助言を手がけるタワーズ・ワトソンの調べによると、米年金基金ではヘッジファンドや不動産など「代替投資」の運用比率が11年時点で約25%。5年前の06年から9ポイント上昇。一方で株式は44%と、同16ポイント低下し、ファンドへの比重を高めてきた。全米最大の公的年金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)は代替投資の比率が3割に迫る。
 米年金基金が、毎年想定する予定運用利回りは約7~8%。08年の金融危機後は米国など先進国で金利が歴史的な水準まで低下し、債券など従来の伝統資産だけでは安定した収益の確保が難しくなった。こうした中で、運用手腕の高さが評価されてきたファンドに頼らざるを得なくなっていた。
〔中略〕
 カルパースでは09年に1億ドルだったインフラ投資が11年には7倍に増えた。ただこうした投資先は、株式のように好きなときに売買できない流動性リスクを抱える。一定の運用利回りが見込めても、周縁の投資にとどまらざるを得ない。
 運用成績の低迷を受けて、米イリノイ州教職員退職年金基金など予定利回りの引き下げに動く基金もある。この場合は年金加入者に積立額引き上げなどのしわ寄せが及ぶ。年金基金にとって避けたいシナリオだが、低金利やファンド不振で思い切った決断を迫られつつある。”

「いつかはゆかし」が持ち上げているヘッジファンドだが、現状はこの通り。
「ゆかしメディア」もこの程度の話は取り上げるべきでは?

レバレッジを失ったヘッジファンドはただの高コストファンドでしかない。
仕組みそのものの不透明さもあり、はっきり言って全く投資する意欲が湧かないのだが。


「いつかはゆかし」の問題点~海外ファンド積立で1億円を目指す?(ホンネの資産運用センター)
http://genuinvest.net/?eid=1880&PHPSESSID=2d172a19015c73a391514379c0f645c8
”アブラハム・プライベートバンク株式会社が「いつかはゆかし~海外ファンドお取り寄せ長期積立」というサービスのテレビCMを放映していたので、ウェブサイトを見てみた。
「いつかはゆかし」のウェブサイトによると、月5万円の海外ファンド積立という手法で、年利10%で30年間運用し、金融資産1億円を「目指せる」とのこと。しかし、実際は、コンスタントに年利10%の運用をするファンドを事前に選択することは不可能だと思われる(結果的に一定期間に渡って10%を生み出したファンドはたくさんあるだろうが)。
「いつかはゆかし」の最も大きな問題は、海外ファンドが国内ファンドよりも優秀であるという幻想をふりまいている点だ。
ウェブサイトでは、「海外には年利10%以上の優良ファンドが豊富に存在しています。第100位のファンドでも16%の好成績というデータが出ています」と書かれているが、単純にファンドの数が多ければ、年利10%以上のファンドの数も多いのは当然だろう。
「いつかはゆかし」は、投資助言を得るだけで入会金(19800円)や投資助言料(資産の0.945%)という高額な料金が請求されることになる。1800万円プレゼントキャンペーンやテレビCM放映を行えるのも納得だ。

しかも「ホンネの資産運用セミナー」に鋭く突っ込まれている。
全くその通りですね。もっと厳しく言ってやった方が向こうのためになると思う。
結局テレビ広告の料金は「いつかはゆかし」にカネを払う顧客が負担しているのだ。
コスト面の指摘も重要で、「ゆかしメディア」では全く触れられない。

更にコメント欄ではこのような秀逸な指摘もあった。(素晴らしい)

>上記「15.84%の実績」は「ポートフォリオの一例」のようですね。こういう時は、「一例」ではなく、すべての提案ポートフォリオの「平均」を出さないと説得力はないですね。
> * ゆうき
> * 2013/01/01 12:56 AM

テレビ広告を打つ前にこの辺りの「不都合な真実」をディスクローズして欲しいものだ。
そうでなくてもアブラハムは綺麗な数字やうまい話しか表に出してこないので、
リアリストの立場としては何か隠しているのではないかと疑いたくなるところがある。

誰か、「いつかはゆかし」に加入して積み立てると同時に、
各種の海外ETFの積み立ても同時に行い、パフォーマンスを比較してくれないものか。
(勿論、コスト的に有利な後者にウエイトを置いた方が良いのは言う迄もない)
Comments (2)
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2013年の日本市場は円安で活況が見込めるが、一本調子にはならない ― 国民生活には「悪い円安」の影が迫る

2013-01-01 | 株式・為替マーケット全般
新年おめでとうございます。
昨年も更に多くの方々に当ウェブログを見て頂きまして有り難うございます。

どうか少しでも多くの方々が経済をより正しく理解し、
日本経済と日本社会に希望が見られる年になりますように。

311以前から一貫して日本の原子力政策を批判していた当ウェブログ、
最近は漸くエネルギー政策の現実が追いついてきて、
今年も多くの方からツィッターで取り上げて頂きました。

昨秋から掲載されていたBLOGOSからのアクセスが余りにも
質が低いのと、運営側の対応がネット系特有の朝三暮四なので
縁を切る方向に運びました。
(因に当ウェブログの昨年のアクセス数ピークはtwitter要因、BLOGOS貢献度は低い)

その後のアクセス数は大して変わらなかったので選択は正しかったと考えます。
BLOGOSはいまだにマネタイズできていないらしいのですが
あのアクセスの質の悪さでは仕方のないところでしょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

投資においては特に富士重工・トーセイ・マツダ・竹内製作所への注目は
ほぼ完璧だったと自負しております。12月だけで150%を超える数値が出ており、
外国株式が主力の投資家の大多数をアウトパフォームできたと思われます。

  昨年年頭の予想
2012年の日本は緩やかな回復基調、原油価格高止まりへ ― 海外市場はNY・インドネシアに注目
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/363a76331875cb1bd7136034ce321d00

 今年の株式は波を描きながら上向きを予想します。
 ユーロ危機と中国の引締めの影響がまだ残り、
 すんなり上に抜けることは難しいでしょう。

 今年前半での焦点は日米中露独による協調ユーロ圏支援です。
 これでかなりの規模のリスクオンラリーが期待できます。

 コモディティは原油が強くゴールドは終わりでしょう。

 為替については原油高に支えられた豪ドルのじり高、
 米ドルとユーロ両方の反転を予想します。

 東証に関しては原油高から恩恵を受ける総合商社、
 アメリカ経済回復インパクトの大きい富士重工、
 国内経済回復を受けてUAに引き続き注目。

ユーロ圏の協調支援こそなかったものの、
「米ドルとユーロ両方の反転」が見事に実現し
富士重工もUAも素晴らしいパフォーマンスを見せました。

  ↓ 富士重工(Rakuten.sec) 2年チャート、言う迄もなく今年の花形


  ↓ 丸紅(Rakuten.sec) 10年チャート、600円の壁を6年ぶりに突破する気配


  ↓ 東京建物(Rakuten.sec)10年チャート、3年ぶりに500円台に迫る勢い


  ↓ トーセイ(Rakuten.sec) 10年チャート、4年ぶりの50,000円台に


楽天証券のサイト
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/domestic/

昨年は、注目を浴びるのが大好きな言説を売り歩く輩が
愚かな大衆を不安に陥れて自分の信者を増やそうとしているのを見て
ドルとユーロの反転を改めて確信しました。

▽ 見事なまでの逆指標ぶり

『EUメルトダウン 欧州発 世界がなくなる日』


▽ 韓国経済危機を煽った時と同様、着々と逆指標の実力を発揮している

『ユーロ崩壊!』


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

2013年はドル円次第でまた更に良い年になるでしょう。
しかしドル円は本格反転上昇のフェーズではありません。

調子に乗りすぎず、市場心理を見抜いてポジションを変えましょう。
皆が強気過ぎるのは天の警鐘です。一本調子の上昇はありません。
必ず中だるみの時期があり、それを見抜けるかどうかでパフォーマンスが変わります。

昨年はECBのユーロ圏防衛、米経済回復で市況が明るくなっていたところで
日本の金融政策転換期待で日経平均が大幅上昇しており、
円安株高の動きが継続すると思われます。


2012年の日経平均は2割超上昇、05年以来の伸び率で震災前水準を回復(reuters)
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPTYE8BR04120121228
”2012年の日経平均は3年ぶりのプラスとなった。年間で22.9%上昇と2005年以来の高い伸び率となり、東日本大震災前の水準を回復した。
〔中略〕
 TOPIXは18.0%上昇だった。
 日経平均は前日比72円20銭高の1万0395円18銭で今年の取引を終了。東日本大震災直前となる2011年3月10日以来の水準を回復した。2011年12月30日終値8455円35銭に対し、22.9%の上昇となり、郵政解散があった2005年の40.2%以来の伸び率となった。
 年初は世界景気の回復期待と2月14日の日銀の「サプライズ緩和」などの効果から日本株は上昇、3月27日には1万0255円15銭を付けた。だが、その後、ギリシャやスペインなど欧州債務問題への懸念が強まると、世界的なリスクオフの流れに飲まれ6月4日には年初来安値となった8238円96銭まで下落した。
 海外環境が落ち着くと徐々に下値を切り上げ、11月半ばに野田前首相が解散を明言した後は、新政権への期待から海外勢の買いが強まり上昇基調に転換。安倍晋三首相が選挙前から掲げた大胆な金融緩和と積極的な財政政策という、いわゆる「アベノミクス」を好感した円安・株高が続き、総選挙で自民党が圧勝すると政策実現への期待がさらに強まるなか、日経平均は年末に年初来高値を更新した。
 三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏は、海外勢の日本株買いは来年に入っても続くと指摘。「海外の年金基金などは12月を決算期にしているところが多く、基本的に決算月には動かない。早目に先物を買っているところもあるかもしれないが、大部分は新運用年度としての1月に入り動き出すとみている。1月前半にはこうした海外勢の年金やファンド資金なども入ってくる」とし、来年初めもしっかりした相場展開を予想している。”

円安への大転換により、輸送機器セクターが最も有望です。
しかし富士重工はかなり先の収益まで織り込んでいるので
輸出比率の高いマツダが最右翼となるでしょう。復配決定の可能性も高い。
米住宅市況回復で竹内製作所も大きく期待できます。

但し双方とも為替感応度が非常に高いので
円高に振れる際に株価が落ち込み、一直線の上昇にはなりません。

▽ こちらが参考になる

『現代(ヒュンダイ)がトヨタを越えるとき: 韓国に駆逐される日本企業』(小林英夫,筑摩書房)


不動産関連も2005年ほどの活況ではないものの
PERが急上昇して収益回復を先取りする展開が予想されます。
UAのようなブランド力の高い中小型株も引き続き有望です。


……しかしこれはまた改めて書きますが、マーケットが良くても
一般国民に及ぼされる恩恵は悲しいほど限定的でしょう。
今年は「悪い円安」が始まった年として記憶されることになるからです。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログの こちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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2012年の日本は緩やかな回復基調、原油価格高止まりへ ― 海外市場はNY・インドネシアに注目

2012-01-01 | 株式・為替マーケット全般
新年おめでとうございます。

昨年も更に多くの方々に当ウェブログを見て頂きまして
有り難うございます。

当ウェブログは早くから日本の原子力政策を批判しており、
原発事故の後は多くの方のツイッターで取り上げて頂きました。

9月以降は推薦を頂いてBLOGOSに掲載されることになり、
新たに多くの方々に見て頂けるようになりました。

なかなか内容を正しく理解してもらうのは難しいのですが
粘り強く訴えていきたいと考えております。


日本経済については税制・少子化・エネルギー・雇用において
事実を直視せずドグマや感情論によって歪んだ政策と世論が懸念されます。

経済成長率を上げなければ社会保障制度を維持できません。
欧米ともに低成長が予想されるなかで
企業収益だけでなく広く国民全体が恩恵を受ける
力強い日本経済へ向けて賢い改革断行が必要です。

企業だけに依存せず、トリックルダウンの妄想も打破し
効率的で公正な経済社会に至る道は探さなければ見えません。

現状を放置していればライシュが警告するように
この国の中間層が壊滅的打撃を受けることになるでしょう。
それは日本社会の過酷な不安定化を意味します。

▽ 日本企業がアメリカ市場を当てにできなくなる可能性も

『余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる』(ロバート・ライシュ,東洋経済新報社)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さて投資についてですが、的中するところもあったものの
大きく外れる点も複数あり、精度の低さが反省点です。

  昨年年頭の予想

今年の株式は昨年に引き続き、資源関連の好況を予想しています。
基本的には波を描きながら上向きでしょう。

新興国需要はインド・アセアン・ロシアへの輸出に注目です。

海外株式はタイトルに挙げたように、

{ ロシア > インド > 東証 > 香港 }

と見ています。ロシアは単純に石油価格高騰の恩恵、
インドはIT分野でのBPO+外資導入効果と見ています。
中国はインフレ退治のため株価を犠牲にする可能性大。

為替については高金利通貨のじり高、
米ドルもしくはユーロの大反転を予想します。

従ってディーリングには好機が多いでしょう。


実際はNYダウが最もパフォーマンスが良く、
ロシアもインドも3割ほどのマイナスでした。
中国の株価低迷と為替のディーリング相場は予想通りでしたが。。
米ドルも反転とまでは言えない状況です。

ただ1月23日の株式ポジションを大きく減らす判断は
適切であったと考えています。
総合商社や不動産を再びロングとする時機は早まったので反省点。


丸紅(rakuten.sec 5年チャート)


ユナイテッドアローズ(rakuten.sec 10年チャート)


2011年はUAに関しては適切な判断ができた。

5月以降の景況悪化の際には、為替ポジションを切り替え
ヘッジができることを学んだ。
円高局面で利益が出せたのも進歩だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ところで今年は広瀬さんの見方が完璧に正しかった。
2008年に広瀬さんを汚い言葉で批判した人達は反省した方がいい。
いかなる人に対しても、全面的な妄信や軽視は愚かさの証拠でしかない。

【2011年世界市場の見通し】中国経済の減速に注意!米国株をオーバーウェイト(zai.diamond.jp)
http://zai.diamond.jp/articles/-/99442

”1.全体としては難しい年になる
2.中国経済の減速が思わぬ副作用を世界にまき散らす
3.ユーロ圏の危機は続き、欧州経済は停滞する
4.米国はかろうじて3%のGDP成長を達成する
5.ディフェンシブ(防御的)なポートフォリオを心がけることが重要 ”

でも2年連続の的中は難しいと思う。
市場の女神は気紛れで性悪だ。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今年の株式は波を描きながら上向きを予想します。
ユーロ危機と中国の引締めの影響がまだ残り、
すんなり上に抜けることは難しいでしょう。

今年前半での焦点は日米中露独による協調ユーロ圏支援です。
これでかなりの規模のリスクオンラリーが期待できます。

コモディティは原油が強くゴールドは終わりでしょう。

為替については原油高に支えられた豪ドルのじり高、
米ドルとユーロ両方の反転を予想します。

東証に関しては原油高から恩恵を受ける総合商社、
アメリカ経済回復インパクトの大きい富士重工、
国内経済回復を受けてUAに引き続き注目。
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財務省の為替証拠金取引で日本国民には40兆円以上の臨時収入? - 財政破綻にベッドした深謀遠慮かも

2011-11-04 | 株式・為替マーケット全般
先週から予想していた為替介入が実施された。
為替取引を日常的に行っている者にとっては好機到来であるが、
実は日本国民にとっても巨額の利益となるかもしれない。

短期的な損失しか目に入らないのは、感情的で愚かな論者である。

日本人は不思議な民族で、遠大な計画を立てるとほぼ失敗となるが
(例:戦艦大和、第五世代コンピューター、コスト競争力のない国産スパコン)
無意識にふと行った何かが天才的な煌めきを見せる時がある。

戦史で言うとキスカからの無傷撤退はまさに奇跡であるし、
ビルマ戦線のシッタン河での退却作戦は
世界の軍事学の教科書では最大級の絶賛を浴びている。
(兵站軽視の日本軍にとっては悲惨な戦いだったが)


今回の為替介入も市場的に言えば時間稼ぎに過ぎないが、
結果的には財政破綻に備えた深謀遠慮になるかもしれない。

なぜなら、日本政府の財政危機がほぼ確実視されているからだ。
3年以内にはまずないが、10年後、15年後には絶望的というのが
専門家のコンセンサスである。

これは国債急落、金利上昇、急激なインフレ、通貨急落を意味する。

今の外為特会の巨額な含み損に驚くのは無知のためであり、
経済リテラシーがあれば話はそう単純ではないと理解できる。

もし円が急落したら外為特会はあっと言う間に巨額利益に転じる。
韓国がIMF管理下になった時の為替変動を参考にすれば、
ドル円は150円以上に急落する可能性があると判断できる。

外為特会の持ち高がおよそ100兆円あるとすれば、
円の急落で40兆~80兆円規模の含み益に転じる可能性がある。
(多分そこまでに円買いドル売り介入に使うだろうが)


▽「多額の国債も国内消化すれば心配ない」と言っていた愚劣な大政翼賛会

『国債・非常事態宣言 「3年以内の暴落」へのカウントダウン』(松田千恵子,朝日新聞出版)


▽ モンテカルロ法で算出した破綻確率は極めて高い

『2020年、日本が破綻する日』(小黒一正,日本経済新聞出版社)



尚、対ドルでの為替介入よりも効果的なのは
大和総研の原田泰氏の提唱されている
「日本円を韓国ウォンにペッグする」案である。
ドルよりコントロールし易く、マーケットインパクトは大きい。

短期資金が仰天して一斉に円売りに出るのは間違いない。
韓国のウォン安に苦しめられている日本の輸出企業は
一気に形成逆転して攻勢に出ることができる。

『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(原田泰,新潮社)



なぜ財政破綻するのか分からない向きは、
例えば以下の報道を熟読し、政府の歳入と歳出をよく見るように。


高福祉維持なら消費税25%必要=福田東大教授(reuters)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK065319420111102

”社会保障と税の一体改革に伴う消費増税について、東京大学大学院の福田慎一教授
 (金融論、マクロ経済学、国際金融論)は、このまま社会保障制度の歳出にメスを
 入れなければ、消費税は2015年度までの10%への引き上げでは到底足りず、
 最終的には25%程度まで増税する必要がある
との見通しを示した。
 こうした状況が明らかであるにもかかわらず、政府は社会保障制度の議論を小出し
 にして最終的な姿を示さず、負担についても消費税の引き上げ幅について当面5%
 としているにすぎないと指摘。25%まで消費増税をしてまで高福祉を選ぶのか、
 低福祉低負担を選ぶか、税と社会保障制度の最終的な全体像について選択肢を示す
 べきだと主張した。ロイターとのインタビューで述べた。 
 インタビューの詳細は以下の通り。
 〔中略〕
 「現状から歳出にメスを入れなければ、40兆円の財政赤字を埋めるために単純に
 考えればあと20%の消費増税が必要だということ。なおかつ、このまま社会保障
 の歳出にメスを入れないとさらに赤字が増えることは間違いない。そういう意味で
 最終的には、最低でも消費税25%になる」
 「まずは国民に、税と社会保障の姿の選択肢を示すべき。スウェーデン型の高負担
 高福祉にするなら消費税25%で今の制度を維持するか、英国型のように負担も小
 さく、老後は自己責任でという選択肢にするか、きちんと選択肢を示した方が良い。
 唯一選択肢を示して国民に問うたのは、小泉政権時の郵政改革だけ。不満は言うが、
 選択を問うことなく、どうしたらいいか議論してこなかったのがこれまでの日本

 「今は、低負担高福祉という幻想を示しているに過ぎない。消費税25%にしてで
 も高福祉を維持するのか、ということを問わないとだめだろう。高福祉を維持する
 なら負担もこれだけ大きくなるということを同時に示さないといけない。今の政府
 のやり方は議論を小出しにしているだけ。
 〔中略〕
 一番の問題は、国債金利の上昇。現在10年物国債で1%程度というのは大きなボ
 ーナスをもらっているということ。これが2%に上昇しても大変なことになる。そ
 れにも備えなければならない。貯蓄率がそれほど上昇しない中で、国内金融資産は
 頭打ちとなり、国内の国債保有力は伸びない。一方で、国債残高はどんどん増えて
 いく。バランスが崩れてくる中で、海外の国債保有が増えてくれば、国債の金利は
 乱高下しさまざまな影響が出るだろう。今は嵐の前の静けさといったところだ
」 ”

…という訳で、当局の苦し紛れの為替介入であっても
後になってみると天与の財源となる可能性は高いと言わざるを得ない。
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日本銀行はあえて通貨価値を毀損し、国民へ財政破綻リスクを警告すべき - 国債買い入れで円安誘導を

2011-05-30 | 株式・為替マーケット全般
現在、経済絶好調でDAXも急回復しているドイツ経済を見ると、
いかに日本の通貨政策が愚かであるのかが理解できる。

東日本震災と原発事故に起因した需給ショック及び円高に対し、
日本銀行もFRBのように市場からの国債買い入れで援護すべきだったのだ。

日本国民は電気事業者の「原発安全」プロパガンダを浴びていても
福島第一での絶対的現実を目にすると即座に真実を理解した。

財政破綻リスクについても同じことだ。
思考停止した有権者は永遠に国債を国内消化できるかのように思っているが、
そうした愚か者には実際に目前で現実を見せつけないと目が覚めない。

日本の生産年齢人口は坂を転げ落ちるように転落してゆく。
今すぐに目を覚まさないとダメージは深くなる一方であり、
将来的に円の急落がほぼ約束されているのにも関わらず
製造業の国外移転を促進するような無策は問題外である。


…90年代にマルク高と高失業率に悩んでいたドイツは、
ユーロを選択することによって劇的に復活した。

東欧に生産拠点を移転することで、国内人件費を抑制でき
独企業の生産性は2割は上昇したと言われる。

しかも南欧諸国のユーロ加盟によって意図せざる通貨安が実現し、
昨年のドイツ成長率は3%を上回ることができた。
ドイツ経済にはユーロを通じたバランサーが働いているのだ!

 景気低迷 → ユーロ安 → 製造業の収益回復、国内経済活況
 景気回復 → ユーロ高 → 製造業の収益減少、過剰投資抑制

▽「ユーロ崩壊はあり得ない」と予言した著者の、この本が参考になる

『ユーロ――危機の中の統一通貨』(田中素香,岩波書店)


日本も口先では何と言おうとも円安誘導策を断行すべきだ。
我々は世界経済に円が連動しているために
景気後退を増幅した形で受けている。

国内経済や製造業が弱ったままで財政破綻を迎えたら悲惨な結末になる。
その場合、金融当局も責を逃れることは決してできない。


警鐘はオオカミ少年でない、国債引き受けは通貨の信認低下=日銀総裁(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-21412920110528

”日銀の白川方明総裁は28日、都内で開かれた日本金融学会で講演し、財政悪化に
 警鐘を鳴らすと「オオカミ少年」のように受け取られるが、政府の支払い能力に対
 する信認は突如低下し長期金利が急騰する可能性がある
、と強調した。
 日銀による国債の直接引き受けや、無原則な国債買い入れは、微妙なバランスに立
 つ通貨や金融システムの信認を低下させ、経済に計り知れない悪影響を与えるとの
 懸念を表明した。
 総裁は「財政状況が悪化すると、政府の支払い能力に対する信認が低下する」とし、
 「民間金融機関の信認は政府の信認にも大きく左右される」と指摘。「非常時にお
 ける政府の各種の積極的施策が成功するかどうかは、中長期的な財政バランスの維
 持に関して政府への信認が維持されているかどうかにかかっている」と述べた。そ
 して、政府への信認の実体は「財政バランスを維持していく国民の意思」であると
 して、「国民の意思と無関係に、政府が『打出の小づち』のように財政政策を無限
 に展開できるわけでない」と述べた。
 現在の日本の財政の状況は「非常に深刻」だが、「長年、財政状況が悪いにもかか
 わらず、国債は円滑に消化され、長期国債の金利も低位で安定的に推移しているた
 め、財政悪化に伴う危険に警鐘を鳴らす議論は、時として『オオカミ少年』のよう
 な扱いを受けることがある。しかし、どの国も無限に財政赤字を続けることが出来
 る訳ではない。政府の支払い能力に対する信認は非連続的に変化しうる
」と述べた。
 また、「財政赤字の拡大や日銀の独立性が尊重されていないと感じられる出来事が
 起こると、最終的に激しいインフレが生じるだろうと考える傾向が生まれる」「は
 っきりしていることは、予想は非連続的に変化するということ」と指摘。「欧州周
 辺国のソブリン・リスク問題にみられるように、財政の維持可能性に対する信認が
 低下すると、財政と金融システム、実体経済の三者の間で負の相乗作用が生じ、経
 済活動にも悪影響が及ぶ」と述べた。
 〔中略〕
 戦前に国債の直接引き受けを実施し、景気浮揚に成功したとされる『高橋財政』に
 ついて触れ、「高橋是清蔵相は軍部の予算膨張に歯止めをかけようとして凶弾に倒
 れ、結局はインフレを招いたが、たまたま軍部の予算膨張をおさえられなかったの
 ではなく、市場によるチェックを受けない引き受けという行為自体が最終的な予算
 膨張という帰結をもたらした面もあったのではないか」と指摘。「引き受けという
 『入口』が予算膨張の抑制失敗という『出口』をもたらした」と総括した。また、
 「今日の目でみて興味深いのは、高橋財政期の日銀による国債引き受けがあくまで
 『一時の便法』として始まっている事実」、「その後の歴史はこれが一時的なもの
 ではなかったことを示している」と述べ、政府関係者内の一部にある直接引き受け
 論を牽制した。
 そして、「通貨や金融システムの信認は相互依存の関係にある。信認は空気のよう
 な存在で平時は誰もその存在を疑わないが、信認を守る努力を払わなければ、非連
 続的に変化し得る。そして、一旦、信認が崩れると、経済に与える影響は計り知れ
 ない」
と述べた。
 (ロイターニュース 竹本能文;編集 長谷部正敬)”

現状認識は正しいのですが、
正しい認識を持っていても現実の激変に対処できなかった
江戸末期の幕府上層部に似ているような気がしてなりません。

「直接引き受けは一時的なものでは終わらなかった」との指摘は
何もしない当局の自己弁護もしくは責任回避の巧緻とも言える。

独立性が保たれるだけの中央銀行では明らかに不充分だ。
金融政策にコミットする存在として不作為の責任は確実に存在する。

…記事には「日銀券ルール」への言及もありますが
概ね予想通りの内容でしたので省略しています。

バーナンキのようにアナウンスで巧みに市場の反応観察・誘導といった
高等技術は持ち合わせていないし、実行する気もないのでしょう。


▽ 高橋是清が基本的に財政均衡を重視していたのは事実。




『大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清』(松元崇,中央公論新社)


ただ、命を賭けて軍部の好戦派と対決した稀代の財政家が
現代に生まれ変わっていたら、預貯金をたっぷり貯め込んで
未来世代にツケを回している今の日本の「既得権層」に激怒すると思う。
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